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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

フィレンツェ歌劇場「トスカ」 ②

2011-03-19 17:26:10 | OPERA
2011年3月13日(日)
フィレンツェ歌劇場来日公演「トスカ」

東日本大地震の翌々日。
津波と大きな揺れによる被害が北日本を中心に未曾有の爪痕を残した・・・とはいえ、これから復興に向けて頑張ろう、という空気があったとき。
海外からの支援の申し入れも相次ぎ、大きな喪失感とともに、上を向いて浮上しなくては・・・というかすかな希望が見えていた、そんな日常を取り戻そうとしている関東の日曜日。
寒さに震えながら来ないタクシーを待ち、慣れない道を歩いた金曜の夜の混乱が嘘のように、ごくごく普通に神奈川県民ホールにたどりつき、その窓からは穏やかな青い海と港の風景が一望にでき、シャンパン片手に、いつも通りの休日が過ぎようとしていました

その後、なんですよね。原発の損傷が報じられどんどん事態が悪化していったのは・・・。
よって、14日の「運命の力」は東京文化会館で上演されたものの、15日の段階ではもう中止が決定。
本当に幻のような公演でした。13日は。

原発問題も、まだ解決というには至っていませんが緊急避難の可能性を含む危機的状況はとりあえず脱したのかと。
節電体制は続くものの、焦っても被災地以外の住民は、正しい組織の募金に応じ、不便をかこつことがあったとしても、それは理解して協力する。今は、国の財政支出が増大することを踏まえて、個人、企業ともに税金を納めることのできる体力を維持するべく、社会活動を通常通り行う、というのがコンセンサスかと。
いやいや、もっと長期に渡って活動は控えて喪に服すべきだ、という意見も目にしますが。
それぞれの立場での温度差もあるかと思いますし、実感できる何かをしたいと焦る気持ちもわかりますし。。。

ただ、こんなときだからこそ、むやみな批判に時を過ごすのではなく、前を向く力を積極的に取り込んでいきたい、と思うのでした。というわけで、13日の公演の感想、OUTPUTしてみたいと思います




幕が開く前に、マエストロ、ズ―ビン・メータ氏から異例の挨拶が。
わかりやすい英語で、今回の地震について、その災害を乗り越えてこの舞台が開催されたことについてのお礼と、北日本で被災された方々のことを思って演奏する、という心のこもったものでした。

今回の演出は、ヨーロッパ発には珍しく?、舞台も衣装も非常に正統派のクラシック。
オペラ初心者にも、作品世界を理解しやすく、という配慮だそうですが、カヴァラドッシのマルコ・ベルディ、トスカのアディーナ・ニテスク、スカルピアのルッジェーロ・ライモンディともに容姿と声質に恵まれていて、本当に楽しめる舞台でした。

ベルディ、ニテスクは、ともに初見ですが、ベルディのポイントポイントで良く響く声が心地よい。
ニテスクは東欧系のソフトな容姿のブルネット。触れなば落ちん柔肌の美女・・・で、鉄火なトスカとはまた違った魅力を発していましたが、一番の聴かせどころの「歌に生き恋に生き」のタメがやや不足していたせいか軽く感じられたのが惜しまれます。



スカルピアのライモンディは・・・
いや、今回は彼を目当てに行ったも同然ですので、語りますが(笑)、やはりその存在感は素晴らしい!
前回のフィレンツェ歌劇場来日公演は5年前で、そのときは軽妙に人生の哀歓を表現したファルスタッフで。
相変わらず素敵ですねvとサイン会で思わず申し上げたらこんなお腹なのに?と詰め物を入れたお腹のゼスチャーで笑わせてくださった彼ですが、10年前のボローニャ歌劇場来日公演での同役を彷彿とさせる舞台姿に涙・・・。
あの「TOSCA」ははっきり言って、男前のホセ・ク―ラのカヴァラドッシを凌駕するカッコよさでしたものね・・・。
モノトーンの大階段の真ん中で黒い宮廷服で歌い上げる「テ・デウム」に鳥肌が立ったこと、今でも忘れられません・・・。

で、今回の「行け、トスカ Va Tosca」と「テ・デウム Te Deum」
嫉妬を焚きつけ、思わず彼の別荘へと浮気の現場を押さえに走るトスカを部下に追わせ、自分はカヴァラドッシがかくまう反逆者アンジェロッティの首と、トスカとの2つの獲物が落ちてくるのを待つばかり・・・という、暗い欲望と、そのスカルピアの背後で進む、ローマ教会の赤白金のミサの荘厳な豪奢さがコントラストを見せて見事な2幕の終わり。
ただ、やっぱり・・・というか、声量は落ちましたね;;。
1941年生まれの彼には、オーケストラと合唱を乗り越えて力で押すのはさすがに難しいのかもしれません。

その分 増したのが表現力。スカルピアの独唱って、女を口説く愛の言葉もギターの演奏も知らない自分だが、その場限りの快楽があればいい、という実は不器用な男の独白。一幕、三幕で、カヴァラドッシが甘い言葉で存分にトスカへの愛を語るので、その対比がまた響きます。カヴァラドッシの命と一瞬の慰めを賭けたトスカとの駆け引き。真っ赤な宮廷服で、トスカを口説くスカルピアの紳士的な外見と秘められたエゴイストな欲望・・・が細やかに表現されてドキドキしました。

3幕の初めの羊飼いの歌。
これはクレジットされていませんでしたが、どうやら東京児童合唱団のメンバーが歌ったらしく、最後のカーテンコールに、フィレンツェ側のキャストに引っ張られたのか、にこやかに手を引かれて登場させられていらっしゃいました。
ソプラノが歌うこともある役なので、チャンスを活かして良いパフォーマンスが出来て良かった。最後まで名前が出なかったのはまだ学生さんだからでしょうか。将来、そういえば、という歌手に育ってくださると楽しみなのですけど^^

オケは、メータ氏の音の輪郭を浮き上がらせるような指揮に導かれ、メリハリの利いた華やかな演奏で、プッチーニならではのメロディーの美しさを堪能できました。

短い滞在で地震に遭遇され、スタッフ、楽団員の皆さまのショックも小さくなかったとは思いますが、そのショックを乗り越えて素晴らしくプロフェッショナルな演奏と空間を作り上げたフィレンツェ歌劇場の皆さまには感謝の念が絶えません。
また、次の公演も実現することを祈っています。


フィレンツェ歌劇場「トスカ」 ①

2011-03-15 01:50:11 | OPERA
未曾有の大災害となった東日本大震災。
皆さま、御無事でいらっしゃいましたでしょうか?

わたくしも、11日の金曜日は出社、帰宅に苦労はしたものの、翌日も仕事に出かけ、後々に明らかになる被害の全貌のあまりの規模に、愕然としている・・・そんな今日この頃です。

日曜日に来日公演初日を迎える、フィレンツェ歌劇場2011年日本公演。
そのような状況下で、12日までは開催が危ぶまれていましたが、直前に会場の安全確認も出来たとの告知で、3月13日、穏やかな日曜日の午後、港を望む横浜は神奈川県民ホールに行って参りました。

その後、続いての公演はどのような状況にあるのかしら?と
NBSのサイトを覗いてみましたら・・・
14日(月)の「運命の力」初日は予定通り、東京文化会館にて上演されたそうですが、原発事故の関係で不安要素が高まり、フィレンツェ市長の命により、帰国命令が発動、16日以降オペラ2演目「トスカ」2日、「運命の力」3日、特別公演「レクイエム」の計6公演が中止になったとのこと。

危険度と状況判断の兼ね合いの難しさ、ですが。
楽しみにしていらした方は残念ですが、このところの原発関係のニュースを観ていると不安要素が大きすぎるのは理解できます。

今となっては幻のような一瞬・・・あの音楽の宝箱のような公演については、下に当日のCAST表を、内容と感想は別記事にまとめて、お伝えしたいと思います。

ジャコモ・プッチーニ作曲
「トスカ」全3幕

2011年3月13日(日)15:00開演 / 神奈川県民ホール

フローリア・トスカ:アディーナ・ニテスク
Floria Tosca Adina Nitescu

マリオ・カヴァラドッシ:マルコ・ベルティ
Mario Cavaradossi Marco Berti

スカルピア男爵:ルッジェーロ・ライモンディ
Il Barone Scarpia Ruggero Raimondi

チェーザレ・アンジェロッティ:アレッサンドロ・グエルツォーニ
Cesare Angelotti Alessandro Guerzoni

堂守:ファビオ・プレヴィアーティ
Il Sagrestano Fabio Previati

スポレッタ:マリオ・ボロニェージ
Spoletta Mario Bolognesi

シャルローネ:フランチェスコ・ヴェルナ
Sciarrone Francesco Verna

看守:ヴィート・ルチアーノ・ロベルティ
Un carceriere Vito Luciano Roberti


指揮:ズービン・メータ
Maestro concertatore e direttore Zubin Mehta

演出:マリオ・ポンティッジャ
Regia Mario Pontiggia


演出助手:アゴスティーノ・タボーガ
Ripresa da Agostino Taboga

演出助手(アシスタント):アンジェリカ・デットーリ
Regista assistente Angelica Dettori

美術・衣裳 フランチェスコ・ジート
Scene e Costumi Francesco Zito

照明 ジャンニ・パオロ・ミレンダ
Luci Gianni Paolo Mirenda

合唱指揮 ピエロ・モンティ
Maestro del Coro Piero Monti

舞台技術監督 イタロ・グラッシ
Direttore dell'allestimento Italo Grassi

フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団/フィレンツェ五月音楽祭合唱団
Orchestra e Coro del Maggio Musicale Fiorentino

児童合唱:東京少年少女合唱隊 The Little Singers of Tokyo


◆上演時間◆

第1幕 15:00 - 15:50
休憩 25分
第2幕 16:15 -16:55
休憩 25分
第2幕 17:20 -17:50



鹿島茂コレクション「グランヴィル19世紀フランス幻想版画」展

2011-03-11 02:48:35 | ART
練馬区立美術館で開催中の
「グランヴィル 19世紀フランス幻想版画展」に行って参りました。



フランス文学者で、19世紀フランス社会の表と裏(こちらがメインかも^^)を探求されている鹿島茂氏の個人コレクションとサントリー美術館から貸し出しのエミ―ル・ガレの関連作品の展示です。

版画家J.J.グランヴィル(1803~1847)の短く悲劇的(3人の子と妻に先立たれ自身も精神病院で没)な生涯において生み出された作品の数々・・。
細密画家であった父親の薫陶を受けた確かなテクニックと、独自の鋭い社会風刺と幻想的なイマジネーション。

動物の頭と人間の身体を持つ登場人物が一言・・・という形式でくすりとさせる「現代版変身譚」「動物たちの私生活・公生活情景」からの石版画は2通りの彩色を展示したり、後に復刻版が作られた時の木版画ヴァージョンとの対比など、見比べるのも面白い。

挿絵画家としても活躍。
「ガリバー旅行記」「ラ・フォンテーヌ寓話集」「デカメロン」など、こちらもラインナップからして彼の諧謔的な志向が伺えますね。

かと思えば美しい花の精や宇宙の戯画化など、美しさと不気味さがMIXした独得の味わいで、
アリスの挿絵画家ジョン・テニエルが影響を受けた・・・というのもさもありなん、ですが、それ以上に、幻想画においては、ヒエロニムス・ボスやウィリアム・ブレイク的世界観、そして後のマグリットらのシュルレアリスム運動にとつながる飛躍する発想の萌芽を感じさせる、アカデミーの美術とはまた別のルートで独自に花開いたもうひとつの美術史を繋ぐ存在なのでは・・と感じさせられました。



これは、展覧会の図録でもあり、一般書籍としても発売されている鹿島氏の著書。
美しい白猫が、一言「わたくし、マフをいただきましたの」
椿姫のような高級娼婦への第一歩をふみだした若い娘、といったところでしょうか?
いかにも鹿島氏好みの一葉ですね^^

展示作品は約240点。
細部まで見ると楽しいのですが結構見応えのあるボリュームです。
4月3日(日)まで。





星組中日公演「ル・ポァゾン 愛の媚薬Ⅱ」 ②

2011-03-06 07:32:46 | TAKARAZUKA
あまりに長くなってしまったので分けますね
後半です。

■「愛の葛藤」

アンダルシアのタブラオ?
壁に色褪せたポスターが見えるセットの中で、オレンジ系のフリルいっぱいのクラシカルな衣装の男女のフラメンコダンサーたちが踊ります。
センターにマタド―ル=柚希さんが。
音楽もスパニッシュギターでカッコいい幕開け。

白い闘牛士の衣装には黒いスパンコール刺繍があしらわれていてゴージャス。
押しも押されぬスター闘牛士の心の葛藤を歌い上げる柚希さんの影に寄り添うのは闘牛士の影。
2番手凰稀かなめさんは柚希さんの影として時に背後で同じ振りでシンクロし、ときには歌の内容を表す影の表現を踊ります。この影もまた、闘牛士の正装で、銀のスパンコール刺繍が煌めく黒の衣装。
二人とも素敵・・・

場面はいつしか闘牛場に。グレーのシャツと頭を覆うスカーフで誰が誰だか判別がつきませんがダンサー揃い12名のチームによる牛の群舞の振りが激しく、素晴らしい。ここ、謝先生の振付なんですよね。
華麗なムレータ(マント)さばきを見せる二人。
成功し、自信に満ちた自分と、もう一人の自分のはざまで苦しむレオンくんが歌に踊りに圧倒的な存在感を見せるのですが、その影でありながら、ひんやりとした独得の個性と演技でドラマを盛り上げる凰稀さんも存在感をしっかりと打ち出せていて・・・。
いつの間にかこんなにも、偉大な柚希さんに拮抗出来る存在にまで自分を高めていたのだなと(ここ、ファン目線です^^;)感動。

■間奏曲

闘牛士の死を悼む黒衣の貴婦人・・・生命力溢れる夢咲ねねちゃんに喪服は似合わず(スペイン風の黒レースのドレス姿は美しいですけれど)、「ナルシス・ノワール」と歌い上げるのも、違和感なしとは言いませんが・・・。
まぁ、繋ぎの場面です^^;

■愛のロマンス

ちょっと恥ずかしい感じのタイトルに突っ込まないでください^^;

ここ、本当に素敵な場面なんです。
白いドレープの舞台に登場する白燕尾の凰稀さんが神々しいばかりに美しい・・・。
そこに寄り添うのは肩口から襟ぐりにかけてフサフサのフェザーがついたミントブルーのドレスのねねちゃん・・。
この二人だけでももう、麗しすぎるのに、舞台上にずらりと娘役が勢ぞろいして淡いグリーンのロングドレスのすそを持って翻すのがもう・・・。
あぁ、もう、ここは天国?
幸せすぎます。
かなめ姫は男役と一緒にいるよりも、こういう、レディースに囲まれてキラキラしているときが一番しっくりくると常日頃から思っているのデスがいかがでしょう?
そして白燕尾の似合いっぷりがもう・・・素晴らしいです。
二人の笑顔がまぶしく、とても大切そうにねねちゃんを抱きよせる姿もまた・・・
どこまでも優しく微笑みながら、ウルウルしそうなねねちゃんに歌いかけるこのナンバーも絶品。
この1シーンのために名古屋に来た甲斐があった、というシーン満載のショーですが、その中でも、ここは永遠に終わって欲しくない・・と思う場面でした

場面変わって、キラキラの白燕尾の柚希さんを筆頭に淡いブルーの蝶ネクタイに白燕尾の男役の総踊り。
「ワルソーコンチェルト」に合わせての荘厳な場面。
ここもキレイなシーンですが、白燕尾にはやはり白の蝶タイであって欲しい・・・というのはわたくしの好みの問題ですが。
淡いブルーとはいえ、タイに色がはいるとちょっとお子ちゃまっぽくなってしまうので・・・^^;
という小さな気になる部分はありますが、重厚な味わいとセンタ―の柚希さんの存在感で圧倒されていると、サイドからスッと現れる2番手凰稀さん。
そのままセンターの柚希さんのサイドに位置するポジションについて群舞に加わります。
シンプルな白燕尾をりゅうと着こなした一際エレガントな彼女が加わることで、熱い星男たちになんともいえない華麗さとふくらみが加わる様を眺めながら、あぁ、わたくしがこの1年愛でてきた星組がここにある・・・と目頭が熱くなりました。
そしてセンターで踊る柚希さんを 全員が半円状に囲んで見守るシーンで、その半円の底から柚希さんを見つめる凰稀さんの何とも言えない表情が・・・万感こめてます

■「ジュ・テーム」

ここ、多分昭和度MAXかも。
紫、赤、青のルパシカ風襟元に長袖のパフスリーブのレトロなタカラヅカ衣装の夢乃聖夏、壱城あずさ、大輝まことの3人とペアを組む妃咲せあら、花愛瑞穂、白妙なつ・・・とメンバー的にはどう不都合があるわけでもなさそうですが、TOP3人が昭和な衣装も現代的な超絶的なスタイルの良さで違和感なく着こなしてしまうのがどんなにすごいことなのか、しみじみと思い知らされるナンバー。

■「ロケット」

20名の下級生によるラインダンス。
大劇場公演とは違い、メンバーの半分がここに参加することになるので、十碧れいやくん、麻央侑希くんクラスまでがセンターで長い脚をご披露くださるという見応えのあるダンスでした。ひろ香祐くんが相変わらず笑顔満開で目立っていました。彼女は名古屋出身でもあり、地元で一層張り切っているのかしら?いいですね^^
赤白のオーソドックスな衣装でしたが皆、可愛かったです。

■「フィナーレ」

「アシナヨ」です。Do you know?という意味でしょうか?

アシナヨ・・知っているかい、君が僕を変えたこと・・
感じているかい? どれほど愛しているか
君と出会った時から、僕の世界目覚めた

韓国の有名なラブソング「アシナヨ」を柚希礼音、凰稀かなめで歌い継ぐ落涙もののシーン。
ここにねね姫も加わる長身小顔美形の3拍子揃った3人の並びはゴージャスな星組ユニットを象徴する場面で、しみじみとその解体が惜しまれます。
ラメの刺繍の入った華やかな黒燕尾の二人とワインカラーのドレスのねねちゃんでしっとりと。
この「アシナヨ」について、何を思って歌っていますか、とお茶会で聞かれたレオンくんが「凰稀かなめのことを思って歌っています」とおっしゃってくださったという・・・;;
二人の絆、一緒に過ごした2年弱を振り返る、さよなら仕様の後半でした。

■パレード

エトワールは愛知県出身で、音羽ゆりちゃんがメイちゃんチームで抜けた歌姫ポジを今回しっかりと務めあげてくれた白妙なつさん。
全員が白い羽根扇を手にしていて華やか。
3番手のピンクスパンコールの燕尾服は夢乃聖夏ちゃん。
2番手凰稀さんはロイヤルブルーのスパンコール、そして柚希さんはゴールドと、それぞれにお似合い。

毎公演、凰稀さんを送る拍手が一際大きかったことにも感動しましたが、
やっぱり感じたのは柚希さんのTOPとしての盤石感。
大羽根を背負ってなお、ノリノリで身体をゆすって歌い上げる主題歌。
ナイアガラ部分を翻して客席に時ならぬ突風を送りながらのご挨拶も、エネルギッシュな柚希さんならではの
フィナーレで。

男役TOP1,2の二人はこれから別々の舞台でしか観られなくなってしまいますが、
それぞれに充実した個性をまた、他の方との化学反応で煌めかせながら進んでいかれるのだろうなと。
その最後の二人の今だけの輝きをしかと見届けることができた歓びが寂しさを凌駕することが、
とりもなおさず、この二人のクォリティなのだろうなと。

星と宙の次回作がそれぞれ楽しみです
東京公演まで待てるかしら?^^





星組中日公演「ル・ポァゾン 愛の媚薬Ⅱ」 ① 

2011-03-01 05:31:20 | TAKARAZUKA
お芝居の方ですっかり感動してしまい、すがすがしい満足感でいっぱいになった中日公演でしたが、
そもそもはこのショーに惹かれて、名古屋行きを決めたのですよね^^

演目発表時に長年ヅカファンをしている友人が頬を紅潮させて「素敵なショーなのよ」と教えてくれて・・・
初演時のVIDEOも拝見。
確かに一度耳に入ったら忘れられないこの主題歌。
涼風さんの歌も素敵。凰稀かなめちゃん頑張れ~と念じていたのデスが、さて。



いや~想像以上でした!
どの場面も楽しい!!見どころ満載!!で、何度でも観たい場面がいっぱい。
そしてTOP3人の魅力が炸裂していて、本当に楽しいレビューでした。

■プロローグ

ここでいきなり凰稀かなめさんが紫の衣装で出てくる予定?とじっと見ていたら、まずは未沙のえるさんが妖精?たちを連れてピエロ姿でセンターに。巻物を広げて、各場面を紹介する、というスタイルは多分初演のまま。
昭和と平成をつなぐ・・・というか、まんま濃い昭和っぽさに驚く、白地に黒々と墨書きのタイトル巻物・・・
ここに例えば「愛のロマンス」などと書かれているのはかなりのインパクトですよ~
長年のヅカファンの方にとっては目が慣れていらっしゃるのかもしれませんが、わたくしのような初心者には違和感あり。
未沙さんピエロが目次の役割、というのはいいのですが、この巻物の仕様をもうちょっとヨーロッパ・アンティーク風とか、に出来ないものでしょうか?

と驚いていたら、未沙さんの後ろから、紫の羽つき大帽子にマント姿、長い黒髪のかなめ姫が。
一気に引き込まれます。
そしてアールデコ調の香水瓶にぎっちりつまった(笑)人影は・・・・
香水瓶の中から真っ赤な衣装で登場!のTOP二人が艶やか。
ここまで上の画像通りですが、ねねちゃんのヘアスタイルは髪を小さな帽子に隠して、長い羽が細い噴水の如くセンターについたヘッドドレス姿で、一層ショーガールっぽくて素敵。
昭和なゴージャス衣装を今のスタイルのジェンヌが着こなすことで新しいバランスが生まれているというか・・・新鮮です。
このオ-プニング、ポージングから導入部分がとてもいい!
水平に伸ばした柚希さんの腕に背後から絡めるようにして寄り添いながらいたずらっぽい表情で目線を絡ませるねねちゃんが可愛い。そのまま二人で腰を左右に振り、柚希さんに支えられてイナバウア-。柔軟性があって戻る流れもとてもきれい。
そのまま階段の上と下に別れ、柚希さんは朗々と主題歌を歌いあげつつ降りてきて、ねねちゃんはきれいなサイドのラインを見せながらポーズを決めます。ねねちゃん 小さな頭にふんわりスカートで階段上に存在する姿は10頭身かと思うほど。
群舞の女性が紫と黒、ソリストポジの二人はローズピンクに黒のチュールをかぶせたスカート部分がきれい。
場面が変わるごとに群舞の男女、が入れ替わるのが鮮やか。
ねねちゃんの後ろから、今度はかなめ姫が登場。柚希さんとほぼ同じ、フリルのブラウスに長い燕尾っぽいフィットしたジャケットでオールインワンにも見えるホットピンクの衣装が・・・似合いすぎてすごい!
この3人で歌い継いで、場面を変えて揃って登場して並んでと、フォーメーションを変えながらの流れがきれいで豪華で、これが噂の「ル・ポァゾン」か・・・と。
赤・ショッキングピンク・黒・紫。正しく80年代な感じ。
初っ端っからテンションあがります

■愛の歓び
白い乙女なフリフリ衣装に花冠のアルテミスねねちゃんが、「王子様が白馬に乗ってやってくる」と歌うと
場面変わって、ユニコーンに乗った少年が無邪気に踊り出します。これは「ボレロ」のときのハトさんと同じ感じで、鶴美舞夕さんが。正しい人選。
と、センターにレトロ感いっぱいの白鳥の張りぼてが・・・
え、白馬じゃなくって??と冗談のようなイントロから、王子様=柚希さんの登場。ロングカールの金髪に白い王子様衣装で、でも元気いっぱいに駆けてくる姿はやっぱりちえちゃん♪
ここの振りはバレエダンサーとしての彼女の資質を活かしたものでかなり高度。
群舞の女性の衣装が、ソフトな薔薇色で主役の白が映えてキレイなのですが、少年の鶴美さんのハッキリした水色、男役群舞のラベンダーと合わさるとやはり昭和な色合わせ。少年の衣装がもっと淡くて、男役がグレイッシュなら・・と脳内色調調整。男役群舞のマネージュもどきの2回走って一度ジャンプの振りは、レベル差がまちまち過ぎて気になりましたが、一生懸命王子様になっている柚希さんとかわいすぎるねねちゃんに和みました。

■愛の誘惑

一転して妖しげな場面。
緑のラメの衣装にラメ交じりの鬘のセンター凰稀さん。青いリンゴを手に歌います。
うーん、こういう雰囲気作りは本当に上手いですね。妖艶な彼女に絡むパラダイスの生き物・・4名は、万里柚美さん、妃咲せあらちゃん、毬乃ゆいさん、花愛瑞穂さん。紫衣装の万里さんの妖艶さ、ローズ色のせあらちゃんの美しさ・・まではなんとかチェックできましたが、ほぼ視線はセンターに釘付けでした(笑)
ポーンとリンゴを放り投げると・・・・

「取ったぞ」とばかりにしかと受け取るのは現代のアダム=柚希さん。
そのリンゴを景気良く放り捨て、「アダム&ガイズ」の場面に。
ここ、故・喜多弘氏の振付、ということでバリバリに男役がカッコつけまくります。熱く吠える、というのでしょうか。
昔、よくあった、キメのところで「ハッ」とか「ウッ」とか掛け声をかける、あの感じが全編に行きわたっていて独得の味わい。
センター柚希さんの両サイドは、組長・英真なおきさんと美稀千種さん、美城れんさんら、べテラン勢。
喜多先生のスピリットを知る上級生が、下級生にその心を伝える・・・という場ですね。
気持ちよさそうに踊っている鶴美さん、一列ずつキザる場面で張り切る壱城あずささん、そして誰よりも振りが大きくシャープだった英真なおき組長が印象的でした。

その熱い群舞の女性版。
「アダム&イブ」の場面。
Helle,Adam,I'm Eve. How are you? I'm lonely tonight. I need you. See you later,Byebye!
いきなり恥ずかしい英会話から始まり、どうしようかと思いましたが、最後のバイバ―イのイントネーションがとてもCuteでちょっと救われました^^;
金ラメドレスの美女たちがアダムを誘惑する中、ちょっとジェラシーでツンとしているイブを強引に攻めるアダム・・・という場面で、攻めの女役がカッコイイ。ここも場面ごとの色をはっきり打ち出すことがモットーであったという喜多氏振付場面です。
花愛瑞穂さんが野太い声で歌われていて驚きました。歌い出しは「憎い人」(笑)
ここは・・・ねねちゃん!に尽きますね。
金ラメロングドレスの深いスリットから出る長い脚が・・・。
いや~。ダンサーの鍛え上げた脚とも、モデルのそぎ落とされた脚ともまた違う、正しく女性らしい、細い骨にうっすらと筋肉と脂肪が乗ったしなやかな脚。
身体のラインもそうで、ダイナマイトボディタイプではないのですが、ほっそりしていても女の子らしくて貧相にならないのが、彼女の良さですよね。
アダムがイブの胸からボディ、脚までなぞる振りが色っぽい。
イブのヘアスタイルは日替わりみたいで、往年のマドンナのようなアップスタイルの時と金髪ウェーブロングのダウンスタイルのときとがありましたが、わたくしは、より女性らしいダウンスタイルが好きでした

これで前半終了?まだまだ続きます(笑)

男役の女装?
凰稀かなめさんがセンターに登場。
黒シャツに白ネクタイ、黒い肩広めのラメジャケットで珍しく男っぽさ満開。
麻央侑希くんが唯一若手で、あと3人は濃いダンサーズ、英真組長、美城れんさん、鶴美さんがバック。
その男性5人に絡むセクシーなミニドレスの美女5名は・・・。
碧海りま、大輝真琴、千寿はる、みっきーの代役(?)、そして壱城あずさ嬢!
千寿はるさんはロミジュリでキャピュレット女チームに所属したこともあり、さすがに板についていますが、素がどんなに美人でも、脚をだして踊る姿にどことなく女装感がでるのが男役の演じる女性の不思議。
壱城あずさくんは男役としては小柄でかわいいアイドル顔なれど、普段は不敵な態度できざりまくるヒトなのに、凰稀かなめちゃんの相手役としてコットンクラブのショーガール仕様?赤黒のアシンメトリーな裾のミニドレスを着て色っぽい表情をするところなどは、男役できざるのと同じ濃さで色気を発散していてなかなか・・・です。
おかげで凰稀さんの男前度が2割UPしていたかと・・・。
背中を見せて二人がオフバランスでシンクロするところなど、振りも面白い。
ただ、最後のキメで、組んでポーズを決めるところ、女役が支えられながら網タイツの脚をスッと伸ばすのですが、身体固い?脚が伸び切らず残念!!
ただ、収録の17日だけは気合で脚を上げてました(笑)

■間奏曲

正しく、箸やすめの場面。
濃いシ―ンが続くと、こういう場面はホッとしますよね。
ブルーと白のショーダンサースーツの夢乃聖夏ちゃんをセンターに、黄色いヒヨコ色の衣装の娘役4人が絡んで、それぞれ可愛いけれど、でも君が好きさと歌っていると・・・。
舞台袖から出現したピンクのオカマちゃん?風の迫力のみきちぐさんが自分のものだと言わんばかりに夢乃さんを独占、というオチがつく、という趣向。
愛と青春の旅立ちでマッシュルームカットのデラセラを巧みに演じ、コメディセンスを印象付けた夢乃さんにピッタリ?
意外と歌は、歌詞が聞き取りづらくて残念でしたが、なんといっても、愛水せれ奈、夢妃杏瑠、華雅りりか、早乙女わかばの星娘4名が元気いっぱい。そしてとてもカワイ子ちゃん揃いで



続きます^^