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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組全国ツアー「風と共に去りぬ」神奈川県民ホール公演

2014-11-30 01:51:11 | TAKARAZUKA
2018年11月23日(日)

11月14日梅田芸術劇場での初日、そして12月7日北九州ソレイユホールで楽を迎えるまでの間、関東を通過する前橋、神奈川、八王子のどこかで必ず観なくては・・・と、23日の11:00,15:00公演を神奈川県民ホールでダブルで観劇しました。
午前は上手、午後は下手ともに4列目での観劇でしたが、見える風景とそこからくる印象がかなり異なったのが面白かったです。



レット・バトラー: 紅 ゆずる
スカーレット・オハラ : 礼 真琴
アシュレ・ウィルクス: 華形 ひかる
*~*~*
スカーレットII: 夢妃 杏瑠
メラニー・ハミルトン: 音波 みのり
マミー : 美城 れん
ピティパット: 毬乃 ゆい
プリシー/令嬢 : 紫 りら
ピーター: 輝咲 玲央

ミード夫人: 万里 柚美
ミード博士: 美稀 千種
フィル/青年: 音咲 いつき
ルネ: 如月 蓮
メイベル : 妃白 ゆあ
ワイティング夫人: 大輝 真琴
メリーウェザー夫人: 珠華 ゆふ
エルシング夫人 : 毬愛 まゆ
ジョージ: 漣 レイラ
チャーリー: 紫藤 りゅう
スタンレー: 桃堂 純
司会者/青年: 凰羽 みらい
ウィリー : 天華 えま
ファニー: 白鳥 ゆりや

ベル・ワットリング: 天寿 光希
リンダ : 紫月 音寧
マリリン: 真衣 ひなの
ベティ : 逢月 あかり

駅員: 湊 璃飛


星組2番手、紅ゆずるさん率いる全国ツアー、全ツは過去の名作、だれもが知っているタイトルで・・というのが定着していますね。華やかなドレス姿と知名度の高いストーリーで初めての宝塚、かもしれない地方のお客様にアピール、という主旨からすると間違いではありませんし、古典作品の主役を務めることで、次期トップや2番手の男役に自覚と成長を促す、という意味でも良い興行なのかもしれません。
・・・が、凰稀さんのバトラーが未だ忘れられないわたくしとしては、他のスターのバトラーは観る気がしない・・・と主演が発表された時点では全く興味がわかなかったのが一転、チケット取りに本格的に乗り出したきっかけは・・・
琴スカ。下級生ながらも歌・ダンスに抜きんでた実力を有し、高身長の星男の中では小柄で可愛らしい丸顔の容姿が男役としては理想的とは言えないまでも、演技と男役芸にもメキメキと成長を見せている期待の逸材、礼真琴ちゃん
彼女が演じるスカーレットは?と、それを観るためだけでも、チケットを取る価値はある!といきなり前のめりに。
そして、振り分け発表された時点で盛り上がったのが、夢妃杏瑠ちゃんとみっきー(天寿光希)。実際とは逆の配役を想像して盛り上がっていたのですが・・・。杏瑠ちゃんのベル、みっきーのスカⅡ、のほうが良かったのでは・・・と思わないでもありませんが。

作品に関しては、宙組の大劇場、東京宝塚劇場合わせて15回は観ているので、とにかくその印象が刻み込まれていて・・・。全ツで、銀橋がないこと、舞台機構(盆、セリなど)が使えないこと、大階段が低いことなど、の制約から来るスケールダウンもありますが、舞台装置そのものがフラットなために立ち位置に制約が出て、スカーレットに帽子をプレゼントする場面でのバトラーの壁ドンが省略されていたり、メラニーの臨終後、バトラーをスル―してアシュレーに行くスカーレットで、奥まっていた宙バトラーの位置に対し完全に並列なのに気付かないわけないでしょう!と突っ込みたくなる仕様になっていたり・・・。
そこは全ツ版として致し方ないところではありますが、ちょっと衝撃的だったのがオープニングの場面の地味さ加減・・・。
宙では朝夏まなと、七海ひろきの長身男役スカーレットをセンターに、長身の宙組路線男役がずらりと取りまくというパッと華やかな幕開きだったのに対し、琴スカの押し出し(美女力、身長)が思いのほか弱く、取り巻きの青年も星組自慢の真風涼帆、まおポコ(麻央侑希、十碧れいや)がそれぞれ武道館ライブ、バウ公演に取られてしまい、上級生職人系か芸達者系の下級生が中心でなんだか・・・地味!
ただ、それを痛感したのは午前の部、で、午後は、琴スカの他の場面でもっと似合うドレスや鬘の姿も観て、可愛く見えるバイアスがかかってきたのと(笑)下手の方が美形が多かった、という単純な事実により、取りあえず解消。
その他、南部の青年たちが全般に地味、なのは半分の人数からのピックアップゆえに仕方ないとして、ちょっと残念だったのは、宙でNEWナンバーとして第二幕冒頭で使われたNEWジェネレーションがなくなってしまっていたこと。南北戦争後、新旧に分かれて価値観の対立を歌う南部の人々・・・の場面で、とても好きな場面だったので残念。

フィナーレショーは、やっぱりとてもステキ
これを観るだけのためにも通えるレベル。
とりわけ、タキシードジャンクションでの娘TOPポジに華やか美人の音波みのりちゃんが出てきたこと、セントルイスブルースでのみつるくん(華形)の花男スキル炸裂の粋さ、ナイトアンドデイの琴ちゃんの小生意気な可愛さとダンス!!
特にタキシードジャンクションのみつるくんは宙組より断然良い。宙組バージョンよりも圧勝と思ったのはここ。
こういう粋なアメリカンなダンスって、フレッド・アステアも決して大男ではないですし、このサイズ感と背中を向けたときの肩の角度とか、帽子のつばをさっと撫でるありがちな動きもその手をスライドさせるのに合わせてニヤリスマイルを入れてくるとか、みつるくん、本当に密度が濃くてステキでした・・・

後は個々に目立つところの感想を・・・

■レット・バトラー: 紅 ゆずる
VISUALはハマって良くお似合い。多分、植田伸爾先生、榛名由梨さんの演技指導が厳しく入ってと見えて、大げさ?な型芝居がしっかりと入っていて、台詞回しから目線の配り方までの作り込みが出来ていると思いました。
・・・が、一方でスカーレットをはじめとする他の生徒たちにはその指導を施す時間がなかったのか、割合他の生徒のセリフ回しがナチュラルなので、バトラーが悪目立ち?している感あり。
かなめバトラーがとびきり繊細でヨーロッパにお城を持っていそうな(笑)雰囲気だったのに対し、胡散臭さや品のなさも含めて寧ろ 映画のクラーク・ゲーブルに近いかも。ただ、ゲーブルにあって紅バトラーにないもの、それは余裕感。商売で上手く立ち回り、行動力もある一方で、スカーレットにはとことん惚れこんでいて、彼女の浮気を疑って荒れる場面の荒れっぷり、その後スカーレットの死を心配し、メラニーの死後、スカーレットがアシュレ―を求める姿に失望する流れの中で、完全に壊れたのは、実は2人の関係だけではなく、紅バトラーそのものなのではないか・・・と。
凰稀バトラーはもとより孤独な一匹狼で、それがふと心を寄せたスカーレットと生きて行くつもりで南部に腰を落ち着けたものの、やはり相いれないものを感じて再び一人に戻る・・というストーリーに見えたのに対し、紅バトラーは実は内面がもろくて繊細で、「壊れたものは壊れたものさ・・・」のセリフも、自分語りをしているように聞こえ。
「壊れたものをじっと眺めていたいんだ」のセリフでは、あぁ、紅バトラーが立ち直るまでには時間がかかりそうだなぁ・・と思ってしまいました。逆に琴スカは歴代一の立ち直りの早さのような気が・・・^^;

■スカーレット・オハラ : 礼 真琴
くるくると動く瞳と身体。クシャっと笑うと鼻に皺が寄るのと、「ばかばかしい」というところを「バカバカしッ」と短く早口で言ったりするのが現代っ子な感じを強めています。南部の令嬢、社交界の華かというとちょっと・・・というのはその部分かなと。
喪服で登場の場面、赤毛の厚い前髪を深く下ろして後は黒レースのベール、という鬘がその前髪の下で動く大きな瞳を引き立てて、とてもCUTE。小悪魔的な魅力が男性を惹きつける源だったのだな、という納得がいきました。
歌は圧巻。一幕最後のボロボロな姿でタラに帰り、母を探すもマミーにその死を告げられる場面、さすがは宝塚イチ「ママ」という台詞の似合う男役(笑)。これまでのスカーレットに感じたことのない、強い母への思慕が涙を誘いました。続く「明日になれば」の熱唱は圧巻。これだけで、神奈川に来た甲斐があると思わせるクオリティ。
根は純真な子どもの素直さ・清らかさを持ちつつ、現実的で、ヒトの痛みを理解できず、立ち直りは人一倍早そうな そんなスカーレット、でした。
慣れない娘役なれど、差し出された手に手を重ねるところとか、丁寧に所作に娘らしさを醸し出す意識が高いなと。杏瑠ちゃんと並ぶと娘役芸ってやっぱりキャリアの違いってあるのだなとわかりますが(笑)
ショーでの弾けた生命力溢れるダンス、CUTEな笑顔は絶品

■アシュレ・ウィルクス: 華形 ひかる
専科さんからのご登場。花組時代には感じたことがなかったほど、芝居上手で流石専科さん!とうなりました。
また、甘くて青年の爽やかさと湛えた風貌が年齢を経ても変わらず「世界の彼氏」との別名を持つ通り、スカーレットが無条件に憧れるのも納得のVISUAL.明るい黄色みの強い金髪が大変お似合い。
一方で、夢見る男というよりも、その知性から戦地に赴きつつも南部の敗北を状況的に予測できているのに、その諦念を押し隠して愛国的な南部の人々に同調し、かつ、スカーレットの恋心を知ってそれを利用してメラニーを託すなど、意外と現実的で打算的な一面も・・・。頭の回転が速そう。それだけに、メラニー逝去の後のスカーレットに甘える場面でずっと一緒に待っていたにもかかわらずその場にいたバトラーへの配慮のなさ、はちょっと疑問。まぁそれだけメラニーへの思いが強くて余裕がなかったのでしょうけれど。
先に書いてしまいましたが、フィナーレナンバーが絶品、でした
バトラーの演技指導にもれなく榛名由梨さんがクレジットされているように、これからセントルイスブルースを踊る男役はかならず華形さんにみてもらうと良いと思います。(真顔)


■ スカーレットII: 夢妃 杏瑠
今回のBEST3はアシュレー、メラニー、そしてスカⅡ.
杏瑠ちゃんの歌唱力、ドレスを着こなすスタイルの良さが100%活きていました!
杏瑠ちゃんってスタイル良いですよね。特にドレス姿の上半身はマネキン人形のように完璧。
琴スカも勿論歌が上手いので、この2人の「裏表」は至上最高かも?
娘役さんだけあってドレスさばきがとてもきれい。輪っかのドレスで流れるように動くのと、スカーレットの立場にたってその場の人々の言動に即応してくるくるよく動く表情が、小造りで控え目なお顔立ちのおかげで悪目立ちせず、まさに「影のスカーレット」
2幕最後でスカーレットが自分の気持ちに気付く流れ、2人が交互に前に後ろになってひとことずつ台詞を言うところ、琴スカは後ろから前に出てくる時、チョコチョコチョコ・・・と走り出て、そこから台詞、となるのですが、杏瑠ちゃんは前に出てくる時に腕を回して主張を強めるようなジェスチャーこみでの一連の動きとともに現れるので、流れがとぎれず、とてもスムース。琴ちゃんのチョコチョコ・・もとても可愛いですし、杏瑠ちゃんの優雅さも、それぞれの持ち味が楽しめます^^
色々な意味で、「娘役ってスゴイ」と実感できるスカⅡです。

■ベル・ワットリング: 天寿 光希
お芝居上手のみっきーならではのちょっと上品で自分を押さえて情感を秘めたベル。
もとは品の良い暮らしをしていたのであろうわけありマダム。色々な感情をあまりあらわには出しませんが、メラニーへの傾倒が、出会いでの握手、それを嬉しそうにバトラーに報告するさま、ウィルクス家を訪問して寄付金を渡すところなど、きちんと描いています。ただ、スカーレットへの対抗心、お金を渡して脚を組みかえてちょっとはすっぱに粋がるところなどに酒場の女の矜持と強さを見せていたオヅキベルに対し、おとなしい印象。
町のお歴々に突き飛ばされて転んだところも憤りというよりは自分の中で固まってしまっている感じ。
その辺りはそれぞれの役作りだなぁと興味深く思いますが、唯一つとても残念だったのは、ベルの独唱、「人は皆~さすらう旅人よ」のところ、口を大きく開けて正しい発声法を実行しているように見えるのだけれども、それが声として聞こえてこなかったこと。マイクの調子がおかしいのでは?とまで心配しました。
なんでもできる頼れる優等生のイメージが強いので、この聞かせる歌を歌えていなかった?キ―があわない?理由はさておき、とても意外で残念でした。
フィナーレの冒頭、娘役さんに囲まれての天寿・如月並び立って・・・の場面では活き活きと歌えていたので、やはり女役歌唱が難しい・・ということなのでしょうか?普通にルネあたりに配役されていた方が活きたかな・・・。

■メラニー・ハミルトン: 音波 みのり
はるこちゃん(音波)のBESTアクトではないでしょうか?
ドレス姿の美しさ、澄んだ声の美しさ、優しく微笑むお顔の美しさ、全てがメラニーという南部の理想的な女性を体現していた音波メラニーでした。
登場シーンの全てで目を惹き、役にぴったりと合った動きと表情、温かみもあり女性らしい優しさもたっぷりで、上品で、本当に良かったです。
今回お歌がなかったのが勝因かと言ってしまうとアレですが、この役を完璧に演じたことで彼女自身が娘役を全うしたと満足しきってしまったりしないかとハラハラするほど・・の出来でした。
星組において、本当に貴重なお芝居が出来て活き活きと踊れる美女。上級生になってますます可愛らしさに磨きがかかっているはるこちゃん、みつるくん(華形ひかる)との並びの美男美女感も素晴らしく、もし彼女が夢咲さん長期政権の星組ではなく花組に配属になっていたら・・・とたれればを考えてしまったほど、でした。
フィナーレのタキシードジャンクションで、黒と金のドレスで彼女が現れた瞬間の「美女キタ」感は、本当に・・・。
歌えないとなみちゃんみたいでした(褒めているのか?^^;いえ、美女でTOPオーラもあると言う意味で^^;)

■マミー : 美城 れん
汝鳥さんの皮膚のぶあつそうな、ちょっと愚鈍そうにみえて実は本当の意味での賢さのあるマミーよりも、ちょっと若いイメージ?気遣いが細やかで、全力で紅バトラーを心配して、普段からなにくれとなく面倒を観ているのだろうなと思わせる優しさのあるマミーでした。今回台詞を一部変えている?翻訳独特の黒人語「~ですだ」が少し減って普通の話し方になっている部分が増えたように感じたのは気のせいでしょうか?

■ピティパット: 毬乃 ゆい
可愛らしい大オバサマ。台詞回しも動きも上手いです。歌手なのにお歌がない役か・・と思いきやエトワールの歌手も勤めていらっしゃいましたね^^

■プリシー/令嬢 : 紫 りら
小柄で芝居上手なりらちゃん、宙のあきなちゃんは同じ小柄でもダンサー特有の針金とバネの細工の人形のような戯画化された動きがコミカルでアクセントになっていましたが、りらちゃんは素でかわいい少女、という感じ。

■ピーター: 輝咲 玲央
ピーターは一応プリシ―のお兄さん格で、イメージとしては少年から青年になったばかり、くらいの感じだったのですが、輝咲さんのお声がとても低くて、落ち着いているので、なんだかとても頼りになる忠義なベテランという感じ。
台詞回しもナチュラルで上手だなと思いました。

■ワイティング夫人: 大輝 真琴
今回まいける(大輝)が大活躍。夫人連の中でも一際パワフル、戦場のアルバイトでも熱く演技をしていて目を惹きました。南部の夫人連、宙ではベテラン女役の大海さんとか、美声で美女、長身の男役風羽玲亜ちゃんとか、個性的な風貌と強い眼力で宙のアクの強い役おまかせな天玲さんとか、のインパクトの強い奥様軍団に比べると、全体にソフトでナチュラルで大輝さん以外のメンバーがちょっとさびしかったかなと。

後は、南部の青年・令嬢では紫籐くんの爽やかな風貌、妃白ゆあちゃんの丁寧な演技と娘らしさが印象に残りました。

梅芸初日はかなり皆さん固い感じだったのが、だんだんほぐれて来た中日の神奈川、あと南下して最後は九州なのですよね・・・。お稽古期間が短かった分、公演毎に進化していくような気がして、千秋楽のあたりでどうなっていくのかがとても気になります






ダン・タイ・ソン ピアノリサイタル 2014紀尾井ホール

2014-11-29 07:25:53 | MUSIC
2014年11月27日(木)19:00~
紀尾井ホールにて

DANG THAI SON
PIANO RECITAL

【プログラム】

プロコフィエフ: 「束の間の幻影」op.22から
 第1、3、4、5、6、7、10、11、14、16、17、19番

シューマン: ダヴィッド同盟舞曲集 op.6

ラヴェル: 高雅で感傷的なワルツ
      ソナチネ
      亡き王女のためのパヴァーヌ
      水の戯れ
      ラ・ヴァルス

【アンコール曲】
ショパン: ノクターン ト短調 op.37-1

1958年生。ハノイ出身。ベトナム戦争下ピアニストの母に師事。戦後モスクワ音楽院で研鑽を積み、
1980年のショパンコンクール(ポゴレリッチ事件の年)でアジア人として初の優勝を飾る。
その後世界的なピアニストとして活躍。
(画像はKAJIMOTO HPより)

名前は知ってはいても、直接演奏を聴いたのは今回が初。
プログラムも大変興味深く、楽しみに赴いた会場で。5列目で運指も見える良席での観賞でしたが・・・。

大好きなプロコフィエフと、各方面でとりあげられたことにより^^最近とみに興味を持ち始めたシューマン。
そして美しい旋律が心地よいラヴェルで、最後のアンコール曲に至るまで、上質な音楽の楽しみ、とでも申しましょうか。
精緻なテクニックと自然体で音楽と向き合う姿勢により、一音一音のクリアな美しさと相まって、こちらもスッとその曲の世界をリラックスしながらも密度濃く味わえるという不思議な感覚を味わいました。

ご本人が来日直前のインタビューで語っていらしたのが、
ラヴェルについては、頻繁にリサイタルを行う日本の観客のために、何か新しいものを常に考えていて、今回のラヴェルは最近傾倒しているフランス音楽からの選曲、ということで、
シンプルなソナチネ、繊細なパヴァーヌ、色彩豊かな水の戯れ、そして難易度の高いラ・ヴァルス・・・
との言葉通りの演奏。とりわけラ・ヴァルスは熱演で、演奏後の拍手も一際大きかったように思います。
それからのアンコール曲のノクターンは、ご本人のクールダウンもあるのかも・・と思いましたが、観客にとっても余韻を静かに味わえる流れでした。

終演後、CDやプログラムを手にサイン会に並ぶお客様の列の長いこと!

プログラムの冊子に書かれた彼の言葉の数々の中で、
「私はけっしてショーマンにはなれないし、ステージで目立つタイプでもない。ですから音楽のみで勝負しなければならないのです」という言葉が印象に残りました。
謙虚なようでいて、その実、音楽に対してとことん真摯であり、ある意味その音楽にゆるぎない自信をもっているからこそ言える言葉であることだなぁと実感しました。





宝塚星組「REON in BUDOKAN~REGEND~」日本武道館 初日

2014-11-23 08:02:04 | TAKARAZUKA
2014年11月22日(土)18:00~

初日に行って参りました!
大会場に黙々と進む宝塚ファンの波・・・仮装こそしていないもののこの雰囲気は10月の大運動会@大阪城ホール以来!心高鳴ります。
そう言えば お茶したグランドパレスホテルに向かうエレベーターで乗り合わせた3人娘さんたちが中国語を話していたのですがところどころ聴こえてくるワードが「NewWave」「そら」「りく」「りんきら」
・・・おぉ~昨日発表された宙組の次回公演振り分けの話題?
結構コアなファンではないですか!きっと星組台湾公演でファンになった方たちなのだわ・・・。
とちえさん率いる星組の台湾公演が花開き実を結ぶ様を実感し・・・

日本武道館にて

柚希礼音スーパー・リサイタル
『REON in BUDOKAN~LEGEND~』

トータルプロデュース/SAM(TRF)
構成・演出/石田 昌也

[解 説]
 アーティストなら誰もが憧れる、ショービジネス界、音楽シーンの最高峰にそびえる聖地、日本武道館。その日本武道館の舞台に、柚希礼音が登場します。トータルプロデュースに、東方神起のコンサートツアーを始め多数のアーティストの振付、コンサートプロデュースを手掛け、ダンスクリエーターとして幅広い活躍をするSAM氏を迎え、劇場では見られない、コンサートならではの映像や演出を駆使した圧巻のライブをお届けします。



■プログレオン(オープニング)

開演前からディズニーアニメのようなダークなお城の映像に稲妻が・・・・・
雰囲気が盛り上がります!
そこに登場のレオンくん!!

スクリーンには大きな羽根が!その前の柚希さんが一体化して見えて・・・
そこからのキレッキレのソロダンス。ッカッコいい!

メンバー登場。

お衣装が黒ベースでミニパニエドレスの娘役、タイトな黒革ジャンプスーツ?な男役で、今回VISUALでメンバー選んだ?振付がまたカッコ良くてテンション上がります。
ヘアスタイルも良い。マカゼさんが前髪ウェーブでの黒髪が新鮮。かつ色気が凄いことになっており、レオン君の前髪斜めストレートにラフに下ろした金髪といいしーらん(壱城あずさ)の赤毛のウェーブといい、ねねちゃんの金髪でボリューム出してざっとおろしたロングストレートといい期待高まるVISUALで。

観客参加型のライブということで、まずは所持率90%?の7色に色を変えられるペンライトを、ブロックごとにレオンくんの指定でステージ中心に西から赤、ピンク、黄、緑、青、紫、白に点け分けて。
武道館を埋め尽くす8500人弱のライトが虹色にともった光景はとてもキレイ!
そして今度は手拍子の指導が。^^
横に長いステージで、左右がちょっと見切れる武道館西、東ブロックの方に対しては両サイド端っこのジェンヌが出張でフォローしてくれる構成ですが、西担のしーらんがチャラって客席をキャーキャー言わせて、レオンくんが「ちょっと!壱城!」と^^;。その後もことある毎に「壱城!」が^^

■TRFメドレー♪

「masquerade」「BOY MEETS GIRL」「EZ DO DANCE」
ここで柚希さんが1階スタンドに。1階席騒然!
そしてステージではこの公演の2番手格、真風涼帆率いるダンスチームがガッツリ踊って。

■Let's Dance! "Aimer" Finale Ver.

参加型、その2.
前回のREONコンサートの後、観客参加のダンスパートが易しすぎたとのご意見があり・・・と、結構複雑?な振りを何度もレクチャーしてくださると言うありがたいコーナー。
実は、この振付と「明日へのエナジー」の3パートに分かれてのコーラスを事前に指導するレクチャー動画が配信されていたのですが、それを観て、どいちゃん(鶴美舞夕)が腰を回すのを観て、心折れ、最後のハート描いてフーと飛ばすところだけでいいや、と戦線離脱を決め込んでいたのですが・・・。
あまりのレオンくんの熱のこもったご指導に気が付いたら上半身で踊っていた・・・。
このTOPの牽引力があの大運動会の優勝を導いたのですね、と身を持って実感^^;
そして、ロミジュリのフィナーレナンバーは振付含めて、やはり名曲ですね。
アリーナのセンター付近にバウホール公演で分かれている「アルカサル」組がいたらしいのですが、もし自分が近くにいたら、踊るのそこそこでマオポコの踊りを注視してしまいそう!

■“愛と青春のReon's History”

もう・・・!!石田センセイGOOD JOB過ぎます!!
素晴らしかったですね。
柚希礼音6年間のTOP在任期間中のヒーロー全てに娘役含めてのメンバーが扮装してずらりと並び、真風くん扮するフォーリー軍曹のチェックを受けるというコーナーですが・・・。
ノバボサのお衣装のねねちゃんが「まさか初武道館での役がこれとは!」と笑いを取った他、あのフォーリーの「黒も白もユダヤも・・・」のセリフ通り、各主人公たちを恫喝して行って、列の最後には・・・
・・・「あたし、ちえちゃん
まさかのランドセル小学生まさこさん(十輝いりす)に無言で踵をかえす真風フォーリーに死ぬほど笑いましたxxx

■宝塚メドレー♪

での、今までの軌跡を振り返るターンに。
3面あるバックスクリーンのセンターに流れる過去の舞台映像の数々とその主題歌たち・・という泣かせる演出。
前半は凰稀かなめ氏が2番手で、ちえてる体制だったから、もう、2人の場面がいっぱい映って・・・。
綺麗だったな、楽しかったな、可愛かったな、ステキだったな・・・と思い出いっぱい蘇り・・・。

・「FATE CITY」
・「君はどこに」 TOP目前の2番手で黒い役を存在感たっぷりに演じきった柚希さん。そのターニングポイントの役の曲を”今の歌唱力で”(ここポイント)!
・「恋は元々アンフェア」 あぁ~これは8月末の凰稀さんのDSでも留依蒔世くんとデュエットしたのを聴いてこの曲いいなぁと思ったのが、ここでも!真風くんが凰稀さんのパートを担当するのが新鮮。凰稀さんはちょっと声が高めで甘いから、ちえさん(柚希)の低くてハスキーな声とのハモリが絶妙だったのですよね。あの中日公演は今想い出しても素晴らしかったなぁと・・・
・「希望の瞳」これはちえねねで。「太王四神記」懐かしい。。。
・「ソル・エ・マル」「カルナバル」

ここで、今度はなんと!2階席の通路をぐるりと西から東まで柚希さんご登場でハイタッチしながら走り抜けるという!上から降りてくる人をガードすべく、黒服のガードスタッフが配置についた時点でおぉっと思ったのですが、来た!目の前!大きな目のちえちゃん!
せっかくだから(笑)ハイタッチも。客席の歓声が凄いことに。
その間、1階スタンドでは真風くんとねねちゃんが・・・。
・「REON!」
コンサートといえば、のテーマソング。
武道館、ステージも客席も一体となって。

■Synchronized Virtual REON in "Romeo & Juliette"

最高潮に盛り上がったところで、今度はシリアスなステ―ジングの場面が挿入。
センターに登場したレオンくんが映像とシンクロして!
夢かうつつか、踊る柚希さんと映像で増幅した柚希さんたち?とのレイヤーに眩惑されて。
その両サイドを占めるのはしーらん(壱城あずさ)とどいちゃん(鶴美舞夕)。
切れ味鋭いエネルギッシュなダンスと映像のコラボは武道館ライブの醍醐味ですね^^

■熱視線

これが、ですね。星組3番手男役、真風涼帆の新たなる覚醒の時を目撃した思いが・・。
(第一の覚醒は「ジキルとハイド」の鎖をちぎって客席に駆け降りたゆりかチャン、でしたね)
ワイルドにバサッとおろした金髪を振り上げたねねちゃん(夢咲)が真風くんに絡んで攻めて誘惑して、それを受けてガッと行く真風氏・・・。柚希さん(172cm)以上に上背がある(175cm)真風くんとだと、スラリと長身のねねちゃんとのバランスの男女感が一層増して新鮮な並び。
この2人が舞台中央からアリーナに突き出した花道?ランウェイ?の先端まで絡みつつ進んで、その突端でいきなりいや、そこまでは・・・^^;の瞬間に盛大に焚かれるスモークの柱で隠される2人・・・からのレオンくんのご登場!

真風くんを忘れ去って今度はレオンくんを誘惑するねねちゃん、からの2人手を繋いで戻る本舞台。
誘惑のダンス、脚の間をすり抜けて絡んで・・でとても動きが激しいので、本舞台に戻ってからさりげなく、しゃがんだポーズの時に靴を履き直していた夢咲嬢でありました^^;
ねねちゃんもお人形のように可愛らしい・・・娘役さんでしたけれど、6年のちえねね時代を経て、大人の艶やかな女性に成長されましたよね

■明日へのエナジー

観客参加場面第3弾。
センターのお客さんは主旋律。西と南西ブロックが女声パート、東と南東は男声パート。
コロちゃん(音花ゆり)率いる娘役3名による歌唱指導が3回ほど、センターのメロディーは一回だけ。低音ベースでいきなり高音に飛ぶ難しい男声パートは念入りに4、5回、と練習時間が設けられた時に、あぁ、ここでもちえさんは本気なんだなと。^^;
わかりました、とまじめに女声パートを歌いました^^
3回皆勤した友人によると、最終回、観客からの提案で、オケのボリュームを落として、会場の声を響かせたら、複数回参加の観客の歌唱スキルが上がっていたせいか、本当に一体化してハーモニーが響いて格別の体験だったとかv
振付のときにも思ったのですが、あの男声パートを男役さんたちは基本歌いながら踊っていたりするわけですよね・・・。そこで、なぜか宙組男役スター、七海ひろき氏に心の中で謝るわたくし

■手紙~拝啓十五の君へ~
またまた、思い出コーナー。今度はオフです。赤ちゃんの写真から、音楽学校から、同期との組子とのスナップ写真が次々と・・・。
■君の好きなとこ」
武道館のお稽古場映像が。皆の笑顔。

そして、メンバー紹介。
二番手格にふさわしい成長ぶりを印象付けたマカゼくん(真風 涼帆)、宙組仕込みのスマートなカッコよさがあるのになぜか誰よりも緩く笑いを誘うまさこさん(十輝 いりす)、星組ダンサー筆頭、バトントワリング全国大会で武道館経験済、この日もバトン技を披露したどいちゃん(鶴美 舞夕)、スター軍団89期の星組代表しーらん(壱城 あずさ)、仙台ジェンヌで萩の月のCMでは顔のぺーちゃん(海 隼人)、美貌と歌ウマで場面場面を支える夏樹 れいちゃん、新公年代のスター軍団勢ぞろい95期の星組ネクストせおっち(瀬央 ゆりあ)、先の新公で礼真琴くんの役靴磨きの少年で、歌の上手さと本役以上の(こら)VISUALで記憶に残る綾 凰華ちゃんという男役ラインナップ
娘役も、遠目でもそのスタイルの良さでハッと目を惹くTOPスターねねちゃん(夢咲 ねね)、歌ウマお姉さま枠ながら華やかさもある容姿で活躍を続けるコロちゃん(音花 ゆり)、容姿の可愛さはやはり群を抜いており歌唱力も向上中!の96期期待の星 綺咲 愛里ちゃん、きれいどころに 愛水せれ奈嬢、五條 まりな嬢と、充実のメンバー

最後に、柚希礼音作詞、のファンへの感謝のメッセージソング
「For Good」が。
ほんとうにまじめで誠実で可愛らしいお嬢さんが、舞台でカリスマティックな力強く大らかな男役として花ひらいた6年間の軌跡をたっぷりと楽しめた2時間(予定では1時間半^^;)でした。

6年の歳月は、さすがにさよならショーだけではフォローできませんよね。
その任期の長さもさることながら、このような形で半年前から、少しずつお見送り体制に入っていくことのできるレオンくんファンはお幸せなことだなぁと思った武道館ライブ、でした










「第九交響曲」ズ―ビン・メータ指揮ベジャール・バレエ団

2014-11-19 08:59:46 | BALLET
2014年11月9日(日)18:00~
NHKホールにて

<東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 7>
「第九交響曲」に行って参りました。



テキスト: フリードリヒ・ニーチェ
音楽: ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
オリジナル美術・衣裳:ジョエル・ルスタン、ロジェ・ベルナール
照明:ドミニク・ロマン
衣裳制作:アンリ・ダヴィラ

指揮:ズービン・メータ
演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

出演:東京バレエ団、モーリス・ベジャール・バレエ団

ソプラノ:クリスティン・ルイス
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:福井敬 
バス:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

パーカッション:J.B.メイヤー、ティエリー・ホクシュタッター(シティーパーカッション)
合唱指揮:栗山文昭 
合唱:栗友会合唱団

◆主な配役◆

≪プロローグ≫
フリードリヒ・ニーチェのテキスト朗読  : ジル・ロマン

≪第1楽章≫

柄本弾
上野水香

梅澤紘貴 吉岡美佳 入戸野伊織  高木綾 岸本秀雄  奈良春夏 乾友子
渡辺理恵、村上美香、吉川留衣、岸本夏未、矢島まい、川島麻実子、河合眞里、小川ふみ、伝田陽美、安田峻介、杉山優一、吉田蓮、松野乃知、原田祥博、和田康佑、宮崎大樹、上瀧達也、山田眞央、河上知輝

≪第2楽章≫

キャサリーン・ティエルヘルム
大貫真幹

コジマ・ムノス、アルドリアナ・バルガス・ロペス、大橋真理、
沖香菜子/キアラ・ポスカ、クレリア・メルシエ
ヴァランタン・ルヴァラン、ウィンテン・ギリアムス、
ドノヴァン・ヴィクトワール、マッティア・ガリオト、アンジェロ・ペルフィド

≪第3楽章≫

エリザベット・ロス
ジュリアン・ファヴロー


リザ・カノ、ファブリス・ガララーギュ
ポリーヌ・ヴォワザール、フェリペ・ロシャ
ジャスミン・カマロタ、渡辺理恵/キアラ・ポスカ、
カルメ・マリア・アンドレス、アルドリアナ・バルガス・ロペス
スン・ジャ・ユン、エクトール・ナヴァロ、
ヴァランタン・ルヴァラン、ハビエル・カサド・スアレス

≪第4楽章≫

導入部 :  オスカー・シャコン

これまでの楽章のソリスト
柄本弾  大貫真幹  ジュリアン・ファヴロー

「歓喜の歌」

オスカー・シャコン(バス) 那須野圭右(テノール)
マーシャ・ロドリゲス(ソプラノ) コジマ・ムノス(アルト)

フーガ:  大橋真理、ウィンテン・ギリアムス
アルドリアナ・バルガス・ロペス、エクトール・ナヴァロ

フィナーレ:  アランナ・アーキバルド

モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団
アフリカン・ダンサー(特別参加)

◆タイムテーブル◆ 18:00~19:30(休憩なし)

舞台奥にオーケストラ、そして指揮者ズ―ビン・メータ、
その手前にソリスト、奥左右に合唱隊、そして舞台前面で踊るベジャール・バレエ団と東京バレエ団のダンサーたち・・というなんとも豪華なスペクタクル。目も耳も、五感で楽しむベートーベン「第九」の世界、というスペシャルな企画。
1967年ベジャール37歳の初演作品を、50年後の今、再演という年が、ちょうど東京バレエ団50周年にもあたり・・・というタイミングでの再演。
実は、日本では1999年にも1996年に初演した3年後のタイミングでパリ・オペラ座バレエ団来日公演の一環として上演されており・・・わたくしはその時も、同じNHKホールで観ておりました。
そのときの冒頭のナレーターを務めたのは我が敬愛する永遠のエトワールダンサー(現・メートル・ド・バレエ)のローラン・イレールで、その澄んだイイ声に導かれるようにして始まった人間賛歌にクラクラした覚えがあります。
もうあれから15年がたってしまったのですね。

ベジャールは4つの楽章にそれぞれ“地”“火”“水”“風”を象徴させているのだとか。
第一楽章は東バ、第二、第三楽章はベジャールバレエ、そして第四楽章の最後には全員での“歓喜の歌”、そして熱狂的なファランドールへ・・・という流れ。80人という出演ダンサーと選び抜かれたソリストの個性が決め手の太規模公演。ジル・ロマン率いるベジャールバレエ団とベジャール氏自身が第2のBBLと称したベジャール氏の新作を何度も上演してきた東京バレエ団のコラボレーションはこの再演を行うにあたって将にふさわしい陣容。

また、指揮者のズ―ビン・メータといえば、2011年3月東日本大震災の当日、丁度来日公演中で、翌々日、3月13日(日)神奈川県民ホールで彼のタクトによる「トスカ」を鑑賞した記憶は鮮烈に残っています。
まだ、原発事故の影響は伝わっておらず、津波の被害者の方に黙とうをささげる、静かな一日でした。
ライモンディのスカルピア目当てで取ったチケットでしたが、マチネでしたので休憩時間がまだ明るく、2階ロビーの大きな窓から見える静かな青空と港の風景が忘れられません。
その後被曝を恐れたオーケストラ団員の総意で公演が中止となり止む無く離日する際に、「必ず、すぐに戻る!」と言い残したマエストロ・メータは翌4月10日、約束通りに来日し、在京オーケストラのチャリティ演奏会で「第九」のタクトを振ったという・・・。色々な思いが去来する本公演です。

ここ数年で東バのセンターを担ってきた柄本弾くんと上野水香さんセンターの第一楽章は東バソリスト陣が贅沢にキャスティングされて・・・って、女性ソリストは 吉岡さん、乾さん、高木さん、奈良さん、渡辺さんから吉川さんに至るまで充実していますが、男性は梅澤さんが上がってきたなという以外大量退団の余波か、新しい団員をまだ把握できていない状態が続いているなと^^;。松野さんはきれいなラインと丁寧な踊りで注目していましたがこういうコンテではその良さを活かしきれていない感がありますね。

第二楽章、赤いレギンスの男性とレオタードの女性、このレギンスの着こなしが、BBLダンサーはウエスト部分をちょっと折って気持ち腰穿きなんですよね、あと裾の調節リボン?がラフな感じで。ちょっとしたことですが、きっちり着る東バダンサーと見える風景が違う感じが^^;
久しぶりの大貫さんのダンスのキレ味も、ですが、彼とほぼ拮抗する力強さと伸びやかな肢体で、男女の差や人種を超えたある種ユートピア的なBBLの世界を体現しているかのようなキャサリーン・ティエルヘルムの若々しさとエネルギーを強く感じました。

第三楽章は・・・白のセンターの2人が・・・。
ベジャールさん存命中からずっとわたくしが見てきたBBLのセンターにスターとして君臨し続けてきたBBLの女王エリザベット・ロスと若手NO1的存在でジル・ロマン体制になってからは堂々とセンターを務めているジュリアン・ファブロ―とのデュエット。
赤毛のボブにはっきりとした目鼻立ちで、若い頃から成熟した女性の艶やかさとハンサム・ウーマンの爽快さで抜群のスター性を持つエリザベット・ロスがだんだんとデカダンスや人生を表現できるようになり、そして今、誰よりもピュアで優しさを見せながらも、ベジャールらしさというものを身体の隅々まで染み込ませているムーブメントは一ミリたりとも狂ったり遅れたりすることがない・・・この2人が今でも成熟を遂げながらもダンサーとして若々しく、現役であり、センターであり続けていることに自分でも驚くほど心揺さぶられました。
本当に 例えば腕をちょっとねじる様にして差し出すという動きひとつとっても、この動きってベジャール独特のニュアンスがあるのだなと気付かされるエリザベット・ロスのパフォーマンスでした。

そして第四楽章。
白、赤、黄、茶。これは4元素であり、4大陸であるという象徴だと思うのですが、ベジャール氏の俯瞰的な世界観、あらゆる人種をダンサーとして揃えながら、彼らの姿から発散される”ベジャールダンサー”としての匂い、存在感があるというベジャール・バレエ団の象徴のような場面ですね。
ある意味、1964年東京オリンピックの年、まだ世界が平和や融合を目標として、建前上だけでも価値観を一つにしていた時代の産物と言えばいえるのかもしれませんが、ベートーヴェンの昔から、人は個集団のエゴで動きがちな習性を理性の力で理想を追い求めようと方向にシフトしていこうというトライアルをやめない、そこに救いがあるのかも・・と、藤村美穂子さんら、素晴らしいソリストや合唱の歌で盛り上がるフィナーレの中、思ったことでした。

なんとも濃密な1時間半、でした



宝塚宙組「PHOENIX 宝塚!!-蘇る愛―」宝塚大劇場初日

2014-11-16 05:25:16 | TAKARAZUKA
・・・そして、大劇場初日観劇、ショーの感想です。

2014年11月7日(金)15:00開演

グランド・ショー
『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』
作・演出/藤井 大介

[解 説]
 100年という壮大な歴史の節目を迎え、次なる年への架け橋となる時期に、“再生”という思いを込めて「PHOENIX」(不死鳥)と名付けられたショー。
 宙組トップスター・凰稀かなめをフェニックスに見立て、男役特有の美しさと格好よさを感じさせるシーンで構成した、宝塚歌劇ならではのゴージャスでスペクタクルなグランド・ショー。

さよなら公演といえばの藤井大介先生の手がけるサヨナラ仕様のショー。
初日、ということで小林理事を筆頭にずらりと演出家が並ぶエントランスのお歴々の中一際異彩を放つ赤黒メラメラ柄?のスーツ姿の藤井センセイ。
プログラムのスチールは皆さん赤に金のお衣装で。
フェニックス~鳳凰~火の鳥、のイメージなのかしら?と思いつつ向き合うショーは・・・

まず、オープニング、実咲凛音ちゃんが青で鳶(えん)の女神、朝夏まなとくん赤で朱雀の神、緒月遠麻さん黄で鵷鶵( えんすう)の神ということで、原色のカフタン着用に手登場。なんとなく稲葉先生の宙組ショー「ルナロッサ」を思い出させるムード。
そこで和希そらちゃん演じる白い鳥とそのお連れの2羽の娘役に遥羽ららちゃんとグスタフの少年時代を演じた初舞台生星風まどかちゃんがここでも!使われていますがひらひらと踊り・・。この白い鳥が導く・・の図は星組「ボレロ」の鶴美舞夕・稀鳥まりやちゃんペアを彷彿。
・・・と大階段センターに凰稀さんが!その階段を斜めに横切るように、彼女をセンターにした金の布が装置か衣装か?という「アパショナ―ド」っぽいオープニング。
おぉっと沸いたところで、大階段からのスタートで一気に盛り上がります。
あとは印象に残ったところをかいつまんで・・・。

・「伝説の宝鳥」
金の鳥の置物を狙うは怪盗カナメール。助手に新公主演おめでとう!の桜木みなとちゃん。
追うのは銭形仕様の緒月さん。次の雪組大劇場作品「ルパン3世」への導入?
持ち主貴族夫妻?に実咲さんと組長寿さん。ここで、人々を攪乱させてその隙に・・・作戦で、カナメールの7変化をお見せしましょう!という趣向。牧師コック刑事と早変わりで声色を変えての大活躍・・のコミカルな場面。
ラストの美女で「アムール・ド99」のパイナップルの女王を思い出したりして^^
お御脚ちらちらのサービスがステキ・・ですが、ストッキング一つとっても超高速早変わりとは思えないクォリティがさすがの一こと。
・「サラマンダ―」
朝夏さんセンターのエキゾチックなダンスを見せる場面。ダンサーを集めてきました!愛りくモンチかけるそら留依蒔世を確認。
・「ビューティフル・バード・レビュー」
今回のロケットはフラミンゴちゃん。お衣装がとても可愛いです。
・・・が、ほとんどフラミンゴちゃんたちを観ることができませんでした・・・というのも、前回ベルばら新公アンドレで抜擢された実羚淳ちゃんフラミンゴSのプロポーションが素晴らしすぎて・・・。しっかりとトウシューズを履いてのバレエテクニックをしっかりと見せていることもあり、見るたびに思うのですが、モンテカルロバレエ団のベニエス・コピエテルス並みの脚だなぁと。センターの彼女が際立ちすぎて、ひよっこちゃんと親鳥さんのようでした^^
・「火の鳥」
ここ盛り上がります!白い星みりおん(実咲)、黒い星まなとくんで対立する2大勢力。それを代表して?白い愛ちゃんvs黒りくが銀橋で戦いのダンスを!まるで星組のカポエイラ!愛りく対決、というだけでも盛り上がるのに!
白黒対決に火の鳥が登場して・・・
赤い羽根に身を包んだ凰稀かなめ、妖しい幽玄の世界観を作りだすことのできる男役、彼女の真骨頂を見せてくれました。本当にヒトならざる神秘的な役どころが似合います!
「祈り」の場面へ。淡いグリーンのお衣装、で銀橋にセリ上がる歌手、まずは緒月さん、そして風羽玲亜さん。
退団者上級生のお二人の見せ場です。
特に風羽さんはその美貌と歌唱力で、脇をしめてきた役者さん、凰稀さんTOPの時代になってだんだんと役がつくようになって活躍されていたので退団がとても惜しまれますが、ここで、その前の場面で若手スターが何人も歌い継ぎながら渡った誰よりもきれいな歌唱で、ここからの癒しと平和の祈りに向かう場面を導き・・・退団者に篤い藤井センセイ、GOOD JOB!と思いました。

黒燕尾、デュエットダンス・・・についてはまた後日の観劇の感想でふれるとしまして・・・

驚いたのがエトワールがWでしかも次期TOPコンビだったこと!
そして、続くパレードで、2番手とTOP娘役が先に降りてきてしまったことで・・・緒月さんの次がいきなりのかなめ氏!という順番になったこと・・・。
テルキタバンザイ派ではないので、やっぱりパレードの階段降りは、2番手、そしてTOP娘役が降りて急いで定位置についてTOPを迎える、といういつもの様式が落ち着くのですケド・・・・^^;

色々と思うことはあれども、凰稀かなめ退団公演のさよならショー拡大版のような濃いショー作品で、これに千秋楽のさよならショーで、いったい何を付け加える余地があろうかと心配するほど。

大劇場であと2回、東京ではきっと数え切れないほど通うのだろうなと思いつつ・・・あと3カ月、短いですね