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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚雪組「ルパン三世~王妃の首飾りを追え~」東京宝塚劇場

2015-03-30 05:05:45 | TAKARAZUKA
すでに星組初日も観劇済みですが、散々楽しんだ雪組公演の感想がまだ、でした!
宙で燃え尽きて雪はちょっと癒しの時間で軽く観るか・・・くらいの気分で赴いた劇場でグッと心を掴まれてしまい・・

花組の「エリザベート」以上のチケット難公演と言われて確かにお取次チケットで初の(!)お断りが出たり・・・紆余曲折はありましたが、手を尽くしてなんと新公入れて8回観ることが出来・・・。
「ルパン」は初見からメインメンバーのあまりにハマったキャラクター作りに感動し、ショーは事前に色々と聞いていたので心の準備はできていたので(笑)期待値下げて観たら、勿論ダメなところはあったのですけど、ツボな場面の濃さにヤラれてしまい・・・。「するめショー」と評する方々のお気持ちがわかりました^^;




もう・・ルパンファミリー、そして、タイムスリップした先のパリメンバーがそれぞれ素晴らしくて・・・。
勿論、演出の小柳先生のアイデア、宝塚の十八番であるフランス革命時の18世紀パリへのタイムスリップとそこに絡める錬金術師カリオストロ伯爵の魔術、という設定が秀逸であるのが前提ですが。

ネタばれありのあらすじを・・・

博物館で展示中のマリ―・アントワネット縁の「王妃の首飾り」を狙ってルパンファミリーが侵入。
銭形警部を始めとする厳重な警備をついて正に首飾りを手中に・・と思った瞬間、なぜか時空が歪み・・・・。
迷い込んだのは18世紀ロココ文化華やかかりし頃の宮中。ルイ16世謁見の場をかき乱し、なぜか王妃に気に入られる。元の時代に戻るべく、錬金術師と名高いカリオストロ伯爵のもとを訪れるが、彼は王妃の侍女で悪女ジャンヌと愛人である秘書レト―、そして巫女として恋人セラフィーヌを使ってもっともらしく宣託を唱える詐欺師だった。
彼が師匠から譲り受けた魔術書を見つけカリオストロの初心を思い起こさせるルパン。
もとの時代に戻る時空の魔術に必要なもう一つのネックレス「マリアの涙」を手に入れるべく王妃の寝室に現れたルパンをマリ―は歓迎。ローマの休日よろしく夜のパリに繰り出すが・・・。
そこで見たのは自身を痛烈に風刺する音楽劇。モノ知らずで愚かな自分を認める素直なマリ―にほだされたルパンはある計画を胸に抱く。
一方、カリオストロ伯爵は相談者の宝石商から聞いた買い手のつかないほど高額な「王妃の首飾り」をだまし取るべく財務大臣の座を狙うロアン大司教をだまして出資させることに成功。
「マリアの涙」「王妃の首飾り」そしてネズミと魔術書の呪文が揃い、ルパンの指示する行き先はなぜか8年後。
ルパンを追って18世紀に来てしまった銭形警部を残して、あることを含めるルパン。
カリオストロの魔法は成功。本物の錬金術師になった!と喜ぶも・・・
その後の8年、「銭形マーチ」の背景で、時代が革命に動く。逃げる王宮の人々、幽閉されるカリオストロが首飾りをセラフィーナに託し、王様一家を「マリアの涙」の売却資金でジャンヌとレト―が匿い、王妃は幽閉の身に。王妃を慕う衛兵隊士アンリとジョルジュは尊敬する警部がロベスピエールの片腕として成り上がることに違和感を隠せない。
そこに騎士姿のルパンが面会してある計画をマリ―に告げる。
処刑の当日、断頭台の仕掛けでルパンは王妃を人形にすり替える。検閲の場でそれを通す役割を果たす銭形に、彼の真意を知って涙するジョルジュとアンリ。
全員揃ったところで革命政府に見つかって、大取りもの劇が展開するが、最終的には計画通り、歴史を変えずに国王一家を救出したルパン。セラフィーナがカリオストロに託された首飾りをルパンに渡すと逃亡生活の糧にとそれをルパンがマリーにプレゼント。感激の涙・・「マリ―の涙」も揃って条件が整い、ルパンは呪文を唱えて今度こそ現代に!
もどった先は博物館。銭形警部がほぞをかむ中、マリ―の子孫が先祖の遺言とルパンに首飾りを譲渡。王妃の首飾りを今度こそ!と、その時 流れる旋律は・・・カリオストロのテーマ。
手間賃をもらっていなかったからなと時を超えるカリオストロ伯爵が登場。追いかける面々に魔法をかけて・・・ちゃっかりと首飾りを手中に。
伯爵を皆が追いかけて一人残された舞台でルパンはあのテーマ曲を歌い、軽やかに去ってゆく・・・。

オリジナルキャストとルパンファミリーの絡みも面白く、毎日日替わりでアドリブで繋いでいく諏向もあり、雪組メンバーの達者さと徐々にそのノリに慣れていく花組から異動したての望海風斗=カリオストロの成長ぶりも楽しめて色々とお得な舞台です

個々に感想を


■ルパン三世: 早霧 せいな

身長がもう少しあれば・・という文句も忘れてしまうくらいリアルにルパン!
ふくらはぎと太ももが同じ太さかと見まごう細さでシルエットがルパン!セリフの言い回しもあのアニメのルパンを研究したのだろうなと思える上手さ。でもって、宝塚的な2枚目FACEで風刺劇にショックを受けて泣きごとを言うマリ―に言うことが「被害者ぶるのはみっともないぜ。知ろうと思えばいくらでも知ることはできたはずだ」とハードボイルド。でも素直に「そうね」と涙ぐむマリ―に義侠心がムクムクと・・の流れが自然。
あと、ラスト、銀橋であのテーマソングを歌い切り(本当はだいもんで聴きたかったかも・・・^^;)舞台奥に背中を見せて去っていく途中、ちょっと横っ跳びで両足をパンと合わせる動きを入れるのがアニメそのもので!
早霧さんの身体能力と軽妙さと鋭さを持ち合わせた芝居の上手さが如何なく発揮されてとても魅力的でした。

■マリ―・アントワネット: 咲妃 みゆ

芝居功者で定評のある彼女。取り入ろうとするロアンを剣もほろろに追い返す声の権高さと好感を持つルパンの自己紹介を受けて「ルパンパカパンパン・・三世さん?」などと早霧ルパンのアドリブに忠実にボケる勘の良さのGAPをしっかり見せていました。
ローマの休日的 おしのびパリの夜の場面での、はしゃぎっぷりから次第に意気消沈する様の上手さ、そして何よりもルパンと観客の心をぐっと掴む、ルパンに諭されての「・・・そうね」と素直に自らの非を認めつつの涙声の健気さ!
決して美女ではないのですが、声が良くて芝居心があるから、高貴かつ愛らしいマリ―がしっかりと成り立っていました。

■カリオストロ伯爵: 望海 風斗

まがまがしく登場!の錬金術師。ですが、この人の内に秘める葛藤。
貧しかった少年時代から救ってくれた師匠の没落と失意を胸におさめて斜に構えて詐欺師として生きていた彼がルパンに焚きつけられて本物の錬金術師としてのプライドを取り戻す・・・。
という実にシリアスな物語のもう一つの屋台骨を背負っておきながら、恋人にジュゼッぺと本名で呼びかけられると切れ、ルパンには翻弄されまくるヘタレキャラ。
アドリブも初日近くでは上手く返せなかったのに、ある日は、レト―とジャンヌが登場時の雑談で、「カリオストロの髪って三つ編みで作ってるんですって」「へぇ~」から始まり登場!と後ろを向いたらセンターに太い三つ編み!で客席を沸かせ、更に、ラストの取りもので銀橋で魔法にかけてストップモーション状態のルパンファミリーをいじる場面、不二子ちゃんの髪を三つ編みにしようとしたり、最後まで細かい芸で客席を沸かせるように成長し。
すっかりこの公演で雪組の人、になりましたね。いえ、花男テイストを残したままで馴染んでいただけるのが最高なのですけれど^^ 5月の主演公演「アルカポネ」が楽しみです。

■銭形警部: 夢乃 聖夏

ともみん(夢乃)の退団公演でもあるこの公演。面白すぎる社交ダンスおたくドニ―・カーティスで大ブレイクした彼女、その後ベルばらのアンドレ役や「伯爵令嬢」でのクールな2枚目で 実は超絶スタイルの良い、星組TOP柚希礼音さん似の2枚目であることを改めて知らしめたにも関わらず、最後はまた3枚目・・・><とファンの心中は如何に!?と心配しましたが、いや、作り込んで極めてきました。
下睫毛バッチリですが、ルパンに暑苦しく取り着く反面、意図するところを汲んでの泣かせる活躍。
長い長い「銭形マーチ」を可愛く芸達者なアンリとジョルジュと言うチームを引き連れて緩急つけて大きなアクションと情熱をこめて歌い切った夢乃さんブラボーです。22日に楽を控えた17日の夜公演、銀橋センターで懐の拳銃を客席に落とすというアクシデントがありましたが、お客様から受け取ってカッコよくThankYou!と決めてまた歌いだしたときに客席から最後まで熱い手拍子が!という感動的なハプニングに遭遇した時のことは忘れません。
長い長い脚を大きく降りかぶっての行くぞ~!とのルパン追跡ポーズの迫力も夢乃さんならでは、でしたね。

■峰不二子 :大湖 せしる
登場シーンから魅力全開!なんといっても元男役。身体能力と身体のキレの良さが素晴らしく、ポーズとポーズの間の無駄のないシュッとした動きと色っぽくアッハンしてもイヤらしくならない硬質な魅力がタカラヅカの不二子ちゃんとしてはアリかなと。あまり生々しくならず、記号としての不二子ちゃんはきっちりとなぞりつつ(髪をかきあげてのセクシ―ポ―ズとか谷間をピンクシャドウで描きこんでいたりとか^^)キレ味の良いアクションで活劇ルパン三世を盛り立てましたv
「裏切りは女のアクセサリーよ」とか、ちゃっかりお金と宝石のあるほうになびく欲望に忠実なところとか、ガーターベルトに装着した銃をチャッと構えるとか。原作イメージ満載.

■石川五エ門 : 彩凪 翔
この配役、当たりましたね! 眼力がスゴイ翔君、で、スタイル的にはあまり恵まれていないのですが和服でNO問題。基本美形でクールな剣士なのですが、カリオストロの部屋で皆で並んで足上げするところ、日によって意外な笑顔を見せたり、ジャンヌたちの護衛としてロアン枢機卿にアントワネットとの密会を持ちかける場面、思いがけずロアンの愛人として登場した不二子に「なにやってんだ!」的にこっそりとモノ言いに行き、計画を明かして協力しろよと言い含めたあと、状況だけ観て想像したレト―がコレなの?と指ジェスチャーでニヤニヤといじるのをめんどくさそうにしてみたり調子をあわせてみたり・・・の小芝居もさることながら、カリオストロの部屋に出没し、センターでルパンとカリオストロの会話が繰り広げられている間、上手の椅子で坐って脚を縮めて浮かし、小さくなって気配を消している五衛門のシルエットに「漫画読んで研究したんだろうなぁ・・」と。マンマ、でした。あと殺陣の後、剣を鞘に納めるところも一発でピシッと。「シャキ―ン!」の効果音と気持ちよく合わせていました。

■次元大介 :彩風 咲奈
で、お対の次元ですが。正直、雪組の中堅路線スター彩彩コンビよりもその下のれいこひとこに目が行っているわたくしですが、今回、彩彩いいじゃない!!と大いに見直しましたよ~。
だって・・・次元カッコいい!文句なしです。
翔君と真逆で、お顔は八重歯のもんちっちにしか見えないxxことの多い咲奈ちゃん。でもスタイル抜群、脚長で実力にもアナがない。(なんといっても93期の首席)。そんな咲奈ちゃんが帽子にお髭、咥え煙草の次元演じると・・・。
誰よりも漫画の次元そのもののそのシルエット!だけでなく、小芝居が素晴らしい。
五衛門の待機のポーズの間、次元はシンメの下手でドッカと椅子に坐り、後ろのテーブルからワインを見つけ、勝手にグラスに注いでグッと飲んでペッと吐きだす・・・。なぁんてことをしているんですよ~。
ルパンに続いて逃げる時、帽子を頭上で片手で押さえてちょっとピョンっとジャンプして掃ける感じとか、乱闘場面でカッコよく相手をのした後、何気に手が痛テ~的に片手を振ったり・・・。
寡黙な男ゆえセリフはごくごく少ないのですが、居方そのものが雄弁で、原作次元ファンのわたくしはもう、オペラで咲奈ちゃんカッコいい!と食いつきましたよ!
あと、裏切った不二子ちゃんが現代に戻ろうとするとちゃっかり仲間入りして、ルパンがしょうがないな~と受け入れると彩彩が2人して声を合わせて低く「やれやれ」というところもツボでした^^

■レト―・ド・ラ・ヴィレット(ジャンヌの愛人) :月城 かなと

金髪縦ロール、金色の宮廷服あるいはグレーの街着、で登場の舞台を彩るイケメン枠、時にテキパキ、時にボケて美味しく存在するレト―役。初見では、宙組のスマートな長身宮廷服の並びが残っていたので若干もったりとしてみえないでもなく・・・ですが、見慣れてくるとやっぱりキレイ。
アドリブ女王透水さらさ嬢の愛人として彼女に対しては頭が上がらない感、五衛門にはなぜか上から目線なのに追手に向けたつもりの銃がなくて焦るなどのヘタレキャラ設定もあり、という作り込み甲斐のある役どころ。・・・で、まじめなイメージのれいこちゃん(月城)ですが、この公演を通じてリラックスして芝居を楽しむことを会得したのでは?舞台にいる時間が長い設定がありがたかったです。(ファン)

■ロアン枢機卿(ストラスブールの大司教):蓮城 まこと
その世俗的すぎる性格と派手な女性関係でアントワネットにうとまれているも、本人は財務長官の座を狙ってなんとか王妃に取り入ろうと懸命・・・な国民には圧倒的な人気を誇る親しみやすいキャラクターの枢機卿。だまされて首飾りの代金(国家予算並み)を用立てるだけの財力もある割にとてもとても親しみやすい、というか全くのお色気お笑いキャラとして作り込んできました。
悪くて色っぽい役どころはキング(蓮城)の得意とするところですが、かなりノリノリでお笑いに特化しているところに好き嫌いが分かれるかも。わたくしは彼女の軽妙さと憎めない魅力を楽しみました^^
不二子ちゃんを壁ドンするところで、セットの書割がリアルに揺れていたのがMyツボです^^;

■マリー・ルゲイ(一座の主演女優):舞咲 りん
そのロアン様を陥れるカリオストロのたくらみに加担するのが 女優マリ―。ルパンと王妃マリ―の夜のお散歩で出会う大道芸での特設劇場で、マリ―・アントワネット風刺劇を毒々しく歌い踊る看板スター。この舞台での顔と夜の庭園で暗闇にまぎれてロアン枢機卿を罠にはめる偽りの王妃の顔、いずれも色濃く毒々しくコミカルでドスが効いていて、これぞヒメ(舞咲)という感じ。彼女は圧倒的な力量でやややりすぎに陥るきらいがあるスターですけど、キングともども、今回はアニメの世界ということで、そのカリカチュアライズされた持ち味が効果的に見えていたと思いますv

■ポリニャック公爵夫人(マリー・アントワネットの取り巻き) :早花 まこ
オレンジ色の艶やかなドレスでマリ―・ルイ―ズ星乃あんりちゃんとお対で登場・・なれど、あまりこの2人は仲が良くないみたい・・というのが史実に即したネタで、王妃の寝室を去るときに2人で陰険漫才?をするのが小さなツボ。
ポ「おいしいお菓子があるのよ、いただきましょう^^」マ「あら、まだ召しあがるんですか」とか「ほどほどになさったら」とか「太りますわよ」とか^^;
王妃に対してはため口でちょっとソプラノで作った声、が一見優しげで野心を秘めたポリニャック夫人らしく・・・。
早花嬢については月刊誌「歌劇」で彼女担当のコラムでの絶妙な筆のキレ味から文豪イメージが強く、何をしてもその一癖ある切れ者の素顔が見え隠れしてしまう気がしてしまうのがヅカファンあるある かも。

■マリー・ルイーズ(ランバル公妃): 星乃 あんり
ヒロイン候補として路線バリバリで使われたいた頃は見た目の可憐さに対して演技歌などのスキルの弱さが残念がられていた彼女。TOP娘役候補としての目が次世代に映った頃から色々と自由になって特に演技面でこんな一面が?!と面白いところがみえてきたあんりちゃん。姉さんキャラが良かった前回に続き、アントワネットの終生変らぬ忠実な侍女として、お仕事は粛々と(牢獄でも・・)こなしつつ、心底から忠実とは言えない仲間にピシャリと返す芯の強さも見せて、脇には勿体ない可愛らしさなれど、演技功者として味が出てきました。

■オランド長官(フランス国家警察本部の長官): 朝風 れい
冒頭で機動隊員を並べて銭形警部と対話するスーツ姿がカッコ良く、その後時代が変ってお出ましにならないのが残念・・と思っていたら、アントワネット処刑の場面の群衆に紛れていらしたりとか・・・
ついお姿を追ってしまう朝風先輩。元月組の越リュウ組長ポジ、色気のあるカッコ良い別格男役上級生、ですね。
こういう方が脇に配されているのが舞台を豊かにしてくれると実感します。

■ジョルジュ(近衛兵) : 真那 春人
むちゃくちゃ可愛い二個イチの2人、ジョルジュとアンリ。金髪のジョルジュはこちらです。
ふたり揃って銭形警部と出会ってから警部の片腕?部下?のように常につき従い、猪突猛進の警部に必死でついていこうとする姿がいじらしくも愛らしい・・・というところ、銭形夢乃さんのアドリブ?にいちいち豊かな表情で反応。
銭形マーチの冒頭、銀橋に向かう警部を見ながら本舞台下手で2人で行きつ戻りつする振りが抜群。

■アンリ(近衛兵) :帆風 成海
可愛い2人組その2。本当に、夢乃さんの一言一言に対応する表情と仕草を見ているだけで、本当にコノ人、芝居心があるなぁと実感できる、「出来る下級生」ポジでずっと期待されてきたホタテくんこと帆風さん。
この公演が退団公演と思うと一層惜しまれます。
それにしても、チーム銭形、3人中2人が退団公演って::
を受けてか、芝居・ショーともに残されるまなはるくんの決意と言いますか全身全霊こめてます感が素晴らしいと思った今公演、でした。

■マクシミリアン・ロベスピエール(フランス革命の指導者):香綾 しずる
「前田慶次」でのくぐつの長、「パルムの僧院」では大人の恋を演じる貴族と大人の男役としてその演技力で芝居を締めるがおりさん(香稜)。今回は生真面目なロベスピエールですが、最後、ルパンに追い詰められて、撃たれたか!と思わせて銃口からは花が・・というシーンで必ず一言アドリブで落ちをつける担当として、当意即妙の才を発揮されていました。

■ミラボー(革命家) :煌羽 レオ
しどころのない、といえばない役ですが、頭の形が良く、中高の舞台映えする容姿で、ロベスピエール付きの2個イチの一角を。王妃処刑のときの判決を読み上げるセリフ声がしっかりしてきたなと。

■バルナーヴ(政治家):永久輝 せあ
ひとこちゃん(永久輝)は新公初主演を控えて、本公演ではさりげなく舞台にいて早霧さんを観られるポジにいましたね。牢獄の王妃を変装したルパンが訪ねる場面の警備兵にもなっていて、配慮されているなと思いました。
革命軍3人組の中ではシルバーの宮廷服を着ての登場場面が綺麗でしたね。彼女は高身長ではありませんが、頭身バランスが良くてスラリとしているのでコスチュームも着映えします。

■ セラフィーナ(カリオストロ伯爵の助手):有沙 瞳
「前田慶次」の新公で正統派ヒロインを演じた後、「伯爵令嬢」で路線娘役がこの役って?!と心配された悪役アンナを母を慕う一面を前面に出して観客の共感を誘う巧みな役作りで、演技派としての評価も確立した観のある有紗瞳ちゃん。今回はカリオストロの恋人で、えせ巫女を表情豊かにチャーミングに演じていますね。中高で作りの大きなお顔ですが、ちょっと瞼が重いかな?でも表情が豊かでそれを感じさせない舞台姿で、お歌も上手なのでこれからも期待したい娘役さんです。

■ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人(首飾り事件の首謀者) :透水 さらさ
美声で演技もアドリブも安定感漂うさらさちゃん。ブルボン家に反感を持つ敵役的な悪女ジャンヌ役ですが、美形でちょっとおとぼけなレト―を従えてご機嫌麗しくゆったりと年上美女を演じています^^。革命がはじまると早々に王様一家の救出を申し出るなど良いヒトなジャンヌでした。

■シャルル・ベーマー(宝石商) :透真 かずき
運動会で俊足ぶりを披露したできる子りーしゃ(透真)。今回はデキル子ペア?で、おかまさんな宝石商をあすくんとユーモアたっぷりに演じています。 ね~え、というオネエっぽい言い方が叶姉妹のお姉さま的で、研究したのかしら?。この人たちも毎回アドリブで登場。ある回ではセーヌ川に身投げするしか・・のくだりで人魚姫のように・・と笑いを取り、なおかつ床の上でのたうちまわって陸に揚げられた魚のジェスチャーも・・・@@
さすが身体能力の高いジェンヌ・・と変なところで感心させられました^^;

■ポール・パッサンジュ(宝石商): 久城 あす
デキル子ペアその2。
2人ともフリフリの宮廷服に鬘にたくさん小さなリボンをつけたり、お化粧もピンク多目でラブリーなおかまちゃん仕様。脚をちょっと内またにしてモジモジさせたり、芸が細かいところが流石あすくん。美声なので、歌の場面が欲しかった・・・。
カリオストロ伯爵のもとに集う人々が相談者(久城)も協力者(透水、月城、有紗)もそして伯爵本人(望海)も歌ウマ美声揃いなのに、なぜか歌うのはルパンファミリー・・・というのがなんとも勿体ない!


とはいえ、雪組の実力・演技力・アドリブ力が実感でき、なおかつ楽しい良作でした!ルパン万歳




ザハロワ・ボッレの「ジゼル」

2015-03-15 04:07:15 | BALLET
2015年3月13日(金)19:00~

五反田のゆうぽうとホールにて



スヴェトラ―ナ・ザハロワとロベルト・ボッレの主演で、東京バレエ団の「ジゼル」を観て参りました。

もとから3月12日と15日の2回をこのペアで、14日は柄本弾、渡辺理恵の全東バCASTでの公演として予定されていたのがチケットセールスが良く、11日にザハロワ・ボッレで追加公演が組まれたとあって、この金曜夜公演にも「大入」の表示が・・・。
ザハロワはボリショイ来日公演「バヤデ―ル」での主演のニキヤでも9頭身かと見まごう細身の美しいラインとクラシックのバレエテクニックの権化のような研ぎ澄まされたロシアバレエの粋を見せてくれるはず。
対するボッレは・・フェリの引退公演をTBSが主催して、美味しい引退公演で売れるに違いない企画をバレエ公演主催としては新参者である団体が悪い言い方をすると札びらを切ってスターダンサーを集めた結果、その後の来日公演のギャラに対する出演者の要求水準が高くなり、もとからバレエ団との長い信頼関係を元に売れる作品だけでなく団としてアピールしたい知名度の低い新作なども上演してきたNBSなどクラシックジャンルの大御所プロモーターとの関係が、ダンサーによっては微妙になったとか・・と言われており。
ボッレはその点顕著で、若い頃は気軽に(?)バレフェス常連でしたし、東バの新プリマ売り出し企画の支えの王子様役で来日したりしばしば出演していたのがピタリと来なくなりましたが・・・。
その間の活動をみると、ミラノ・スカラ座バレエ団のプリンシパルとABTを掛け持ちし、ユニセフの文化大使的なポジでの活動、フェラガモなどでのプロモーションへの起用など華やかな容姿からのオファーも多く、バレエ的にも、ロシアの往年の名花アルティナイ・アスィルムラ―トワによる鍛錬などもあり、技術も向上。上背のあるラテン美男子の需要は高く、世界中の長身美女スターダンサーでお相手を務めていない方はいないのでは・・くらいのパートナー客演経験も豊富な彼。今、円熟のボッレをザハロワと・・・。
確かにバレエファンにとっては見逃せない公演ですね
小さな箱での公演で5列目の良席に心浮き立ちます。オブジャニコフさんの指揮も嬉しい。

対する東バは、3月10日付であの東バの男性ダンサーの顔と言って良い高岸直樹さんが引退されたとの報がNBSのHPに出ていて衝撃を受けましたが、世代交代を感じさせる布陣。また、50周年記念での大作上演をア―ティスティックアドバイザーとして指導してきたウラジーミル・マラーホフが全面的に指導しているだけあって色々と向上しているに違いなしとこちらにも期待が高まります。マラーホフ自身アルブレヒト役には一際思い入れのある名演が多い方なのでこの作品にかける情熱はいかばかりだったか・・・と思われます。

<東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 10>

「ジゼル」(全2幕)

音楽: アドルフ・アダン
振付:レオニ―ド・ラブロフスキー(ボリショイ劇場版 ジャン・コラ―リ、ジュール・ぺロー、マリウス・プティパの原振付による)
改訂振付(パ・ド・ユイット): ウラジーミル・マラーホフ
美術・衣装: ニコラ・べノワ
衣装: 宮本宣子

◆主な配役◆

ジゼル: スヴェトラーナ・ザハロワ
アルブレヒト: ロベルト・ボッレ
ヒラリオン: 森川茉央

【第1幕】
バチルド姫: 吉岡美佳
公爵: 木村和夫
ウィルフリード: 岸本秀雄
ジゼルの母: 坂井直子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット): 乾友子-原田祥博、吉川留衣-松野乃知、
川島麻実子-梅澤紘貴、河谷まりあ-入戸野伊織
ジゼルの友人(パ・ド・シス): 小川ふみ、加茂雅子、伝田陽美、二瓶加奈子、政本絵美、三雲友里加

【第2幕】
ミルタ: 奈良春夏
ドゥ・ウィリ: 乾友子、吉川留衣

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

◆上演時間◆ 第1幕 19:00~19:55(休憩 20分) 第2幕 20:15~21:10

配役表を見て、まずドゥ・ウィリのお二人が嬉しすぎる・・・!クール・ビューティ、端正な中に柔らかさもある乾さんとほっそりしたバレリーナとして理想的な頭身バランスと可愛い小顔の東バの妖精さん吉川留衣ちゃん。
お気に入りの2人が配役されていてテンション高まります。
木村さん公爵に吉岡さんバチルド姫も贅沢。麗しい舞台が期待出来ますね。
森川さんヒラリオンはどんな感じかしら・・・。
わ、パ・ド・ユイットで吉川さんと松野乃知くんが組んでいる!これは麗しいペアだわ!などと一通り目を通して。



ジゼルのお話は、東バではオーソドックスなラブロフスキー版を踏襲。
一幕では身分を隠した貴族のアルブレヒトが名を偽って美しい村娘ジゼルと恋の逢瀬。
彼女に想いを寄せる森番ヒラリオンが怪しみ、公爵ご一行が狩りのため村を訪れたタイミングで偽りの姿のアルブレヒトと引き合わせます。貴族アルブレヒトの婚約者であるバチルド姫とそうとは知らずに恋バナもし、心通わせネックレスまでプレゼントされたジゼルは話に聞いた姫の婚約者が自分の恋人だったことに気づいて精神に錯乱をきたし、もともと心臓が弱かったこともあり、若い命を落とします。
2幕では、夜の墓所が舞台。ヒラリオン、そしてアルブレヒトがジゼルの墓参りにやってきます。
日没後の墓所には結婚前に亡くなった若い娘たちが精霊(ウィリ)となり、男を死にいたるまで踊らせるという伝説が。ウィリの女王ミルタの命により、犠牲になるヒラリオン。
次はアルブレヒト・・・のはずが、ウィリになったジゼルがミルタに命乞いを。拒絶されると今度は彼と共に踊り、守る意思を示します。アルブレヒトが息も絶え絶えに限界を迎えようとするその時に朝が訪れ、精霊の時間が終わりを告げます。ジゼルの献身により守られたアルブレヒトの命・・・。

今回の公演、バレエ・スタッフとして、高岸直樹、斎藤友佳理、吉岡美佳、木村和夫の名前が。
この2ペアで東バの主役を役変わりで演じてきたことを想うと感慨深いですね。
吉岡さんはマラーホフのお気に入りの相手役でもありましたので、柄本・渡辺ペアを指導する時にはマラーホフと吉岡さんが実際に踊って見せながらのレッスンがあったとか・・・。

主要CAST個別に感想を

■スヴェトラ―ナ・ザハロワ(ジゼル)
一幕の村娘は・・・村娘に見えませんね。はかなげで繊細で。アルブレヒトが夢中になるのはわかります^^
一幕、快活で愛らしい村娘、という造形でくるバレリーナが多い中、ザハロワは比較的淡々と。
事実を知って狂乱・・の場面、女優系バレリーナだと幸せだったころを思い出すマイムをたっぷりと演じて観客の紅涙を絞ったりする見せ場の一幕最後も、フワッとあちら側に逝ってしまった風で、村人も貴族も壊れものをみるように哀しく見守るのみ・・・の雰囲気でした。
対する2幕はザハロワワールド全開!
とにかくロマンティックチュチュ姿が似合う!ベタ立ちしていても既に8頭身を超えたバランスで、腕の動きから指先まで繊細で、浮遊感満点。指先からハラハラと白い花を落とす姿が似合いすぎる・・。
と同時に、ミルタに操られて舞台センターで回転する場面、完全なるアティテュ―ドで高速回転するザハロワ。
こんなジゼル初めて見たかも。テクニックが強い彼女ならでは、ですね。
フワリフワリと残像が残るチュチュの下でしっかりと丁寧にステップを刻む足先にパのひとつひとつの確かさを確かめつつ、でも幽玄の世界の住人であるという・・・。2幕が本領発揮、のザハロワのジゼルでした。

■ロベルト・ボッレ(アルブレヒト)
長身の貴族の美青年。昔日の甘やかな若き美男子の面影からはかなり大人っぽくなったな、と。
とはいえ、彼ならではのチャーミングな恋人ぶりは健在。
一幕、ベンチの中央にスカートを広げて坐るジゼルの横に立って、目配せし、あら・・と彼女が片側によるとすかさず隣に腰掛けて手を握ろうとするすばやさとか、花占いで花弁を数えてタメ息をつく彼女の背後で元気よく一枚ちぎり捨ててほうら!と向ける笑顔のスウィートさとか。ラテンラヴァーの面目躍如。
最後腕の中で息を引き取るジゼルに驚きうろたえ、走り去る・・の流れも自然。
2幕では、登場時の黒マントに百合の花・・が麗しすぎ。
でも、ここをたっぷり溜めるナルシスト系のダンサーとは異なり、意外と自分の美には無頓着な様子ですぐにマントを脱ぎ棄てて、お墓に向かいます。テクニックの向上も素晴らしく、ミルタに踊らされてアントルシャ・シスを繰り返すところ、後半よく客席から拍手が入るのですが、そこからがまだまだ続く・・・といった感じで、何度繰り返していたことか!
そのスタミナもさることながら、クオリティも素晴らしかったですね。倒れ込む様子やミルタへの命乞いも自然な演技。
ラスト、夜明けとともに精霊たちが姿を消し、ジゼルも下手の墓石にパドブレで消えていきます・・・伸ばす腕と腕・・指先が触れそうで触れない・・長身で手足の長い2人ならではの綺麗なシルエット。ジゼルが消えたあと、墓石の十字架の根元にすがりつき、供えられた白い花をかき抱き、そして立ちあがって舞台中央で、朝の光の中で、目を閉じて頭をそらせる・・・ジゼルを想いながら・・・(きっと)
ここ、アルブレヒトの最後のポーズで幕が下り始めるとすかさず爆裂な拍手が入るのですが、いつも思うのですけれど、そのあと、最後の一音が消える瞬間まで、一秒待てないものかと。拍手入れたくなる気持ちわかるのですが、その最後の一音がとても綺麗なので・・・。

■森川茉央(ヒラリオン)
実は森川さんを個別認識してしっかり見るのはこれが初めて。
長身で日本人離れした立体的な筋肉質の下半身のラインがとても綺麗。
お髭に帽子ではありますが、ちょっと浅野忠信に似た雰囲気のあるステキなヒラリオン。
一幕、木村さんのご指導あってか、ジゼルのことを想いながら仕留めた獲物をドアに掛けてプレゼント・・のところの演技も丁寧。リップ音付きの投げキッスとか、アルブレヒトを怪しむところとか、明確な演技。
2幕で逃げようとしても逃げられず、踊っても踊ってもウィリたちに情け容赦なく踊らされて息も絶え絶え・・・の場面の演技も迫力があって観ごたえがありました。



あと、特筆すべきは2幕の東京バレエ団自慢のコールド。
両サイドからセンターに向かってアラベスクで進んでいくところが揃っていてとても迫力があり、ここ、何度も拍手が起こっていましたね^^

全体にジゼルの役作りがザハロワの個性に従って一幕と2幕のコントラストでそれぞれに見せるというよりはじわじわと2幕に向けてだんだんと盛り上がっていき、2幕の静謐な中での見せ場で心高ぶる、という流れでしたので、好き嫌いはあるかもしれませんが、(実際、こんな良席でありながら一幕寝落ちしたところがありますxx)当代きっての美男美女の旬を楽しむ「ジゼル」、満足な舞台だったと思います





宝塚雪組「ルパン三世」東京新人公演

2015-03-06 07:33:21 | TAKARAZUKA
実は、すでに3回本公演を観ています。
宙組の完成されたエレガンスに、もう、他の組のちょっと未完成な感じのショーとか、観られないかも・・・。
これだけスラリとした長身を揃えた麗しい宙組を観た後に他の組とかムリかも・・・。

と思っていた自分が嘘のよう。今、絶賛雪組「ルパン三世」「Fancy Guy!」を楽しんでおります。
本公演も色々と語りたいところですが、昨夜観た新人公演が素晴らしすぎて・・・。
とりあえずの覚書を走り書きで・・・。

画像はリニューアルなった宝塚公式HPのスターファイルより拝借。このプロフィールのお写真が新公パンフにも使われていました^^ 主演のひとこちゃんこと永久輝せあさんです。

2015年3月5日(木)18:30~

「ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―」

主な配役 (本役) 新人公演

ルパン三世   (早霧 せいな) 永久輝 せあ
マリー・アントワネット  (咲妃 みゆ) 星南 のぞみ
カリオストロ伯爵 (望海 風斗) 月城 かなと

銭形警部 (夢乃 聖夏)   久城 あす
峰不二子 (大湖 せしる)  妃華 ゆきの
石川五エ門 ( 彩凪 翔) 煌羽 レオ
次元大介 (彩風 咲奈 ) 真地 佑果
*~*~*

ルイ16世/オーギュスト(ルーブル美術館館長) (鳳翔 大 ) 叶 ゆうり
マリー・テレーズ( 星南 のぞみ) 月華 雪乃
ルイ・シャルル (彩 みちる) 野々花ひまり

ロアン枢機卿(ストラスブールの大司教) (蓮城 まこと) 桜路 薫
ノアイユ伯爵夫人(マリー・アントワネットの教育係) ( 梨花 ますみ) 杏野 このみ
ポリニャック公爵夫人(マリー・アントワネットの取り巻き) (早花 まこ) 星乃 あんり
マリー・ルイーズ(ランバル公妃) ( 星乃 あんり) 有沙 瞳
メルシー伯爵(オーストリー大使) (奏乃 はると) 水月 牧
オランド長官(フランス国家警察本部の長官)( 朝風 れい) 叶海 世奈
貴族女 (千風 カレン) 蒼井 美樹
貴族女 ( 此花 いの莉) 彩月 つくし
貴族男 (桜路 薫) 瀬南海 はや

ジョルジュ(近衛兵) ( 真那 春人) 天月 翼
アンリ(近衛兵) (帆風 成海) 陽向 春輝

マクシミリアン・ロベスピエール(フランス革命の指導者) (香綾 しずる) 悠斗 イリヤ
ミラボー(革命家) (煌羽 レオ) 橘 幸
バルナーヴ(政治家) (永久輝 せあ) 諏訪 さき

セラフィーナ(カリオストロ伯爵の助手) (有沙 瞳) 彩 みちる
ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人(首飾り事件の首謀者) (透水 さらさ) 花瑛 ちほ
レト―・ド・ラ・ヴィレット(ジャンヌの愛人) (月城 かなと) 真條 まから
シャルル・ベーマー(宝石商) (透真 かずき) 和城 るな
ポール・パッサンジュ(宝石商) ( 久城 あす) 鳳華 はるな
ド・ラ・モット伯爵(ジャンヌの夫) ( 央雅 光希 ) 彩波 けいと

マリー・ルゲイ(一座の主演女優) (舞咲 りん) 愛 すみれ
座長(一座の座長) (悠斗 イリヤ) 璃央じゅん
座員(フェルゼン) (真地 佑果) 瀬南海 はや

雪組の新人公演といえば、前回の「前田慶次」で月城かなと主演の脇役者に至るまでのレベルの高さに震撼しムラ東京両方観てしまった・・という記憶がまだ鮮烈に残っていますが、今回も男役センター2人のスター力の高さとまわりの上手さにわくわく感の止まらない素晴らしい舞台、でした。

まだ本公演の感想を書いていないので、まずはざっくりあらすじから・・・。
宝塚のHPより拝借。

 [世代を超えて、今や世界中で圧倒的な人気を誇る大傑作。モンキー・パンチ氏原作による「ルパン三世」が宝塚歌劇の舞台に初めて登場します。
 時は、現代のフランス。ベルサイユ宮殿で行われている“マリー・アントワネットの首飾り”の展覧会にルパン一行が出没。首飾りを盗もうとした瞬間、革命前夜のフランスへとタイムスリップ!そこで出会ったのはマリー・アントワネット。ルパンは現代へ戻れるのか…。お宝はどうなってしまうのか…。]

というわけで、フランス革命前後のパリを舞台にルパンファミリーが舞い降りて意外とちゃっかり溶け込んでの大活躍。もとの世界に戻りたい・・というわけで、錬金術師カリオストロのもとを訪れ、彼の助けを借りてタイムスリップ!
ルパンとマリ―・アントワネットの出会いから彼女をこっそり救おうというプロジェクトも・・・。
ロアン大司教と悪女ジャンヌが絡んでの首飾り事件やおしのびでパリの街を楽しむマリーとか、ヅカの十八番とルパンファミリーが自然に溶け込む小柳先生の傑作。本公演のスターたちが技術と超絶スタイルでアニメ通りのルパンファミリーを作り上げている分、新人の分際で(笑)どうそこをクリアするか、新たな役作りで本役を震撼させるところまでいくのか・・・。
男役TOP、2番手どころに華と実力を兼ね備えたひとこれいここと、満を持しての97期の先陣を切っての初新公主役の永久輝せあ、そして、2度の新公主演で若手スターの座を確立し、今歌ウマ2番手望海風斗の役で、2番手としてどこまで舞台を支え輝かせるか目が離せない月城かなとの共演!
期待高まりますね

で、観てきた結果…本公演とはまた違ってとても楽しく華のある新人公演でした。
新公演出の担当は樫畑亜依子先生。まだバウデビュー前の方ですが、少ない人数を感じさせない舞台づくりで、本公演と比べての物足りなさのない、たっぷりとした舞台を作って好印象。力のある演出家かとこちらにも期待が高まります。

個別に一言ずつ感想を。

■永久輝せあ(ルパン三世): 初主演なんですよね・・・。彼女はスタイルのよいダンサーで、お芝居の本公演では目立たないけれどショーではあの大ちゃん(鳳翔大)とシンメの位置にいたり、ダンサー口の少人数枠にピックアップされていたり目立つ位置にいるヒト認定。前回の新公では静かなる2番手役で、美しく丁寧な芝居ではありましたが本役早霧さんがいかに、鋭い存在感を放つスターであるかと再認識させられるという新公らしい感想しかなかったのですが。
いやいや、永久輝さんは真ん中向きだったのですね。明るく爽やか、下級生ならではの女の子っぽさはほのかにありつつも下級生にありがちなぽっちゃり感の微塵もないスラリとしたスタイルにあっさりとした細面にきれいなお化粧顔は新公学年離れしています。この学年でここまで都会的な雰囲気の宝塚スターとして出来あがっているなんて。見た目がきれいなルパンそのもので、敢えて早霧さんが作り込んでいるルパンとしてのアクをつけずに素直に若々しく存在している。でも、こんなピーターパンみたいなルパンもアリかな・・・と想わせるフェアリータイプのスターです。
研4という割には歌も伸びやか芝居も出来て身のこなしもきれい。敢えて言うなら線が細くて押し出しが弱いかな?でも今回の役どころには必要充分な存在感とキラキラオ―ラを発散させていて魅力たっぷり。あと、美しいけれど色々とスキルの足りないアントワネット星南のぞみちゃんを包み込んでカバーするようなデュエットに永久輝さんの包容力まで感じ初主演とは思えぬ余裕か!?と思ったほど。
でも、宮廷に迷い込んで、どさくさにまぎれてロアン大司教の薔薇を盗み、アントワネットに献上する場面、服に隠した薔薇を立ち回りの最中に落としていざという時にない!となり、どうするのかな?と見ていたら、エア―お花渡しで乗り切った。度胸もありますね。
最後の御挨拶は、まんべんなく感謝も述べ、上級生の多い新公メンバーへの配慮もあり過不足なく 頭の良い人だなと。そういうタイプはともすれば鼻もちならない印象を与えがちですが、彼女は誠実さと真摯な感情がきちんと伝わり、細身の可憐さも相まって人に敵愾心を起こさせないタイプかと。
雪組の明日は明るいわと確信致しました。
若き日のずんこさん(姿月あさと)、おささん(春野寿美礼)、そしてあさこさん(瀬名じゅん)に似ているというご意見もあり大物が並んだあたり、ヅカファンの期待値の高さがうかがえます^^

■星南のぞみ(マリー・アントワネット): アントワネットの舞台姿が予想外にお似合い。普段はかわい子ちゃんだけれどちょっと地味?舞台だとさほど映えない?と思っていたのが嘘のような美女ぶりでした。その分、本役のみゆちゃんが醸し出していたCUTEで笑い上戸のかわいいマリーの素顔にルパンが庇護欲を刺激された、という流れではなく、ルパンがプラトニックにせよ、マリ―に本気で惚れちまった的な流れに見えました。お歌を始め色々とスキルは頑張って!でも、宙の伶美うららちゃんを普段温かく見守るスタンスのわたくしとしては許容範囲です(笑)

■月城かなと(カリオストロ伯爵): すでに95期スター軍団の3番手?として本公演でも大きな役をもらうポジションで、今回は主役を譲っての2番手どころ。濃いルパンファミリーを向こうに、「カリオストロの物語」がタカラヅカルパンの物語の流れの2本の大きな柱の一つなのだとわかる演技。新公主演でも学年でも先輩として大きな存在感を発揮して手堅く舞台を支えました。
ムラの新公では苦戦していたと聞く冒頭の難しいナンバーも滑舌良くしっかりと歌いこなして、表情豊かに歌い切り、一気にカリオストロワールド(笑)に引き込みました。カリオストロとしての見せ場は1)登場場面 2)錬金術師になれない自分との葛藤・苦悩 3)最後に場をさらっていく意外な登場とどんでん返しのケレン の3つだと思うのですが、「心中恋の大和路」の与平でも見せた”月城かなとの困り眉”でみせた苦悩は得意分野、そして前田慶次の新公で見せたパ―ンとした華やかさをそれを支える眼力を3)で発揮。あとは1)だなと思っていたところがこの安定の力技で、すっかりダブル主演かと思う存在感。
VISUALは望海さんの黒ソバ―ジュの鬘は使わず、本役レト―の時とほぼ同じ前髪ありの縦ロール系の濃い金髪ロングヘアーで、帽子を取る時にさりげなく固まった前髪をほぐしたりのVISUALへの心配りも出来ていてOK!と思ったことでした(笑)
エキゾチックな美貌と屈折した持ち味の望海風斗ならではの濃い役を正統派美形の月城かなとがどう演じるか、楽しみだったのですが、ペテン師としての自分に甘んじていたのが、ルパンの登場で初心を思い出し励まされ魔術に成功し・・と、色々と小芝居もしつつ、軸になるカリオストロの成長物語が浮き上がる演技にわくわくさせられました。
彼女はチャ―リ―(匠ひびき)に似ているとよく言われますね。眼力とえくぼゆえ?

■久城あす(銭形警部): アニメの銭形警部リスペクトの役作りできましたね。久城さんは本当に歌が上手くて芝居も出来る。持ち味はいぶし銀ですが、華もあり技術もあり目を惹く人なので一度は主演もしてもよいかもよ?と思っていたのですが、れいこひとこを有する雪組だからなぁ・・・。とはいえ、本役のともみんがともみんの銭形で押しているので、あすくんもあすくんの銭形で来るかな?と思っていたら、まさかの銭形なあすくんで。
あの大ナンバー「銭形マーチ」を滑舌良く(この新公、ルパン・カリオストロ・銭形の大曲歌手3人がこぞって歌ウマかつ滑舌よしなので、この歌詞ってそういうことを歌っていたのか!と目から鱗がボロボロと・・・)歌いこなすのですが、声を作り込んでいて。本当はきれいに通る美声なのに敢えてとっつぁん声にしている久城さんの役者魂にブラボーと思うと同時にファンの人は複雑だろうなとちょっと思ってしまったりして^^;

■妃華ゆきの(峰不二子): 色っぽい綺麗な不二子ちゃん。本役のせしるちゃんの研ぎ澄まされた役作りとシャープな輪郭をかなり研究してきたなと。娘役スキルでやった方が色気が出て本役と違ったムードを楽しめたかも・・(そういう香りも出せるヒトだと思うので)とちょっと残念にも思いますが、清く正しくのタカラヅカだとこういうシャープ系の方が良いのかな?

■煌羽レオ(石川五エ門)…ダンサーで中高のお顔立ち、美形のレオくんなので、殺陣とか鋭くてきれいだろうなと期待。確かに思った通り、この役とてもお似合いでしたが、意外にも本役翔くんは五衛門として役を練り上げて存在しているのだなと見直すきっかけも与えてくれました。

■真地佑果(次元大介)…本役の咲奈ちゃんが神がかった次元っぷりなので、真地くんはハードル高いぞ!と思っていたのですが、彼女もなかなか芝居心のあるヒトで、かつ長身スタイル良しゆえ、これはこれで素晴らしく出来あがった「次元大介」でした。アニメの次元が大好きな次元オタクなわたくしとしてはお二人に感謝!ですよ~
宝塚の次元は素晴らしい!

■真條まから(レトー・ド・ラ・ヴィレット)…あの「心中」の蜆売りで名を馳せた”上手すぎる下級生”まからくん。
本役美形の月城氏だからこそ、いや、それでもややもったりする(宙組比です。悪しからず)ゴールドの宮廷服に金髪縦ロール鬘。これを装着して美形のレト―本役新公カリオストロ月城氏から「そのイケメンさんと」と振られるまからくん・・・。ガンバレ・・・。
なぜこの役なんだ・・・^^;出来る子なので課題を与えてみました、というところでしょうか^^;

■桜路薫(ロアン枢機卿): 本役の蓮城氏が日に日にキャラを濃くコミカルかつ色っぽく演じていらっしゃるこの役をねっとりイヤらしく、でもそこはかとなくイヤンロアンさまったら・・といいつつウットリの貴婦人の気持ちわかる・・的な色気を発揮されていて驚きです。いや、本公演、とりわけショーの大人な場面でご活躍中の姿を思い出すと不思議はない新公ロアン様、ではありますが。桜路くんってこういう方向の人だったのね、と。貴重です^^。

■花瑛ちほ(ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人): 似合う!彼女のクールな雰囲気にピッタリですね。本役さらさちゃんもアドリブ女王で場を盛り上げていますが、えーちゃん(花瑛)の鋭い視線がジャンヌの黒さの味付けにピッタリで。美しくもあり、ステキなジャンヌでした。

■天月翼(ジョルジュ)と陽向春輝(アンリ): ブルネットが天月くん。金髪が陽向くん。舞台に落ちていた薔薇をひろったり大活躍。ロベスピエールに寝返った(ふりをしていた)銭形を2人で責め立ててましたね。可愛くて立ち位置がハッキリしているお二人でした^^

■彩みちる(セラフィーナ): とても可愛いお顔と芝居心あふれる娘役さん。まだ研2?スゴイですね。でも本役有沙瞳ちゃんの上手さもわかりました^^

■愛すみれ(マリー・ルゲイ): 彼女も役者なんですよね。ヒメさまとはまた違った言い回し、演技を自分なりに作り上げてきましたね。ちょっと大きいけれど(笑)上手い役者さんです。

■悠斗イリヤ(ロベスピエール): アドリブの達人香稜しずる氏が昼公演で新公にエールを送った場面、追われるルパンが立場逆転でロベスピエールを追いつめて銃を向け、撃った!と思ったら銃口から花が咲くというところ、悠「花と掛けて新人公演と説く」永「そのこころは」悠「どちらも花開くでしょう・・・ロベスピエールでした(パタリ)」
ロベスピエールでした、が面白い^^ 雪組は若手に至るまでアドリブキング、アドリブクイーンでいっぱい!

■叶海世奈(オランド長官): 本役が大人の色気の朝風れい先輩。冒頭から登場した叶海さんも朝風氏かと思うほどの美形で、しょっぱなからVISUALもレベル高い!と期待を盛り上げてくれた一人です^^

観て良かった!芝居の雪組ここにあり!のハイレベルな新人公演でした



モンテカルロバレエ団「LAC~白鳥の湖~」2015年日本公演

2015-03-02 05:59:07 | BALLET
Les Ballets de la Companie MONTE CARLO

LAC~白鳥の湖~

Japan Tour 2015



2015年3月1日(日)14:00 東京文化会館にて

王:ガブリエレ・コッラオード
王妃:小池ミモザ
夜の女王:エイプリル・バール
王子:ルシアン・ポスルウェイト
白鳥:アンハラ・バジェステロス
黒鳥:ノエラニ・パンタスティコ
王子の友人(相談役):アシエル・エデソ
闇の大天使:クリスティアン・ツヴァルジャンスキー、ブルーノ・ロケ

[欺くものたち]
虚栄心の強い女:キャンデラ・エッベセン
偽りの無関心を装う女:アレッサンドラ・トノローニ
放埓な女たち:フランセス・マーフィ、田島香緒理
貪欲な女:ガエル・リウ

狩人たち:
ルーカス・スリーフット、エドアルド・ボリアニ、コーエン・ハヴェニス、
オレリアン・アルベルジュ、ヨアキム・アデベリ、リー・ワン、
ダニエレ・デルヴェッキ、エドガル・カスティロ、ステファノ・デ・アンジェリス

その友人たち:
エレーナ・マルザーノ、アンナ・ブラックウェル、サラ・クラーク、
イー・スン、アンヌ=ロール・セイラン

キマイラたち(白鳥):
シヴァン・ブリツォワ、フランチェスカ・ドルチ、ティファニー・パチェコ
エレーナ・マルザーノ、フランセス・マーフィ、
田島香緒理、ベアトリス・ウァルテ、ガエル・リウ、
リイサ・ハマライネン、アンヌ=ラウラ・セイラン、イー・スン、
キャンデラ・エッベセン、アンナ・ブラックウェル

宮廷:
田島香緒理、エレーナ・マルザーノ、キャンデラ・エッベセン、
クイン・ペンデルトン、フランセス・マーフィ、イー・スン、
サラ・クラーク、アレッサンドラ・トノローニ
ティファニー・パチェコ

リー・ワン、ヨアキム・アデベリ、ルーカス・スリーフット、
ステファノ・デ・アンジェリス、オレリアン・アルベルジュ、エドガル・カスティロ、
ダニエレ・デルヴェッキオ、コーエン・ハヴェニス、エドアルド・ボリアニ


◆上演時間◆
第1幕 14:00〜14:50(休憩 20分) 第2幕 (転換) 第3幕、第4幕 15:10〜16:00

モナコ公国モンテカルロバレエ団の来日公演、2月27日(金)のソワレが初日、28日のダブルに続く29日マチネの千秋楽を見て参りました。
モンテカルロバレエ団といえば、巨大なシャボン玉のような球体によって暴力的な外界から守られているオーロラ姫という衝撃的な演出で記憶されている「眠れる森の美女」に始まる鬼才ジャン・クリストフ・マイヨ―の新解釈のモダンな古典作品と看板プリマである、銀髪のショートカットの洗練された筋肉質の美女ベニエス・コピルテルスがまず思い浮かぶところですが・・・。

今回の「LAC」はマイヨ―作品の中でもとりわけ評判の良いものらしく、楽しみにしていたのですが、噂にたがわず緊迫感をとだえさせることなく、ダイナミックなダンスと効果的でドラマチックな演出で短くも観ごたえのある凝縮された作品に仕上がっていてとても面白く楽しんでみることができました。

流れとしては、まず、冒頭に白黒映画のような映像で、金属のお面をつけた王と王妃、そして幼い王子がピクニックを楽しんでいると可愛らしい女の子と運命の出会い・・と思いきや、サングラスに黒のワンピース、洗練された50年代調のファッションの夜の女王が女の子を拉致、自分の娘を王子に押し付けようとする悪夢・・・から始まっての成長した王子を中心とする現代の宮廷シーンへ。

王子には親友がおり、彼は王子を仲間に引き合わせたり、ガールフレンドを紹介したりする一方で、彼のことを親身になって考えており、王子が罠にハマる前に察知して阻止しようと力を尽くすなど、踊りも含めて演じがいのある役どころ。後半のアシエル・エデソは素晴らしく切れ味の良いダンスと王子と似た雰囲気のラテン系な容姿でピッタリでしたが、初日と翌日マチネには日本人が1,2位を取った第42回ローザンヌバレエコンクールで6位に入賞し、モナコに留学してそのままモンテカルロバレエ団に入団した加藤三希央さんがキャスティングされていたらしく、そちらも観たかったな・・と思ったことでした。
この日も、男性群舞に加藤さん?と思えたアジア人男性ダンサーがいましたが、多分イ―・スンですね。お顔立ちが似ているので客席のオバサマが「三希央くん、日本のコンクールで一位を取っていた頃よく見ていて背が高いイメージがあったけれどこうして外国のバレエ団に入ると大きく見えないわね!」とおっしゃっていましたが・・・^^;



花嫁候補たちに代わる「欺くものたち」の設定が面白い。
王子に取り入ろうと彼を籠絡すべくあらゆる手練手管を使う女性たちの媚態がファッショナブルな衣装と果たして彼女たちの意図は王子に向かっているのか自己主張なのか・・・
おとなしく並んで心ここにあらずの王子に無視されるだけの古典の「白鳥の湖」における花嫁候補たちの一群による退屈な場面に比べてグッとキャッチ―な場面になっています。
ここで双子のようなコケティッシュな「放埓な女たち」に田島香緒理さんがクレジットされていますね。



設定といえば、悪魔ロットバルトに相当するのが「夜の女王」。エレガントで魅惑的な女性として登場し、王を誘惑します。王妃は何度も夜の女王と直接対決し、心変わりしそうな王にも詰め寄り・・・。
この大人の三角関係もまた見所の一つ。
小池ミモザさんが王妃ですが、上野水香さんばりに手足が長く長身で、パッツン前髪の黒髪ロングヘアーと相まって日本人的な個性的なお顔だちがエキゾチックで他と一線を画する女王という役どころにピッタリ。
大きく弧を描く脚のラインに沿って、金色のプリーツがたなびくお衣装がとても良くお似合いでハッとさせられました。
夜の女王役はもともと、コピエテルスに宛書きされた役だそうで、彼女で観たかったなと。
今回来日メンバーに入っていないのですよね。



そう言えば、2月27日に8月の「世界バレエフェスティバル」の概要が発表されましたが、コピエテルスはメンバーに入っていませんね。残念。彼女とベジャールバレエ団のジル・ロマンとの大人なデュエットが忘れられません・・。
ベジャール・バレエ団といえば、今回のバレフェスメンバーにはひとりも入っていない・・というのは珍しいかも。
現在ウラジーミル・マラーホフがアドバイザーとして東京バレエ団で仕事をしていること、2月20日に、ロシアと縁の深い斎藤友佳理さんが東京バレエ団の芸術監督に就任されたと発表されたことなどから、NBSもベジャールバレエ団との特別な兄弟バレエ団的な関係からロシア寄りに舵を切ることになるのかなと感じたり。



2幕から、王子は湖で白鳥と出会い、あの日の少女が成長して夜は白鳥昼は人間の女性に戻ることを知ります。
誕生パーティに現れた彼女に喜び勇んで両親にも紹介。彼女は白い衣装を身につけて仮面舞踏会の仮面をつけて、たおやかに愛らしく、オデットとしてふるまっており、王子以下皆がそれと信じて疑わない中、王子の親友が気付きます・・・が夜の女王の臣下たちに取り押さえられ・・・
愛を誓った王子に仮面を投げ捨て狂ったように嘲笑する女王の娘。
悲しみに打ちひしがれながら現れた本当のオデット。
そのオデットを追う王子。
王妃と夜の女王の対立。

混乱のさなか、人々が夜の女王の娘の遺体を掲げて進みます。
勝ち誇った夜の女王の顔がゆがみ、オデットと王子も含め全ての上に天井からつりさげられた大きなグレーの布地がまるで湖のように覆いかぶさります。
夜の女王の臣下がその端を持って走り・・・綺麗なドレープを描いてそれがまた天井に戻ると・・・

・・・そこには何も残されてはいませんでした。

ジャン・クリストフ・マイヨ―のマジカルな世界に魅了されたなんとも濃い2時間でした。
ゴンクール賞受賞作家のジャン・ルオ―が紡ぎ直した物語は昼と夜、二つの世界が拮抗して混じり合う簡潔にして濃密なドラマの抽象的な主軸がはっきりしていて、ダンスの見所も多く、マイヨ―作品の中では今まで観た中でBESTかも。
2011年モナコで初演。