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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚雪組「前田慶次」新人公演 宝塚大劇場

2014-06-27 05:12:51 | TAKARAZUKA
このところ、大劇場に遠征することに対しての心のハードルが非常に低くなっているわたくしです。
だって、バウホール公演は東京では観られないのですよ!
では新人公演は・・・。

雪組13:00本公演観劇、そして18:00の新人公演。
2014年6月24日(火) 宝塚大劇場

まずは本公演の感想から述べるべきなのでしょうが、ここは衝撃の新公から・・・!

宝塚傾奇絵巻
『一夢庵風流記 前田慶次』
~原作 隆慶一郎『一夢庵風流記』(新潮文庫刊)~
脚本・演出/大野 拓史
[解 説]
隆慶一郎による人気小説を舞台化。
世は関白・豊臣秀吉の隆盛期、大名・前田利家の甥にあたる前田慶次は、利家の下を出奔し、京へと向かう。まつとの秘めたる恋、奥村助右衛門との友情を軸に、天下の傾奇者として名を馳せた男の豪放磊落な生き様を描く話題作。

新人公演の主な配役が発表された時、これは何が何でもチケットをとらなくては!と思ったのが、この並び。

前田慶次: 月城 かなと(壮一帆)
まつ(利家の正妻): 有沙 瞳(愛加あゆ)
奥村助右衛門(前田家の重臣、慶次の莫逆の友): 永久輝 せあ(早霧せいな)

月城かなと&永久輝せあ!
この並びを見逃すわけには・・と東京公演を探すも、すでに5倍以上の価格のものしか出回っておらず、さすがにこれはと様子を観ていたのですが、市場に出回るチケット数が他の新公に比べて極端に少なく、これはなんとか早めに手を打たなくては・・・と大劇場での新公に遠征することを決意。
お昼に本公演をみて、18:00からの新人公演。
このパターン、正解でした。
東京宝塚劇場では望むべくもない、8列目センターブロックという好位置での観劇。オペラを使わずして表情が読み取れ、舞台の端まで視界に入るという・・。

ストーリー、演出の詳細については、後述の本公演感想時に述べるとして、取り急ぎ、目についた出演者の寸評を



■月城かなと *( )内は役名・本役 (前田慶次・壮一帆)

月城かなと、さすが前回の雪組公演「Shall We Dance?」で2度もわたくしにあの子ダレ?と尋ねさせた若手男役。
(いや~2番手男役演じるヒロインの元とはいえパートナー役をするからには相当の学年、それにしては知らない顔、でも綺麗・・で混乱したのですね。あと、パレードで端っこにいるのにお化粧も髪形も立ち姿も出来あがりすぎている!ダレ?!となったという次第です)
カッコ良かった!
殺陣、巨大な馬「松風」(松竹の人が2人がかりで中に入っています。高さが地上2mくらいのところに鞍が!)の乗りこなしっぷり。傾奇者の派手やかな衣装の数々の着こなしの艶やかさ
いやはや・・・。
そして殺陣、決まっていました。
お顔立ちが整ってハッキリとした眼力がある方なので、長槍を客席に向けてキッと睨む視線をまともに受けてしまったのですが凄い気迫に押されました。
冒頭から、映像と効果音の真ん中での殺陣!そしてあのタイトルロール!
「前田慶次 月城かなと」と。
ここ、本公演では「前田慶次 壮一帆」と映画のようにテロップが出て、それがカッコいいのですが、新人公演仕様にキチンと!直されているのですね。
通常、新人公演と言うと、本公演の演出家とは他のサブでついている演出家が指導を行ったりするのですが、今回の作品では、本演出家の大野先生が新人公演も担当されているということで、色々と配慮が細やか。
新公初ヒロインの有沙瞳ちゃんとの並び、美男美女で最高でした。ラブシーンも歌舞伎の和事のような美しさとしっとりとした情感と品の良さが漂うもので。絵になる2人・・・のセリフがしっくりきましたね。
それに、壮さんならでは、かな?と思っていた関白様接見で剽げる場面なども、なんなくこなし。(ここ、下手の傾奇者仲間たちのリアクションも良かったですね)
セリフ回しも上手く、滑舌も良い。ただ一か所だけ、逢引の場に無粋な・・・的なことを言うところでちょっと噛んだのですがその一か所だけ、でした。
ラストのセリフ、壮さんのときには退団公演仕様で「散らば桜の如く、楽しゅうござるなぁ」なのですが、新人公演かなとくんには「まもなく満開、楽しみでござるなぁ」。これまた大野先生の粋な計らい。

全く。楽しみでござる。無限大の可能性を秘めた男役、月城かなとのこれからの大いなる成長が!

■有沙瞳 (まつ・愛加あゆ)

ひとこと。歌えるわかばちゃん。
小柄ながらもバランスのとれた容姿の娘役さん。172cmのかなとくんと161cmの瞳ちゃんの身長差のバランスもきれい。お鼻が高い中高の卵型のお顔なので、和物でないお化粧でどれだけ華があるか、検証してみたくてたまりません。雪組娘役は何気に美女・美少女が多くて以前から注目していたのですが、若手もどんどん出てきていますね!

■永久輝せあ (奥村助右衛門・早霧せいな)

れいこひとこ、とセットでこれからも売り出して欲しい。彩彩(彩風咲奈・彩凪翔)コンビの実績のある雪組だからこそお願いしたいです!(誰に?雪組プロデューサーに!)
優等生タイプ・正統派美形男役の月城かなと(れいこ)とアイドル系弟タイプの男役永久輝せあ(ひとこ)。
並びは万全です。
助右衛門は静の役どころゆえ、芝居上手で、透明感と研ぎ澄まされた強さのある早霧さんならではの存在感とは違う柔らかな佇まいは、冒頭ちょっと地味で凡庸に感じられたりもしたのですが、最後の親友どおしの2人の掛け合いの場面、しっかりと心を伝える演技でした。
歌も、アイドルタイプゆえに期待していなかったのですが(スミマセン^^;)思いがけずに良かったです。

■真地佑果 (深草重太夫・夢乃聖夏)

このヒトもお芝居がいいですね!ちょっと鼻にかかった声、誰かに似ているのだけれど想い出せず・・・。
175cmの長身にこぼれる愛嬌。
個性的な声なれど発声と滑舌が良いのか、セリフ声が聞き取りやすく笑いのツボを取り逃さない。センスありますね。

■久城あす (庄司又左衛門・香稜しずる)

もう、御挨拶が立派過ぎて・・・。新公の長として、御挨拶をされたのですが、完璧でした。
あ、ちなみにあすくんに紹介されてのかなとくんの御挨拶も感謝の心がしっかりとこもり、次への課題もきちんと述べる、まったく心配のない素晴らしいものでした。
久城あすくん、いつどこの組で組長となっていただいても大丈夫なんじゃなかろうかと。
新公学年でこのしっかりっぷり。
芝居もいいですね・・・。歌も大好きですけどこのヒトのとても目立つ強い光を放ついぶし銀の味がたまりません。
本公演でも、この人が従者と言うことはお仕えする相手はただならぬ身分の人に違いない、とあすくんから想定できてしまうという。影の大物です。大事にして欲しい人です。

■煌羽レオ (雪丸・未涼亜希)

この方、頭の形が綺麗なんですよね・・・。で、中高のお顔立ちで、日本人離れした頭部のシルエットで眼を惹く人です。雪丸は登場時に雷鳴轟きスモーク焚かれ、黒に金の蜘蛛の巣の刺繍の忍びという、黒くて派手な役。
VUSUAL的にピッタリです。
ただ、本役さんが大層お歌の得意な方で、煌羽さんはどちらかというとダンサー専科ゆえ・・・。
とてもおべんきょうになったのではないでしょうか。

■真條まから (二郎三郎・一樹千尋)

専科さんの役をやすやすこなす98期生。研3で組内専科って・・・そら恐ろしいわ。
そう、「心中・恋の大和路」で冒頭、なんとも間の良さと声の良さであの子ダレ?となった蜆売りです。
腹に一物・・・の大物役をしっかりとこなしてきました。
彼女も組内成績TOPですね。頼もしい・・・。

■桜路薫 (豊臣秀吉・夏美よう)

月城くんの同期、95期の組内成績TOP。
らしい、素晴らしき存在感。眼の効かせ方、セリフの溜め方など上手い!
どことなくインテリで高貴な感じが漂うので、豊臣秀吉なのに、徳川家康以上の大物に思えてくる不思議な現象が^^;

■天月翼 (前田利家・奏乃はると)

コミカルな演技が素晴らしい。本役さんがコメディリリーフとして笑いをとりつつ、それでも、戦国武将の1人らしい重々しさをやや保っているのとは違って完全に小物で、何かと言うと奥村助右衛門に頼ると言う・・・^^;
愛嬌のある人。花組の天真みちる氏を思い出させました^^
かなとくんと同期の95期生!

■星乃あんり (深草屋しげ・麻樹ゆめみ)

重太夫の姉。愛らしい容姿ゆえ、無垢な少女役が多かったあんりちゃん。今回は弟をアゴで使うちゃきちゃきなお姉さん役・・が意外にハマって。芸の幅が広がった感あり。これからが楽しみです^^

■星南のぞみ (捨丸・咲妃みゆ)

こうしてみると、雪組98期生は真條まから、星南のぞみ、有沙瞳、と粒揃いですね!
愛らしい容姿、娘役らしい芝居声、身長162cmと、将来のTOP娘役候補。
芝居心があって、捨丸のひたむきさ、愛らしさが伝わる演技。本役のみゆちゃんと甲乙つけ難し。

■咲妃みゆ (歌比丘尼・早花まこ)

脇をしっかりしめる役どころでもパッと目を引く存在感。これぞ次世代のTOP娘役。
ちゃんとここにあり、との存在感を見せてくれました。

それにしても、今の壮さん、あゆちゃんコンビも良いけれど、次の早霧せいな・咲妃みゆコンビも、相当芝居心が溢れ出るステキなTOPになりそうで・・・。脇を固める中堅~若手もこの新公を見る限りスターも実力者も目白押し。
これからも見逃せない組であることよと。再認識した新人公演でした



小菅優 ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会 第7回

2014-06-21 07:44:06 | MUSIC
2014年、6月20日(金)19:00~

宙組東京公演初日を観たその足で タクシーで駆けつけたのは紀尾井ホール。

小菅優(こすげゆう)ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ 全曲演奏会シリーズ第7回、に行って参りました。

プログラム

ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1

         ピアノ・ソナタ第11番 変ロ長調 Op.22

         ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィア」



紀尾井ホールほぼ満席の観客の熱い拍手。
確かに素晴らしく完成度の高いベートーヴェンを聴きました。

一音一音非常に丁寧に慎重に練り上げられた音色の確かさ、若さと健康に支えられた・・と見える、何とも言い難い律動感と演奏家によって吹き込まれた漲る生命力。

ベートーヴェンの曲の持つ力強さと遊び心とちょっとした愛らしさと宗教的な解脱感と迷いと救いと・・・と、
それぞれの楽曲それぞれの楽章のメッセージを明快に示す、しっかりとした曲への理解は1983年生まれ、30歳そこそこの若さには思えない深みも。
それもそのはずで、リサイタル歴は9歳から・・カーネギー・ホールデビューが2005年という彼女にとって、今はすでに円熟期に差し掛かり、演奏家としてのテクニック・体力と知見を兼ね備えた理想形に差し掛かっている時期ならでは満を持しての挑戦、ということなのかもしれませんね。

ベートーヴェン最大の難曲とされるハンマークラヴィアはさすがに迷走~救済に至る流れをしっかりととらえつつもややもの固い印象もありましたが、第5番、第11番は素晴らしく、律動感溢れる演奏を堪能しました。
デリケートなペダル使いも完璧で、本当に上手い・・・。

次回は2015年3月21日(土)18:00開演、紀尾井ホールにて。
第30番、31番、32番でこのシリーズが完結します。




バルバラ・フリットリ ソプラノリサイタル2014

2014-06-05 14:07:11 | MUSIC
<バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタル2014>
Barbara Frittoli Soprano Recital 2014



6月4日(水) 7:00 p.m. 東京オペラシティ コンサートホール

第1部 (Part 1)  7: 00 p.m. - 7: 55 p.m.

ドニゼッティ:歌劇『ラ・ファヴォリータ』 より 序曲 [オーケストラ]
DONIZETTI: La Favorite -Ouverture

デュパルク:「旅へのいざない」「悲しき歌」 
DUPARC: Invitation au voyage, Chanson Triste

ベルリオーズ:歌曲集「夏の夜」より第1曲「ヴィラネル」、第6曲「知られざる島」 
BERLIOZ: Villanelle, L'lle inconnue

マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』 より 間奏曲 [オーケストラ]
Mascagni: Cavalleria Rusticana, Intermezzo

トスティ:アマランタの四つの歌
TOSTI: Quattro Canzoni d'Amaranta

-休憩20分-

第2部 (Part 2)  8: 15 p.m. - 8: 55 p.m.

モーツァルト:歌劇 『皇帝ティートの慈悲』 より
"おおヴィッテリア、今こそ~今はもう美しい花のかすがいを"
MOZART: La clemenza di Tito -Ecco il punto o Vitellia

マスネ:タイスの瞑想曲 [オーケストラ]
MASSENET: Thais -Meditation

マスネ:歌劇『マノン』 より "さよなら、小さなテーブルよ"
MASSENET: Manon -Adieu notre petite table

ヴェルディ:歌劇『アイーダ』 より "勝ちて帰れ"
VERDI: Aida -Ritorna vincitor

プッチーニ:歌劇『マノン・レスコー』 より 間奏曲 [オーケストラ]
PUCCINI: Manon Lescaut -Intermezzo

プッチーニ:歌劇『トスカ』 より "歌に生き、恋に生き"
PUCCINI: Tosca -Vissi d'arte

指揮:アレッサンドロ・ヴィティエッロ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

※既にお知らせしておりますとおり、当初発表しておりましたモーツァルト作曲、歌劇『ポントの王ミトリダーテ』より"恩知らずの運命の厳しさが"は、来日後、フリットリがオーケストラとのリハーサルを行いプログラム全体のバランスを考慮した結果、本人の意向により本曲目をプログラムから割愛することとなりました。なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。


以上が本プログラム。
今回、「シモン・ボッカネグラ」アマーリア役での彼女を楽しみにしていたのですが、残念ながらリハーサル時に体調を崩されて降板。リサイタルは予定通り行われると知って、オペラ全幕で見られるのなら、リサイタルはいいことにしましょうとあきらめていたのが口惜しい・・と思っていたら、思いがけないお誘いが!
10列目サブセンターの下手席。とても見やすいお席での観賞が叶いました。

一幕目はゴールドっぽいクリームイエローのドレープドレスの下に黒いキャミソールをのぞかせたようなデザインのドレスで。黒の大きめなビジューネックレスでコーディネート。御自慢のボリュームのあるストレートの栗色のダウンヘアをハーフアップにしてのご登場。
繊細な声色で歌う歌曲もそれぞれに味わい深いものでしたが、やはりだんだんと調子を上げられて・・・。
2幕目では、黒の裾を長く引きずったノースリーブのロングドレスのインにキラキラ煌めくラインストーンがグラデについたタンクを重ねて胸元からウエストに掛けてドレープの入ったデザインのドレス姿。
一幕と同じ傾向のデザインで、よりドラマティックに装った歌姫はやはりオペラの演目で輝いて見えました。
アイ―ダの「勝ちて帰れ」の歌唱での歌の緩急ドラマチックなクレシェンド、表情の付け方、腕の動き全てが大劇場芝居で、あぁ、やはりこのヒトは大オペラのプリマドンナだ・・・・と実感。
その後のトスカも素晴らしく、万雷の拍手に応えてのアンコール、アドリアーナ・ルクブルールも圧巻。
「哀れな花よ」に続いての「私は創造の卑しい僕」。指揮者とのリラックスしたジェスチャーの掛け合いも楽しく。
彼女はどちらかというとスロースターターなのでしょうか。
予定時間が、終演9:20とありましたが、プログラムでは8:55くらいに終わる構成なので、アンコールは25分か・・・と予測していたのですが、この調子ならまだまだ続けて歌っていただけそうなくらい、声の伸びとオーケストラとのバランスは後半ほど良く思えました。
最後に歌ったのは20年前だから上手く歌えるかしら?と楽譜をお茶目な表情で確認しながらのラストはマスカ―二の歌劇「友人フリッツ」の「この僅かな花を」。

今回の体調不良の報と関連するのかはわかりませんが、時々眩しそうにされたり、チック症のように片頬を小刻みに動かされたり・・・という瞬間があり・・・。お声は万全でしたが、もしかすると本調子ではいらっしゃらないのかも。
オペラシティの上の方まで(そして後方上部のお客様にも配慮されていました)埋まった日本のファンのために無理をしてくださったのかもしれませんね

NBSのHPにインタビューが載っていたので一部を転載させていただきます。
>「わたしの声はピュアなリリコ。軽すぎることもなく、かなり暖かい音色のリリコです。リリコのなかでは、少し重めの役も歌える声質だと思います」
 これは2005年に滞在先のトリノでインタビューしたときの、フリットリの言葉だ。なんと冷静に的確に自分の声を把握し分析した言葉だろう。あれから10年近くが経過して、いまの彼女の声はスピントの役柄まで歌えるほど充分に成熟している。しかし賢明な彼女はつねに「純粋なリリコ」に戻れるベースを保ち続けている。

以上ですが、ミミなど可憐な娘のソプラノのイメージがある彼女、温かみのある知的にコントロールされた歌唱と声質で、もっと重めの役も面白いかも・・・と思っていましたが、今回もアイ―ダがとても良くて。
いつどの歌劇場公演で観てもファンの期待を裏切ったことのない彼女、今後も楽しみなDIVAです