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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組新人公演「TheLostGlory ―美しき幻影―」東京宝塚劇場

2014-09-26 09:37:29 | TAKARAZUKA
台風の雨風が夜の東京を揺るがす中、行って参りました。
星組新人公演 TheLostGlory。

お目当ては「黒い琴ちゃん」です

《配役表》( )内は本役です

叩きあげの実業家オットー・ゴールドスタイン  (轟 悠) 麻央 侑希
オット―の片腕イヴァーノ・リッチ  (柚希 礼音) 礼 真琴
セレブ画家ディアナ・キャンベル  (夢咲 ねね) 綺咲 愛里

ディアナの初恋の人・美術教師ロナルド・マーティン  (紅 ゆずる) 瀬央 ゆりあ

オット―の後ろ盾実業界の大物ウォルター・ライマン (十輝 いりす) 漣 レイラ
経済学者ウィル・スミス (鶴美 舞夕) 桃堂 純
出入りの宝石商ムッシュ・ヴァラン (壱城 あずさ) 凰羽 みらい
オット―の執事サム (美城 れん) ひろ香 祐

イヴァーノのライバルでエリート カーティス・ダンフォード (真風 涼帆) 紫藤 りゅう
カーティスの同僚トーマス (夏樹 れい) 遥斗 勇帆
カーティスの同僚ヘンリー (十碧 れいや) 湊 璃飛
カーティスの同僚マイケル(麻央 侑希) 彩葉 玲央
カーティスの元愛人人妻 フランシス・デュモント ( 音波 みのり) 天乃 きよら

カーティスの友人レイモンド・ウォーカー (天寿 光希) 天華 えま
カーティスの友人エマ (音花 ゆり) 妃海 風
エマのいとこミラベル( 綺咲 愛里) 城妃 美伶

移民できなかったオット―の母エヴァ( 妃海 風) 五條 まりな
7歳のオットー (城妃 美伶) 美都 くらら

伝説の靴磨き少年パット・ボローニャ (礼 真琴) 綾 凰華
その仲間ドン( 如月 蓮) 音咲 いつき
その仲間ビル (紫藤 りゅう) 紫 りら

ディアナの母バーバラ・キャンベル (万里 柚美 ) 毬愛 まゆ
リチャード・キャンベル (輝咲 玲央) 凰津 りさ
ベン (美稀 千種) 飛河 蘭
ディアナの伯母 (毬乃 ゆい) 華鳥 礼良
ディアナの伯母 (白妙 なつ) 澪乃 桜季
ディアナの従兄 (大輝 真琴) 蒼舞 咲歩
ハリー・エヴァンズ (海 隼人) 朝水 りょう
スタンリー (汐月 しゅう) 拓斗 れい
運の良い主婦 ( 優香 りこ) 白鳥 ゆりや
ヴォーグ誌の女記者 (愛水 せれ奈) 真衣 ひなの
ヴォーグ誌の女記者 (妃白 ゆあ) 逢月 あかり
スティーブ( 瀬稀 ゆりと) 夕渚 りょう
エリオット (瀬央 ゆりあ) 天希 ほまれ
ジョー (音咲 いつき) 天路 そら

終わりました。

琴ちゃん(礼真琴)が黒い!腹黒いし黒くてシュッとしたメイクもいまやお手のもの。10センチのチャンキーヒールでもしっかり踊れるのは流石。
低くハスキーな本役柚希さんのキーでも琴ちゃんクオリティの歌唱力は耳福でした。

麻央くんは、前髪を縮らせて轟さんに似せようとしていましたが、長身小顔で特に老けメイクもしていないので、ギリシャ移民というよりはWASPの重役たちと変らない雰囲気で。黒塗りで目もとを濃く作った琴ちゃんだけが毛色の違う人に見えて、ある意味対立の構図ははっきりとしたと思います。
ただ、美しいセレブ妻に対する嫉妬の原因である劣等感の前提がVisualにはなく・・・。
美しいけれども身長が高くはなく、年齢もかなり上であるという外的条件が専科である轟さんにはそのまま備わっている前提が麻央くんにはないので、初見の人にはわかりにくかったかもしれませんね。
キーも超低音の轟さんのナンバーは歌い出しの低音がまるで出ていなくてハラハラしましたがだんだん調子が出てくると流石に経験値の高さと持ち前の度胸が^^
中盤以降の銀橋の歌は、琴ちゃんイヴァーノとの2重唱も、技術というよりは気合で?ではありましたが、がっぷり組んでいる感はありました。

綺崎愛理ちゃんは全てのお衣装をハイヒールで着こなすことが出来るアドバンテージもあってか見た目はねねちゃんとはまた違う魅力が。お歌も上達して危なげないヒロインっぷり。あの妄想タンゴは流石にねねちゃんの長い脚さばきはのぞめませんでしたが…
琴あいりのタンゴはステキでした。麻央くんは最初のソロ、ターンでよろめき大丈夫?!とヒヤッとしましたが、その後はショックでよろめいている解釈で^^;

せおっち(瀬央ゆりや)は最初あまりにも存在感が薄い?と見えましたが、騙されたあたりから豹変。ラスト、イヴァーノ襲撃場面は緊迫感あり!で高まりました。銀橋のお歌も良かったです。彼女はソフトな雰囲気が持ち味ですが、歩き方や歌唱に変なクセがないので、最初は普通の人、騙されたところでキレるという流れがスムースだったと思います。

ちょっと、まだまだだな~と思ったのは真風くんの役のしどりゅー(紫藤りゅう)。
とにかく線が細くて…
あと、マカゼくんの腕が長すぎなのか、ジャケットのお袖が手をほとんど覆っていて…
周囲を固めるマオポコ夏樹れいちゃん役の子たちの方がまだしも存在感があったかも。
ある意味、のほほんとしたお坊ちゃま役でもマカゼくんのスター力は伊達じゃない、ということかもしれないな、と思いました。素直に育った育ちの良いアイビーリーガ―ズ、というこの友達集団ですが、中でも頭一つ目立つ存在でなおかつ女好き・・という設定が醸し出されるようになるといいのですが。そこまでは表現できていなかったかな?
真風くん役の別解釈は、ポコちゃん(十碧れいや)で観たいと思うわたくしです。かつ女好きでツンデレ、まで見せてくれそうなので・・・。新人公演はもう卒業されているのですよね、残念。

後、しどりゅーが芝居でくむ相手が、新公レベルを越えている妃波風ちゃん城妃美玲ちゃんだというのも大きかったかも^^;
みれいちゃんはセリフも仕草もひときわ表情豊かでチャーミングでした。
彼女も楚々としたお嬢さんらしさがある割に、芝居の密度が濃い人で、そこが魅力ですよね。
星組的には花組異動が惜しまれます。みりおくんと組むならぴったりなのに・・・。相手役が花乃まりあちゃん就任予定とわかっていますからね。

天華えまちゃんはレイモンド…ということはミッキー(天寿光希)の役?ヘアスタイルはミッキーそっくりの金髪で芝居も良く…。風ちゃん美玲ちゃんと並んで出てくることが多いので、妙に新公離れしたトライアングルを形成していました

ひろ香くんはサム。専科の芝居上手で定評のある美城れんさんの役で、すごくデキル人でなおかつ誠実そのもの。彼女がイヴァーノの裏切りを聞かされているときの目の表情の変化はドラマを影でしっかり支えていました。
出で琴ちゃん会の前を通るときのいい人笑顔は流石ひろ香ゆうくんでした。

琴ちゃん役の靴磨き少年綾凰華ちゃんは姿がきれいで芝居の間も良く、目を引きました。
お歌は琴ちゃんほどの美声ではありませんがセンターに居る姿に違和感なし。

妄想タンゴの場面、居並ぶ男たちと次々踊るあいりちゃん…の男役で一人ダンサー発見!誰だか知りたいです…
こういう時、目深にかぶった帽子が口惜しいですよね・・・。

しーらん(壱城あずさ)がやっている宝石商役の凰羽みらいちゃん、しーらんそっくり!なヘアメイク。で演技も可愛く笑いを取っていました。
風ちゃん役(移民できなかった母)の五條まりなちゃんは美声で子供オット―の役の美都くららちゃんは可愛かったです。

まさこさん(十輝いりす)役の漣さん、こういう色気のあるおひげの叔父様は何度も新公で経験済?
おなかに詰め物もして貫録を出してきましたが、漣さんをもってしてもまさこさんのセレブ感には届かないのだなと改めて。十輝さんってアルマーニや毛皮のコートの叔父様を格上げしてリアルに見せる存在感がやはり唯一無二のものを持っているのだなと改めて。
新人公演は、フレッシュな才能を発掘するとともに、見慣れてつもりの上級生本役の技や個性や魅力を再発見させてくれる場でもあり、本当に観ていていろいろと面白いデス。

興に乗って、雨がちらほら降ったりやんだり・・・の出のギャラリーに参加。麻央くん、琴ちゃんともに150人くらいでしょうか。かなり待ったかな?というところで、せおっち、琴ちゃん、最後に麻央くんが。

琴ちゃん、出 バッチリフォロー出来ました!

ファンクラブの方々の悪役琴ちゃんにすっかり心をつかまれてしまいました、という主旨の長いコールに大きな目を更に大きくして頷きながら耳を傾ける琴ちゃん可愛すぎです・・・。
「明日からはまたよい子 でもないかなに戻って死に物狂いで頑張ります!(ちょっと歩いてから振り向いて片手上げて)良い夢を

もう~~~~~
可愛すぎですよ!どうですか?これって・・・

雪組の月城かなとちゃん、星の礼真琴くん、そして花の柚香礼ちゃんと、各組新公主演の95期生が楽しみでなりません・・・。と見守っているうちに、彼女たちの下の世代も着々と育っていることもまた実感したことでした






宝塚宙組バウホール公演「Sanctuary(サンクチュアリ)」

2014-09-14 05:59:23 | TAKARAZUKA
宙組Weeksのトリは、新人公演卒業後の初主演を務める愛月ひかるのバウホール公演
バウ・ゴシック「Sanctuary」
アンリ4世と王妃マルゴーの物語で、イザベル・アジャー二の映画「王妃マルゴー」がイメージソースの宝塚演出作品としては「VictorianJazz」に続いて2作目の気鋭の新人演出家田渕大輔。
ポスターが主役2人をドラマチックに配したゴシック調の重厚なコスチュームものらしい出来栄えで、期待して遠征して参りました。
9月6日が初日で16日が千秋楽。
観劇日は2014年9月9日(火)。11:00公演と14:30公演のW観劇で。休演日の前日ですね。前半の集大成。


バウ・ゴシック
『SANCTUARY(サンクチュアリ)』

作・演出/田渕 大輔
作曲・編曲: 斎藤恒芳
装置: 大橋泰弘
衣装: 有村淳
照明: 勝柴次朗

[解 説]
 16世紀、ヴァロア王朝下のフランス。南仏の小国であるナヴァールの王子・アンリが、キリスト教の二つの教派=カトリックとプロテスタントによる宗教戦争を終息させ、フランス国王・アンリ4世として即位するまでの物語。
 アレクサンドル・デュマの小説で知られる彼の妻・マルゴを巡る愛や、盲目的な信仰の中に渦巻く人間の欲望をドラマティックに描く。

■プロテスタント側■
アンリ・ド・ナヴァール  愛月 ひかる
ジャンヌ・ダルブレ(アンリの母)  花里 まな
デュ・バルタス(アンリの側近)  星月 梨旺
オルトン(アンリの小姓)  七生 眞希
コリニー提督(プロテスタントの指導者) 松風 輝
ルイーズ(コリ二―の配下・ヴァロア家の侍女として潜伏) 彩花 まり

■カトリック側■
マルグリット・ド・ヴァロア  伶美 うらら
カトリーヌ・ド・メディチ(マルゴの母)  純矢 ちとせ
ルグジェリ(占い師・調香師)  花音 舞
シャルロット(マルゴの侍女・友人) 愛白 もあ
アンジュー公(マルゴの次兄) 春瀬 央季
シャルル9世(マルゴの長兄) 秋音 光
ギーズ公(強硬なカトリック大貴族) 凛城 きら
ナンセー(ギ―ズ公の側近)  美月 悠
ミシェル(ギ―ズ公を想う侍女) 遥羽 らら
兵士/枢機卿  朝央 れん
兵士/侍従   水香 依千
兵士/看守   潤奈 すばる
兵士/司祭   希峰 かなた
侍女  華雪 りら、 瑞希 めい、 美桜 エリナ、花菱 りず


プロテスタントのナヴァール王愛ちゃん(愛月)の黒いティボルト風外見が、え?これ、愛ちゃん?と二度見するカッコ良さ。
対するヴァロア家王女マルゴは麗しのうらら嬢(伶美)。
カトリック急進派の大貴族、ギーズ公りんきら(凛城)の台頭を牽制するための政略結婚を命じたのは母カトリーヌ・ド・メディチせーこちゃん(純矢)。
サンヴァルテルミーの虐殺、ネーデルラントのプロテスタント弾圧など、オペラ「ドン・カルロス」の時代だな、とほとんど予習なしに観ても即理解可能な時代の世界観。お衣装も装置も抜くところは抜いた重厚さとセンスの良いゴージャス感がオペラっぽい感じ?今回のスタッフは上にも挙げましたが、かなりわたくし好みの布陣で、プログラムを開けた瞬間、このメンバーは・・・揃いすぎ!と思いました

女役三人、せーこちゃん、毒薬も作る占い師の花音舞ちゃんその毒を盛られるアンリ母花里まなちゃんは眉をも潰した白塗りで禍々しく、対する娘役たちは、上品なジョーゼットのパステルカラーのドレスで、なるほど若手娘役の綺麗どころはバウに集合していたのね!と納得の可愛さ。

対立と一方通行の愛、真実の愛と相手を利用するための偽りの愛が交錯するルーブル宮。
その中で、初めは純真に歩み寄るアンリにも警戒心を解かないマルゴが、母親の死の真相を知って一転して態度を硬化させるアンリと心を通わせるまでを色濃い愛憎の中で描く新人田淵先生の力作。

恋のライバルでもあるギーズ公りんきら(凛城)が悪役にして美味しい役。その配下に美月悠くん。
うららちゃん兄に春瀬くん、愛ちゃん配下に星月梨旺くんと七生眞希ちゃんと美形揃い。皆今までとちょっと雰囲気の違う髪型で、でもお似合いで^^

宙組、三カ所に分かれてもなお、各ユニットの麗しさにまたもや宙担誇らしさを覚えるの巻…☆でした。

愛ちゃん、うららちゃんのお歌は、むりのないキー、セリフのような歌詞など、工夫に満ちていて感心しました。
せーこちゃんは彩花まりちゃんとともに、歌える人向けの曲で。
あぁ 宛書きって良いなあとしみじみ。

うららちゃんの美しさは登場時息を呑むレベル。一幕はワインカラーのサテン二幕はバーミリオンのタフタの肩見せデコルテ出しのドレスで、場面の軽重でアクセサリーや髪留めを微妙に調整しているところにもセンスの良さが!
一幕ラスト、結婚式の流れでうららちゃんと愛ちゃんが緋色のベルベットにテンの毛皮の縁取りのマントをつけて客席降り、そのまま後ろ扉まで捌けて行くのですが、友人分を含めて全チケットがうららちゃん通路側。嬉しかったです。

ラストシーン、ほとんどのキャストが命を落とし、亡霊となって見守る中、「仮面のロマネスク」ラストのように踊り続ける二人…
うららちゃんのドレスの翻り方が何とも麗しく、うっとりするような美男美女。愛ちゃんはベルばらからお化粧研究しているなぁ気合い入っているなぁと思っていましたが、今回の作り込みは、本当に素晴らしい!本役の凰稀かなめさんが着てダブダブに見えた「クラシコイタリアーノ」のカジュアルを愛ちゃんが新公で自然に着こなしていたガタイの良さがうららちゃんを華奢に見せ、本当にお似合い!
それにしても、朝夏まなとくん、緒月遠麻さん、愛月ひかるちゃん と、宙男たちとうららちゃんの並びは本当に合うなぁ…と改めて感じたことでした。100周年の今年、退団TOP2人、退団発表TOP2人と激動の一年で、今後の体制が色々と取りざたされていますが、伶美)うらら嬢が娘役TOPになるときには是非自組でお願いしたいと密かに願ったことでした。


宝塚宙組全国ツアー「ベルサイユのばら~フェルゼンとマリ―・アントワネット編」

2014-09-08 07:10:40 | TAKARAZUKA
宙組が今、3手に分かれての公演中です。
先日楽を終えたDS組は別として、2番手朝夏まなと率いる全国ツアー組、若手を率いる愛月ひかるのバウ組、
それぞれの活躍を観るべく、2014年9月7日(日)、千葉県市川市の市川市文化会館大ホールへと向かいました。
この会場は昨年夏の、雪組の「若き日の歌は忘れじ」以来ですね。
あの時は痩せてキレイになった彩風咲奈ちゃんにダレ?ダレ?カワイイ!と騒いでいたっけ・・・。
まっつの武部さんの番傘の開き方がカッコ良かったっけ・・・と想い出しつつ。



内容的には雪組に各組TOPが特別出演した、壮一帆、愛加あゆTOPコンビお披露目作品であった「ベルサイユのばら~フェルゼン編」を踏襲していて、オスカルとアンドレの場面(毒入りワイン、今宵一夜)、そしてフェルゼン・ジェローデルの立ち回り場面が削られ、その分王妃様の場面(小舟、チュイルリー幽閉時の家族だんらんからの王妃虐待)が増えている、という構成です。
結果、一幕のコノ人大丈夫??な恋に盲目過ぎて忠告をしてくれる心ある人々を詰る非常識なフェルゼンは残しつつも、2幕ではノーブルな貴公子として一本芯の通ったフェルゼンとして、センターで光輝くまぁくん(朝夏).
金髪の鬘、白いマントなど、貴公子アイテムが全てお似合い.お歌もスゴイ歌ウマではないながらも、センターとしての力強さ、余裕感、そして、相手役に対する包容力を感じさせ、次期TOPとしての準備万端と思わせてくれたフェルゼン伯爵でした。

現TOP娘役が2番手男役と組む、という今回の企画、歌えるマリ―・アントワネットの本領発揮。きれいなソプラノでの歌唱が舞台をしっかりと支えます。
実咲凛音のマリ―・アントワネット。ほっそりとした古風な美人さんなので、ドレスが似合わないということではないのですが・・・。
基本持ち味が堅実なので、遊興三昧、宮廷の華、国家の財産を使い果たすロココのあだ花としてのマリ―ではなかったですね。外国人としてフランス宮廷で疎外感を感じる孤独な王妃でした。
孤独を噛みしめている麗しい外国人2人が寂しさを互いに癒しあう内に強い絆が生まれた・・・という、フェルゼンは王妃に取って、ある意味、ルイ15世が「王妃が悲しむぞ」と引きとめたとおりの存在で。
2幕の幽閉されてからの家族と引き離される場面の王妃を殴るけるの兵士の狼藉はちょっと辛すぎました・・。
この演出必要なのかというと不要だと思います。

この公演では2番手格の立ち位置にある七海ひろきのオスカルはまずVISUAL華やかでぴったり。
凰稀かなめオスカルが女性としての華とそれを引きしめる精神の緊張を感じさせるにじみ出る色香と鋭さのあるオスカルだったとすれば、七海オスカルはナチュラルにきれいな男役かいちゃん、なオスカル。
あぶなっかしいところもあるけれど忠実なるアンドレに見守られ、皆が手助けしたくなる人柄の良さ、のようなものが出ていました。
立ち位置上、お歌も担当・・・するのがかなり厳しい。特に「愛の巡礼」昼公演では「偽りの姿でいても」で完全にふかしてしまいxx。それでなくても息が続かず、途切れ途切れの歌唱で最後も伸ばせず・・・。とにかく歌!あと、所作!ブイエ将軍に剣を突き付けたあと鞘に納めるときはスッと一息でお願いしたいデス。夜公演では鞘が不安定にブラブラしていて気になりましたし・・・。番手が急激に上げられて色々大変かとは思いますが、天性のチャームと美しさという恵まれた素材ゆえ、色々技術面を磨いて、まぁくんを支えて!と熱望。

そのオスカルを支えるアンドレ。蒼羽りく。温かさと包容力のある陽性の影。
新公学年卒業につき、本公演でしっかりポジションを獲得していかなくては・・の大事なときにアンドレで、CAST発表で思わず握りこぶしで「よっしゃ!」(笑)と思ったりくアンドレ。同期で新公主役を分け合ってきた愛月ひかるくんは今、バウ初主演中。しかし、無情にもアンドレの見せ場大幅減でハラハラしながら観たのですが・・・。
あら、ステキじゃない?居るだけで、オスカルの発言に対する表情、掃けるときの 時に心配そうに時に気楽に肩をゆする様子、きれいで程よく若造で。でも自分とオスカルの身分の差は常に頭にある・・という(身分に関する発言が自分に対してでなく発せられた時に一瞬くもる眉とか、動きの少ない従卒役だからこそ、繊細な表情の演技が光っていました)。 全ツならではの低さに驚いた(笑)橋の場面、打たれて、オスカルを探し求める死に際、さすがダンサー。打たれ方崩折れる形が自然で かつキレイでした。
心配された歌はそこそこ・・かな?と胸をなでおろしていたら、CSでの初日映像を観た友から「やらかしていたわね」とのメールがxx今は大丈夫になったのよ~><と主張するも。本当に頑張って!
それにしてもここ、りくかいあっきーの宙の誇るキレイどころが集結して場面の悲痛さとは別にウキウキしてしまうところですね
あ、この市川でのMyトップニュースが一つ。
(もともとの入荷数が少なかったかも、ですが)りくドレのスチール写真に「SOLD OUT」の文字が!あ、ホントにカッコよかったんですよ!^^;

ジェローデルあっきー(澄輝さやと)、本当に姿のきれいな人ですね。
お顔立ちもほっそりとしていて、芯のしっかりとした硬質な紅さんという感じ。(お顔立ちが似ている星の2番手、紅さんの方が柔らかな雰囲気に感じるので)。全身がスリムでシュッとしていて、眉と目もとがスッと上昇している感じがなんともノーブル。あの難易度の高いジェローデルのセンターパーツのウェーブロングかつらも良くお似合いでした。
あの祐飛さんの「クラシコ・イタリア―ノ」の新公主役がよかったのと、新公主演を独占していた愛りくの2人の成長ののんびりさ加減にイラついた宙ファンがあっきー待望論を出しているせいか、とてもデキル人のような言われ方をすることが多いですし、ついそういう眼で観てしまいますが・・・。改めて見ると、マントや剣のあしらいが今一つかな・・・。黒燕尾の手元の型ももっときれいに出来そうなのに・・と。期待値が高い分厳しめに観てしまいましたが、まなとくん、かいちゃん、りくくん、あっきーが主要な役で並び立つと、宝塚ってこんなにも華やかな場所なのね!と心浮き立つこと請け合い。(それは自分^^;)。あっきーのお芝居は好きです。あと眉間の皺も^^

忘れてはならないのは、モンチ(星吹彩翔)とありさ(瀬音リサ)のベルナール&ロザリー夫婦。
平民の蜂起を促す「愛する者のために」ではセンターでドヤ顔で歌い上げるモンチよありがとう。低音がマイクか音声さんのミスで抜けた?と、銀英伝のトリューニト並の歌い上げを期待していたので一瞬あら?となったのですが、低音はもともとあまり得意分野ではないそうで・・・^^;
やわらかな歌声と地味さがかわいらしい瀬音リサちゃんのロザリーは、華やかなフェルゼン&アントワネットの主役コンビと対をなす、歌えて芝居もできるペアでした。今回のVIDUAL偏重の宙の芝居をミュージカルとして成り立たせる最後の砦^^;となってのご活躍、お見事です。ありさちゃん(瀬音)のロザリーは正しくオスカル様にとっての「わたしの春風」でした。

ルイ15世の組長すっしーさん(寿つかさ)のちょっと本年齢よりも年配気味な役作りが気になるものの、心優しくおっとりと品の良い国王様と、情に厚いが無礼なフェルゼンに対して言うべきことはきっちりと言うメルシ―伯、もと星組組長現専科の英真なおきさんが芝居の要となって良いお仕事をされていました。

全ツならではの見所は・・・
主要なメンバーでも容赦なく使う、え?ここで?のアルバイトっぷり^^
1幕で王妃を糾弾した王弟プロヴァンス伯さっつん(風羽玲亜・松戸出身、なんとこの日のご当地ジェンヌ)が蜂起する市民として、なぜか鍬を持って戦っている第2幕とか、2幕冒頭のスウェーデンの花祭りにおける衛兵隊士の活躍ぶりとか。(ブイエ将軍もオスカルもアンドレもベルナールも楽しく一緒に踊っています)
本公演オスカル役が記憶に新しい歌ウマ96期生和希そらくんに至っては、プロローグセンターでの小公子、ママに甘える皇太子ルイ・シャルル、衛兵隊士と八面六臂の活躍っぷり。・・・で、パレードでは同僚たちが軍服でキメテいるのに、イケてないお寝間着のようなルイ・シャルル姿であるのが可哀そう・・・;;(がんばれそらちゃん)

本編は基本昭和の「ベルばら」なので、色々と首をひねるところもありましたが、
フィナーレはもう100点満点!(その割に文句も言っておりますが^^;)
ロケットからの「薔薇のタンゴ」「愛の柩」「愛の賛歌」黒燕尾の流れが素晴らしすぎる。

まず、薔薇タン。
朝夏氏が黒金、他は黒銀の肘下膝下にボリュームフリルのラテン衣装がムリなく着こなせる手足の長さは流石宙男役軍団。スピーディに踊りまくるカッコいいナンバーで、これは大劇場「オスカル編」と流れは同じながらも、かなめ氏は女性オスカルとしてのセンターでしたので、全く異なる雰囲気。
こちらを観ると、かなめ氏にも男役バージョンもさせてあげたかったなぁ・・と。ファンはどこまでも欲深いのです。
まなとくんの魅力全開。「フッ!」と掛け声をかけるタイミングで何度も「イチカワッ」「イチカワッ」と^^
これ、全ツの各都市名でやっていらっしゃるようですね。

そして愛の柩。
ここはこの公演2番手格の七海ひろき氏がセンターを務め、娘役がまわりを囲む・・・という場面ですが、金髪の前髪をくるんとはね上げ額に赤いヘアバンドのかいちゃん(七海)、ノリノリで次々ととっかえひっかえ娘役と踊るのですが、この感じ・・・そう、前々TOPの大和悠河さんっぽいアイドルスターオーラがビームのように発せられていて、堂々たるものでした。あ、お歌除くで(笑)いや、お歌込みで大和さんっぽかったです(真顔)。
なんだかとても楽しいものを見せていただいたなぁ~と思ったところで

愛の賛歌。
デュエットダンスです。本公演ではオスカル様である黒燕尾のかなめ氏がロザリー設定のみりおんちゃんと踊る、というベルばらの世界を投影したデュエットダンスになっていたのですが、ここは恋人どおしであるフェルゼンとマリ―・アントワネットですから、さぞかし甘く・・・と思いきやみりおんちゃん(実咲凛音)が本来の持ち味を発揮して、スパッと豪快でむしろお転婆な?サバサバした踊りっぷり。対するまぁくん(朝夏まなと)は手足の長さと花組仕込みの派手やかに魅せる華麗なダンスで。手足の先の先まで力がみなぎっている感じ。迫力がありました。
わたくし自身の好みは、洒脱な抜け感もある緩急つけて魅せるダンスなのですが、まぁくんはシルエットが垢ぬけているので、力技がやぼったく見えない。これはお得な個性ですね。
あと みりおんちゃんがお芝居で見せたようなしっとりと寄りそう感じをもう少し出してくれれば・・・もっとステキに見えたかも?

黒燕尾。
朝夏センターの黒燕尾、新鮮ですね。長身の宙男たちを率いる朝夏氏。
宙の爽快な伸びやかさに花組育ちの型のケレン味のようなものがハマって。

最後パレードで真ん中を降りてくる2番手朝夏まなと氏のセンターオーラが心地よく、次の宙組もまた楽しみになってきた全ツでした。

夜公演の御挨拶で、次は山形です!に観客席からどよどよとどよめきが起きたのを受けて「そうなんですのよ」と早口でいうお姉さんなまぁくんが微笑ましかったです^^