すでに11月22日に東京公演初日を迎えた宙組の「風と共に去りぬ」のAパターンを2回観劇した身なれど、
花組公演を4回も観た感想をまだUPしていなかったことに気付き・・・。
今更ながらの思い出しですが、残しておきます。
宙組と花組で愛されてきた中堅人気スター春風弥里を見送る公演であり、月組の御曹司、2番手ながら人気実力ともにTOPに並び時に凌駕するのではと、その華の競い合いを愛でられてきた明日海りおが組替えで2番手就任後初めての大劇場公演であり、退団を発表したTOPスター蘭寿とむのファンにとっては一公演毎に大切に観なくてはならないカウントダウン公演であり・・。
それぞれのスターのファンの熱視線と、各年代のスターがバランス良く配された今の花組の百花繚乱ぶりを楽しみに訪れる宝塚ファンを集めての連日盛況の公演。
わたくしも4回とも本当に愉しみ尽くしたな、と振り返ってもしみじみしてしまいます^^

まずはお芝居から・・・
Musical
『愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-』
~オペラ「アンドレア・シェニエ」より~
脚本・演出/植田 景子
[解 説]
イタリアオペラの中でもヴェリズモ(写実主義)オペラの傑作の一つと言われるジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」をベースにしたミュージカル。実在の革命詩人アンドレア・シェニエと貴族令嬢マッダレーナとの恋、マッダレーナに叶わぬ想いを抱きながらも革命の闘士として闘うジェラール。三人のドラマを軸とし、フランス革命を背景に滅び行く貴族階級の姿と、新しい時代を求めて闘う人々の姿を描き出す。ハンブルクバレエ初の日本人女性ソリストとして活躍する傍ら、振付家としても、近年、ヨーロッパで高い評価を得ている大石裕香氏が、日本で初の振付を手掛けることも大きな話題。古典の持つ力強さと現代的要素を調和させ、新たな視点からオペラのミュージカル化に取り組む意欲作。
【主な配役 】
アンドレア・シェニエ (詩人) 蘭寿 とむ
マッダレーナ・ド・コワニー(公爵令嬢) 蘭乃 はな
カルロ・ジェラール(革命政府の重鎮、もとコワ二―家の使用人) 明日海 りお
*~*~*
マリー=ジョゼフ・シェニエ (アンドレアの弟・詩人兼脚本家) 華形 ひかる
メルヴェル・ラコット(マリー=ジョゼフの恋人、大女優) 大河 凜
フランソワ・ド・パンジュ侯爵 (アンドレアの支持者・反革命政府運動のパトロン) 望海 風斗
アリーヌ・ヴァラン(公爵の妻・平民出身の画家) 華耀 きらり
シャルル=ルイ・トリュデーヌ・ド・モンティニー(アンドレアの友人) 芹香 斗亜
アベル・ド・フォンダ(アンドレアの友人) 瀬戸 かずや
シャルル=ミシェル・ド・ラ・サブリエール(アンドレアの友人) 優波 慧
モーリス・クリヨン(新聞社の見習い) 水美 舞斗
コワニー伯爵夫人(マッダレ―ナの母) 花野 じゅりあ(※花野 じゅりあ休演に伴い春花 きらら10月31日13時30分公演)
老ジェラール(コワ二―家の執事、カルロの父) 高翔 みず希
ベルシ(マッダレ―ナの小間使い) 桜 一花
ファビアン(ベルシの恋人) 鳳 真由
ジュール・モラン(革命政府の重鎮) 春風 弥里
デュマ 紫峰 七海
エルネスト 夕霧 らい
フーキエ・タンヴィル 月央 和沙
ルル(革命政府御用達酒場の女将) 仙名 彩世
ペペ(ルルの相方) 和海 しょう
Angel White(白い天使) 冴月 瑠那
Angel Black(黒い天使) 柚香 光
イデア・ド・レグリエ (マッダレ―ナに救われる死刑囚)乙羽 映見
ユディット(革命政府に心酔する少女) 朝月 希和
植田女史の作品らしく、大恋愛物とは言いながら、甘さは控え目。
松井るみの舞台装置、翼のオブジェがどこぞのドイツの歌劇場かと思うほどの重厚感。
修行時代に縁を得たハンブルグバレエ団の大石さんが手がけた、リリカルで新鮮味のあるロマンチックな振付という外枠をセンス良くまとめ、個性あふれる組子たちに役を割り振って、醸成させる植田女史の作戦、成功!と言ったところでしょうか。
蘭寿さんの生真面目な雰囲気を活かした、THE「高潔な詩人」っぷりに、明日海さんの革命政府の重鎮・しかしもとはマッダレ―ナに憧れる使用人ジェラールが勝手に救いの手を差し伸べ、そしてその救いの手による変節を彼は潔しとしないだろうと苦悩。
明日海さんが迷い悩み提案して、挫折するのを尻目に1人センターで孤高を保ち、「わたしがそのような申し出を受け入れると思うのか」と言い放つだけ。
主役らしくセンターで高潔な光を放っていると、支持者が現れ、伯爵令嬢が心酔し、ライバルは自滅し、世俗にまみれた弟は自らを恥じつつも救いの手をさしのべる。
・・・と楽なようで意外と存在感勝負の難しい役どころを演じきった蘭寿さん、さすがですね。
マッダレ―ナの蘭花ちゃんは、オフホワイトのリボンを並べたふんわりドレスが良く似合う伯爵令嬢。
革命後落ちぶれてからは、小間使いベルシの世話に。
アンドレアの詩に救いを求め、熱心なファンになり、熱烈なファンレターにより、遂には憧れの詩人の恋人に。
TOPと2番手男役双方から思いを寄せられる美味しい役どころ。
過不足なく演じられ、輪っかのドレス姿も可憐。
就任当初の酷評(カワイ子ちゃん揃いの花娘の中でなぜ彼女がTOP娘役??)が嘘のように成長を遂げて安定の存在感。
2番手明日海さん。
マッダレ―ナに憧れる使用人時代は完全な圏外。いざ立場が逆転しても、彼女は想い人のために頼りに来ただけ。それをムリにとゴリ押しても、眼も合わせてもらえずむなしいだけ・・・というのは自分が一番わかっている、という理性ある悲しみを丁寧に。
ルソーの思想にかぶれて、革命政府で足場を固めてからも、彼女の堅実さと理想主義、そして理性ゆえに状況を理解し身を引く人間の葛藤が伝わる好演でした。
銀橋での歌も、しっかりとした歌唱力と骨太な存在感が感じられ、すでに花組の芝居を構成する必用な要素として存在していました。
そして彼女の同期、望海風斗さん。
蘭寿―愛羽―華形という上級生路線の陰での下積みを経て、バウでの主演など、ここでステップアップかと思った矢先に降ってきた同期の次期TOP2番手。
ただ、彼女の場合、素晴らしく実力があり、美しい人でもあるのですが、TOP特有のおおらかさや華があるかというと・・・というタイプゆえ、ここは美味しい脇役で、その技を存分に発揮して全体のレベルUPに貢献していただきたいかな、と言う気も致します。
発見されたアンドレアの詩集を手に、回想を始め、最後、見事な歌唱で締めくくるという入れ子仕立ての物語を完成させる役割を任されるって確か、サンテクジュぺリでも・・・と既視感が。
演出家が、要となる脇を委ねたくなる実力者として、明日海時代も車輪の片方を担って支えてくれるであろう注目株ですね。
マッダレ―ナを慕い、守りながらも、へたれ男の可愛い年下?恋人を救うために、結果としてシェニエともども死刑台に送る発言をしてしまう、小間使いのベルシのほどばしる生命力を細やかな演技で見せる桜一花と、その気のいい恋人ファビアン役の鳳真由カップルも印象に残ります。
あと、時流に合わせて軽やかに権力者におもねって、激動の時代を乗り切る庶民代表・・・のような、酒場の女主人ルルの仙名さんが上手い。客を見定めてがめつく儲ける、こすっからさを感じさせつつも、イヤミのないとぼけた可愛げのバランスが、彼女ならではの味付けで。
逆にそこに客として現れる、コメディ・フランセ―ズの大女優、メルヴィル・ラコットの大河凛ちゃんの存在感が物足りない。男役が女役を演じることで出る迫力が、大女優のオ―ラにつながることを期待しての配役とみましたが、もともと華奢な女顔の男役さんゆえ、違和感なさすぎで・・・。きれいで優しい愛人で、男たちにちやほやされるけれども、大女優としての風格がなく、一般人みたいな振る舞い。これを仙名さんが演じたら、ちょっとうかつに近寄れない大きさを出してくれたのでは・・・と思ってしまいました^^;
この物語を見守り、時として、運命を操る存在としての黒白エンジェルたち。
若手に至るまで、個性あふれる男役スターがひしめきあっている花組ならではのキャスティングで、白=善の冴月瑠那vs黒=悪の柚香光の美形2人が常に舞台にいる・・というのが暗い話に華を添えて。
ふたりとも、顔に模様を描いたり、柚香さんは眉を消して黒っぽい口紅・・のモード系メイクだったり、で本来の華が却って押さえられた感があるのが残念。衣装も、デコラティブすぎて、ダンスの場面で、身体のラインがよくわからないのがちょっと勿体なかったかも。
花組公演を4回も観た感想をまだUPしていなかったことに気付き・・・。
今更ながらの思い出しですが、残しておきます。
宙組と花組で愛されてきた中堅人気スター春風弥里を見送る公演であり、月組の御曹司、2番手ながら人気実力ともにTOPに並び時に凌駕するのではと、その華の競い合いを愛でられてきた明日海りおが組替えで2番手就任後初めての大劇場公演であり、退団を発表したTOPスター蘭寿とむのファンにとっては一公演毎に大切に観なくてはならないカウントダウン公演であり・・。
それぞれのスターのファンの熱視線と、各年代のスターがバランス良く配された今の花組の百花繚乱ぶりを楽しみに訪れる宝塚ファンを集めての連日盛況の公演。
わたくしも4回とも本当に愉しみ尽くしたな、と振り返ってもしみじみしてしまいます^^

まずはお芝居から・・・
Musical
『愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-』
~オペラ「アンドレア・シェニエ」より~
脚本・演出/植田 景子
[解 説]
イタリアオペラの中でもヴェリズモ(写実主義)オペラの傑作の一つと言われるジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」をベースにしたミュージカル。実在の革命詩人アンドレア・シェニエと貴族令嬢マッダレーナとの恋、マッダレーナに叶わぬ想いを抱きながらも革命の闘士として闘うジェラール。三人のドラマを軸とし、フランス革命を背景に滅び行く貴族階級の姿と、新しい時代を求めて闘う人々の姿を描き出す。ハンブルクバレエ初の日本人女性ソリストとして活躍する傍ら、振付家としても、近年、ヨーロッパで高い評価を得ている大石裕香氏が、日本で初の振付を手掛けることも大きな話題。古典の持つ力強さと現代的要素を調和させ、新たな視点からオペラのミュージカル化に取り組む意欲作。
【主な配役 】
アンドレア・シェニエ (詩人) 蘭寿 とむ
マッダレーナ・ド・コワニー(公爵令嬢) 蘭乃 はな
カルロ・ジェラール(革命政府の重鎮、もとコワ二―家の使用人) 明日海 りお
*~*~*
マリー=ジョゼフ・シェニエ (アンドレアの弟・詩人兼脚本家) 華形 ひかる
メルヴェル・ラコット(マリー=ジョゼフの恋人、大女優) 大河 凜
フランソワ・ド・パンジュ侯爵 (アンドレアの支持者・反革命政府運動のパトロン) 望海 風斗
アリーヌ・ヴァラン(公爵の妻・平民出身の画家) 華耀 きらり
シャルル=ルイ・トリュデーヌ・ド・モンティニー(アンドレアの友人) 芹香 斗亜
アベル・ド・フォンダ(アンドレアの友人) 瀬戸 かずや
シャルル=ミシェル・ド・ラ・サブリエール(アンドレアの友人) 優波 慧
モーリス・クリヨン(新聞社の見習い) 水美 舞斗
コワニー伯爵夫人(マッダレ―ナの母) 花野 じゅりあ(※花野 じゅりあ休演に伴い春花 きらら10月31日13時30分公演)
老ジェラール(コワ二―家の執事、カルロの父) 高翔 みず希
ベルシ(マッダレ―ナの小間使い) 桜 一花
ファビアン(ベルシの恋人) 鳳 真由
ジュール・モラン(革命政府の重鎮) 春風 弥里
デュマ 紫峰 七海
エルネスト 夕霧 らい
フーキエ・タンヴィル 月央 和沙
ルル(革命政府御用達酒場の女将) 仙名 彩世
ペペ(ルルの相方) 和海 しょう
Angel White(白い天使) 冴月 瑠那
Angel Black(黒い天使) 柚香 光
イデア・ド・レグリエ (マッダレ―ナに救われる死刑囚)乙羽 映見
ユディット(革命政府に心酔する少女) 朝月 希和
植田女史の作品らしく、大恋愛物とは言いながら、甘さは控え目。
松井るみの舞台装置、翼のオブジェがどこぞのドイツの歌劇場かと思うほどの重厚感。
修行時代に縁を得たハンブルグバレエ団の大石さんが手がけた、リリカルで新鮮味のあるロマンチックな振付という外枠をセンス良くまとめ、個性あふれる組子たちに役を割り振って、醸成させる植田女史の作戦、成功!と言ったところでしょうか。
蘭寿さんの生真面目な雰囲気を活かした、THE「高潔な詩人」っぷりに、明日海さんの革命政府の重鎮・しかしもとはマッダレ―ナに憧れる使用人ジェラールが勝手に救いの手を差し伸べ、そしてその救いの手による変節を彼は潔しとしないだろうと苦悩。
明日海さんが迷い悩み提案して、挫折するのを尻目に1人センターで孤高を保ち、「わたしがそのような申し出を受け入れると思うのか」と言い放つだけ。
主役らしくセンターで高潔な光を放っていると、支持者が現れ、伯爵令嬢が心酔し、ライバルは自滅し、世俗にまみれた弟は自らを恥じつつも救いの手をさしのべる。
・・・と楽なようで意外と存在感勝負の難しい役どころを演じきった蘭寿さん、さすがですね。
マッダレ―ナの蘭花ちゃんは、オフホワイトのリボンを並べたふんわりドレスが良く似合う伯爵令嬢。
革命後落ちぶれてからは、小間使いベルシの世話に。
アンドレアの詩に救いを求め、熱心なファンになり、熱烈なファンレターにより、遂には憧れの詩人の恋人に。
TOPと2番手男役双方から思いを寄せられる美味しい役どころ。
過不足なく演じられ、輪っかのドレス姿も可憐。
就任当初の酷評(カワイ子ちゃん揃いの花娘の中でなぜ彼女がTOP娘役??)が嘘のように成長を遂げて安定の存在感。
2番手明日海さん。
マッダレ―ナに憧れる使用人時代は完全な圏外。いざ立場が逆転しても、彼女は想い人のために頼りに来ただけ。それをムリにとゴリ押しても、眼も合わせてもらえずむなしいだけ・・・というのは自分が一番わかっている、という理性ある悲しみを丁寧に。
ルソーの思想にかぶれて、革命政府で足場を固めてからも、彼女の堅実さと理想主義、そして理性ゆえに状況を理解し身を引く人間の葛藤が伝わる好演でした。
銀橋での歌も、しっかりとした歌唱力と骨太な存在感が感じられ、すでに花組の芝居を構成する必用な要素として存在していました。
そして彼女の同期、望海風斗さん。
蘭寿―愛羽―華形という上級生路線の陰での下積みを経て、バウでの主演など、ここでステップアップかと思った矢先に降ってきた同期の次期TOP2番手。
ただ、彼女の場合、素晴らしく実力があり、美しい人でもあるのですが、TOP特有のおおらかさや華があるかというと・・・というタイプゆえ、ここは美味しい脇役で、その技を存分に発揮して全体のレベルUPに貢献していただきたいかな、と言う気も致します。
発見されたアンドレアの詩集を手に、回想を始め、最後、見事な歌唱で締めくくるという入れ子仕立ての物語を完成させる役割を任されるって確か、サンテクジュぺリでも・・・と既視感が。
演出家が、要となる脇を委ねたくなる実力者として、明日海時代も車輪の片方を担って支えてくれるであろう注目株ですね。
マッダレ―ナを慕い、守りながらも、へたれ男の可愛い年下?恋人を救うために、結果としてシェニエともども死刑台に送る発言をしてしまう、小間使いのベルシのほどばしる生命力を細やかな演技で見せる桜一花と、その気のいい恋人ファビアン役の鳳真由カップルも印象に残ります。
あと、時流に合わせて軽やかに権力者におもねって、激動の時代を乗り切る庶民代表・・・のような、酒場の女主人ルルの仙名さんが上手い。客を見定めてがめつく儲ける、こすっからさを感じさせつつも、イヤミのないとぼけた可愛げのバランスが、彼女ならではの味付けで。
逆にそこに客として現れる、コメディ・フランセ―ズの大女優、メルヴィル・ラコットの大河凛ちゃんの存在感が物足りない。男役が女役を演じることで出る迫力が、大女優のオ―ラにつながることを期待しての配役とみましたが、もともと華奢な女顔の男役さんゆえ、違和感なさすぎで・・・。きれいで優しい愛人で、男たちにちやほやされるけれども、大女優としての風格がなく、一般人みたいな振る舞い。これを仙名さんが演じたら、ちょっとうかつに近寄れない大きさを出してくれたのでは・・・と思ってしまいました^^;
この物語を見守り、時として、運命を操る存在としての黒白エンジェルたち。
若手に至るまで、個性あふれる男役スターがひしめきあっている花組ならではのキャスティングで、白=善の冴月瑠那vs黒=悪の柚香光の美形2人が常に舞台にいる・・というのが暗い話に華を添えて。
ふたりとも、顔に模様を描いたり、柚香さんは眉を消して黒っぽい口紅・・のモード系メイクだったり、で本来の華が却って押さえられた感があるのが残念。衣装も、デコラティブすぎて、ダンスの場面で、身体のラインがよくわからないのがちょっと勿体なかったかも。