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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚花組公演「愛と革命の日々―アンドレア・シェニエ―」

2013-11-28 12:48:59 | TAKARAZUKA
すでに11月22日に東京公演初日を迎えた宙組の「風と共に去りぬ」のAパターンを2回観劇した身なれど、
花組公演を4回も観た感想をまだUPしていなかったことに気付き・・・。
今更ながらの思い出しですが、残しておきます。

宙組と花組で愛されてきた中堅人気スター春風弥里を見送る公演であり、月組の御曹司、2番手ながら人気実力ともにTOPに並び時に凌駕するのではと、その華の競い合いを愛でられてきた明日海りおが組替えで2番手就任後初めての大劇場公演であり、退団を発表したTOPスター蘭寿とむのファンにとっては一公演毎に大切に観なくてはならないカウントダウン公演であり・・。
それぞれのスターのファンの熱視線と、各年代のスターがバランス良く配された今の花組の百花繚乱ぶりを楽しみに訪れる宝塚ファンを集めての連日盛況の公演。
わたくしも4回とも本当に愉しみ尽くしたな、と振り返ってもしみじみしてしまいます^^



まずはお芝居から・・・

Musical
『愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-』

~オペラ「アンドレア・シェニエ」より~
脚本・演出/植田 景子

[解 説]
 イタリアオペラの中でもヴェリズモ(写実主義)オペラの傑作の一つと言われるジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」をベースにしたミュージカル。実在の革命詩人アンドレア・シェニエと貴族令嬢マッダレーナとの恋、マッダレーナに叶わぬ想いを抱きながらも革命の闘士として闘うジェラール。三人のドラマを軸とし、フランス革命を背景に滅び行く貴族階級の姿と、新しい時代を求めて闘う人々の姿を描き出す。ハンブルクバレエ初の日本人女性ソリストとして活躍する傍ら、振付家としても、近年、ヨーロッパで高い評価を得ている大石裕香氏が、日本で初の振付を手掛けることも大きな話題。古典の持つ力強さと現代的要素を調和させ、新たな視点からオペラのミュージカル化に取り組む意欲作。

【主な配役 】

アンドレア・シェニエ (詩人) 蘭寿 とむ
マッダレーナ・ド・コワニー(公爵令嬢)  蘭乃 はな
カルロ・ジェラール(革命政府の重鎮、もとコワ二―家の使用人)  明日海 りお
*~*~*
マリー=ジョゼフ・シェニエ (アンドレアの弟・詩人兼脚本家) 華形 ひかる
メルヴェル・ラコット(マリー=ジョゼフの恋人、大女優) 大河 凜

フランソワ・ド・パンジュ侯爵 (アンドレアの支持者・反革命政府運動のパトロン) 望海 風斗
アリーヌ・ヴァラン(公爵の妻・平民出身の画家) 華耀 きらり
シャルル=ルイ・トリュデーヌ・ド・モンティニー(アンドレアの友人)  芹香 斗亜
アベル・ド・フォンダ(アンドレアの友人)  瀬戸 かずや
シャルル=ミシェル・ド・ラ・サブリエール(アンドレアの友人)  優波 慧
モーリス・クリヨン(新聞社の見習い) 水美 舞斗
  
コワニー伯爵夫人(マッダレ―ナの母) 花野 じゅりあ(※花野 じゅりあ休演に伴い春花 きらら10月31日13時30分公演)
老ジェラール(コワ二―家の執事、カルロの父)  高翔 みず希
ベルシ(マッダレ―ナの小間使い)  桜 一花
ファビアン(ベルシの恋人)  鳳 真由

ジュール・モラン(革命政府の重鎮)  春風 弥里
デュマ  紫峰 七海
エルネスト 夕霧 らい
フーキエ・タンヴィル 月央 和沙
ルル(革命政府御用達酒場の女将) 仙名 彩世
ペペ(ルルの相方)  和海 しょう

Angel White(白い天使)   冴月 瑠那
Angel Black(黒い天使)   柚香 光

イデア・ド・レグリエ (マッダレ―ナに救われる死刑囚)乙羽 映見
ユディット(革命政府に心酔する少女) 朝月 希和

植田女史の作品らしく、大恋愛物とは言いながら、甘さは控え目。
松井るみの舞台装置、翼のオブジェがどこぞのドイツの歌劇場かと思うほどの重厚感。
修行時代に縁を得たハンブルグバレエ団の大石さんが手がけた、リリカルで新鮮味のあるロマンチックな振付という外枠をセンス良くまとめ、個性あふれる組子たちに役を割り振って、醸成させる植田女史の作戦、成功!と言ったところでしょうか。

蘭寿さんの生真面目な雰囲気を活かした、THE「高潔な詩人」っぷりに、明日海さんの革命政府の重鎮・しかしもとはマッダレ―ナに憧れる使用人ジェラールが勝手に救いの手を差し伸べ、そしてその救いの手による変節を彼は潔しとしないだろうと苦悩。
明日海さんが迷い悩み提案して、挫折するのを尻目に1人センターで孤高を保ち、「わたしがそのような申し出を受け入れると思うのか」と言い放つだけ。
主役らしくセンターで高潔な光を放っていると、支持者が現れ、伯爵令嬢が心酔し、ライバルは自滅し、世俗にまみれた弟は自らを恥じつつも救いの手をさしのべる。
・・・と楽なようで意外と存在感勝負の難しい役どころを演じきった蘭寿さん、さすがですね。

マッダレ―ナの蘭花ちゃんは、オフホワイトのリボンを並べたふんわりドレスが良く似合う伯爵令嬢。
革命後落ちぶれてからは、小間使いベルシの世話に。
アンドレアの詩に救いを求め、熱心なファンになり、熱烈なファンレターにより、遂には憧れの詩人の恋人に。
TOPと2番手男役双方から思いを寄せられる美味しい役どころ。
過不足なく演じられ、輪っかのドレス姿も可憐。
就任当初の酷評(カワイ子ちゃん揃いの花娘の中でなぜ彼女がTOP娘役??)が嘘のように成長を遂げて安定の存在感。

2番手明日海さん。
マッダレ―ナに憧れる使用人時代は完全な圏外。いざ立場が逆転しても、彼女は想い人のために頼りに来ただけ。それをムリにとゴリ押しても、眼も合わせてもらえずむなしいだけ・・・というのは自分が一番わかっている、という理性ある悲しみを丁寧に。
ルソーの思想にかぶれて、革命政府で足場を固めてからも、彼女の堅実さと理想主義、そして理性ゆえに状況を理解し身を引く人間の葛藤が伝わる好演でした。
銀橋での歌も、しっかりとした歌唱力と骨太な存在感が感じられ、すでに花組の芝居を構成する必用な要素として存在していました。

そして彼女の同期、望海風斗さん。
蘭寿―愛羽―華形という上級生路線の陰での下積みを経て、バウでの主演など、ここでステップアップかと思った矢先に降ってきた同期の次期TOP2番手。
ただ、彼女の場合、素晴らしく実力があり、美しい人でもあるのですが、TOP特有のおおらかさや華があるかというと・・・というタイプゆえ、ここは美味しい脇役で、その技を存分に発揮して全体のレベルUPに貢献していただきたいかな、と言う気も致します。
発見されたアンドレアの詩集を手に、回想を始め、最後、見事な歌唱で締めくくるという入れ子仕立ての物語を完成させる役割を任されるって確か、サンテクジュぺリでも・・・と既視感が。
演出家が、要となる脇を委ねたくなる実力者として、明日海時代も車輪の片方を担って支えてくれるであろう注目株ですね。

マッダレ―ナを慕い、守りながらも、へたれ男の可愛い年下?恋人を救うために、結果としてシェニエともども死刑台に送る発言をしてしまう、小間使いのベルシのほどばしる生命力を細やかな演技で見せる桜一花と、その気のいい恋人ファビアン役の鳳真由カップルも印象に残ります。

あと、時流に合わせて軽やかに権力者におもねって、激動の時代を乗り切る庶民代表・・・のような、酒場の女主人ルルの仙名さんが上手い。客を見定めてがめつく儲ける、こすっからさを感じさせつつも、イヤミのないとぼけた可愛げのバランスが、彼女ならではの味付けで。

逆にそこに客として現れる、コメディ・フランセ―ズの大女優、メルヴィル・ラコットの大河凛ちゃんの存在感が物足りない。男役が女役を演じることで出る迫力が、大女優のオ―ラにつながることを期待しての配役とみましたが、もともと華奢な女顔の男役さんゆえ、違和感なさすぎで・・・。きれいで優しい愛人で、男たちにちやほやされるけれども、大女優としての風格がなく、一般人みたいな振る舞い。これを仙名さんが演じたら、ちょっとうかつに近寄れない大きさを出してくれたのでは・・・と思ってしまいました^^;

この物語を見守り、時として、運命を操る存在としての黒白エンジェルたち。
若手に至るまで、個性あふれる男役スターがひしめきあっている花組ならではのキャスティングで、白=善の冴月瑠那vs黒=悪の柚香光の美形2人が常に舞台にいる・・というのが暗い話に華を添えて。
ふたりとも、顔に模様を描いたり、柚香さんは眉を消して黒っぽい口紅・・のモード系メイクだったり、で本来の華が却って押さえられた感があるのが残念。衣装も、デコラティブすぎて、ダンスの場面で、身体のラインがよくわからないのがちょっと勿体なかったかも。



ベルリン・フィルのブルックナー交響曲第7番

2013-11-21 06:40:03 | MUSIC
2013年11月18日(火)19:00~
サントリーホール 大ホールにて

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演に行って参りました。



指揮:サイモン・ラトル

ブーレーズ:ノタシオン
Boulez : Notations

ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB. 107(ハース版)
Bruckner : Symphony No.7 in E major WAB. 107


フルトヴェングラ―、カラヤン、アバドと錚錚たる指揮者に導かれて音色を磨き上げてきた伝統のオーケストラ。
2002年就任以来、サイモン・ラトルが首席に就任して以来、来日公演も2004、2005、2008、2011年と常に絶賛を持って迎えられ、今回の来日公演はベルリン・フィルとしては通算20回目にあたるとのこと。

2010年に、それまで30年間コンサートマスターを務めあげていらした日本人バイオリニスト、安永徹氏の後任として、1979年生まれの若き天才ソリストとして活躍していた樫本大進がコンマスに就任し、2011年に続いて今回もその姿を観られるのも話題の一つ。

http://blog.berliner-philharmoniker.de/
ベルリン・フィルのブログを発見。
今回の来日ツアーの様子がつぶさにレポされています。

樫本大進がコンマス、というのも、ですけど、首席フルートがあのエマニュエル・パユですからね・・・。
どれだけスター奏者軍団か・・・。

まずはブーレーズの「ノタシオン」
12のピアノ曲として作曲されたものの一部を管弦楽用に編曲されたものの演奏。
その5曲のうち、1「控えめに-幻想的に」、7「神官文字−遅く」、4「リズミックに」、3「大変控えめに」、2「とても生き生きと、かん高く」の順番での演奏でした。
こういう現代音楽をベルリン・フィルで、というのも珍しいプログラムですが、これでまずノックアウト。
引き締まった音の波が視覚出来る躍動感溢れる演奏。
技術的にいかに高いものを持ったオケであるかを実感。

そしてブルックナー。
実は生でブルックナーを通しで聴くのは今回が初めて。
一応、YTで予習(笑)をして行ったのですが^^

バイオリンのトレモロの音が美しすぎる・・・。
弦がパートごとに一つの楽器の音かと思うほど揃っていて音色が研ぎ澄まされている。
弦楽器は下手から1st、ヴィオラ、チェロ、2ndで、上手奥にコントラバス。
このコントラバス10本の視覚的迫力にもワクワクさせられましたが・・。
樫本大進はコンマスサイドに座っていました。

第1楽章、「ブルックナー開始」と言われる、弦のトレモロの弱音で、霧の立ち込める中から浮かび上がってくるような主題、という構成で。
12本のチェロが奏でる第1主題がまず美しすぎる。オーボエとクラリネットによる第2主題との対比とその主題が入れ換わる流れがうっとりさせられるような流れでした。木管と弦のバランスが絶妙。
後半からコ―ダに至るまでのダイナミズムが凄い。迫力があるオケ全体でのフォルテッシモなのですが、この強弱の落差とその直接襲いかかってくるがごとしの音の圧力が・・・しかもその和音に一点のくもりもないわけですからスゴイですね。
第2楽章はワーグナー・チューバで始まります。その音の透明感たるや。
続いて主題が弦で入り・・・。第2主題との対比が鮮やかでクライマックスに向けて疾走する音に心浮き立ちます。
ここのクライマックスで打楽器を入れて盛り上げるかあえて入れないか、というのは作曲家が残した譜面でその指示を消したものが、決定版なのかどうかという議論があり、指揮者によってどちらを採択するのかが、このブルックナー7番で常に話題になるところらしいのですが、今回は「ハース版」でしたが、シンバル、トライアングル、ティンパニが入っていました。
最後また、透明感のある天上界のようなホルンの響きが・・・。普段金管にハラハラすることの多い演奏に慣れた耳としては、この安定感と常に透き通るような正確で美しい響きの金管は驚異的に聞こえます。香り高いホルンとトランペットの響きにウットリさせられました。
第3楽章は弦の音が生き物のように躍動。ブルックナーってこんなに良いのか、と今までちゃんと聞いてこなかった自分を責めつつ、ベルリン・フィルの弦楽アンサンブルの妙を堪能。
フィナーレの第1主題は、軽快に始まるのですが、低音が加わって壮大なラストに向かっての盛り上がりがなんとも言えない音体験。ホール全体を包み込み動かすような攻めの音とその豊穣感。
コーダに入って一転、静寂とその最後の音の余韻。
さすがはサントリーホールの観客^^;。
身じろぎの音一つしない完璧な静寂が今夜のベルリン・フィルの演奏の素晴らしさを締めくくってくれました。

やはり世界最高峰の演奏は違う。
そんな贅沢な音体験をさせてくれた、ベルリン・フィル@サントリーホールでした



宝塚月組全国ツアー「JIN―仁―」「Fantastic Energy!」

2013-11-19 05:11:46 | TAKARAZUKA
2013年11月17日(日)12:00~
11月15日(金)に初日を迎えた月組の全国ツアー、相模大野グリーンホールにて観て参りました。

「JIN―仁―」は言わずと知れた、人気コミックで、TVドラマ化もされたものを雪組で、TOPスター音月桂、舞羽美海の退団公演として2012年に初演されたものの再演。
すごく好き・・というほどの作品ではなかったですし、なんとなく退団公演作品をあまり間をおかずに再演、というのにもやや抵抗があって。ショ―も、専科の北翔さん、宙組から組替で来た凪七さんらが抜けて若干役付きに変化があるとはいえ、最近観たばかりですし・・・、と、公演が立て込むこの時期にあえてムリをしなくても良いかしら、と思っていたのですが、お休みが変更になって「行ける!」こととなり。
急遽チケットを手配して、初めてのグリーンホールへ。



グランステージ
『JIN-仁-』

原作「JIN-仁-」村上もとか(集英社「ジャンプコミックスデラックス」刊行)
脚本・演出/齋藤 吉正

[解 説]
シリーズ累計800万部の売り上げを誇る、テレビドラマ化もされた村上もとか氏による漫画「JIN-仁-」を原作としたミュージカルで、2012年に雪組により上演し、好評を博した作品です。150年前の江戸にタイムスリップした現代の脳外科医と、武家の娘との純愛、幕末の英雄たちとの交流を軸に、命の尊さを訴えかけるヒューマンドラマです。
(以上、公式HPより)

【主な配役 】

南方 仁(現代の脳外科医): 龍 真咲
橘 咲(旗本の娘)/結命(仁の恋人): 愛希 れいか

坂本 龍馬(元土佐藩士): 沙央 くらま
勝 麟太郎[海舟](徳川幕府の軍艦奉行): 光月 るう
緒方 洪庵(西洋医学所頭取): 飛鳥 裕
中岡 慎太郎(龍馬の盟友)/市村 半左衛門 : 美翔 かずき
近藤 勇(新撰組局長): 有瀬 そう

橘 恭太郎(旗本、咲の兄): 美弥 るりか
橘 栄(咲の母): 憧花 ゆりの

佐分利 祐輔(蘭方医): 宇月 颯
山田 純庵(元西洋医学所の医師): 千海 華蘭

新門 辰五郎(火消し「を組」頭取): 夏美 よう
千吉(「を組」の火消し): 珠城 りょう
お駒(スリを稼業とする江戸娘): 萌花 ゆりあ
茜(和菓子屋の看板娘): 晴音 アキ

野風(呼び出し花魁): 花陽 みら
夕霧(太夫): 都月 みあ
鈴屋 彦三郎(廓屋鈴屋の主人): 綾月 せり
鈴屋 タキ(彦三郎の妻): 咲希 あかね
ジャン・ルロン(フランス人商人): 瑞羽 奏都

高岡 玄斉(京都見廻組の刺客): 鳳月 杏
山本 清十郎(刺客): 翔我 つばき
三木 半兵衛(刺客): 煌海 ルイセ
楓(くノ一): 早桃 さつき

澤村 田之助(歌舞伎役者) 貴澄 隼人
謎の急患/新之助(「を組」の火消し): 星那 由貴
長七郎(読売り): 響 れおな
喜市(枝豆とゆで卵を売る少年): 香咲 蘭
南方 仁の影: 美泉 儷
お春(武家娘): 美里 夢乃
男衆: 優 ひかる
大五郎(お駒の弟)/松本 敦子(看護婦): 茜 小夏
お夏(武家娘): 麗 泉里
運命の舞夢: 紫乃 小雪 、清華 蘭

初演は1時間45分、今回は1時間35分・・・。夕霧太夫が花帆杏奈さんの退団仕様だったので仕方がないのですが、大見えを切って「おさらばえ~」という印象的で華やかなシーンが削られていたのが残念。あとは大政奉還のシーンが省略。「大政奉還だ~!」と新聞売りの台詞だけ。

まさおくん(龍)の仁先生は・・・。すらりとした容姿と独特の台詞回しで、いい感じに浮いています^^
江戸の町にいても、「あんた、この時代の人じゃないね!」とすぐ見破られてしまいそうで、ある意味ぴったり!
自分の実力ではない、すでに知識として知っていることで江戸の人々に神格化されることに苦悩する様子にすら華がありますね。
ちゃぴちゃん(愛希)の咲もぴったり。一途に仁先生を敬愛し、医者になりたいと情熱を持つ武家の娘・・・ときどき元気すぎて町娘っぽくなるのは御愛嬌?
2番手役ゆえ、美弥さんが来るかと思っていた坂本龍馬。コマちゃん(沙央)良かったです。雪の早霧さんが直進型の熱い武人龍馬だとすると、沙央龍馬は食えない男。遠慮なくヒトの懐に飛び込んでいるようでいて、裏も読める大物政治家タイプ。視野の大きさが感じられて上手いなと思いました。

お目当てのみやるり(美弥)ちゃんの恭太郎。素晴らしく青天が似合います!
雪組のまっつ(未涼亜希)もカッコ良かったですけれど、なんとも麗しい美青年で・・・。
冒頭、切られて息も絶え絶えのところを仁に助けられるところからして色っぽい。
あの大きな瞳を切長に描いた和物メイクも素敵。本当にキレイで・・・沖田総司だと言われればそうだなと頷ける美青年っぷり。あぁ観て良かった(笑)
演技も、妹、咲が母の反対を押し切って仁の助手を志願する様を見守り、温かく後押しをする優しさと思慮深さ、武家娘たちの憧れの君としてちやほやされる場面のはまりっぷり。そして、志を同じくしながら、立場の違いで友と対立せざるを得ない苦悩・・・。こんなにいい役だったっけ?(←ゲンキン)と言う感じでした。

たまきち(珠城)くんの千吉はシュッとしたカッコよさが。夢乃さんの熱いオトコっぷりとは違った大人っぽい千吉さんで、お似合い。
最後に婚約発表!のお駒さんは萌花ゆりあさん。色白のお人形顔の彼女、衣文を深く抜いた粋な着こなしが色っぽくて美人な姐さん。雪組のせしる(大湖)ちゃんがややくどく作ってきて、カップル宣言してからは夢乃千吉さんとバカップルなラブラブっぷりだったのとは好対照な大人の美男美女カップル、でした。

北翔海理さんが演じた勝燐太郎(海舟)をお芝居上手な光月るうさんが手堅く。ほぼ北翔さんの演技を踏襲された印象。
宇月さんの佐分利、カランちゃん(千海華蘭)の山田さんの仁友堂ライバル?は2人ともいい味出してました^^
佐分利さん、アドリブ力もあるのですね^^
花魁 野風、雪のあゆちゃん(愛加)に続いて丸顔さんの花陽みらちゃん。しっとりとした台詞回しは良いのですが、吉原一の売れっ子・・・にふさわしい華と格の高さのようなものが出れば・・・。ちょっと他の子と違ってハッとさせられる感が足りないかな~^^;
あと、やはり、和物メイクで黒髪たらしてのウェディングドレス姿はちょっとコワい。皆が美しいと絶賛するにふさわしくちょっと手直しするなり、なんとかならないのかしら?少なくとも髪形はおろさないほうが良いかも?

ちなつ(鳳月)ちゃんの高岡。風格のある役。雰囲気のある人なので、似合いますね。
中岡さんの美翔さんがキレイでした。和物は雪組というイメージがありますが、月もなかなか似合うヒトが多いような^^
ルロンさんの瑞羽さん、舞台に外人が!と思いました。リアル西洋人。フランス語の台詞も上手でした。

仁が、江戸の町に馴染んでくるにつれ、この人々の笑顔の多さ、コミュニティの温かさを実感して愛着を深めていく様がじんわりと心に染みてくる月組のお芝居、とても良かったと思います

ショーは、安定の中村センセイのショーなので、盛り上がり続けてあっという間・・・。
北翔さんがメインを取っていた場面を、美弥、沙央、珠城、鳳月、宇月の順に分け合っていた印象。
「薔薇伝説」の妖しい色っぽさはそのままで、最後の「青い影」で歌わせていただけたのが嬉しい。
月組さんは割と皆さん歌のレベルが揃っていて、がっくり来る人(笑)がいないので、みやるりちゃんには、これからも精進していただかなくては!
カッコいいみやるりちゃんを堪能出来たので、プチ遠征?の目的は果たせました

月組は娘役が元気ですね。副組長憧花ゆりのさんの「ハッ!」という掛け声、響いてました^^。
萌花さん、憧花さん、咲希あかねちゃんあたりが並ぶとつい観てしまいますね。
ちゃぴちゃんに続き、月娘のカッコよさも堪能したショーでした


シルヴィ・ギエム オン ステージ2013 Aプロ「カルメン」「エチュード」

2013-11-17 05:41:53 | BALLET
2013年11月14日(木)19:00~
東京文化会館にて

「カルメン」「エチュード」/東京文化会館


◆主な配役◆

「エチュード」

エトワール: 上野水香、高岸直樹、梅澤紘貴、松野乃知
白の舞踊手(ソリスト): 吉川留衣、岸本夏未

ほか、東京バレエ団

「カルメン」

カルメン: シルヴィ・ギエム
ホセ: マッシモ・ムッル
エスカミリオ: 柄本弾
M: 高木綾
オフィサー: 木村和夫
ジプシー: 岡崎隼也
女性たち: 奈良春夏、
矢島まい、川島麻実子、河谷まりあ、伝田陽美、三雲友里加
兵士たち: 氷室友、松野乃知、岸本秀雄、入戸野伊織、岩村暁斗


◆上演時間◆
第1幕 19:00 - 19:50 (休憩20分) 第2幕 20:10 - 21:00

まずは「エチュード」



ツェル二―のピアノ曲に合わせての有名なバ―レッスンのシルエットから始まるこのネオクラシックな味わいのある作品は東バの女性ダンサーのレベルの高さをアピールするのにピッタリですね。
・・・と同時に、男性ダンサーの層の薄さが対比的に目立ってしまうのもまた事実。
ちょっと前まで実力のある若手・中堅が揃っていたのに・・・。
そんな中で、上がってきたな、と嬉しくなったのが松野乃知さん。
このところの東バ公演で、シルエットがきれいで指先まで繊細なニュアンスで踊る若い子がいるな、と注目していましたので・・・。

群舞では抜きんでていると思っていましたが、センターを取る3人の一角となるとまだちょっと不安定?
これからの東バを支える人材として成長を見守りたいと思います。
この日、高岸さんが直前のお稽古での故障で、前半のみの登場、後半はセカンドキャストの梅澤さんが入られるというイレギュラーな布陣に。

そして、メインの「カルメン」ですが。



マッツ・エックの全幕を観るのは初めてですが、素晴らしい。

赤い衣装に髪飾り、というカルメンの符号を身につけてはいますが、およそ女らしい媚態を見せることなく、本能の赴くままに自由にふるまうギエムのカルメン。多分ノ―メイクで、舞台に置かれた黒い球体のオブジェに膝を大きく開いて腰掛け、太い葉巻を吹かす。主人公、ではあるのですが、物語のヒロイン、というよりは、作品世界の通奏低音のように野太く、欲望の赴くままに吹き荒れる風のように存在する、という感じ。

ムッルのホセは 長身細身で 手先足の爪先に至る末端の繊細なラインに至るまで、抜きんでた優雅さを持ち、ある意味カルメンとは対照的。
カルメンを愛し、彼なりの男女の役割イメージの中の幸福を求めるも、カルメンの世界観とは所詮相入れずに悲劇に至る・・・という印象。彼こそが、運命にあやつられている美しきヒロイン、であったかと。

ギエムがインタビューで
「私自身が上演を提案しました。東京バレエ団がこの作品を踊ることは、私にとっても嬉しいこと! 存命する偉大な振付家の一人と仕事ができるということは、とても大きなことです」
「エック版のカルメンはとても動物的。まさに、メリメの原作に描かれた、"本物"のカルメンです」
と語っていたように、ベジャール亡き後、精神的支柱を欠いていた感のある東バソリストの、クラシック的な舞踊言語とは異なるマッツ・エックの世界観をいともたやすくものにしているように見える、今回の完成度の高さは特筆すべきレベル。
振り覚えで、映像をもとに再現しての上演が一般的に行われている現状で、直接、振付家から、その精神も含めての指導を受けての舞台の濃密さ、そして、エック作品との相性の良さに感じ入りました。

主要なキャストのハマり具合が素晴らしく・・・。

なんと言っても、登場から息を飲むほど存在感が際立っていたのがオフィサー役のベテランプリンシパル木村さん。
彼の持つ、踊りの端正さと存在のケレン味が、口髭・詰襟の軍服姿に凝縮されて、シャープな動きと相まって素晴らしかったです。
ちょっと、べジャ―ルの「中国の不思議な役人」を思わせる、死んでも何度でも蘇りそうな生命力も感じられて。
木村さんは映画で旧日本軍の軍人を演じたらピッタリかも・・・などと妄想が広がる存在感の強さ、でした。

Mの高木さんについては、驚きの一言。
正統派のロシアバレエのメソッドを身につけたたおやかなクラシックダンサー、とのイメージがあった彼女が、完璧にエック作品独特のムーブメントを細部に至るまで再現し、かつ、母(mere),婚約者のミカエラ(Michaela)、死(mort)を示唆するMとして、抽象的な動きの中に、それぞれの演じ分けも。

エスカミリオの柄本さん。
アイドル的な容姿で、東バのシクシャローフくん、と密かに名付けていたのですが、彼も、パリ公演での「ザ・カブキ」の由良之介役など、大役を続けて担ってきただけあって、エネルギッシュなパワーを発散するエック版エスカミリオを好演。
ここしばらくの彼センターでの東バ公演を観ていませんでしたので、ギエム相手にがっぷり四つに組んで踊る彼の姿はなんとも新鮮で・・・。若い荒削りなところが、役に合っていて効果的だったと思います。

演出は・・・。
背景のベージュに黒の水玉のオブジェのセンターにひび割れて出来たような穴から出入りする様が、チーズとネズミみたいでユーモラス。

女性陣の衣装が、上の画像のカルメン衣装からパタ・デ・コ―ラの裾を取り除いた感じのボリュームフリルスカート&シンプルな上半身の基本フラメンコ衣装シルエットながら、銀紙のような強烈なメタリック感が新鮮。
色は銀・緑・黄・黄緑・ターコイズ。
Mの紫、カルメンの赤と好対照。
ホセは黒、オフィサーは濃紺、エスカミリオは金茶、男性陣はグレー。

カルメンが、ホセやエスカミリオを捉えたときに、身体の一部(胸や腰)から細長いスカーフを抜き出す演出が面白い。

群舞で一斉に10数名のダンサーが葉巻を吹かし、その甘い香りが客席にまで届き、そして残り香が続く。
物語の進行で深まりクライマックスに至る酩酊感を5感で感じられて、とても良かった。
嫌いな方はつらいかも、ですが^^;

見ている途中、ところどころで、ハッと胸を突かれ、震えがくる瞬間がありました。
醜い、といっても良い動きや表情、叫び声、悪趣味寸前の演出などが、全て美と感動に結びついてくるエック作品の精華をこのキャストで観られて幸せです。

初日、ということもあってカーテンコールでマッツ・エック御大とその片腕の方たちが舞台に上られましたが、長身の学者肌風の方。満足されているご様子でした。


N響定演 トゥガン・ソヒエフ&べレゾフスキ―

2013-11-16 04:03:51 | MUSIC
2013年11月15日(金)
19:00~

NHKホールにて。

珍しく、N響の定期演奏会に行って参りました。
お目当てはヨーロッパで話題の若手指揮者、トゥガン・ソヒエフ。
本当は20日、21日のサントリーホールでのBプロで、チャイコフスキーの交響曲第5番も聞きたかったのですが、さすがに人気指揮者、これはN響会員のBプロ会員の方で埋め尽くされて、一般には回ってこないですね^^;

とはいえ、今宵のCプロもロシアン・プログラムで色々と興味深かったです。

今回のお目当ては若き俊英トゥガン・ソヒエフ。
1977年10月21日北オセチア生まれの36歳。
このところ、この年頃の話題の指揮者の演奏に接することが続いていて、(1975年生まれのハーディングとか、更に若いドゥダメルとか)新世代の才能に触れてみたい、ということと、あとは、やはり好きなプロコフィエフがお目当てで^^


2008年からトゥールーズ・キャピトル国立管音楽監督。就任以来、同オーケストラの急成長の立役者となり、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、N響など世界中の一流オーケストラに客演を続け、現代の若手指揮者の中でも屈指の存在である。テミルカーノフらに師事し、マリインスキー劇場をはじめ世界各地のオペラハウスでも数多く指揮している。2012/13年シーズンからベルリン・ドイツ響の音楽監督に就任、というのがプロフィール。

- NHK交響楽団 第1767回 定期公演 -

Conductor Tugan Sokhiev
Piano    Boris Berezovsky
Concertmaster 篠崎史紀


ボロディン/交響詩「中央アジアの草原で」
Aleksandr Borodin(1833~1887)
”In the Steppes of Central Asia" musical picture

ゆったりとした曲調で心地よくスタート。8分ほどの短い作品なので、まずは腕慣らし?
オペラ「イ―ゴリ公」が代表作のボロディン1880年の作品。
プログラムによると、ボロディンは実は化学者だったという驚きの情報が@@


ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18 (31')
Sergei Rakmaninov(1873~1943)
Piano Concerto No.2 c minor op.18

Ⅰ Moderato
Ⅱ Adagio sostenuto
Ⅲ Allegro scherzando

相変わらずクールなべレゾフスキ―。
本当に技術力の高いヒトで、この難曲をいともたやすく軽々とそしてサラサラと弾いてのける。
ソヒエフは・・・もしかして、もう少し歌わせたかった?


プロコフィエフ/交響曲 第5番 変ロ長調 作品100(45')
Sergei Prokofiev
Symphony No.5 B-flat major op.100

Ⅰ Andante
Ⅱ Allegro marcato
Ⅲ Adagio
Ⅳ Allegro giocoso

1944年夏。他の芸術家とは逆ルートで1936年にヨーロッパからロシアに帰ったプロコフィエフは、1940年代半ばに国民的作曲家として大成功を収め、1944年に完成された4作品―「ピアノソナタ第8番」この「交響曲第5番」、バレエ「シンデレラ」、音楽を担当したエイゼンシュタインの映画「イワン雷帝」―に対して、1946年にスターリン国家賞第1席の同時受賞という栄誉の極みに達する・・・という、この作曲家の代表作。

・・・うーん。この、ソ連の偉大さを示す?壮大にして何もかもが力強く主張するかのような第1楽章の終わりに、そこはかとない不安を感じたのはわたくしだけでしょうか^^;
いえ、それはオーケストラや指揮者の問題ではなく、作品自体に対する感想、なのですが^^;
この若干の違和感のような感覚は最後までぬぐえませんでしたが、
第2楽章のスケルツォはバイオリンの早くて軽いパッセージが漣のように寄せて返す美しい響きに魅せられ、思わず座り直すほど。オケ全体を走る波がうねり、まさに体感する音楽の妙。
最終楽章のラストの盛り上がりとコーダのまとめ方の鮮やかさもまた、圧巻でした。

ロシア人指揮者とピア二ストを迎えたN響が真摯に取り組んだロシアン・プログラムとしては成功だったかと。
あとは作品に対する個人的な好みの見解に帰する感じでしょうか^^;
今回ご一緒させていただいた友人がBプロにも行かれるそうなので、ご感想を伺うのが楽しみです