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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

英国ロイヤルバレエ団「白鳥の湖」 千秋楽

2013-07-29 02:28:39 | BALLET
2013年7月14日(日)に千秋楽を迎えた英国ロイヤルバレエ団のJapanTour,
最終日の「白鳥の湖」ダウエル版について、舞台の感想を・・・。

2013年7月14日(日)13:00 東京文化会館にて 


このダウエル版は初演が1987年3月12日。
時代設定を、この作品が作曲された19世紀後半に改めた、というのが独自の視点。
ですので、王子の衣装は宮廷における士官服の趣、執事のフロックコートや燕尾は現代に近く、ご婦人たちのドレスはバッスルスタイル、民族衣装は従来の「白鳥の湖」とさほど変わらないため、若干時代が錯綜しているようにも見えますが、ちょうど時代の転換点を舞台にしているためとわかって納得。
振付に関しては、20世紀に考案された重要な改訂は保持しつつ、可能な限り1895年のプティパ=イワノフ版を再現している、とのこと。
1幕で酔っぱらった家庭教師ベンノを翻弄する娘2人が、小学高学年くらいの子役(日本人のバレエ学校生?が出演していました^^)だったり、宮廷の外で羽目を外すジークフリートの前で披露される若者と娘達による田舎の踊りが、メイポ―ルをセンターにしてそこから伸びたリボンの端をダンサーが持って、複雑な動きの群舞が進むにつれてリボンが編まれていく・・という「リーズの結婚」などで観られる手法が取り入れられていたり・・がなんとなくロイヤル・バレエ風味。
実際には、1幕のワルツはデヴィット・ビントリー、3幕のナポリがフレデリック・アシュトン、で他はすべて、プティパ=イワ―ノフの原典重視だそう。

宮廷場面の白眉はジ―クフリ―ドの母である王妃役のエリザベス・マクゴリアン。
長身・美貌の彼女は10頭身はあろうかという驚異のバランスと存在感で、ドレスシャツのような白い胸当てがついた簡素な上半身にこれでもかと装飾の施されたスカート部分の対比が独特な赤いベルベットのドレスで登場して、目を惹きます。彼女とギャリーが王妃とロットバルトに入ってくれるだけで、もうロイヤルバレエの白鳥の湖は完成したも同然?!
配役表をみて小さくガッツポーズをした瞬間その1、です。

主役のジ―クフリ―ド王子、ディアゴ・ソアレスはこの版独特の簡素な濃紺の軍服が似合います。
更に言うなら、王子の友人6人衆が日本人ダンサーの平野亮一さん、蔵健太さんを含めて長身でがっちりとバランスのとれた男性的な体躯のダンサーで固められたキャスティングのため、若い士官集団として、やや体育会系の独特な存在感を示していて、宝塚で軍服を見慣れているわたくしでも、2度見する新鮮さ^^;
ソアレスは白鳥オデットと出会ってからは恋のとりことなるわけですが、それまではやや不機嫌そうな苦虫をかみつぶしたようなニヒルな表情で、ちょっとコワモテ。
誰かに似ている・・・と思ったら、鷹の爪団の吉田君でした^^;(こら)



対するオデット、マリアネラ・ヌニェスは、豊かな表情とやや筋肉質なアームスで、静謐・高貴なマリインスキーのロパートキナのオデットを持ってして「白鳥の湖」であるとするわたくしの定義からは大きく外れる役作りでしたが、ソアレスとのパートナーリングもさすがに息が合っていて、互いに一目で心から惹かれあい、オデットが自分の人生を託すに至る心の動きを丁寧に見せて、これはこれで、物語重視のロイヤル版「白鳥」としてはアリなのでは・・・と。

もう一つ好悪が分かれそうなのが、白鳥群舞の衣装。
「グランジ・チュチュ」と評される膝までに幾重にも重なったシフォンの布でコク―ンシルエットになったそのチュチュが、ダンサーの脚を隠し、動きにつれてふわふわと弾む様は、リアル白鳥の胴体を思わせて、演劇的には悪くありませんが(ちょっとマシュー・ボーンのAMP版「SWAN LAKE」っぽいかも)、「白鳥の湖」と言えば短いクラシックチュチュ、という定番を愛するバレエ・ファンからは不評のよう。



トロワを踊る日もあったという、注目の日本人ダンサー、ソリストの高田茜さんも群舞で確認。丁寧なアームス、憂いを帯びた表情が美しかったです。

この日のトロワはエリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、ヴァレンティノ・ズケッティ。
特にエマ・マグワイアの踊りが活き活きとして良かったかと。
彼女は2幕(1幕の後、続けて上演)の白鳥のひなたち、の4人口にも入っていますね。

そして・・・
ダウエル版の白眉は第3幕!



Kバレエでもお馴染みのヨランダ・ソナ-ベント ワールド全開!なダークな背景に陰影の深いアンティークゴールドのゴシックな装飾がゴージャスな民族衣装を引き立てます。

まずは花嫁候補の6人の姫君。
先に注目したエマもここに含まれていますね。あと、ソリストのひとつ下の階級であるファースト・ア―ティストながら、キトリ・デビューも果たしたという日本人ダンサー金子扶生さんが休演、というのがとても残念でしたが、ソアレス王子にガン無視されて、ちょっと失礼じゃない?と憤る姫、とか、さすがは演劇の国イギリスを代表するバレエ団。

と感心していたらギャリー・エイヴィス扮するロットバルトが引き連れた民族舞踊団が登場!

豪華です。

まずはスペイン。
ここに、吉田都さんの退団公演「ロミオとジュリエット」でとても魅力的でエレガントなパリスを踊って好印象だったヨハン・ステパネクを確認。今回の「アリス」で血ぬられた料理女!だったクリステン・マクナリ―、リアル・スペイン美女のファースト・ソリストのイツァ―ル・メンディザバル。

チャルダッシュはファーストソリストのヘレン・クロフォードとソリストのジョナサン・ハウエルズ。

そして、今回の、配役表を見て小さくガッツポーズその2.
ナポリに雀由姫(チェ・ユフィ)さん。

抜群の音楽性、エネルギッシュでパワフルなのですが、指先まで優美なコントロールの行きとどいたエレガントさもあり、なんともチャーミングな踊りで・・・。
彼女自身の個性と魅力、~CUTEで力強いしなやかさを持つ・・・という持ち味が発揮された演技でした。
ポール・ケイとのアイコンタクト、笑顔を交わしながら踊りを盛り上げていく様子も含め、今後とも目の離せないダンサーですね。

そしてマズルカ・・・。
ここに、蔵健太さんと、アリスで主役を務めたベアトリス・スティクス=ブルネルが入っていますが、8人口の群舞でヘッドドレスもあり、確認しつつともいかず・・・。



途中、舞台中央にしつらえられた大きな楕円形の鏡にオデットが写って必死にこのオディールは私ではない!とアピールしようとしているのですが、民族舞踊団が鏡の前に何重にも立ちはだかり、王妃や王子に話しかけて気をそらしたり・・・と大奮闘。
オディールもはつらつとした踊りで、魅力的な健康美をアピール、王子はメロメロ、王妃もこの女性を王子が気にいったというなら良いのではないかしら・・・と好感を持つ様子、そしてギャリーのロットバルトがオディールに頻繁に指示を出し、王妃にはねっとりと取り入りつつ、娘オディールをどうです、素晴らしい娘だとお思いになりませんか!とアピール。

マリアネラは求心的な濃いラテン系フェイスがオデットにはちょっと濃すぎる感じがしないでもないのですが、オディールはぴったり。
小気味よく、緩急も自在なその演技で、王子と観客をノックアウトするさまはいっそ清々しいほど・・・。



ちなみにロットバルトのヘアスタイルは、スキンヘッドではなく、モヒカン頭、でした^^;
髑髏の顔の小人たちをお小姓として従えて・・。という拵えはちょっと悪趣味?
もっとカッコ良い紳士に作る方が好みですが・・・。

色々とてんこ盛りの楽しさがはじける3幕。
王子が愛を誓った瞬間、民族舞踊団全員とオデット、ロットバルトがだまされおったなと大笑いで手の平返しをするのが、残酷で、背景には火花が散るはスモークが焚かれるはで阿鼻叫喚の空間と化し、真実を知って後悔するソアレス王子とめまいを起こす美しき王妃が驚き嘆く宮廷に取り残される・・・という賑々しくもドラマチックな終焉を。

そして第4幕。

皆さん聴いてください、王子ったら・・・;;のオデットの嘆きをともに悲しむ白鳥群舞。
この版では2羽の大きな白鳥(小林ひかるさんがフワリとした空気感で、アンニュイでやや陰のある良い雰囲気をだしていて秀逸)が全体をリードしつつ、8羽口がそのサブとなり、ヴィジュアル的にはその8羽のうち4羽が黒い白鳥の子供、という設定になってアクセント的な役割を果たしています。
高田さんはこの黒い白鳥の子供の1人となっていて、目立つポジで踊っていらっしゃるのがちょっと嬉しい。


駆けつけたソアレス王子が、隠れていたオディールに再会し、後悔しながらの懺悔・赦し、そしてロットバルトとの対立・・・とドラマが進み、最後2人は湖に身を投げ心中。
それとともに彼らが身を投げた湖の畔でロットバルトも落命。
しかし、死後の世界で、愛の勝利を得る2人の神々しいまでのシルエットが・・・というラスト。


美しく、情感豊かなマリアネラ・ヌニェスのオデット/オディール、
こわもてながら、大柄な恵まれた肢体を今や完全にコントロールできる力量を身に付け、その踊りのダイナミックさとシャープな存在感、そして、パートナーに対する献身を体現できるまでに成長したティアゴ・ソアレスのジークフリート。
今のロイヤルで、この演劇的でちょっと賑やかな「白鳥の湖」を観るのなら、この2人でやはり正解だったのかもしれません。
大スターが次々と退団し、かつての華やぎは夢のまた夢・・・という過渡期にあるロイヤル・バレエ団であり、その来日公演ということで色々と危惧しておりましたが、バレエ団の伝統とソリストの充実ぶりはしっかりとアピールできたのではないでしょうか。
次回のJapanTourが今から楽しみなロイヤル・バレエ団、でした



英国ロイヤルバレエ団「白鳥の湖」

2013-07-15 07:08:49 | BALLET
英国ロイヤルバレエ団2013年JapanTour,千秋楽の日曜日7月14日、ダウエル版「白鳥の湖」を観るために、上野の東京文化会館に行って参りました。

熱射の真昼の東京13:00に開演。
会場に着くと、この日も『大入」の赤字に白抜きの札が。
昼公演ですが、この日はこの一回のみ、ということと、会社帰りの人の少ない日曜日ということもあり、艶やかなワンピース姿の女性が多く、華やいだロビーでした。

この日の主役ペアは実生活でもオシドリ夫婦のマリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレス。
アルゼンチンとブラジル出身の長身のラテン・アメリカ人で華やかなカップル。

今回の白鳥のCASTは一番人気は初日ソワレのアリ―ナ・コジョカルとヨハン・コポーで、音楽性の高さで定評のあるアリーナと成熟したパートナーであるコポーとも迷ったのですが、白鳥は長身のバレリーナが好みなので、今回の選択に。
その後、彼女たちが電撃退団を発表したので、しまった!と思ったのですが、結局、お二人とも、体調不良で降板。
翌日土曜日マチネのロベルタ・マルケス、スティーブン・マックレーが代役として発表されたのですが、マルケスが10日水曜日のロイヤルガラで脚を痛めて回復が遅れ、土曜のソワレでカルロス・アコスタと組んでいたサラ・ラムが出演・・・と二転三転した模様。
マルケスは本来の出番である土曜には間に合ったようですが、御覧になった方のお話を伺うと、あまり華々しいパフォーマンスではなく、マックレーがあまりに素晴らしいテクニックとパフォーマンスを見せてくれたおかげで一層差が際立った・・・とか。

日曜は日曜で2人予定されたCASTが出られず、玉突き的に色々と手直しをされたらしい配役変更が会場で発表されていましたので、酷暑の東京で体調を崩されたり・・・ということもあったのかしらと。
本当にお疲れ様でした。
体調不良、故障の方は早く回復されることを祈ります。
そして、アリーナは、9月のミラノ・スカラ座公演でのゲスト出演で、元気な姿を拝見できますように!

あと、リャーン・ベンジャミンが近く退団されるという話も最近耳にして・・・。
マクミランの「ユダの木」を初演したり、熊川哲也が在団中の来日公演で見た「ドン・キホーテ」のキトリは彼女だったなぁ・・と。今回、GALAには出演されていたので、アリーナ・ヨハンの見おさめと共に、彼女の踊りも観納めておきたかったと。演目発表が遅かったのでなんとなく逃してしまったGALAでしたが、惜しいことをしました^^;

「白鳥」は・・・。ゴシックな衣装・装置のダウエル版は賛否両論で、さて?と思っていたのですが、
諸々CASTINGに嬉しい配役があり、なんといっても主役2人の素晴らしいパフォーマンスがあり、なんともゴージャスな舞台でした。
演奏も、バレエ公演ではおなじみの東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団でしたが、指揮者のボリス・グル―ジン氏の手腕か、とても良く、特に2幕の湖でのパ・ド・ドゥ導入部分のハ―プのソロは大変美しかったです。
あまりに良かったので、幕間にオーケストラ・ピットを覗きに行ってしまいましたが、まだお若い女性の方でした。

英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「白鳥の湖」

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、
フレデリック・アシュトン(第三幕ナポリの踊り)、デヴィッド・ビントレー(第一幕ワルツ)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 演出:アンソニー・ダウエル

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オデット/オディール:マリアネラ・ヌニェス
ジークフリート王子:ティアゴ・ソアレス
ジークフリートの母:エリザベス・マクゴリアン
悪魔、ロットバルト:ギャリー・エイヴィス
家庭教師:アラステア・マリオット
ベンノ:ヴァレリー・ヒリストフ ベネット・ガ―トサイド


第一幕
パ・ド・トロワ:エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、ヴァレンティノ・ズケッティ
侍女:ナタリー・ハリソン、デメルザ・パリッシュ
将軍:デヴィッド・ピカリング
ワルツ:
クリスティーナ・アレスティス、金子扶生 ナタリー・ハリソン、ローラ・マカロック、
クリステン・マクナリー、平野亮一、ヴァレリー・ヒリストフ ベネット・ガ―トサイド、蔵 健太、
ダヴィッド・チェンツェミエック、ロマニー・パイダック、ポール・ケイ
英国ロイヤル・バレエ団
ポロネーズ:英国ロイヤル・バレエ団

第二幕
白鳥のひなたち:
エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、
ロマニー・パイダック、サビーナ・ウェストコーム
二羽の白鳥:小林ひかる、イツァール・メンディザバル

第三幕
式典長:デヴィッド・ピカリング
六人の姫君たち:
オリヴィア・カウリー、金子扶生 ヤスミン・ナガティ、エマ・マグワイア、
マヤラ・マグリ、ローラ・マカロック、デメルザ・パリッシュ
スペインの踊り:
クリステン・マクナリー、イツァール・メンディザバル
ヨハネス・ステパネク、平野亮一
チャルダッシュ:
ヘレン・クロウフォード、ジョナサン・ハウエルズ
英国ロイヤル・バレエ団
ナポリの踊り:崔 由姫、ポール・ケイ
マズルカ:
クリスティーナ・アレスティス、ヘイリー・フォースキット、メリッサ・ハミルトン、
ベアトリス・スティックス=ブルネル、蔵 健太、エリコ・モンテス、
ドナルド・トム、ダヴィッド・チェンツェミエック


第四幕
二羽の白鳥:小林ひかる、イツァール・メンディザバル
白鳥、白鳥のひな、農民、侍女、
士官候補生、使用人、小姓、こびと:英国ロイヤル・バレエ団、英国ロイヤル・バレエ学校


指揮者:ボリス・グルージン
オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校



◆上演時間

第一幕、第二幕 13:00 - 14:15(休憩 25分)
第三幕 14:40 - 15:15(休憩 20分)
第四幕 15:35 - 15:55

終演後、空俄かにかき曇り・・・
熱帯のスコールのような夕立でした。
デマチを決行?したのですが、なんとか屋根のあるところに場所を確保できたので良かったようなものの・・・。
女王のエリザベス・マクゴリアンさんが出てらしたら、一瞬雨がやんだので、流石は女王オーラ!と^^
その後また、雨脚が強くなる中、ビニール袋をポンチョのように改造して着ていらした男性ダンサーとか、ファンの方から進呈された折傘をありがたくおしいだかれる女性ソリストとか、スーツ姿でさっそうと小走りに行ってしまわれた・・・と思いきやすぐにタクシーをつかまえて楽屋口に戻られて女性2人を救出された某芸監とか・・・。
楽屋口も結構ドラマでした^^;







英国ロイヤルバレエ団「不思議の国のアリス」追加公演

2013-07-09 15:29:07 | BALLET
2013年7月7日(日)18:00~

英国ロイヤルバレエ団2013年来日公演のオープニング作品、
「不思議の国のアリス」
ゲネプロと初日を観劇してとても良かったので、追加公演にも行って参りました。



英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演
「不思議の国のアリス」

振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: ジョビー・タルボット
編曲: クリストファー・オースティン、ジョビー・タルボット

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アリス: 崔 由姫(チェ・ユフィ)
ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
ラジャ/イモ虫: エリック・アンダーウッド
侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
牧師/三月うさぎ: ポール・ケイ
聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
料理女: クリステン・マクナリー
召使い/さかな: ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル:  ダヴィッド・チェンツェミエック→蔵健太
アリスの姉妹たち: リャーン・コープ、エマ・マグワイア
執事/死刑執行人: マイケル・ストイコ
3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団

指揮者: デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

協力: 東京バレエ団、東京バレエ学校

◆上演時間

第一幕 18:00 - 18:50(休憩 20分)
第二幕 19:10 - 19:40(休憩 25分)
第三幕 20:05 - 20:50

ギャリーの侯爵夫人目当てに取ったチケットでしたが、いつかは主役を観たい!と思っていたチェ・ユフィさんが主役で思いがけないボ―ナスがついてきた気分。
2002年のローザンヌで第一位とコンテンポラリー賞を受賞したときのパフォーマンスがローザンヌコンクール生離れした成熟ぶりだったので、その後、彼女がロイヤルに入団し、順調に昇進している様子にいつかは彼女メインの舞台を観てみたいと思っていたのですが、それがまさかアリスとは^^;
ちょっと予定外ではありましたが、サラ・ラムとはまた違った個性でとても魅力のあるアリスでした。

存在そのものがフェアリーテイルの世界の住人・・なサラは見た目からしてすんなりアリスでしたが、ユフィさんは勿論東洋人ですし、背もすらりと高いので、最初はちょっと違和感を感じなくもなかったのですが・・・。
Cuteな表情や伸びやかな踊りの表現に次第に気にならなくなり、最後のジャックとアリスのグラン・パ・ド・ドゥでは、初日のカップルには感じなかったセンターを踊るダンサーの求心力とでも言うべきものを強く感じ、わざとらしいまでに盛り上げる要素をてんこ盛りにした振付と、その役割をになうことを任じて作曲されたのであろうドラマチックな曲想で、却ってパロディ感が出てしまって軽く感じるこのPDDが、本気で物語の大きな山場としての存在を勝手に誇示し始めたのを感じて、これが、ダンサーのオーラというものか・・・と改めて感動。

思えば、サラ・ラムについては、ソリスト時代になんてすてきなフェアリータイプのダンサーだろう、早くプリンシパルに昇格しての主役を観たいものだと思っていた希望が実現した「眠りの森の美女」で、(これは版がつまらなかったせいもあるのですが)そのライトな属性に、オーロラに必要な姫としての押し出しの強さがない・・・四季の妖精に溶け込んでしまっている・・・とがっかりしたのを思い出したのですが。
この賑々しい作品「アリス」においては、サラの持ち味は却って爽やかな一服の清涼剤となっていて素敵でした。
こういう使い方があるのだなぁと感心。

グラン・パ・ド・ドゥにおいてのユフィさんの存在感、パートナーとの自然な心の通わせ方、伸びやかな踊りそのものの魅力など、もっと彼女で色々な作品を観てみたいものだなぁと思ったことでした。

以下、ダンサー別に一言ずつ・・・。

■ジャック/ハートの騎士: ニーアマイア・キッシュ
この作品が初見のダンサーです。アメリカ人でデンマーク・ロイヤル・バレエを経て移籍してきたプリンシパル。
スラリとした貴重な長身ダンサーですので、きっとゼナイダやユフィさんら、長身の女性ダンサーの相手役として重用されているのでは?
特筆すべきは、この衣装レベルがおしなべて高いこの公演中唯一残念だったハートのジャックのお衣装を着こなしてカッコ良い王子様に見えたこと。ボネッリのときには正直彼が気の毒だったので・・・。
モデル体型は武器ですね。

■ルイス・キャロル/白うさぎ: リカルド・セルヴェラ
初日は3月ウサギでしたので、これでセルヴェラの白・茶両方のウサギを観られて満足です^^
彼のゴムまりのように弾む跳躍、活き活きとした踊りはウサギ役にピッタリですね。
ワトソンのスノッブなチョイ悪ウサギとはちょっと違う心温かいうさぎさんでした。

■アリスの母/ハートの女王: ラウラ・モレーラ
正直あの衣装というか装置というか・・・はゼナイダの肩幅あってのデザインなので、普通の女性体型(え、ではゼナイダって・・・^^;)のモレ―ラは埋もれ気味でした^^;
が、圧巻の専制君主っぷりで周囲を圧倒したヤノウスキーに対し、モレ―ラの女王はちょっとコケティッシュ。
わがままだけれど憎めない感じでまた違うキャラがたっていて魅力的でした。
踊りのクオリティはこちらもバッチリ!でした。

■アリスの父/ハートの王: アラステア・マリオット
完全に尻にしかれている夫の風情ながら、裁判の最期で、女王をたしなめるときに王の風格を垣間見せたのがさすがのキャリア。

■マジシャン/いかれ帽子屋: アレクサンダー・キャンベル
大健闘していましたが、改めて、ちょっと靴音が重い?と思ったスティーブンがいかに正確にきっちりとタップのリズムを刻んでいたのかがわかり、スティーブン・マックレーの偉大さを再確認。

■侯爵夫人: ギャリー・エイヴィス
どんなにワイルドな場面でも、ギャリーだとどこか良いヒトになりますし、長身のバランスのとれた体型でドレスさばきも上手いので、メークでUGRYに作り込んでもどこかしら品が良いのですよね・・・(贔屓目)
裁判の場面でアリスとジャックの感動のパドドゥにほだされる2人は、この日は侯爵夫人と眠りネズミで、しっかと手を握り合っていました^^

■聖堂番/眠りネズミ: ロマニー・パイダック
ソリストの下のファーストアーティストポジですが、ティーポットからアリスに助け出されたときにびしょぬれで可哀そうな感じとか、カーテンコール中も思わず眠ってしまいそうになってみせたり、上記のギャリーとの愛情溢れる絡みなど、演じることの好きな人なのかなと。可哀そうカワイイキャラでした。

■料理女: クリステン・マクナリー
ソリスト。ソーセージ工場?の場面での鬼気迫る包丁さばき?と、クロケット場面での、首切り役人に一目ぼれして、何気にアピールする様など、芝居心満点。将来、プリンシパル・キャラクター・アーティストの方向に行きそうな人材。

■ 3人の庭師: アクリ瑠嘉、トリステン・ダイアー、ジェームズ・ヘイ
アクリ瑠嘉さんは2010年のローザンヌのファイナリストですね。
日伊ハーフで印象に残っていますが、ロイヤル・バレエ学校にスカウトされたと聞いていたのでそのうち出てくるかな?と思っていたら、2013年2月にバレエ団に入団していて・・・早速役がついて良かったですね。
平野さん、蔵さんに続く日本人男性ダンサーで、これからも活躍していただきたいです^^

■クローバーの7: 高田茜
2008年観客賞とプロ研修賞を取ったローザンヌを経てロイヤルで活躍中・・・のダンサー。個人的にとても注目しているのが高田さん。
初日は余裕がなくて探せなかったのですが、この日はしっかりと^^
トランプの精?たち、赤と黒でお化粧も統一していて、黒の女性は暗い紫の口紅にダークグレーのアイシャドウで、ちょっとモード系のメ―クだったのですが、それもまたお似合いでした。
踊りは期待に違わず、指先まで丁寧でメリハリもあり、良かったです
女性もユフィさんを筆頭に(彼女は国籍KOREAですが、福岡出身で出身バレエ学校も日本なので^^)、小林さん、高田さん、金子さんとこれまた日本人女性ダンサーも充実していて、楽しみです。
高田さんは「白鳥の湖」ではコジョカルの日にトロワを踊られるとか・・・
わたくしは観られないのですが、行かれる方は要・注目!ですよ





英国ロイヤルバレエ団「不思議の国のアリス」初日④

2013-07-09 13:25:52 | BALLET
2013年7月5日(金)18:30~
東京文化会館にて

英国ロイヤルバレエ団 2013JapanTour 初日にして、
2011年2月に初演されて以来人気演目となったロイヤルバレエ団の新作全幕物バレエ、
「不思議の国のアリス」

レポが異常に長くなっていますが・・・^^;

ゼナイダ・ヤノウスキー ON STAGE、圧巻の女王様に屈服、、、の第3幕です。

<第3幕>



女王のお庭から・・・。
迷路のようなグリーンを前に、庭師3人がせっせとお仕事・・・。
赤の女王のきらいな白バラを赤いペンキで塗っているのになぜか!また白に戻ってしまうxxx
(薔薇の部分がくるんと反転させられるリモコン付き?)
なので、どんなに頑張っても仕事が終わらず、庭師たち戦々恐々としながらパニック状態に・・・。
そこにデキル男?白ウサギとアリスが登場。
アリスがお手伝いしてもダメ。
白ウサギは彼らを薔薇ともども、樹木の陰に隠します(あえてグリーンにペイントしたお顔を見せている人間入りの三角錐)
女王登場!
クリケットを始める前に、、、
まずは得意の踊りを披露!!

これが眠りの森の美女のローズアダージョのパロディなのですが、もう、抱腹絶倒!
信じられない!!



4人の家来が嫌がりながら、恐がりながら、女王の相手役を務めます。
その嫌がりかたびくびくしてお互いに押し付け合う姿にも笑いを禁じ得ないのですが、
なんといっても素晴らしいのは女王様ゼナイダ・ヤノウスキーの怪演!
サポートをとちった家臣には踊りながら後で首切るわよ!のジェスチャーとか。。。
怪我しないか心配なくらい、ダイナミックに崩した踊りではあるのですが、
普通に全幕のオデット/オディールを踊れる人がその身体能力を活かしきってこのコミックバレエを演じきるすさまじさ・・。
ハイライトの薔薇を一本ずつ受け取るシーンでは、例のタルトを口でくわえて行くという趣向。
最期タルトを口にくわえたまま、3人にサポートされてポワントでアティテュ―ドのポーズをとった女王が下を向いて、体育座りした男にそのタルトを口移しにしようとしてピルエットで追いかけるという爆笑場面で〆。

初っ端からコレですが^^;
なんとかクロケット大会が始まります。



フラミンゴのお姉さんたち、この方たちゲネで観たときにあまりに美女揃いで驚いたのですが、本番のフラミンゴメイクが見事すぎてお顔がまったくわからない・・^^
でも秀逸なデザインですね。
そしてボールはハリねずみくん。日本人の子供たちが着ぐるみで登場、このお写真の少年少女たちよりも更に小さくて愛らしさ満点!!でした^^
(RoyalBalletのBlogを観ると、本国での子供は10歳で、日本公演のお子さんたちはなんと6歳!団員の心を完全に奪ってしまった・・・そうです^^)
もちろん実際に抱えているラケットやヒットするボールはぬいぐるみですが・・・時々フラミンゴが白ウサギにセクハラされていたり(笑)、ハリネズミくんが走って逃げたり、MIXで上手く使われています。

公爵夫人、女王、アリスが交互にプレーし、クロケット大会たけなわの時に・・・
またしてもジャック登場。
フラミンゴを抱えたアリスの前に登場します。
驚いて時が止まる2人ですが、くねくねするフラミンゴラケットの首がくるんと動いて彼を突っつくのがCUTE.

しかし、ジャックは追われる身・・・。
タルト泥棒の罪で死刑の宣告を受けているのですから・・・。
結果がわかっていても法による裁きの手続きは取られます。
イギリスらしいですね(笑)

場面転換のためのトランプの群舞。
サッサッと背景でカードが裏返る中、前面ではトランプたちがスピーディに踊ってカッコいい!
このトランプの形をしたチュチュがステキです。



そして法廷。
赤いハートの椅子が二つ。
王と女王の席ですね。
そして書記?裁判長というには軽い雰囲気ですが司会者的なポジに白ウサギ。
エドワード・ワトソンの白ウサギ、ちょっとタモリみたい。
ピンクの丸いサングラスをかけていて白ウサギコスなのに可愛く見えないところが凄い(褒めてます)
配役したウィ―ルドンが、ロイヤル時代の同輩でよく性格も熟知しているワトソンを白ウサギにした理由として
「ちょい悪で、けんかっ早い奴にしたかった。エドはそれが上手かった。彼は気難しく少し悩んだ様子とても上手く演じるんです」と述べてますけど・・・。
実に良いキャラクター。



女王登場、この夫の王様をロイヤルが誇るプリンシパル・キャラクター・アーティストのギャリー・エイヴィスが演じているのに大注目。
案の上、また、ひとしきり得意の踊りを披露・・・の女王ですが、今度は1人タンゴ。
これまた素晴らしいソロで、爆笑なのですが、得意気な彼女に、興味なさそうに新聞を読んでいるポーズをしたり、やめとけ、のジェスチャーをしたり、ヤノウスキ―から目を離せないのにギャリーからも目を離せない面白さ^^

さてこの法廷、上手の柵の中にジャックが。
下手の柵の中に、今までの主だった出演者が全て収まっています。
被告と証人。
そして陪審員?トランプのレディと紳士が4組ずつ、上手と下手の手前に座って成り行きを見守っています。
下手にアリスも・・・
心配しながら。

女王の裁判開催の踊り?の後、証人たちがそれぞれひとくさり踊ります。
ここでちょっと面白かったのが、アラビアンナイトなキャタピラーのエリック・アンダーウッドの踊りがセクシーなので、トランプの淑女たちが急にそわそわしてシナを作りだすところ^^;

皆 女王を恐れていますから、彼女の意に沿うように、ジャックを有罪の方向に持っていこうとします。

そしてジャックに自己弁護の機会が与えられソロで踊るのですが・・・。
素晴らしいテクニック満載のたっぷりとした踊り。
感動をいやがうえにも盛り上げる音楽とともに、これ以上ないほどのクライマックス感満載のマネージュはジャンプとジュテの連続技で、これをボネッリはきっちりと柔軟なバネを活かして踊りこなしていましたが、
そこにアリスも参戦。
2人の愛と懸命の訴えが証人席の紅涙を絞ります。
ここ、マッドハッターのスティーブンと三月ウサギのセルヴェラがしっかりと手を取り合って、感動のあまり身じろぎ出来ない・・・ポーズを取っていたのが可愛過ぎました



心動かされた証人たちは、女王に直訴します。
どうか赦してあげて下さい。

NO!死刑よ!

王様も口添えしますが、、、、

証人、陪審員全員が入り乱れての大混乱。逃げようとしても真っ赤な衛兵、真黒な首切り役人が通せんぼして逃げられません。
万事窮す。
アリスは迫りくるトランプを押し倒します。
すると・・・全員が順にドミノ倒し状態になり・・・最期は女王が・・・・。

場面がもとに戻ります。
静かな郊外の大学街にあるアリスの家の前で・・・・。

ベンチでお昼寝の大きくなったアリス。
大学生?の彼はジャック。ラジカセ?で音楽を鳴らしています。

ハッと飛び起きるアリス。今ね・・・この絵本の夢を観たのよ!!
そうなの?
ラブラブなカップル。
そこに通りかかったカメラマン。

ワトソンです。
2人の写真をこのスマホで撮ってもらえますか?いいですよ。ありがとう。

じゃれあいながら掃けるカップル。
ベンチに座って・・・おや、絵本、忘れ物じゃないかな?おおい!
行ってしまったか・・・。
で、座って、本を手にして読み始める夏の昼下がり・・・・


大喝采!
カーテンコールは何度も続き、演出家のウィ―ルドンも登場、大きな拍手を浴びていました。

なんと言いますか・・・
クラシックバレエの全幕物にあるしみじみとした深い味わいはありませんが、なんとも才気に溢れ、活き活きとした舞台、多くのダンサーに見せ場のある構成など、抜群のエンターテインメントバレエとして、一度は観る価値のある作品ではないでしょうか。
これならもっとチケット取っておけば良かった、と思ったのですが、運よく、チケットセールスが良かったので急遽決まった追加公演で、端の席ながらも一列目をGET.
全く違ったCASTゆえ、これもまた楽しみです




英国ロイヤルバレエ団「不思議の国のアリス」初日③

2013-07-09 11:56:30 | BALLET
2013年7月5日(金)18:30~
東京文化会館にて

英国ロイヤルバレエ団 2013JapanTour 初日にして、
2011年2月に初演されて以来人気演目となったロイヤルバレエ団の新作全幕物バレエ、
「不思議の国のアリス」のアジア初演ということもあり、Specialな熱気を感じるソワレでした。

満員御礼の観客の注目を集めての第2幕。

<第2幕>

ひとり残されたアリスのもとに現れるのは・・・
そう、チェシャ猫です!


最初に大きなお顔。そしてアリスを撫でるのは自在に動く尻尾・・・。
そう、黒子が動かす中国のお祭りの龍のアイデアで、バラバラに分解したり宙を飛んだり、アリスが近づくと身体を通り抜けられたり・・・の自在なイメージでふわふわと浮遊して、そしていつしか消えていく・・・。
お見事!
そして、ここでも、アリスはおびえたりしません。
ちょっと驚いたあとは、猫のお顔を撫でて可愛がり、喜びます。
凄いわ~アリス。
不思議の国の不思議な少女。
サラ・ラムは自然な妖精のような微笑みを浮かべて様々な出来事にすんなり順応していきます。

そして・・・有名なキチガイ帽子屋、マッドハッターのティーパーティー。
お馴染みのメンバー、帽子屋、三月ウサギ、眠りネズミの繰り広げる名場面。
ここは小さな劇場のような舞台と、(舞台の端に小さなティーカップが並んでいるのがカワイイ)、
下手に鎮座した、ヒト1人が入れる大きなティーポット。
フリ―ジャズのようなトランペットの演奏から始まるスティーブン・マックレーON STAGE!
もう、音楽に合わせてずっとタップのリズムを踏んでいるのですが、アリスを誘って舞台上で踊り、ウサギやネズミと肩に手を載せたラインダンスを踊り、ネズミを巨大ティーポットに押し込めてお仕事完了!アリスが助け出したネズミと今度は4人のラインダンス、そしてまたネズミをティ―ポットに・・・という永遠のループを匂わせる一連の流れの中、彼のタップの音が弱まったりとぎれたりすることは一度もなく・・・。
いやはや、圧巻でした!!

リカルド・セルヴェラが大きな前歯と茶色い耳をつけた3月ウサギで、その素晴らしくバネの効いた跳躍を見せてくれたのも嬉しかったです。
この場面、ノンストップで、ハイテンポでコミカルで・・・観客は唖然と見守ったのち大拍手。でもこの振付、踊る方には鬼のようなハードさでしょうね・・・^^;
今のロイヤルの男性プリンシパルダンサーの中で、正統派のバレエテクニックを持って一番踊れる、と思われるスティーブン・マックレーの使い方としては贅沢としか言いようがありませんが・・・。
彼のローザンヌでの自由部門、確かタップダンスだったのではなかったでしたっけ?
確かそうだったような。あれも見事だった・・と暫し思い出ワールド。

・・・アリスはまた一人取り残されます。
アリスが舞台センターで踊ると、上空にスモーク?が・・・。
Where are you?
How are you?
Who are you?

浮かんでは消える文字。
マジックマッシュルーム?紫の巨大キノコが上手に登場し、
エキゾチックなインド風のラジャが登場。
素晴らしいしなやかな筋肉を見せつける、肉体美のエリック・アンダーウッドがまったりと、でも素晴らしいテクニックで持って踊ります。
この辺り、くるみ割り人形の各国の踊りを思い起こさせるディベルティスマン的なパートですね。
映像など色々と斬新な演出を施しながらも、全幕バレエの伝統的な構成を大事にしている辺り、スーパーモダンな振付家だと思っていたウィ―ルドンの意外な大衆性・古典への順応性を見た思いがしました。
彼を囲んでハーレムの如く、アラビアンナイトのような美女が揺らめきます。
最期はキャタピラーとなって掃けていくのですが・・・その芋虫くんの脚のセクシーなこと!



デイベルティスマンの一環で、こんどは「花のワルツ」?
第1幕で小さな扉から見えた夢のようなお花達が登場。
4組のペアにソリストたちが、そして、それを囲む更なる群舞で華やかな場面。



この4組のカップルの1人に、この日のハートのジャック、フェデリコ・ボネッリのパートナーでありロイヤルバレエのファースト・ソリストである小林ひかるさんが。
彼女の踊り舞台姿ともにキレイなのですが、組んだパートナーがもしかしてふだんとは違うヒト?ちょっとリフトのタイミングが難しかったみたいで、ほかの3組よりも常にちょっと低い位置までしか上がっていなかったのが残念。

いつも風のように予告なしに登場するジャックがここでも姿を現しますが、ここではアリスに気付くことなくひとしきりソロを踊ります。
このソロがとても観ごたえのあるもので・・・。ピルエットダブルとトゥールアンレールの連続でマネージュ、というどうだ!という振付ですが、ボネッリは彼独特の柔らかく粘りを感じさせる丁寧な踊りをきれいに魅せてくれました。

そしてアリスに気付いたジャックとのパドドゥ。
散々ソロで踊った後に、リフト多用のこれまた鬼の振付ですが、ラムもボネッリも流れるように踊りこなす様はさすがとしか・・・。

で、、すっかり恋人たちを祝福する雰囲気に包まれたところで、突如登場するハートの女王!
首のところで、カッと手の平を滑らすポーズが怖すぎます。
首切り宣告xxx

と、ともに降りてくる斧。
はい、お約束のintermissionのお知らせです。
2幕も濃かったです!