マリインスキーの、いや、バレエ界の「至宝」と言われる
ウリアーナ・ロパートキナの決定版「白鳥の湖」を11月27日、東京文化会館で観て参りました。
何度目・・でしょうか。
マリインスキーのJapanTourの度にチケットを取り、そして急遽プーチンの式典で踊るように要請されたから・・などなどの理由で来日中止になったことなど何度もあり、幻のバレリーナだった彼女の「白鳥の湖」を初めて見たときの衝撃といったら・・・
それ以来、どの名ダンサーの「白鳥」も、どこか世俗的だったり優美さに欠けているように感じたり、で、受け付けなくなってしまったほど・・・・(唯一の例外はアニエス・ルテステュです。彼女の白鳥の造型は、クールな中に情感があって好みなので)
何度も観ている彼女の「白鳥」ですが、この日の出来栄えは一際!素晴らしかったと思います。
チャイコフスキー ≪白 鳥 の 湖≫ 全 3 幕 4 場
2012年11月27日(火)6:45p.m.~9:45p.m.
東京文化会館にて
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付: マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
改訂振付: コンスタンチン・セルゲーエフ
台本: ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
装置: イーゴリ・イワノフ
衣裳: ガリーナ・ソロヴィヨワ
指揮: アレクセイ・レプニコフ
管弦楽: マリインスキー劇場管弦楽団
< 出 演>
オデット/オディール: ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子: ダニーラ・コルスンツェフ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師: ソスラン・クラーエフ
道化: ワシーリー・トカチェンコ
悪魔ロットバルト: コンスタンチン・ズヴェレフ
王子の友人たち: エカテリーナ・イワンニコワ、 アナスタシア・ニキーチナ、 アレクセイ・ティモフェーエフ
小さな白鳥: エレーナ・チミリ、スヴェトラーナ・イワーノワ、アンナ・ラヴリネンコ、エレーナ・フィルソーワ
大きな白鳥: アレクサンドラ・イオシフィディ、ヴィクトリア・ブリリョーワ、ダリア・ヴァスネツォーワ、アナスタシア・ペトゥシコーワ
2羽の白鳥: マリーヤ・シリンキナ、 アナスタシア・ニキーチナ
スペインの踊り: アレクサンドラ・イオシフィディ、アナスタシア・ペトゥシコーワ、イスロム・バイムラードフ、カミル・ヤングラゾフ
ナポリの踊り: アンナ・ラヴリネンコ、 イリヤ・ペトロフ
ハンガリーの踊り: オリガ・ベリク、 カレン・イオアンニシアン
マズルカ: リリア・リシュク,ユーリヤ・ステパノワ、 マリーヤ・シェヴィアコーワ,イリーナ・プロコフィエワ、 ドミトリー・シャラポフ,セルゲイ・コノネンコ、ソスラン・クラーエフ,イワン・シートニコフ
花嫁たち: ヴィクトリア・ブリリョーワ,ダリア・ヴァスネツォーワ,アリサ・ソドレワ,エカテリーナ・ボンダレンコ,ヴィクトリア・クラスノクツカヤ,ユリアナ・チェレシケヴィチ
【上演時間】 約3時間 【終演予定】 21:45
第1幕 75分 - 休憩 20分 - 第2幕 35分 - 休憩 20分 - 第3幕 25分
マリインスキー・バレエ団、そしてオーケストラ!の総力を結集した、贅沢な全幕物バレエの魅力を存分に味あわせてくれた舞台でした。
また、この日、特筆すべきは客席の集中力。
余計な拍手や声、雑音などがなく、舞台途中の拍手も時期を得た短いもので、それでいて、幕毎の(その幕だけの出演ダンサーなど)カーテンコールなどでの熱心な拍手、終演後の、帰りがけに幕が開いてしまったから流れでなんとなく・・・ではなく、3度目のカーテンコールで客席の総意で立ちあがって舞台を向いての熱烈なスタンディングオベーションなど、バレエを愛する観客を真に魅了した舞台と劇場空間が幸せな熱を帯びて満たされた、特別な公演となりました。
幕ごとに感想を。
<第一幕>
コルスンツェフの王子は、おだやかながらも鷹揚なノーブルさ加減が好ましい。
ソロは伸びやかで今、本当に心技体のバランスが取れている状態なのかも。
道化のトカチェンコは人懐っこい演技も超高速回転の技も役にピッタリ。
王妃のエレーナ・バジェーノワの美貌が素晴らしく、金襴緞子の衣装に映えます。
マリインスキ―の宮廷衣装は脇に至るまで豪華で、王子に賜る誕生祝いの弓も、王妃のお付きの女官2人が王妃に手渡し、それから、王妃がそれを王子に賜る・・・という手順の恭しさもさることながら、女官2名の衣装の豪華さにも注目してしまいました^^
友人たちとの楽しい一時・・の間にも、徐々に照明が暗く調節され、陽が落ちてくるのがわかります。
王子が先に帰っていてくれ、とお付きたちから離れての単独行では、すっかりブルーの薄闇に。
そこで湖畔の背景の湖上を滑る白鳥の頭に華奢な冠が
白鳥の王女、ロパートキナは、その動きのひとつひとつが、王女であって白鳥である、というバレエの世界にしかない造型を典雅に極めていて圧巻の美。
その様式美の中で、ロットバルトに白鳥にされてしまった身の上を語り、王子の愛の誓いに感激して心からの信頼を寄せて身を委ねる思わず守ってあげたくなるはかなさを見るにつけ、この誓いを破ることの重大さが想像できる、ストーリー性もしっかりと込められている踊りであることがわかります。
コールドバレエのチュチュの位置が、長い脚の上の腰の位置でキレイに揃った24人の並びの美しさもマリインスキーならでは。
王妃のバジェーノワさん。衣装とご本人のゴージャスさが伝わりましたでしょうか・・・・^^
<第2幕>
そして、今回殊更に楽しかったのが、第2幕。
王子の誕生日を祝い、お妃を選ぶための舞踏会。
各国からの賓客の踊りの披露もあり、黒鳥オディールと保護者ロットバルトが王子を籠絡します。
マリインスキーのソリストたちのキャラクターダンスはとても魅力的。
各国の踊りの衣装も、それぞれふんだんに金銀があしらわれていたり、デザイン・素材にゴージャスなクラシカルな美しさが溢れていていました。
配役表を見た瞬間から楽しみにしていたソリストたちもバッチリチェック^^
この2幕がこんなに楽しいなんて・・・民族舞踊も軽くは流さず、衣装もそれぞれとても可愛くてゴージャス。
マリインスキーの舞台ならではだわ!だと心浮き立つわたくし
スペインの踊りは衣装が金糸銀糸で飾られた赤と黒で、赤の男性と黒の女性、というようにそれぞれ男女ペアになって踊ります。
ベテランで味のある演技をするイスロム・バイムラードフさんはここに。赤い衣装が彼の濃さを増幅させて^^;相変わらず作り込んだ密度の濃い踊りで魅せてくれました。黒のお衣装のの男性は若手の カミル・ヤングラゾフで、金髪でさっぱりした美形。黒い衣装が映えて、このお二人は良い対比。
そして、とても良かったのがナポリの踊り!アンナ・ラヴリネンコが可愛い!彼女はコリフェなのですね。
そして、そして、 イリヤ・ペトロフくん!2009年のJapanTourの「イワンと仔馬」で、ボロボロのセパレーツの衣装に耳のついた帽子で仔馬役に抜擢されていた彼。当時と同じくコールド・バレエの階級ながら、ソリスト役を振られているあたり、やはり期待の若手なのだと思うのですが、フレッシュさとキレの良い踊りは健在。
金髪を撫でつけて黒い小さなトルコ帽を載せたこしらえはあまり似合っていませんでしたが^^;
ハンガリーの踊りのオリガ・ベリクはコールドからの抜擢?
コリフェの カレン・イオアンニシアンはその美形ぶりをいつも楽しみにしているのですが、今回のハンガリーの衣装はとても似合っていてステキでした!
と、脇だけでもこんなに楽しめたのですが、今回オディールのロパートキナがいつにもましてステキで・・・。
オデットに定評のある彼女ですが、オディールの役作りも・・・好きです
なんと言いますか、王子を罠にはめようとか、女性の手練手管で籠絡しようとかという小手先の悪ではなく、あやつっているのはロットバルトで(コンスタンチン・ズヴェレフ、原形をとどめない^^;怖いメイクでお顔立ちがわかりませんが、細身のしなるような長身でダイナニックに暗躍し、出すぎず程よい存在感で好演)。
彼女自身は意志的な活き活きとした輝く瞳と活力溢れる身ごなしで、煌めくような生命感溢れる女性の魅力で王子を魅了している・・・という感じ。そのお役目を楽しんでいる風情のオディールでした。
はかなくもどこまでも優美で、高貴なオデットと対極の魅力を発散する、オディールの表現が新鮮。
一方、心惹かれて、どんどん夢中になり、母王妃に彼女こそ理想の!と花嫁候補たちを断るときの申し訳なさそうな気まずさとは真逆の熱情に王妃も快諾・・・という流れをその裏できっちりと演じていたコルスンツェフを始め、その場に居合わせるすべてのダンサーが宮廷内での自分の役割をしっかりと演じていて、なんとも密度の濃い2幕、でした。
<第3幕>
湖に帰ったオデットは仲間の白鳥たちに王子の裏切りを伝えます。
そこに、オデットを探しに走ってきた王子。傷心のオデットに赦しを乞うも、ロットバルトが登場。
オデットを巡っての激しい攻防があり、遂に王子がロットバルトの羽根をもぎ取り、悪魔はのたうちまわって言切れます。
暗いブルーの照明が、温かみのあるオレンジの光に変わり、朝が来ても白鳥の姿にはもう戻らないオデットと王子が光を受けて・・・幕。
もう、ドラマチックなマリインスキー管弦楽団の演奏を浴びつつ、美しいバレエ・ブランの白鳥たちと息をも継がせぬ展開にどっぷりと浸りきる・・・そんなマジカルなときでした。
そして拍手と充実感いっぱいのカーテンコールに続くのですが・・・。
今回の客席の反応、集中、全てが素晴らしかったのですが、ひとつだけ残念だったのは、せっかくの音楽、最後の弱音が消えるまで、拍手を控えていただきたかった・・・。
ハープのソロなど、聴きなれた曲なのにハッとさせられるほど、演奏が美しかっただけに、総合力のマリインスキー劇場では、もっと音楽も楽しんで尊重して欲しかった・・・とそこだけが、この完璧な公演で惜しまれました。
JapanArtsさんのブログによると、終演後かなりたってから、サイン会が催されたようですね。
雨上がりでとても寒い夜でしたので、わたくしはくじけてしまいましたが、寒空の中大勢のファンが待っていたことにロパートキナも感激されていたそうです
ウリアーナ・ロパートキナの決定版「白鳥の湖」を11月27日、東京文化会館で観て参りました。
何度目・・でしょうか。
マリインスキーのJapanTourの度にチケットを取り、そして急遽プーチンの式典で踊るように要請されたから・・などなどの理由で来日中止になったことなど何度もあり、幻のバレリーナだった彼女の「白鳥の湖」を初めて見たときの衝撃といったら・・・
それ以来、どの名ダンサーの「白鳥」も、どこか世俗的だったり優美さに欠けているように感じたり、で、受け付けなくなってしまったほど・・・・(唯一の例外はアニエス・ルテステュです。彼女の白鳥の造型は、クールな中に情感があって好みなので)
何度も観ている彼女の「白鳥」ですが、この日の出来栄えは一際!素晴らしかったと思います。
チャイコフスキー ≪白 鳥 の 湖≫ 全 3 幕 4 場
2012年11月27日(火)6:45p.m.~9:45p.m.
東京文化会館にて
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付: マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
改訂振付: コンスタンチン・セルゲーエフ
台本: ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
装置: イーゴリ・イワノフ
衣裳: ガリーナ・ソロヴィヨワ
指揮: アレクセイ・レプニコフ
管弦楽: マリインスキー劇場管弦楽団
< 出 演>
オデット/オディール: ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子: ダニーラ・コルスンツェフ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師: ソスラン・クラーエフ
道化: ワシーリー・トカチェンコ
悪魔ロットバルト: コンスタンチン・ズヴェレフ
王子の友人たち: エカテリーナ・イワンニコワ、 アナスタシア・ニキーチナ、 アレクセイ・ティモフェーエフ
小さな白鳥: エレーナ・チミリ、スヴェトラーナ・イワーノワ、アンナ・ラヴリネンコ、エレーナ・フィルソーワ
大きな白鳥: アレクサンドラ・イオシフィディ、ヴィクトリア・ブリリョーワ、ダリア・ヴァスネツォーワ、アナスタシア・ペトゥシコーワ
2羽の白鳥: マリーヤ・シリンキナ、 アナスタシア・ニキーチナ
スペインの踊り: アレクサンドラ・イオシフィディ、アナスタシア・ペトゥシコーワ、イスロム・バイムラードフ、カミル・ヤングラゾフ
ナポリの踊り: アンナ・ラヴリネンコ、 イリヤ・ペトロフ
ハンガリーの踊り: オリガ・ベリク、 カレン・イオアンニシアン
マズルカ: リリア・リシュク,ユーリヤ・ステパノワ、 マリーヤ・シェヴィアコーワ,イリーナ・プロコフィエワ、 ドミトリー・シャラポフ,セルゲイ・コノネンコ、ソスラン・クラーエフ,イワン・シートニコフ
花嫁たち: ヴィクトリア・ブリリョーワ,ダリア・ヴァスネツォーワ,アリサ・ソドレワ,エカテリーナ・ボンダレンコ,ヴィクトリア・クラスノクツカヤ,ユリアナ・チェレシケヴィチ
【上演時間】 約3時間 【終演予定】 21:45
第1幕 75分 - 休憩 20分 - 第2幕 35分 - 休憩 20分 - 第3幕 25分
マリインスキー・バレエ団、そしてオーケストラ!の総力を結集した、贅沢な全幕物バレエの魅力を存分に味あわせてくれた舞台でした。
また、この日、特筆すべきは客席の集中力。
余計な拍手や声、雑音などがなく、舞台途中の拍手も時期を得た短いもので、それでいて、幕毎の(その幕だけの出演ダンサーなど)カーテンコールなどでの熱心な拍手、終演後の、帰りがけに幕が開いてしまったから流れでなんとなく・・・ではなく、3度目のカーテンコールで客席の総意で立ちあがって舞台を向いての熱烈なスタンディングオベーションなど、バレエを愛する観客を真に魅了した舞台と劇場空間が幸せな熱を帯びて満たされた、特別な公演となりました。
幕ごとに感想を。
<第一幕>
コルスンツェフの王子は、おだやかながらも鷹揚なノーブルさ加減が好ましい。
ソロは伸びやかで今、本当に心技体のバランスが取れている状態なのかも。
道化のトカチェンコは人懐っこい演技も超高速回転の技も役にピッタリ。
王妃のエレーナ・バジェーノワの美貌が素晴らしく、金襴緞子の衣装に映えます。
マリインスキ―の宮廷衣装は脇に至るまで豪華で、王子に賜る誕生祝いの弓も、王妃のお付きの女官2人が王妃に手渡し、それから、王妃がそれを王子に賜る・・・という手順の恭しさもさることながら、女官2名の衣装の豪華さにも注目してしまいました^^
友人たちとの楽しい一時・・の間にも、徐々に照明が暗く調節され、陽が落ちてくるのがわかります。
王子が先に帰っていてくれ、とお付きたちから離れての単独行では、すっかりブルーの薄闇に。
そこで湖畔の背景の湖上を滑る白鳥の頭に華奢な冠が
白鳥の王女、ロパートキナは、その動きのひとつひとつが、王女であって白鳥である、というバレエの世界にしかない造型を典雅に極めていて圧巻の美。
その様式美の中で、ロットバルトに白鳥にされてしまった身の上を語り、王子の愛の誓いに感激して心からの信頼を寄せて身を委ねる思わず守ってあげたくなるはかなさを見るにつけ、この誓いを破ることの重大さが想像できる、ストーリー性もしっかりと込められている踊りであることがわかります。
コールドバレエのチュチュの位置が、長い脚の上の腰の位置でキレイに揃った24人の並びの美しさもマリインスキーならでは。
王妃のバジェーノワさん。衣装とご本人のゴージャスさが伝わりましたでしょうか・・・・^^
<第2幕>
そして、今回殊更に楽しかったのが、第2幕。
王子の誕生日を祝い、お妃を選ぶための舞踏会。
各国からの賓客の踊りの披露もあり、黒鳥オディールと保護者ロットバルトが王子を籠絡します。
マリインスキーのソリストたちのキャラクターダンスはとても魅力的。
各国の踊りの衣装も、それぞれふんだんに金銀があしらわれていたり、デザイン・素材にゴージャスなクラシカルな美しさが溢れていていました。
配役表を見た瞬間から楽しみにしていたソリストたちもバッチリチェック^^
この2幕がこんなに楽しいなんて・・・民族舞踊も軽くは流さず、衣装もそれぞれとても可愛くてゴージャス。
マリインスキーの舞台ならではだわ!だと心浮き立つわたくし
スペインの踊りは衣装が金糸銀糸で飾られた赤と黒で、赤の男性と黒の女性、というようにそれぞれ男女ペアになって踊ります。
ベテランで味のある演技をするイスロム・バイムラードフさんはここに。赤い衣装が彼の濃さを増幅させて^^;相変わらず作り込んだ密度の濃い踊りで魅せてくれました。黒のお衣装のの男性は若手の カミル・ヤングラゾフで、金髪でさっぱりした美形。黒い衣装が映えて、このお二人は良い対比。
そして、とても良かったのがナポリの踊り!アンナ・ラヴリネンコが可愛い!彼女はコリフェなのですね。
そして、そして、 イリヤ・ペトロフくん!2009年のJapanTourの「イワンと仔馬」で、ボロボロのセパレーツの衣装に耳のついた帽子で仔馬役に抜擢されていた彼。当時と同じくコールド・バレエの階級ながら、ソリスト役を振られているあたり、やはり期待の若手なのだと思うのですが、フレッシュさとキレの良い踊りは健在。
金髪を撫でつけて黒い小さなトルコ帽を載せたこしらえはあまり似合っていませんでしたが^^;
ハンガリーの踊りのオリガ・ベリクはコールドからの抜擢?
コリフェの カレン・イオアンニシアンはその美形ぶりをいつも楽しみにしているのですが、今回のハンガリーの衣装はとても似合っていてステキでした!
と、脇だけでもこんなに楽しめたのですが、今回オディールのロパートキナがいつにもましてステキで・・・。
オデットに定評のある彼女ですが、オディールの役作りも・・・好きです
なんと言いますか、王子を罠にはめようとか、女性の手練手管で籠絡しようとかという小手先の悪ではなく、あやつっているのはロットバルトで(コンスタンチン・ズヴェレフ、原形をとどめない^^;怖いメイクでお顔立ちがわかりませんが、細身のしなるような長身でダイナニックに暗躍し、出すぎず程よい存在感で好演)。
彼女自身は意志的な活き活きとした輝く瞳と活力溢れる身ごなしで、煌めくような生命感溢れる女性の魅力で王子を魅了している・・・という感じ。そのお役目を楽しんでいる風情のオディールでした。
はかなくもどこまでも優美で、高貴なオデットと対極の魅力を発散する、オディールの表現が新鮮。
一方、心惹かれて、どんどん夢中になり、母王妃に彼女こそ理想の!と花嫁候補たちを断るときの申し訳なさそうな気まずさとは真逆の熱情に王妃も快諾・・・という流れをその裏できっちりと演じていたコルスンツェフを始め、その場に居合わせるすべてのダンサーが宮廷内での自分の役割をしっかりと演じていて、なんとも密度の濃い2幕、でした。
<第3幕>
湖に帰ったオデットは仲間の白鳥たちに王子の裏切りを伝えます。
そこに、オデットを探しに走ってきた王子。傷心のオデットに赦しを乞うも、ロットバルトが登場。
オデットを巡っての激しい攻防があり、遂に王子がロットバルトの羽根をもぎ取り、悪魔はのたうちまわって言切れます。
暗いブルーの照明が、温かみのあるオレンジの光に変わり、朝が来ても白鳥の姿にはもう戻らないオデットと王子が光を受けて・・・幕。
もう、ドラマチックなマリインスキー管弦楽団の演奏を浴びつつ、美しいバレエ・ブランの白鳥たちと息をも継がせぬ展開にどっぷりと浸りきる・・・そんなマジカルなときでした。
そして拍手と充実感いっぱいのカーテンコールに続くのですが・・・。
今回の客席の反応、集中、全てが素晴らしかったのですが、ひとつだけ残念だったのは、せっかくの音楽、最後の弱音が消えるまで、拍手を控えていただきたかった・・・。
ハープのソロなど、聴きなれた曲なのにハッとさせられるほど、演奏が美しかっただけに、総合力のマリインスキー劇場では、もっと音楽も楽しんで尊重して欲しかった・・・とそこだけが、この完璧な公演で惜しまれました。
JapanArtsさんのブログによると、終演後かなりたってから、サイン会が催されたようですね。
雨上がりでとても寒い夜でしたので、わたくしはくじけてしまいましたが、寒空の中大勢のファンが待っていたことにロパートキナも感激されていたそうです