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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

シルヴィ・ギエム 2011 HOPE JAPAN TOUR Bプロ ①

2011-10-30 23:47:31 | BALLET
シルヴィ・ギエムの日本公演、Bプロに行って参りました。
東京文化会館の大ホールの入口には、「大入り」の札が


10月30日(日) 3:00p.m. 東京文化会館

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Bプロ



「春の祭典」
振付:モーリス・ベジャール、音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

生贄:長瀬直義
2人のリーダー: 柄本弾、森川茉央
2人の若い男:氷室友、小笠原亮
生贄:吉岡美佳
4人の若い娘:高村順子、西村真由美、佐伯知香、吉川留衣


「リアレイ」*
振付:ウィリアム・フォーサイス、音楽:デヴィッド・モロー

シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル


「パーフェクト・コンセプション」
振付:イリ・キリアン
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ、ジョン・ケージ、レスリー・スタック

田中結子、川島麻実子、松下裕次、宮本祐宜


「アジュー」(Bye)*
振付:マッツ・エック
音楽:ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第32番Op.111 第2楽章

シルヴィ・ギエム


※音楽は特別録音によるテープを使用します。



◆上演時間◆

「春の祭典」15:00 - 15:40  [休憩] 20分
「リアレイ」「パーフェクト・コンセプション」16:00 - 16:40 [休憩] 15分
「アジュー」(Bye)16:55 - 17:15




バイエルン国立歌劇場日本公演「ローエングリン」 ②

2011-10-30 09:09:04 | OPERA
2011年9月29日
NHKホールでの バイエルン国立歌劇場東京公演。
「ローエングリン」



演出はリチャード・ジョーンズ。

始まる前から後ろ姿のオーバーオール?姿の人が、図面を引いている模様・・・
舞台には煉瓦で土台が組まれています。
この「家」がブラバント王国建設のメタファーとなっていて、
1幕の間、皆で煉瓦を運んでは積み重ね、なんと休憩時間にも作業が続き終幕では家として
完成している・・・という構図。
エルザ姫も、結婚式の白いドレス姿になるまではこのオーバーオールに三つ編みヘアーの
田舎の子供みたいな姿ですし、白鳥の騎士もブルーのシャツを裾出しで着ていて一緒に
家の建設に軽作業で参加しているし・・・。
ドイツ系の歌劇場では主流派の、現代版の衣装、簡素なセットでのモダン演出。
まぁ、今堂々と王子様として白鳥の張りぼてボートに乗って現れるのも厳しいかとは思うので、
これはこれでありかもしれません。
それにしても、合唱の国民たちが、みな、ボトムスは男性チノパンかスラックス、女性はグレーのプリーツスカートなどの普段着に揃いの青いTシャツとはどこまで衣装代がかかっていないのか!と。
・・・ここまで徹底されるといっそ清々しいですけれどもね^^;


【第1幕】

舞台上にはすでにエミリー・マギーが。
延々と後ろ姿で製図し続けています・・・。

いきなり、ケント・ナガノが現れて序曲演奏。
あれ、これってもっと美しいワクワクするような曲ではなかったかしら?
ちょっと思っていた曲とはテンポが違うのか、なんとなく入り込めない演奏でした。

舞台の上では、家(=国?)の建設に携わる人々。
事務職らしいかっちりした服装の、テルラムント率いるホワイトカラー、
オーバーオールを着たエルザ側に立つブルーのラフな服のひとがブルーカラーという位置づけか。

行方不明の弟、父公亡き後のブラバントの後継ぎの殺害の嫌疑をかけられているのは姉娘エルザ。
追求するのは、番頭役であったテルラムント伯爵。
彼はエルザに求婚して拒絶の憂き目に合った過去を持ち、今は魔術を使える家柄の良いオルトルートを妻としています。
裁判をつかさどるのは国王フリードリヒ。
彼は、徴兵に協力してもらえるブラバント公国の行方に関心を持っている模様。
テルラムントは、武勲をあげていて、一定の信頼を国民からも得ている人物なので、
頼りなげなエルザには不利な状況。

エルザがかけられようとしているのは火あぶりの刑。
着々と準備が進められている中、彼女のために動く騎士はいないのか?との呼び掛けに応えてきたのは
エルザが夢で見たと歌った騎士。

・・・。上手から、白鳥を小脇に抱えてとことこ歩いて

白鳥の労をねぎらい、オルトルートの前で一瞬視線を合わせて対決の構図。
まさにこのオペラの善悪の象徴が一瞬火花を散らす瞬間ですね。

エルザに問う騎士。
わたしが誰で、どこから来たのか問うてはなりません。その誓いをあなたは守れますか?
守ります。ではあなたを愛し、あなたのために闘いましょう。

明らかに強そうなニキーチンですが(彼は、刺青をたくさん入れていますね^^;これは素で入っているものだと思いますが敢えて消していませんでした)ほとんど不動でポーズをとる穏やかな巨漢ボータに向うと、勝手に剣から火花が出て、取り落してしまいます。
勝負あり。
命は預かろう、ということで訳の分らぬままに追放の憂き目にあうテルラムント。
ニキーチンは声質はキレイだと思いますが声量がやや足りないか。
妻の尻に敷かれる男(え?)の役なので、違和感ありませんでしたが^^;

【第2幕】

騎士は自然に人々の輪に入り、テーブルにニスを塗ったり溶け込んでいます。
家の建設が再開されました。

前景の上手の椅子にはその様子を眺めて次の手を考えるオルトルート。
マイヤー様はショートカットで、地味な色の襟もとが深いシャープなワンピース姿。
突出した知性を感じさせるキャリア女性的な趣でカッコいい。

短絡的なテルラムントはピストル自殺を図るが、オルトルートに止められます。
舞台を前後に仕切る壁が降りてきて、2人の部屋の情景に。
魔女であるオルトルートは、騎士の勝利が魔術によるものだと喝破。
名を秘すのは魔術が溶けてしまうのを防ぐ意味。
エルザに禁断の問いを発せさせましょう。

建設途中の家から出てきたエルザにオルトルートが近づきます。
「不幸な女(ひと)」と呼びかけるエルザ。
その高慢さに内心の苛立ちを押さえつつ取りいるオルトルート。
エルザのエミリー・マギーは無難に歌いこなしていて演技もしていますが、声に心が繊細に反映されるところまでは行っていないかも。
オルトルートの表と裏の顔を使い分ける達者さはマイヤーが上手ですね。
(設定もそうなので違和感ありませんが^^;)



朝が来て、家は完成間近。

人々が家の中を整え、結婚式の準備をします。

奥の部屋は寝室。
手前の部屋にテーブルと十字架がおかれ、教会も兼ねて、ここで式が執り行われます。

白い婚礼衣装のエルザが登場。
つき従うのはダークグリーンのドレスのオルトルート。

天井から屋根が降りてきて家は完成。
なんとソーラーパネル付(ドイツらしくて笑えました^^)。

オルトルートが言葉巧みにエルザを追いこみ、騎士への疑念を植え付けます。

騎士と国王が登場。

ベランダにテルラムント。
なぜこの男が!
皆の前で、問いを発するテルラムント。
その男の名前を聞きたい。
その男に応える義務はない。わたしに問えるのはエルザだけだ。
でも、そのエルザは、出会いの場面ですでに問うことを放棄させられています。

それぞれが心の内を歌う重唱。
はっきりと聞こえてくるのはボータとマイヤー。

テルラムントに詰め寄られながら、エルザは結婚誓約書にサインをします。
ローエングリンはチェックマーク。
その手もとが、舞台天井近く中央の丸いお知らせマーク(朝が来たら鶏とか)に映し出される趣向。

ここで、あの有名な結婚行進曲が鳴り響きます。

この曲って微妙ですよね・・・。しごく当然のように結婚式に使われていますけれど、このオペラの文脈の中では、秘密があるがために直後に破綻する絆の流れが見えているだけに、末永くの幸せを願う結婚式にふさわしいのかどうか・・^^;
それを言うなら、椿姫の乾杯の歌が披露宴などで歌われるのも微妙ですが^^;

それはさておき、無事に式を見届けた人々が手を振りながら掃けていき、ようやく2人きりになるエルザと騎士。

【第3幕】

さて、ここからが聴きどころ!
ふたりきりだね。甘い二重唱。
あなたの名を呼びたいわ、愛しい人。
信頼があるのだから、光の国から来たのだと信じてほしいと諭すローエングリン。
あなたがどこから来たのかがわからないわたしは、いつあなたがそこに戻らないともわからない心配に常に苛まれるのです。
自分だけには打ち明けてほしいと懇願をはぐらかされて、エルザは止まらなくなります。

約束しただろうと言われても、そもそも真の愛は相互理解なくしては生まれないもの。
もともとの縛りが無理だった、ということなのですが・・・。

遂には、白鳥が彼を連れ戻しに来る妄想が始まり、2人の甘い初夜は幻となるという場面までの心理戦。

そこに隙をついて騎士を倒そうと機をうかがっていたテルラムントが駆け込み、そして倒されます。
・・・沈黙。エルザ退場。
寝台に傍らのベビーベッドを載せてガソリンを撒き、火をつけるローエングリン。

幕が降り、幕前で憤慨した様子で剣を突き立て去っていくローエングリン。

ここで、パイプオルガンの辺りに、出現したトランペット隊が・・・。
金管BRAVI!
素晴らしい演奏でした。
彼らは王の伝令が何かを伝えるたびにも登場するのですが、伝令と揃いの衣装が可愛い^^

再び、広場に集う人々。
英雄が現れるのを待っています。
テルラムント以上の勇者ゆえ、さぞ頼りになる騎士団を取りまとめてくれるであろう。
国王も期待を持って、待ちます。

そこに思いがけない、騎士の告発。
エルザが誓いを破りました。
テルラムントの屍が引き出されます。

ここから、名と出自を明かす騎士、ローエングリンの独唱が延々と・・・
ボータ、素晴らしい。

これぞワーグナー、これぞ聖杯の騎士。
栄光に満ち溢れた聖なるモンサルヴァ―ト。

白鳥が迎えに来た。

別れの時だ。エルザに指輪を渡して去る騎士。
行ってしまえと毒づくオルトルート。手先は鉄砲となって命を落とすも、本当の巨悪は残るのですね。
コワいわ・・・。

ローエングリンは白鳥を抱えて現れ、一度はけて、今度は男の子を連れてきます。
弟です。正当な領主が戻ってきました。

凍りつく人々を残して、ローエングリンは去ります。
残された人々は互いに銃を向けあい、アナウンスの映像には向かい合った銃の絵が。。。

え、これってまた殺戮の場に?それとも集団自殺?

演出の意図は今一つ不明なれど、ボータの絶頂期の歌唱を聴けたこと、マイヤーの必ずしもBESTコンディションとはいえなかった声ではありつつ、それを凌駕する存在感と演技力でとにかく満足。
善悪両巨頭?の歌唱が全てを牽引して見せ切ったこの日の「ローエングリン」でした。






バイエルン国立歌劇場日本公演「ローエングリン」 ①

2011-10-29 09:37:53 | OPERA
すっかり一月も前のお話になってしまいましたが^^;
記録に残しておきたいので、9月のバイエルン歌劇場日本公演について・・・。



「ロベルト・デグリュー」「ナクソス島のアリアドネ」と「ローエングリン」の3本を持っての来日公演。
この中では、グルヴェロ―ヴァの鉄壁のソプラノを堪能できる「ロベルト・デグリュー」にも少し惹かれたのですが、今までキャスティングが難しそうだなぁ・・・と観賞を控えていた「ローエングリン」にヨナス・カウフマンが!しかもオルトルートにワルトラウト・マイヤー様が!という時点で決めておりました
しかし・・・震災後の日本に全く来る気がないのかどうなのか、カウフマン、METに続いてバイエルンもCANCEL・・・。
いえ、もちろん、手術の必要があるため、という理由により、「残念ながら」のスタンスではありますが。
今回の来日公演も、スター歌手、合唱団、オーケストラに至るまでかなりの参加拒否があったとか・・・;;
舞台裏は相当大変なことになっていた模様ですが、「ローエングリン」に関しては、カウフマンの代わりになんとヨハン・ボータという実力では凌駕している名歌手が参加してくれました。

「ローエングリン」といえばワーグナーに貢いで現実逃避、白鳥城で有名なノイシュバンシュタイン城の城主、バイエルン公ルートヴィヒ2世を思い起こさずにはいられませんが・・・。



ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ」でのヘルムート・バ―ガ―の名演、エリザベート役のロミ―・シュナイダ―の美しさを思い起こすまでもなく、この耽美な物語と音楽にハマったルートヴィヒがお城の中に池を作り、白鳥のボートを浮かべて乱痴気騒ぎを・・・というあの場面、それはこういうイメージから来るのですよね。

弟殺しの裁判にかけられた、親を亡くした公爵令嬢エルザ・フォン・ブラバント。
告発したのは、賢い野心家の妻、オルトルートにけしかけられたテルラムント伯爵は、亡き公爵に娘に求婚する権利を与えられたにも関わらず、エルザの拒否にあったという恨みもあるとはいえ、勇猛な武人。
夢遊病者のような頼りないエルザは圧倒的に不利な立場に追い込まれています。
彼女を救うものはいないのか。
裁判をつかさどるのはハインリッヒ王。
そこに湖の彼方から白鳥の曳く小舟に乗って現れたのは美しい騎士。
彼の魅力に取りつかれた一同は、彼が擁護するエルザを即座に許し、彼の妻になるというエルザともども、ブラバントの新しき王として歓迎します。
当初の問題は何も解決していないのに、この憂いに満ちた高貴な騎士に疑いを持つのはオルトルートのみ。
名前と身分についての質問を封じることを謎の騎士から命じられた新妻エルザに、オテロのイア―ゴの如くとりいって、ついに禁断の問いを口にさせてしまいます。

初夜を前に、結婚の契約は破綻。
騎士は、皆を集めて、自らを聖杯の騎士と名乗り、もとの聖なる国に帰りニ度と戻らないと宣言。
白鳥が騎士を迎えに来て、行方不明の弟が姿を現します。
魔術を使えるオルトルートが弟を白鳥に変えていたのでした。。。。

なんとも不思議な味わいのこの作品。
白鳥の騎士に皆が魅入られてしまう・・・というこの場面を納得のいくものにするためには
美しい音楽はもとより、説得力のあるVISUALが必要では・・・と常々思っていたわたくしが、これだと膝を打ったのがカウフマンの騎士ローエングリンだったのですが。

ヨハン・ボータですと・・



こうなりますから^^;
あ、いえ、声と表現力はもう、超一流のヘルデンテノールで、ワーグナーものにピッタリですので、
何の問題もないのですが^^;

でも、出来れば「白鳥の力士」ではなく「白鳥の騎士」を見て観たかったデス・・・




2011年9月29日(木)16:00開演(会場:NHKホール)


リヒャルト・ワーグナー作曲
「ローエングリン」 全3幕

Richard Wagner
LOHENGRIN  
Oper in drei Akten


指揮:ケント・ナガノ
Musikalische Leitung Kent Nagano
演出:リチャード・ジョーンズ
Inszenierung Richard Jones
美術・衣裳 :ウルツ
Bühne und Kostüme Ultz
照明:ミミ・ジョーダン・シェリン
Licht Mimi Jordan Sherin
合唱指揮:ゼーレン・エックホフ
Chöre Sören Eckhoff


ハインリッヒ王:クリスティン・ジークムントソン
Heinrich der Vogler Kristinn Sigmundsson
ローエングリン:ヨハン・ボータ
Lohengrin Johan Botha
エルザ・フォン・ブラバント:エミリー・マギー
Elsa von Brabant Emily Magee
フリードリヒ・フォン・テルラムント伯爵:エフゲニー・ニキーチン
Friedrich von Telramund Evgeny Nikitin
オルトルート:ワルトラウト・マイヤー
Ortrud Waltraud Meier
王の伝令:マーティン・ガントナー
Heerrufer des Königs Martin Gantner

ブラバントの貴族:
フランチェスコ・ペトロッツィ、ケネス・ロバーソン、ペーター・マザラン、タレク・ナズミ
Brabantische Edle Francesco Petrozzi, Kenneth Roberson, Peter Mazalán, Tareq Nazmi
4人の小姓:バイエルン国立歌劇場合唱団ソリスト
4 Edelknaben Solistinnen des Chores der Bayerischen Staatsoper

バイエルン国立管弦楽団/バイエルン国立歌劇場合唱団
Bayerisches Staatsorchester/Chor der Bayerischen Staatsoper


◆上演時間◆

第1幕 Act 1 16:00 - 17:05(休憩 35分)
第2幕 Act 2 17:40 - 19:00(休憩 35分)
第3幕 Act 3 19:35 - 20:40





シルヴィー・ギエム 2011 HOPE JAPAN TOUR Aプロ ②

2011-10-23 22:10:48 | BALLET
シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Aプロ
10月23日(日) 3:00p.m. at 東京文化会館
の感想です


【第1部】

■「白の組曲」



振付: セルジュ・リファール
音楽: エドゥアール・ラロ「ナムーナ」からの抜粋

東バのレパートリーのひとつで、何度か観ていますが、ゲストに外国人男性ダンサーを配していたことが
多かったような・・・?
今回、純東バキャストで観ると、なんだか新鮮。新鮮なのは、背景がすっかり黒で統一され、白いバレエであることが明確に強く打ち出されているせいもあるのかも?

シエストの並びが 乾友子さんセンターで嬉しい!もともとクール・ビューティで、端正な踊りをする彼女には注目していましたが、ここ2~3年、あでやかさが増していらしたような。
高木綾さんの安定感、、渡辺理恵さんのスタイルの良さにも満足。
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ)はスレンダーな田中結子さんを柄本弾さんがソフトにサポート。
今回弾さんがPDDの目立つポジションに多用されていましたが、踊りが見違えるほどしっかりしていて持ち前の容姿の甘さが引き立ちました。ポスト高岸さんを目指してほしいです・・・。
木村さんがソロで、力強いテクニックを披露。木村さんも端正さとテクニックがまず目立っていた若いころより、今の方が押し出しが強くて華がありますね。
セレナードの小出領子さんは持ち前の音楽性と安定感で盤石。
プレスト(パ・ド・サンク)の女性1人岸本夏未さん、一瞬 井脇さんかと思いました。体型が似ているのとはっきりとした顔立ちの美人だからかしら?下手に高橋竜太さん長瀬直義さん上手に小笠原亮さん、宮本祐宜さんと分かれましたが、長瀬さんのエレガントで伸びやかなアームスの使い方に目を惹かれました。
高橋さんはキレのある踊りと軽やかで飄々とした存在感が好きなのですが、今回、なぜか空中でのジャンプの軸が斜めっていたような・・・着地はキレイでしたけど。
シガレットの吉岡美佳さん、この方も年齢を超越していますね・・・。前髪あり、のヘアスタイルが残念。
モダンでダウンヘアのときは良いけれど、こういうバレエ・ブランでは、すっきりシニヨンのほうが素敵なのに・・・と一瞬思ったものの、やはり吉岡さんの存在感はステキ!
一瞬たりとも舞台の上でバレリーナでない瞬間がないんですよね・・・。いい意味で全く生活感がないダンサーで。やっぱり好きです。
マズルカの 後藤晴雄さん、ヘアスタイルがいつも残念なのですが、日本人離れした筋肉質の体型としなやかな踊りは健在。
アダージュ(パ・ド・ドゥ)は上野水香さんと柄本弾さんという、新鮮な並び。
近年、堂々とプリマの風格の感じられる水香さんと、甘いマスクの弾くん、というこの二人、なかなか良いかも。華のあるPDDでした。
フルートは、しなやかさと妖艶さが魅力的な西村真由美さん。彼女は舞台の上で表に出すパワーに結構ムラのある印象がありますが、今回は良い感じにラストの大事な役どころを務めてくれました^^
いつのまにか、東京バレエ団、こういう平板になりがちな演目(失礼!)でも、テクニックの確かさとソリストの個性で魅せてくれるバレエ団になっていたのですね。
・・・と、今更のように、東バ愛が胸に沸き起こった演目でした


■「マノン」より第一幕(寝室)のパ・ド・ドゥ

振付: ケネス・マクミラン
音楽: ジュール・マスネ

何度も観たことのある、シルヴィ・ギエムのマノン・・・。
変わらぬ美しさですが、いつものような情熱に導かれた衝動やアクロバティックなリフトの鮮やかさに息をのむ、というよりは、ギエムの超絶的な身体能力がこの技巧的なPDDの振付を如何にゆったりと楽しんでいるか・・・ということに目を見開かされました。
ムッルの踊りが全く重力を感じさせず、ほっそりとした身体でギエムの動きに連動し、呼応する様は、恋人通しと言うよりも、信頼感と友愛を感じさせ・・ってわたくしだけでしょうか^^;?
いたずらっぽく微笑んで戯れるマノンが印象に残りました。
このシリーズってHOPE JAPANがメインタイトルになる前は「さよならトウシューズ」という副題がついていたのですよね・・・。
こんなに軽やかに、マノンをみせて、トウシューズを履いたレパートリーを封印してしまうなんて、勿体ない・・・LASTマノンという実感が正直わきません・・・


■「スプリング・アンド・フォール」よりパ・ド・ドゥ



振付・装置・衣装・照明: ジョン・ノイマイヤー
音楽: アントニン・ドヴォルザーク セレナーデホ長調op.22

吉岡美佳さんと高岸直樹さんのPDD!
嬉しい・・・
東バのプリマが齊藤友佳理さんと吉岡さんの2TOP体制だった頃、なぜか齊藤さんには高岸さん、吉岡さんには木村さんがパートナーと決まっていて。
華やかでアポロニックな高岸さんと透明感のある優美な吉岡さんの組み合わせを熱望していたわたくしにとって、この演目での2人のPDDは・・・
本当に嬉しいことでした。
高岸さんも、副芸監ポジで、少しずつダンサーとしてのポジションを若手に譲っていらっしゃるご様子?だけあってウエストまわりが昔よりは貫録が出てきたようにも思いますが(?)、華やかな存在感が変わらないのは流石です。
吉岡さんはもう、超越されているようで、このまま美魔女ダンサーとして活躍し続けていただきたいです。

【休 憩】

―第2部―

■「田園の出来事」



振付: フレデリック・アシュトン
音楽: フレデリック・ショパン
編曲: ジョン・ランチベリー

初演は、1976年。今回、イスライエフ家の当主を踊り、振付指導も行うアンソニー・ダウエル氏が、
初演のベリヤエフであったということが感慨深いですね。

装置・衣装は、ナショナル・バレエ・オブ・カナダからの貸し出しだそうで、何重にもなった淡いベージュの別荘と遠景の装置、アイボリーのレースをふんだんに使い、水色のサテンリボンが優雅なナタ―リヤの衣装を始め、淡いパステルのシフォンを重ねたスカートのヴェラの衣装など、なんとも素敵。

1850年、イスライエフ家の別荘。
少年コ―リアの家庭教師として雇われた学生ベリヤエフが、一家の平穏を乱す・・・
原作はツルゲーネフ。
老いた資産家イスライエフ氏には2人の子供と美しい後妻がいて、夏の別荘で平和な日々を送っている。
友人ラキティンは若くて優雅なナタ―リヤを崇拝。
そこにコ―リアの家庭教師、スマートな学生ベリヤエフが訪れる。
互いに惹かれあうナタ―リヤとベリヤエフ。無邪気なコ―リアはベリヤエフが大好き。
思春期を迎える養女のヴェラは密かにベリヤエフに憧れている。

2005年のギエムの日本ツアーで、やはりヴェラを踊って、ギエムと対等に渡り合ったと話題になった小出さんが今回もまたキャスティングされていますが、今回は小出さんだけでなく、コケティッシュな小間使いカーチャの奈良春夏さん、元気いっぱいの無邪気な子供をわざとらしさのかけらもなく、存在感たっぷりにい踊り切った松下裕次さんなど、東バキャストもギエム・ダウエル・ムッルの錚々たるメンバーに臆することなく繊細かつ大胆に絡み合っていて完成度の高い舞台でした。

ナタ―リヤとベリヤエフのつかの間の愛の発露のPDDが流麗で美しい。
その間に間に挿入される挿話、篭に入った苺をベリヤエフの口に入れてからかうカーチャ、
ヴェラの真摯な告白と、いなしながらも思わず応えてしまいそうになるベリヤエフと
それを見かけてショックを受け、ヴェラを厳しく叱責してしまうナタ―リヤ。
ムッルが、カーチャと戯れ、ヴェラに憧れられ、ナタ―リヤに心からの憧れから来る恋心を捧げる天然タラシ男(笑)を好演。
3人の女性のポジションと美質の個性を明確に打ち出すそれぞれのPDDが味わい深い。
ベリヤエフが屋敷にいる、そのことだけでも浮き立つ心がナタ―リヤの美しさを増し、ラキティンが思わず彼女を口説こうとしてしまう・・・など、ナタ―リヤとベリヤエフを巡る人々の心のざわめき。
そこに、ボールや凧を手にしたコ―リアの、活発に遊ぶ様子をジャンプや回転の連続とボール遊びを組み合わせたアシュトンらしいさりげない超絶技巧のパを松下さんがダイナミックに踊り切り、客席から思わず大きな拍手。
冒頭で、イスライエフ氏の年齢を示唆する、鍵をなくして大騒ぎの場面などでも、奈良さんが今までのモダンで見せたクールでシャープな持ち味から一変した表情でコミカルでどこか暢気なカーチャとしてイキイキと息づいていて、驚きました。こんな演技が出来る人だったとは!
この2人がとにかく良かったです。
ヴェラの小出さんは、叱られた後、逆に陶酔的なナタ―リヤとベリヤエフの踊る場面を目撃し、屋敷中を呼び立て、養母を糾弾。
大人として、彼女が何を言っているのやら・・・ホホ・・・と取りつくろい、その場を収めるギエムとなじる小出さんは6年前の驚きをそのまま踏襲してはいるものの、小出さんに多少の貫録が^^;
ベリヤエフも仕方なく澄ましているものの、ラキティンが目ざとくボタンホールにナタ―リヤが挿したサーモンピンクのカーネーションを指さします。
彼ら2人は屋敷を去る旅支度をし、何のことやらわからない少年コ―リアは嘆き、全てを知って、大人の度量で静かに飲み込む父は息子の肩に手をやり、なだめて連れて行きます。
さすがにダウエルさんはさりげなくも味わい深い存在感。

広間に1人・・・
ナタ―リヤが肩を震わせて静かに嘆く。
そこに別れのあいさつのために1人戻ってきたベリヤエフ。そっと彼女の肩から床に流れる水色のリボンを手にとって、膝まづいて口づけます。
それでも気付かないナタ―リヤ。ベリヤエフは上着のボタンホールに挿しかえていたカーネーションをそっとはずし、床に置いて去ります。
そこで気配を感じて振りかえったナタ―リヤの目に、彼がいた印の花が。
手にして舞台中央で遠くを見るギエム・・・・

なんとも奥ゆかしい余韻を残した舞台でした。

フリーランスのピアニスト、ケイト・シップウェイさんのショパンが、しっとりとしてとても良かったです。

香り高く、人生の一瞬の美しい一時が、その人の一生を彩り続けるであろうというメッセージを感じたことでした




シルヴィー・ギエム 2011 HOPE JAPAN TOUR Aプロ ①

2011-10-23 21:49:17 | BALLET
久しぶりのバレエです^^
しかも、ギエム!演目はほとんどすでに見たことのあるものではありますが・・・。
それだけに楽しみでもあります。

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Aプロ

10月23日(日) 3:00p.m. 東京文化会館

【第1部】

「白の組曲」
シエスト: 乾友子、高木綾、渡辺理恵
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ): 田中結子、木村和夫、柄本弾
セレナード:小出領子
プレスト(パ・ド・サンク):岸本夏未、高橋竜太、長瀬直義、小笠原亮、宮本祐宜
シガレット:吉岡美佳
マズルカ: 後藤晴雄
アダージュ(パ・ド・ドゥ):上野水香、柄本弾
フルート: 西村真由美
東京バレエ団


「マノン」より第一幕(寝室)のパ・ド・ドゥ
シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル


「スプリング・アンド・フォール」よりパ・ド・ドゥ
吉岡美佳、高岸直樹


【休 憩】

―第2部―

「田園の出来事」
ナターリヤ:シルヴィ・ギエム
ベリヤエフ(家庭教師):マッシモ・ムッル
ラキティン:後藤晴雄
ヴェラ(養女):小出領子
コーリア(息子): 松下裕次
イスライエフ:アンソニー・ダウエル
カーチャ(メイド):奈良春夏
マトヴェイ(従僕):永田雄大

指揮: アレクサンダー・イングラム
ピアノ: ケイト・シップウェイ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


大満足です・・・
東京バレエ団、少しずつ世代交代が行われていますが、ベテラン勢も活躍しつつ、注目していたソリストクラスが少しずつ台頭してきていて・・・。
5列目、センターよりのサブセンター席で、オペラなしで細やかな表情を楽しむことが出来ました。

ギエムの存在感、全てのパに余裕を感じる演技がもう、異次元でした。。。

ギエムの日本初登場は1981年のオペラ座バレエ学校公演だったのですね。
「2羽の鳩」でしたっけ?
それから、日本では360回以上舞台に立っている・・・
そんな、深い絆のある国、日本の今回の震災を本当に心配して、すぐさまメッセージを送り、チャリティガラを企画し・・・と自ら行動してくれての今回のツアー。東京でのA,Bプロが終わると、東北を皮切りに全国を2週間かけて回ります。
その後、東京に戻って、特別プログラム「EONNAGATA」。
世界が渇望するギエムの舞台。それを例年通りにたっぷりと観賞できる歓びをしみじみとありがたく思います。