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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

カサロヴァの「チェネレントラ」 ①

2009-06-07 23:12:01 | OPERA
今日は新国立劇場で、La Cenerentola「チェネレントラ」の初日を観て参りました。



タイトル・ロールはヴェッセリーナ・カサロヴァ、
王子にアントニオ・シラグーザ、継父、ドン・マニーフィコはブルーノ・デ・シモーネ、と
ロッシーニ歌いを揃えたキャストが魅力的。
演出もスタンダードなポネル版で、指揮は、カサロヴァのコンサートで伴奏ピアニストを
務めたこともある、デヴィッド・サイラス。ロイヤル・オペラの音楽部長、だそうです。

チェネレントラは明るくおおらかなキャラクターが、
一幕の虐げられているシーンではとても楽天的に、
最後の大団円では国母の風格を漂わせていたチェチーリア・バルトリの映像を観たことがあり、
声質も芸風も全く異なる今回のカサロヴァがどんなシンデレラっぷりを見せてくれるのか、
楽しみです。

【作 曲】ジョアキーノ・ロッシーニ
【台 本】ジャコモ・フェレッティ

【指 揮】デイヴィッド・サイラス
【演出・美術・衣裳】ジャン=ピエール・ポネル
【再演演出】グリシャ・アサガロフ
【演技指導】グリシャ・アサガロフ/グレゴリー・A.フォートナー

【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ (T)
【ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア (Br)
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ (B)
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ (Ms)
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック (B)
【クロリンダ】幸田 浩子 (S)
【ティーズベ】清水 華澄 (Ms)

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

全2幕 イタリア語上演 字幕付
2時間50分



花菖蒲の季節

2009-06-06 09:28:29 | 
5月5日の端午の節句には菖蒲湯を楽しみますが、
5月末から6月にかけては花菖蒲の季節ですね。



5月最後の日曜日に友人のお誘いで、潮来へドライブ。
豊かな利根川水系の水田風景と前川あやめ園、
そして、ご年配の女性が巧みに櫓を操る櫓漕ぎ舟による「加藤洲十二橋巡り」を
楽しんで参りました。



湖のように広々とした北利根川から舟にのり、加藤洲水門をくぐると、
両岸に季節の花を植えた静かな民家と、人一人が通れるかどうか、くらいの
細い橋が次々と現れます。

今は水位の調整のため、通常は水門をしめているので水も不透明ですが、
その昔は、農家の人々は家から田んぼまで櫓こぎ舟で、出勤(!)していたのだそう。
その当時はモーターなどは使わなかったため、静かで、水も飲料水にしていたほど
澄み切っていたのだとか・・・。

そんな情景を想像するとなんとも詩情に溢れていますね。
水門まではモーターを使いますが、水路では、昔覚えた櫓さばきをご披露くださる
ご年配の農家の女性。櫓を使うのは難しいらしく、今の人には出来ないそう。
良いお小遣い稼ぎ、と笑っていらっしゃいました。



その船着場から程近い場所に、「前川あやめまつり」の会場があります。
もとは水路だった場所をアヤメ(といいつつ実は花菖蒲)園にして観光資源化しているのですね。



太鼓橋や東屋などもあり、なかなかにフォトジェニックな場所ではあります。
商店街や地元企業協賛の提灯などが並んでいるのもひなびた雰囲気で悪くありません。
・・・が、唯一残念なのは、BGMに演歌が流れていること。
花菖蒲自体の美しさをゆっくりと楽しむにはちょっとxxx



とはいえ、デリケートな薄紫、白、クリーム、すみれ色の花菖蒲が
その花びらを風に揺らしながら群生している様は素晴らしい光景です。

都心から高速で90分ほど。
この日は雨の予報でしたが、幸い雨にあったのは千葉県を抜けている車中のみ。
人出も少なく、のんびりとした晩春の休日でした。








阿修羅展

2009-06-01 01:00:19 | ART
5月30日の土曜日、上野の国立博物館で、興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」を観て参りました。


連日大盛況の報道に、いつ行こうかと迷っていたのですが、残すところ会期あと1週間、これからは連日夜間も開館(~20:00)とのことで、雨上がりの土曜日の夕方、18:00に友人と待ち合わせて赴きましたが・・・
なんと50分待ち!
夕刻の国立博物館は建物も美しく広々とした空間で気持ちの良い場所、雨上がりの空気のきれいな緑豊かな上野で友と語りながら待つ、という状況自体は悪くはありませんが、それにしても!
でもまぁ、いつかの「受胎告知」のように並びつつも、それなりにコントロールされた展示であれば、遠巻きに列に並びながらにして、段々と作品の全貌が近づいてくる、という状態なのであろうと予想。
あの時は、立ち止まることが許されないまでも、間近でしっかりと見られる瞬間があるというだけでも脚を運んだ価値アリ、と思わせてくれたので、今回も同様の体験を期待していたのですが。

予想外だったことの一つは、展示物の多さ。
第1章 興福寺創建と中金堂鎮壇具
第2章 国宝 阿修羅とその世界
第3章 中金堂再建と仏像
第4章 バーチャルリアリティ(VR)シアター「再建中金堂と阿修羅像」

まずは水晶玉や和同開珎などの時代を物語る小さな品々の展示、
そして阿修羅とともに安置されている阿修羅を含む、十大弟子と八部衆の立像。
わたくしが気に入ったのは、阿修羅を含む、インドの神をかたどった八部衆。
鳥頭の迦楼羅、頭に獅子の冠を持つ音楽の神、乾闥婆、同じく音楽神、頭上に一角を持つ緊那羅など、
異形でありつつ、その表情は阿修羅同様、少年の面差しを宿す丸味を帯びた輪郭、整った目鼻立ち、緊張感のある顔つきがなんとも魅力的。

そしてこの第2章の次の間が阿修羅室。
鳥居のような、画像のモニターつきのトンネルを越えると、なだらかなスロープが阿修羅像を中心にカタツムリ上に配されており、人々がゆっくりと歩を進めながら徐々に像に近づきつつ360度からその全貌を眺めることができる、という趣向ですが、誤算なのは入り口で完全にコントロールされていた入場者が、それまでの展示物を鑑賞するうちに溜まってしまい、阿修羅室の人口密度が異様に高くなってしまっていること、そして阿修羅の正面にたどり着いたヒトが、そこで脚を止めてしまい、列が流れなくなってしまっていること・・・。

ですので残念ながら、満員電車でもまれるような人ごみの中、ついに阿修羅の正面からは全身をじっくり見ることは敵いませんでした。
それでも153cmの脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)の技法で表現された若々しい身体のライン、美しいドレープを描く衣装、伸びやかな細い6本の腕とそこに彫り込まれた腕輪などの華麗な装飾品などを楽しみ、かすかに眉間に力の入った若々しさをしっかりと味わうことが出来ました。

第3章では運慶作の西金堂の旧本尊釈迦如来像の頭部に力強さを感じますが、
第4章の映像はパス。
実物の阿修羅像を見た、という印象が薄れない内に、会場を後にすることにしたわたくしたち

今回の360度の展示、というのも混雑は別としてデリケートな照明で表情が際立ち、衣装もまるで
金糸を織り込んだサリー生地のように華やいで見えて良かったのですが、
また、改めて、奈良の興福寺の静けさの中にいる阿修羅さまに再会してみたい・・・
そんな気持ちにもなったことでした。