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微かに響く銅鑼の音をつくばって聴き、席入すると、
床には花入が五つ用意されていて花寄せのようです。
点前座を拝見すると、圓能斎お好みのつぼつぼ棚、赤絵蓋竹絵水指、
棚の上には茶入と薄器が荘られていました。
炉の方へ位置を変えると、湯相よく湯気が立っていて濃茶が早や楽しみです。
花台が運び出され、花寄せ之式になりました。
今年は寒さのせいで、椿の花もふくらみが遅いのですが、
花台にはお心入れの色とりどりの花が乗っています。
途中で、半東Kさんが席へ入られました。
「これより席へ入らせていただきます・・・」
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お正客さまが中央の唐銅花器へ赤い侘助を一輪、
私は織部の花入に寒桜と乙女椿を、
三客(半東)はネコヤナギと侘助を白と茶の花入へ、
詰のSさんは信楽の花入に桃と菜の花を、 、
最後にご亭主が床柱の掛け花入にサンシュユと賀茂本阿弥を入れました。
・・・思い思いに花を生ける、五事式の楽しみの一つです。
春の女神が舞い下りたように華やかな広間となりました。
続いてお正客Iさまが香を焚かれました。
静寂の中、心を研ぎ澄まして幽かな香りを聞く瞬間、
香爐をまわし、その香りを皆で聞きながら、時と精神を共有するひととき。
何とも言えない清々しい香でした。
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いよいよ、濃茶です。
お腹も心も満たされて、優雅な点前に見とれていましたら
気持よい睡魔が・・・。
「まるでお能を観ているみたい」
と、ご亭主の茶筅の動きに見とれ聞き惚れていました。
きめ細かく練られた緑色の濃茶の美味しかったこと!
一保堂青雲です。目が覚めました・・・。
前席で頂戴した白、ピンク、橙色の三色に咲き分けた主菓子は
亀屋万年堂の「梅ヶ香」、これも美味しくお勧めです。
黒楽の茶碗は、昭楽造、大橋香林和尚の銘「無心」です。
茶碗が返り、茶碗へ湯を注いで湯を捨て、茶碗を置くと、
ご亭主は居前にまわり、「薄茶は花月で」と挨拶されました。
客は帛紗をつけ、四畳半へ入ります。
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初花はKさん、次いで私が花を引きました。
点前座へ座り、札を棚に置いて、茶入と薄器の入れ替えをします。
・・・ところが、茶杓を水指へ掛けたのですが、アッ!水指の中へ・・・。
すぐに取り上げ、乾いたハンカチで拭いていると、
半東Kさんが別の茶杓を用意して、交換してくださいました。
ご亭主様、不注意まことに申し訳ございません・・・(しゅん)。
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ハプニングのあとは、何事もなかったかのように干菓子を賞味し、
薄茶を点て、薄茶を喫み、楽しい時間が過ぎていきました。
どなたかが
「あぁ~、もう少しで終わってしまうなんて・・・」
皆、同感だったと思います。
この時がいつまでも続いてほしい・・・そんな気持ちでした。
災難だった茶杓は明星寺 悦道老師作「松涛」。
四君子の描かれた中次が上品な華やかさがあって人気でした。
すると、ご亭主が四君子(梅、竹、蘭、菊の四種をいう)から客一人一人に
ふさわしいものを選んでくださいました。
Iさんは菊、暁庵は竹、Kさんは梅、Sさんは蘭で、選考理由は・・・。
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一二三之式になり、最後にまわってきた香札は全員が「花の一」を選んでいました。
ご亭主を引き受けてくださったAさんと半東Kさんへの感謝とともに、
心を合わせて、楽しく学びあってきた、いちねん会の五事式に
ぴったりな評価と嬉しく拝見しました。
最後の挨拶では、詳しく書けませんが、涙があふれてきて困りました・・・。
こうして涙、なみだの卒業式(五事式)がとうとう終わってしまいました。
ご亭主様、半東Kさま、お正客Iさま、詰Sさま、
いろいろお世話になり、ありがとうございました。
また、来年も五事式をいたしましょうね!
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いちねん会 五事式の茶事(1)へ戻る
床には花入が五つ用意されていて花寄せのようです。
点前座を拝見すると、圓能斎お好みのつぼつぼ棚、赤絵蓋竹絵水指、
棚の上には茶入と薄器が荘られていました。
炉の方へ位置を変えると、湯相よく湯気が立っていて濃茶が早や楽しみです。
花台が運び出され、花寄せ之式になりました。
今年は寒さのせいで、椿の花もふくらみが遅いのですが、
花台にはお心入れの色とりどりの花が乗っています。
途中で、半東Kさんが席へ入られました。
「これより席へ入らせていただきます・・・」
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お正客さまが中央の唐銅花器へ赤い侘助を一輪、
私は織部の花入に寒桜と乙女椿を、
三客(半東)はネコヤナギと侘助を白と茶の花入へ、
詰のSさんは信楽の花入に桃と菜の花を、 、
最後にご亭主が床柱の掛け花入にサンシュユと賀茂本阿弥を入れました。
・・・思い思いに花を生ける、五事式の楽しみの一つです。
春の女神が舞い下りたように華やかな広間となりました。
続いてお正客Iさまが香を焚かれました。
静寂の中、心を研ぎ澄まして幽かな香りを聞く瞬間、
香爐をまわし、その香りを皆で聞きながら、時と精神を共有するひととき。
何とも言えない清々しい香でした。
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いよいよ、濃茶です。
お腹も心も満たされて、優雅な点前に見とれていましたら
気持よい睡魔が・・・。
「まるでお能を観ているみたい」
と、ご亭主の茶筅の動きに見とれ聞き惚れていました。
きめ細かく練られた緑色の濃茶の美味しかったこと!
一保堂青雲です。目が覚めました・・・。
前席で頂戴した白、ピンク、橙色の三色に咲き分けた主菓子は
亀屋万年堂の「梅ヶ香」、これも美味しくお勧めです。
黒楽の茶碗は、昭楽造、大橋香林和尚の銘「無心」です。
茶碗が返り、茶碗へ湯を注いで湯を捨て、茶碗を置くと、
ご亭主は居前にまわり、「薄茶は花月で」と挨拶されました。
客は帛紗をつけ、四畳半へ入ります。
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初花はKさん、次いで私が花を引きました。
点前座へ座り、札を棚に置いて、茶入と薄器の入れ替えをします。
・・・ところが、茶杓を水指へ掛けたのですが、アッ!水指の中へ・・・。
すぐに取り上げ、乾いたハンカチで拭いていると、
半東Kさんが別の茶杓を用意して、交換してくださいました。
ご亭主様、不注意まことに申し訳ございません・・・(しゅん)。
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ハプニングのあとは、何事もなかったかのように干菓子を賞味し、
薄茶を点て、薄茶を喫み、楽しい時間が過ぎていきました。
どなたかが
「あぁ~、もう少しで終わってしまうなんて・・・」
皆、同感だったと思います。
この時がいつまでも続いてほしい・・・そんな気持ちでした。
災難だった茶杓は明星寺 悦道老師作「松涛」。
四君子の描かれた中次が上品な華やかさがあって人気でした。
すると、ご亭主が四君子(梅、竹、蘭、菊の四種をいう)から客一人一人に
ふさわしいものを選んでくださいました。
Iさんは菊、暁庵は竹、Kさんは梅、Sさんは蘭で、選考理由は・・・。
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一二三之式になり、最後にまわってきた香札は全員が「花の一」を選んでいました。
ご亭主を引き受けてくださったAさんと半東Kさんへの感謝とともに、
心を合わせて、楽しく学びあってきた、いちねん会の五事式に
ぴったりな評価と嬉しく拝見しました。
最後の挨拶では、詳しく書けませんが、涙があふれてきて困りました・・・。
こうして涙、なみだの卒業式(五事式)がとうとう終わってしまいました。
ご亭主様、半東Kさま、お正客Iさま、詰Sさま、
いろいろお世話になり、ありがとうございました。
また、来年も五事式をいたしましょうね!
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いちねん会 五事式の茶事(1)へ戻る
その場に御一緒させていただいているように文章を読ませていただきました。
素晴らしいですね!
しばらく御茶の世界から遠のいておりました私、懐かしく、そしてまた一から始めさせていただきたい気持ちにさせていただきました。
ありがとうございました。
こんなにも素晴らしい茶友がいるのに、京都へ行くのですから、
ときどき自分でも不思議な気持になります・・・。
月子さんも是非お茶の世界へ戻ってくださいませ。
やりたいこと、やらなくてはならないことが満載です。
お近くならご一緒出来るのにねぇ~。