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いちねん会の〆は五事式の茶事でした。
ご亭主Aさんからお招きの手紙が届きました。
楽しく充実した「いちねん会」もこのたび最終回を
迎えることになりました
これまで沢山の学びを頂き 感謝いっぱいでございます
つきましては拙くお見苦しいとは存じますが
五事式にて御茶一服差し上げたく謹んでご案内申し上げます
大好きな五事式の茶事で、いちねん会を卒業できますのも
素敵な茶友とご縁があってこそ・・・と感謝し、卒業式を待ちかねていました。
思えば、2011年4月の第一回より毎回、七事式を学びあうことが愉しく、
刺激をたくさんいただき、終わると次が待ち遠しいいちねん会でした。
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2月12日、茶席(汲古庵)へ伺うと、入口や茶庭に水が撒かれ、
関守石がいつもと違う順路で待合へ案内してくれました。
待合に色紙が掛けられています。
鶯の 初音ききたし 空の晴 冨子
ご亭主が入門時代に手ほどきを受けられた三田冨子先生に
書いていただいた思い出の色紙でした。
その日は風が刺すように冷たい日でしたが、真っ青な快晴でした。
立春も過ぎ、鶯の初音が待ち遠しい思いが伝わる句です。
詰のSさんが板木を三つ打つと、まもなく白湯が出され、
外の腰掛待合へ・・・とご案内がありました。
腰掛のある茶庭は冬と春のせめぎ合いです。
霜柱で盛り上がった土の中から芽が顔をのぞかせていて
春が間近いことを知らせてくれています。
ご亭主の迎え付けを受け、釣瓶に用意された湯をつかい、蹲で身を清め、
正客Iさん、次客暁庵、詰Sさんの順で、八畳の広間へ席入しました。
床の軸は足立泰道老師の筆で「紅爐一點雪」。
紅爐と、降りそそぐ一點の雪が美しく、潔く、心を揺さぶります。
様々な思いを胸に挨拶が交わされ、廻り炭が始まりました。
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1月のいちねん会で廻り炭をしたばかりなので、炭持つ手は美しく滞りなく、
炭置く形も工夫して、半東Kさんも加わり、全員で楽しみました。
一巡し、「炭にてお釜を」と正客より声が掛かり、みんな固唾を呑む思いで
埋み火を掘り出すご亭主の手元を見つめました。
割ってみると埋み火は黒く(残念!)、巴半田が持ち出され、下火を入れました。
湿し灰がサラサラと音をたてて撒かれ、炭が置かれました。
濡れ茶巾で清められた釜が掛けられました。
香合は、ほんのりとした温かさを感じる志野平丸で、早蕨が描かれていました。
お香は松栄堂の彩雲です。
香合が下げられ、懐石となりました。
懐石は京遊庵へ頼みました。
早春の香と味覚を満喫しながら みんなで舌鼓をうちました。
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(懐石の献立です)
いちねん会 五事式の茶事 (2)へつづく
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