ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

最近は書店巡りの楽しみが減っています

2011年09月01日 | 
  数日前にWebサイトのAmazonを通して、単行本「アカデミック・キャピタリズムを超えて」を購入しました。NTT出版が2010年7月1日に発行したものです。

 この本のタイトルだけでは、多くの方がどんな中身かはあまり分からないと思います。サブタイトルの「アメリカの大学と科学研究の現在」の方が、中身を伝えています。



 著者は上智大学の経済学部教授の上山大さんという方です。冒頭の「はじめに」の書き出しに書かれているように、「大学研究の特許化に代表されるような、知識生産への市場経済の浸透、大学そのものの商業化、大学資源の市場化」などかなり刺激的な中身です。現在、第一部までと1/3程度しか読んでいませんが、とても面白い内容です。

 米国カリフォルニア州のシリコンバレーが形成された経緯の説明として、西海岸の大学群が米国の東海岸のアイビーリーグの名門大学群とは異なる文化の下に成長した部分に感心しました。西海岸の大学の教員が率いる研究室は、企業のビジネス活動に通じる文化があると説明しています。日本の大学との違いに驚くのではないでしょうか。

 例えば、政府の研究資金がたくさん投入されている“研究大学”は、大学の1学年の定員より、大学院の学生の定員の方が多いのです(日本にも、大学院の方が定員が多い大学があります)。博士課程の学生の生活費を支給するために、研究室を主宰する教員は企業などから共同研究費を集め、政府からの研究資金を集めています。大学院生も、生活費を出してくれる教員が主宰する研究室を選ぶケースが多いと伝えています。競争原理がかなり働いています。

 単行本の中身をつい長々と説明してしまいましたが、今回は単行本の中身をお伝えすることが主題ではありません。この単行本は、読売・吉野作造賞を受賞し、第6版まで印刷されている売れた単行本の一つです。ところが、都内の大型書店に行き、パソコン端末によって本探しをしても、「同書店には在庫がない」との検索結果が相次ぎました。発行から1年程度しか経っていない新刊なのですが。そこで、この本を書店で購入することを諦め、WebサイトのAmazonに注文を出した訳です。

 同様のことは、クラシックとジャズのCD(コンパクト・ディスク)の品ぞろえに優れていたHMVがどんどん店舗を小さくしているため、CD探しができなくなっています。その内に、やはりWebサイトのAmazonに頼ることになりそうです。

 書店やCDショップで掘り出し品を探す楽しみがなくなりそうです。Amazonの方が、ほしい対象物が簡単に見つかるのですが、書店の中で探し出す楽しみには未練があります。 “電子書籍”という別の黒船も存在が大きくなっているのですが。考え方が古い人間だなと、我ながら思います。