2015年10月11日に発行された日本経済新聞紙の朝刊のコラム「今を読み解く 難民流入の歴史と欧州統合」を拝読しました。
このコラム「今を読み解く」は、日曜日の中面の「読書」欄の一部で、識者に特定テーマごとに、その特定テーマを読み解く解説本を数冊、紹介していただくものです。
今回は、現在起こっている欧州への大量難民の問題を考えるための参考書を、東京外語大学教授の渡邊啓貴さんが薦める内容です。
日本経済新聞紙にWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「今を読み解く 難民流入の歴史と欧州統合」と報じています。
このコラムの冒頭に、実は第二次大戦後のドイツで起こった大量難民などの事例を解説した単行本として、ベン・シュファードさんが書いた単行本「遠すぎた家路」(発行は河出書房新社)を紹介します。
この本は、第二次大戦後のドイツは、戦争前にドイツの労働力不足を補うために、ポーランドやウクライナ、バルト3国などから“強制移住”させられた方々(DP)がいました。1942年から翌年の1943年6月までに約280万人の外国人労働者が強制連行されたとの現代史を伝えます。
この外国人労働者の方々は、第二次大戦後には、故郷の国々が当時のソ連の支配下に置かれ、「対独協力者」として帰国できない状況になったそうです。
同時に、戦後のドイツには収容所から解放されたユダヤ人と、戦前に支配地だった国々から帰国したドイツ人が戻り、戦後のドイツなどの欧州は“難民”問題で混乱した時期だったそうです。このため、ドイツなどの欧州の難民を救済する目的で、連合国救済復興機関(UNRRA)が設立されます。このUNRRAの運営や活動は資金不足と、各国の思惑が交錯し、困難を極めたそうです。
この点は、「現在のシリア難民の受け入れを巡るEU各国の角逐を髣髴(ほうふつ)とさせる」と、渡邊さんは解説します。
さらに、渡邊さんは移民大国のフランスの移民史の古典として「フランスという坩堝(りつぼ)」(発行は法政大学出版、2015年)を紹介します。同翻訳書の原本の初版は1988年で、19世紀以降のフランスの移民史を人口学・政治・経済・文化的側面から体系的に論じていると薦めています。
フランスでは「移民」という言葉を19世紀後半から使い始め、1889年の国籍法の導入によって、外国人・移民が政治的課題として現れると解説します。移民現象は一時的な現象ではないことを実証した本と解説します。
今回のシリア難民問題の中心にいるドイツについては、EUの中の“南北問題”格差を指摘する参考書として、新書の「ドイツリスク」(発行は光文社)を薦めています。
以前にドイツのコール首相が欧州各国をEUとして統合を推進した際には、「“ドイツのヨーロッパ化”と呼ばれ、EUという統合の中に、ドイツの力を封じ込めておくという謙虚な基本認識があった」と指摘します。
EUとして実現した「人の移動」の自由は、ポスト冷戦体制の将来のカギを握る重要課題と指摘します。そして欧州・EUの未来を担う中心にドイツがいることを伝えています。この点で、同書は“警世の本”と伝えます。
じつは、今回の2015年10月11日に発行された日本経済新聞紙の朝刊には、コラム「地球回覧」として「移民都市シカゴの覚悟」という解説も載っています。
基本は“島国”日本という海で隔離されている日本では、個人的にはあまり考えたことがない(実感したことがない)移民問題について、欧州と米国はそれぞれ対応してきた歴史を持っていることを学びました。
このコラム「今を読み解く」は、日曜日の中面の「読書」欄の一部で、識者に特定テーマごとに、その特定テーマを読み解く解説本を数冊、紹介していただくものです。
今回は、現在起こっている欧州への大量難民の問題を考えるための参考書を、東京外語大学教授の渡邊啓貴さんが薦める内容です。
日本経済新聞紙にWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「今を読み解く 難民流入の歴史と欧州統合」と報じています。
このコラムの冒頭に、実は第二次大戦後のドイツで起こった大量難民などの事例を解説した単行本として、ベン・シュファードさんが書いた単行本「遠すぎた家路」(発行は河出書房新社)を紹介します。
この本は、第二次大戦後のドイツは、戦争前にドイツの労働力不足を補うために、ポーランドやウクライナ、バルト3国などから“強制移住”させられた方々(DP)がいました。1942年から翌年の1943年6月までに約280万人の外国人労働者が強制連行されたとの現代史を伝えます。
この外国人労働者の方々は、第二次大戦後には、故郷の国々が当時のソ連の支配下に置かれ、「対独協力者」として帰国できない状況になったそうです。
同時に、戦後のドイツには収容所から解放されたユダヤ人と、戦前に支配地だった国々から帰国したドイツ人が戻り、戦後のドイツなどの欧州は“難民”問題で混乱した時期だったそうです。このため、ドイツなどの欧州の難民を救済する目的で、連合国救済復興機関(UNRRA)が設立されます。このUNRRAの運営や活動は資金不足と、各国の思惑が交錯し、困難を極めたそうです。
この点は、「現在のシリア難民の受け入れを巡るEU各国の角逐を髣髴(ほうふつ)とさせる」と、渡邊さんは解説します。
さらに、渡邊さんは移民大国のフランスの移民史の古典として「フランスという坩堝(りつぼ)」(発行は法政大学出版、2015年)を紹介します。同翻訳書の原本の初版は1988年で、19世紀以降のフランスの移民史を人口学・政治・経済・文化的側面から体系的に論じていると薦めています。
フランスでは「移民」という言葉を19世紀後半から使い始め、1889年の国籍法の導入によって、外国人・移民が政治的課題として現れると解説します。移民現象は一時的な現象ではないことを実証した本と解説します。
今回のシリア難民問題の中心にいるドイツについては、EUの中の“南北問題”格差を指摘する参考書として、新書の「ドイツリスク」(発行は光文社)を薦めています。
以前にドイツのコール首相が欧州各国をEUとして統合を推進した際には、「“ドイツのヨーロッパ化”と呼ばれ、EUという統合の中に、ドイツの力を封じ込めておくという謙虚な基本認識があった」と指摘します。
EUとして実現した「人の移動」の自由は、ポスト冷戦体制の将来のカギを握る重要課題と指摘します。そして欧州・EUの未来を担う中心にドイツがいることを伝えています。この点で、同書は“警世の本”と伝えます。
じつは、今回の2015年10月11日に発行された日本経済新聞紙の朝刊には、コラム「地球回覧」として「移民都市シカゴの覚悟」という解説も載っています。
基本は“島国”日本という海で隔離されている日本では、個人的にはあまり考えたことがない(実感したことがない)移民問題について、欧州と米国はそれぞれ対応してきた歴史を持っていることを学びました。