新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月23日 その2 訂正版(参考資料を追加)

2024-04-23 07:34:39 | コラム
2022年の世界175ヶ国の紙の消費量は1.2%のマイナス成長だった:

この度アメリカの紙パルプ・林産物産業界の専門調査機関RISIが「アニュアル・レビュー」の23年度版を公表した。それによれば、2022年の紙・板紙需給では消費が対前年比△1.2%の4億2,383万トン、生産は△1.0%の4億1,990万トンとなっている。因みに、ここに掲げられた世界175ヶ国の中の生産量と消費量の上位5ヶ国は中国、アメリカ、日本、ドイツ、インドだったが、ドイツは消費量ではインドよりも下位の5位になっていた。

当方がこの統計で常に関心を持って見ているのが「各国の人口1人当たりの名目消費量」なのである。嘗ては、この消費量の大小がその国の文化と文明の発展のバロメーターだと言われていたのだ。だが、現在のように中国がアメリカを抜いて世界最大の生産国にのし上がってしまったのであれば、1人当たりの消費量がバロメーターであり続けられるのかに疑問を感じていたからだ。

何故そう見ているかと言えば、中国は世界最大の生産国でありながら、未だ嘗て人口1人当たりの消費量の上位30ヶ国に登場したことがなかったからだ。この点では中国が米国に次いで世界第2の経済大国の地位に昇ってきたとは言え、1人当たりのGDPでは上位には登場していない事に似ているのだ。即ち、嘗てのバロメーターを当て嵌めれば、14億の人口が生産量を押し上げただけで、発展の度合いは未だしの感が拭いきれないのである。

そこで、RISIが掲載した1人当たりの名目消費量を10位まで下記に引用してみる。

1位 スロヴェニア   266.8kg △0.1%
2位 ベルギー    236.5kg △14.7%
3位 オーストラリア 219.0kg △9.4%
4位 ドイツ     206.3kg △14.0%
5位 UAE      198.2kg +13.6%
6位 アメリカ    197.1kg △3.2%
7位 韓国      196.1kg △4.2%
8位 日本      183.6kg △1.1%
9位 イタリア    174.2kg +3.3%
10位 ポーランド   170.3kg △7.9%

因みに、中国の消費量は83.9kgとあり、対前年比で初めて3.2%のマイナス成長を示していたのは、意外と言えば意外だった。この計算に使われた人口は14億1,054万人だった。なお、175国の平均値は53.6kgで△2.3%だったので、中国はそれなりの発展を遂げていたことは示されていた。

感覚的には対前年比でマイナスを記録した国では、DXと言うのかディジタル化なのか、あるいはICT化が進捗したのだろうと思われるが、多くの分野で紙を使う需要の減少と、使用を避けている傾向が顕著なのかと、今更ながら痛感させられている。

参考資料: 紙業タイムス社刊 FUTURE誌 24年5月6日号



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