杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

しずおか吟醸物語放送日のお知らせ

2009-04-24 10:34:29 | しずおか地酒研究会

 国民的アイドルの酒の失態がトップニュースになっています。ひと頃は、飲酒がらみの事件や事故で「酒」の文字がニュースに出ると、日本酒だけが悪者にされたものですが、最近は「ビール」「焼酎」などアルコールの種類をきちんと報道してくれるのでホッとしています。…逆に、日本酒が呑まれていないことがわかってショックだったりして(苦笑)。

 

 さすがに公然で全裸になったことはありませんが、私も20数年の飲酒歴で、数々の恥ずかしい失態を経験してます。しずおか地酒研究会を主宰してからは、ホストとして自制せざるをえない立場になったので、会がニュース沙汰になるような失態は今のところ起きていませんが、年々、酔いから醒める時間が長くなり、体質的には弱くなっているにもかかわらず、呑み始めるとブレーキが利かなくなる呑み方をするようになり、気をつけなければと思っています。

 

 私が住んでいるアパートの1階には手作りパンの店があり、とても重宝しているんですが、先日、お店の奥さんに「酔っ払わないように呑むにはどうしたらいいですか?」といきなり聞かれて面食らいました。顔を合わせることはあってもほとんど会話をしたことのない奥さんから、初めて掛けられた言葉がこれ。私がお酒にかかわる活動をしていることは、新聞か何かで知っていたそうです。

 いきなりだったので、「酔う酔わないは、そのときの体調や精神的なものと関係するので、一概にこうとは言えないけど、食事をしながら自分のペースでゆっくり呑むのがいいと思いますよ」と応えるのが精いっぱいでした。

 

 私の場合、食事の出ない・あるいは出てもほとんど口をつけない試飲会の出席が多いので、事前に時間のある時は必ず乳製品をお腹に入れて、胃にバリアーを張っておくよう心がけています。もともとはアルコールに弱い体質だけに、酒のプロたちのペースに食らいつくためにいろんな対処法を試し、失敗も繰り返し、40代半ばまでこの方法で胃や肝臓を壊すことなく、なんとかやってきました。

 

 

 そういえば、昔、静岡新聞社から『地酒をもう一杯』を出版し、県内の書店さんたちが集まった記念総会か何かで、著者代表で講演を頼まれた時、同じように「酔わないように呑むにはどうするの?」と書店のおやじさんに質問され、自分は乳製品を胃に入れておくと応えると、「いちいちそんな面倒なことしてられっか」と失笑されたっけ…。答えの内容をバカにされたことよりも、若い女が酒のことをエラそうに話すのが気に入らんという空気が会場にまん延していたのをピリピリ感じ、いたたまれない思いをしました。

 その後の懇親会で、当時、出版部門を統括していた静岡新聞社の山中崇弘常務が「本もお話も素晴らしかった」と声をかけてくださり、さらにしずおか地酒研究会に入会してくださったことで溜飲を下げましたが(苦笑)。

 

 それにしても「酔わないように呑むにはどうすればいい?」という質問に、確かな答えなんてあるんでしょうかね。蔵元や酒屋のみなさん、どう答えていますか?

 

 

 さて、かねてよりお知らせしました『吟醸王国しずおか』テレビ版〈しずおか吟醸物語〉の放送日と放送時間が確定しました。

 以下は、テレビ版のプロデューサーも務めるカメラマン成岡正之さんからのメッセージです。

 

◆ しずおか吟醸物語

 SBS静岡放送・オフィスゾラ静岡共同製作

 2009年5月6日(水・振替休日) 午前9時55分~10時50分

 

 SBS静岡放送が、ゴールデンウィークに「GW・SBSドキュメンタリーウィーク」と称して5/4~5/7までの4日間、同じ時間帯に、4つのテーマで放送するドキュメンタリー作品の一つとして放送されることになりました。

 1発目の5月4日は〈硫黄島で託された写真〉。栗林忠道陸軍中将の通信担当官サカイタイゾウは、硫黄島総攻撃の指令を栗林中将が出した日に米軍の捕虜となったが、ある一枚の写真を託された・・・・・。このような硬派な本格ドキュメンタリーが4本、4日間連続放送されます。わが〈しずおか吟醸物語〉はその中でも異色の作品になると思います。
  
 内容的には、若き蔵元杜氏(青島孝さん)を軸に、静岡の吟醸造りに熱き情熱が注がれているさまを描きます。静岡、とくに志太地域の酒造りの灯りを守り、次世代にどう伝えるか、
職人のものづくりに賭ける生き方をダイレクトに映し出し、最前線で活躍する職人とそれを支える人々の姿を通して、静岡吟醸の魅力と匠の技が伝わる作品を目指します。

 ゴールデンウィーク最終日の午前中という放送時間帯になりましたが、ぜひ多くの皆様にご覧いただき、映画制作へのステップにできればと思っています。よろしくお願いします。(成岡正之)

 

 

 

 この春、番組大改編が話題になったTBS・SBS系列では、とりわけ報道やドキュメンタリー制作に力を入れ始め、私たちの地酒ドキュメンタリー制作は、その流れにピンポイントに合ったようです。いずれにせよ、映像制作の素人だった自分の大それた挑戦が、こうして公共の電波にのっかって、多くの方の眼に触れるようになるとは、想像もしていない展開です。

 

 昨年、資金集めのために手探り状態で作ったパイロット版。応援してくれる人からは温かいエールをいただき、批評者の目で見た人からは手痛い批評ももらい、多くのことを感じ、考えさせられ、まだ自分の中では自信がなくて、映画の完成時期をはっきりとは決めかねている段階でした。

 今回、テレビ版を担当する制作のプロたちから、「パイロット版、改めて何度も見直してみると、よく出来ているなぁと思ったよ」と慰め?られましたが、自分の中では、被写体となった蔵元や杜氏たちの素晴らしさが、ちゃんと表現しきれているのか、その価値が伝わる映像になるのかどうか、まだまだ自信は持てません。

 

 その意味では、今回、プロが編集するテレビ版、自分にとって一つの指針になると思うし、新たな創作意欲を刺激してくれると期待しています。

 

 

Sizo

 

 なお、私の本来のフィールドワークである出版物では、先週、雑誌〈sizo;ka〉最新号が発行されました。

 連載コーナーの〈真弓の酒蔵スケッチブック〉では、新杜氏を迎えた初亀醸造と、2月末に天晴れ門前塾の大学生たちを連れて訪問したときのお話、学生の感想レポートを紹介しました。県内主要書店にて絶賛発売中。ぜひご覧くださいね!