台北2日目・6月5日は午前中、観光ツアーでした。まず訪れたのは龍山寺。1738年創建の台北では最も古いお寺です。日本でいえば暴れん坊将軍吉宗や大岡越前が活躍していた頃かな。東照宮ばりの極彩色な廟建築で、古寺といえば奈良や京の木造建築に馴染んでいる身としては目がチカチカする感じ。観音菩薩さまがご本尊ですが、道教の神様も祀られている神仏混合寺です。
朝9時前に着いたら、今日は縁日かって思うぐらい人がごったがえしていて、熱心にお経を唱えたり線香を供えたりしていました。お参りポイントが7か所あって、学問、商売、縁談、子宝、天災除けなどそれぞれご利益があるそうです。最初に長いお線香を7本もらって、ご本尊から順番にお参りします。お菓子や果物などお供え品がやたら多いのは、お願い事が叶った人が寄進するため。そのお供え物は、お参りに来た人が誰でも持ち帰っていいそうです。
一巡したらおみくじを引きます。…といっても、日本の社寺のようにお金さえ払えば誰でも引けるわけではなくて、まず半月の形をした手のひらサイズの積み木を2つ取って地面に落とし、表と裏にきれいに分かれたら引いてよし。引いたくじが正しいかどうか、もう一度積み木を落として、表裏出なかったら再度引き直しです。
つまり、積み木の目で運だめしをしてから引くおみくじなので(目が出なければ引くこともできないので)、かなり信憑性があると信じられているのです。
私は最初は表裏ストレートに出て、くじは1回引き直し。該当番号のくじ箱を開いて見たら、全体運は「上上」とありました。同行のSさんが引いたくじは、全体運のところに何も書かれていません。「どういう意味なんだろうねぇ」と首をかしげていると、年配の男性が「日本から来たの?」と日本語で声をかけてきて、「くじの解説をしてくれるところへ案内してあげよう」と寺務所みたいなところへ連れて行ってくれました。
まずSさんのくじを見せると、あんまりいい結果ではなさそうなお答え。ガッカリしたSさんは、くじをくじ箱に戻してしまいました。その番号のところには、みんな戻したみたいで、箱のふたが閉まらないぐらい山のように入っていたそうです(苦笑)。
私のは、財運がよさそうとのこと。結婚運を訊ねてみたら「カネがたまったらできる」とのこと。収入がなきゃ結婚できないなんて婚活世代の男じゃあるまいし…と、フンガイしてしまいました!! まぁでも財運がいいなら良しとするか(笑)。
ちなみにおみくじも線香もすべてタダ。信心深い多くの台湾人の寄付でまかなっているそうです。
私たちを親切に案内してくれた年配の男性は、戦争中は日本の海軍に徴兵されていたと話してくれました。こうしてのん気に観光に来る日本人をどんな思いで迎えているのか本音のところは想像できませんが、私の眼には、「久しぶりに日本語が話せて楽しい」という表情に見えました…。
次いで、蒋介石の業績を称えるメモリアルホール・中正紀念堂を訪問しました。完成して30年ぐらいの新しい建物ですが、「なんだこのムダな広さは」と思うぐらい広くて、高さ6mの蒋介石像にも目を白黒させてしまいました。しかも像の前に立つ衛兵は、ガイドいわく「まばたきもせず」人形のように突っ立っています。ちなみに衛兵に選ばれるのは20代で身長178センチ以上のイケメンだとか。1時間ごとに交代だそうで、ちょうど交代の儀式を見学することができました。
銃剣を振り回す交代パフォーマンスは、軍隊らしくて勇ましかったのですが、石像を警備するのに必要不可欠なパフォーマンスなのかなぁ。どっちかといえば“見世物“みたい…なんて書いたら不謹慎かしら。
ツアーバスはこの後、お決まり?の土産物店めぐり。私もSさんも「ツアーで連れてかれる店で買うもんはない」と思っていましたが、店内をうろうろしているうちに、会社勤めのSさんは同僚や友人に何か買って帰らなきゃという使命感?に火が付き、気が付くと、お手ごろ価格のパワーストーンブレスレットを10本近く買っていました。
私が感心して見ていると、別の販売員のおばさんが高級石のガラスケースを指さして、「おねえさん、これはめったに出ない100%純天然原石の金髪晶だよ」「ヴィーナスの金髪に喩えられる色で金運に恵まれるよ」「体の新陳代謝がよくなって五十肩や気管支炎や呼吸疾患に効くよ」…と、悪魔の囁き。
私、もともと気管支炎の持病があって、しかも朝のおみくじで「財運上がれば結婚運も…」なんて聞いたばっかり。おばさんの甘言に動揺していると、Sさんが「なになに?」とやってきて、「あらぁ五十肩に効くの?」と表情をほころばせ、こっちの人のほうが見込みがあると思ったおばさんはSさんに猛アタック。「じゃぁこれももらうわ」と即決するSさんを見て、「わ、わたしも・・・」とつられて買ってしまいました~(とほほ)。
続いて連れていかれたのは有名な漢方薬の店・再春館。気功師のような恰好のお兄さんが、森永キャラメルをくぎ状にして竹の筒に突き刺したり、300℃ぐらいに燃えたぎった鉄のチェーンを素手で握るパフォーマンスを見せたあと、「日本軍に徴兵されて戦った」と勇ましく語る89歳のご主人が、火傷、アトピー、シミ・シワ、薄毛にも効くという万能クリームや、自分のように90歳になっても元気でピンピンしていられる養生薬をプレゼンします。
つい最近、原因不明のめまいに見舞われたというSさんは、めまいや貧血に効果のある「家楽健」と人気ナンバーワンの万能クリーム「養膚霜」を。気が付くと私も、気管支炎に効くという「喉爽健」と「養膚霜」を買ってしまいました。
ツアーで連れていかれる店なんかで・・・!なんてガードを張っていたのはいつのだれの話?ってぐらい、買い物中毒化してしまった私。この調子でホントに財運が上がるのかなぁと冷汗をかきつつ、「午後のフリータイムに行きたい店は、こことここと・・・」と熱心にチェックするSさんを見て、「今は非日常なんだから、これぐらい逞しく楽しまなきゃソンだ」と気持ちを切り替えたのでした。
つづきは次回へ。