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杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

國本さんの朗読会

2010-11-02 09:49:18 | しずおか地酒研究会

 10月31日(日)夜、袋井市の月見の里学遊館で、地元の女性ボランティアグループ『木蓮の会』が主宰する國本良博さんの朗読会が開かれました。國本さんはSBS静岡放送在籍時から同グループとご縁があり、月見の里では音楽ライブも行ったことがあるそうです。私は今回初めて月見の里に来ましたが、市営の施設とは思えない(失礼!)、広くてきれいで見晴らしも良い、素敵な多目的施設でした

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 朗読されたのは『日本一短い家族への手紙』と、柴田トヨさんの『くじけないで』。お客さんは中高年の方が多かったので、『日本一短い~』から垣間見える夫婦・親子の絆や、『くじけないで』の言葉の力強さに、ことのほか共感されていたのではないしょうか。國本さんの、おだやかな声と懐の深い語り口が、本の世界観と実にマッチしていました

 

 

 

 Imgp3149音楽はすべて國本さんがご自分でセレクトし、時間を調整し、ご自分で操作しながら語りのBGMにされていました。PA類はすべて自前。お一人で車に積んで持ってきて、ご自分ですべて組み立てられたそうです。まるでひとりラジオ局みたい

 

 

 

 

 

 

 私、実はかねてから、國本さんに、自分の書いた酒蔵の物語を読んでいただく朗読会を開きたいと考えていました。

 

 

 朗読の魅力にハマったのは、『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』で名優・林隆三さんの朗読を(しかも自分が書いた脚本を)目の当たりにしたときから。録音の時は、ところどころ書き手のニュアンスとは違う・・・と感じたこともあったんですが、完成した映像を繰り返し観ていると、それが、この物語を第三者に伝える手段として実に適切で効果的な“読み方”なのだと解り、朗読の力って凄いと感動したものです。

 

 

 『吟醸王国しずおか』は、成岡さんの映像が本当に素晴らしく、十分に力があると思ったので、当初、ナレーションを入れるつもりはなかったのですが、第1弾パイロット版を作って試写をした時、一般の方から「スーパーやテロップだけでは分かりづらい」という声をいただき、素人が作る資金のない自主映画に協力してくれる朗読のプロがいるだろうかと逡巡しました。

 原稿を読むだけなら、訓練すれば私にも出来るかもしれませんが、映像に登場する杜氏や蔵元たちの凛とした姿を観ていると、プロの仕事をしている彼らを語る人も、やはりプロであってほしいと・・・。

 

 昨春、SBS静岡放送が、我々の映像を使って『しずおか吟醸物語』という1時間番組を作ってくれたときは、ナレーターに、地酒研で長いおつきあいの國本さんと水野涼子さんを希望したのですが、会社の方針で別のアナウンサーが起用されたこともあり、いくら親しくても局アナさんは気軽にお願いできないんだなぁ・・・と肩を落としたのでした。

 

 

 昨秋の地酒まつりで、長年地酒まつりの運営にボランティアで協力してくださっていた國本さんを差し置いて別の司会者を使い、國本さんには“抽選会のくじ引き係”にした酒造組合のやり方に、それはないだろう~と憤慨したとき、自分の中で、國本さんの地酒への愛情とプロの語りを存分に活かすステージを創りたい・・・という思いがフツフツと湧き出たのでした。

 

 

 そんなとき、実にタイミングよくといいますか、國本さんがSBSを定年退職されると聞き、昨年末、慰労会を開かせていただいたとき、ダメもとで、「吟醸王国のナレーションをお願いできますか?、お金は十分にお出しできないのですが」とうかがったら、二つ返事で快諾していただいたのです。國本さんにしてみれば、何か断りにくいシチュエーションでの依頼だったかもしれませんが(苦笑)・・・、映画制作に協力できることを「光栄なことだ」と、とても喜んでくださいました。こういう思いの方と、長く酒縁を持たせていただき、本当に嬉しかった。

 

 國本さんに吟醸王国のナレーションを依頼して早や1年になります。映画は資金不足でなかなか進展できてないのですが、朗読会からまず実行してみようと、12月5日(日)夜、岡部宿の大旅籠柏屋にて『しずおかの酒を読んで酔う~國本良博の吟醸王国リーディング』の開催にこぎつけました。10月31日の袋井は、國本さんがフリーになってから初めての単独朗読ライブだったので、「参考になれば」とお誘いいただいた次第です。

 

 12月5日は、私が吟醸王国のHP『読んで酔う静岡酒』で紹介したいくつかの蔵元物語と、古今東西の酒の名著文学を、國本さんの“大人の語り”でじっくり読み聞かせていただく予定です。たとえば初亀の物語を、初亀を味わいながら聴くってなかなかオツなものでしょう? 

 当日は10本前後の蔵元物語&銘柄を準備する予定です。場所は藤枝岡部ですが、東部や西部の蔵もご用意します・・・こういうスタイルの酒の会がいずれ県内各地で開催できれば、と目論んでいますので、年末お忙しい時期とは思いますが、酒造・酒販関係者にもぜひ聴きに来てほしいですね 

 

 

 現在、活字として書いた原稿を音読用にリライトするなど、鋭意準備中で、詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。乞うご期待を