杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

柿島養鱒の川魚

2011-08-16 10:30:56 | 社会・経済

 昨日(15日)は富士宮と伊豆で川魚の養殖業を営む柿島養鱒さんを、友人の雑誌編集者と訪問しました。

 案内してくれたのは柿島養鱒2代目の岩本いづみさん。2年前に静岡県商工会連合会の仕事でうかがって以来のおつきあいで、3人の男の子を育てながら会社を切り盛りし、函南町、伊豆市(旧中伊豆町)、富士宮市の3か所の養殖池を管理するスーパーウーマンです。

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 午前中にうかがった富士宮の猪ノ頭にある養殖池は、こんな素晴らしい滝からバナジウムいっぱいの富士の雪解け水が流れ込んでいます。まさに隠れた名水スポットですね。

 

 

 HPをご覧になればお判りの通り、岩本さんは、徹底した餌へのこだわり&水質管理で、養殖川魚のイメージを一新させ、日本が培ってきた養殖技術の向上と継承に日々努力されています。

 

 東日本大震災は被災地の水産業を直撃し、養殖業も大打撃を受け、大手水産会社が撤退するなど地域経済にも暗い影を落としているようです。一刻も早い被災地の復興を願うばかりですが、一方で、柿島養鱒のような小規模ながら地道に品質向上に努めてきた地方の業者が、養殖業を支える存在としてにわかにクローズアップされているのも事実。P1000007
 現在、養殖池はフル稼働状態で、餌にこだわる同社の企業姿勢が海外の飼料トップメーカーの眼にもとまり、びっくりするようなビッグネーム企業から引き合いがあるそうです。

 

 

 

 我が子の子育てと同じように、母の目線で魚の成長を見守り、無理に太らせたり人工着色させるようなことはしないという岩本さん。旧体質の養殖業で岩本さんがその姿勢を貫くには、山あり谷あり・・・のようですが、今は、“見た目が整い過ぎた野菜”や“色が鮮やか過ぎる肉・魚”に誤魔化されない消費者も増えています。岩本さんが目指す方向性は決して間違っていないと思います。同性として大いにエールを送りたいですね

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 お昼は松木一浩さんのお店・ビオスでランチコースをいただきました。ご存知の通り、地産地消に徹した素晴らしいメニュー構成。中でも柿島養鱒のニジマスのポワレを、モロヘイヤ・ヒラタケ・アサリのナージュと一緒に味わったときは、ワインもいいんだけど、やっぱり無性に日本酒が飲みたくなりました(苦笑)。

 

 

 

 

 午後は伊P1000011豆市(旧中伊豆町)の地蔵堂川沿いにある岩魚の養殖池を見学しました。名水パワースポットで知られる萬城の滝の下流にあり、品質日本一の折り紙つきで知られる中伊豆わさびの産地でもあります。

 

 森が水を守り、水が魚を育て、魚の飼料となる穀物は土が育て、土は森を支える・・・川魚を育てるという仕事が、得難い循環型産業であることを再確認できた日帰り旅でした。