杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

価値ある食をリンクする

2008-10-21 11:18:19 | しずおか地酒研究会

 19日(日)は東京・飯田橋で開かれたエッセイスト藤田千恵子さん主宰の『第6回醗酵リンク大会』に行ってきました。

 この会は、藤田さんが長年の取材をもとに、日本の醗酵文化の賜物である純米酒と、“醗酵仲間”の発酵調味料を使った料理や醗酵食品を集めて、蔵元、生産者と語らい、交流を深める会。私も過去、いろいろな酒の会に参加してきましたが、酒肴や料理の良さではこの会に勝るものはないと、毎回楽しみに出席しています。(唯一例外&自慢できるとしたら、わがしずおか地酒研究会で初期のころ、静岡の中山間地の農家のお母さんたちが手作りの伝承料理をふるまってくれた“しずおかお酒菜会”かな…)。

 

 醗酵リンクの場合は、なんといっても料理人が豪華です。銀座の「八彩懐石・長峰」、錦糸町の「井のなか」、墨田区石原の「ゆばと豆腐の店・豆源郷」、新丸ビル店も人気の「神田・新八」、池之端の「旬彩幸味・楽」、東池袋の「楽旬堂・坐唯杏」…と、藤田さんがこの人!と見込んだ料理店主ぞろい。そして彼らが使う調味料も藤田さんが全国各地から厳選してきたものばかり。どこかで藤田千恵子セレクトショップみたいなお店が出来るといいなぁと思えるほどの品揃えです。

 

 

 

◆醤油

 三ツ星醤油(堀川屋野村/和歌山県御坊市)

 タマジョウ甘露醤油(坂巻醤油店/埼玉県桶川市)

 かめびし醤油うす口(かめびし/香川県東かがわ市)

◆味噌

 春駒味噌あるちざん(はるこま屋/栃木県那珂川町)

 京都しま村の白味噌(しま村商店/京都市上京区)

◆みりん

 福来純三年熟成本みりん(白扇酒造/岐阜県川辺町)

 九重櫻(九重味淋/愛知県碧南市)

◆酢

 雑賀 吟醸酢(九重雑賀/和歌山県岩出市)

 麹ドレッシング(杜の蔵/福岡県三潴町)

◆かつおぶし

 かつおぶし(鵜飼商店/文京区本郷)

 手火山式かつおぶし(丸啓鰹節/静岡県御前崎市白羽)

◆塩

 粟国の塩(沖縄海塩研究所/沖縄県島尻郡粟国村)

 

 

 

 これに、酒は神亀(埼玉)、武勇(茨城)、男女川(茨城)、いづみ橋(神奈川)、喜久醉(静岡)、秋鹿(大阪)、雑賀(和歌山)、睡龍(奈良)、扶桑鶴(島根)、竹鶴(広島)、杜の蔵(福岡)がそろい、呑み頃を迎えた山田錦吟醸系や、燗上がりする山廃系や熟成酒を存分に味わいました。

 

 

  私は風邪をひきずり、薬を飲んでいたのでどの酒もなめる程度しかいただけませんでしたが、料理とミスマッチな酒は1本もない、ということは分かります。本当に酒と料理が互いを引き立て合い、杯が進み、箸も進む実感を持つことができました。醗酵という日本の風土が育てた技のリンクがなせる業だと思います。

 

 

 静岡代表は今まで喜久醉だけでしたが、今年は御前崎の手火山式かつおぶしがお目見えしたことも嬉しかった!以前、藤田さんに「御前崎にすごいかつおぶしがあるの、知ってた?」と訊かれ、知らずにいたことが恥ずかしかったのです。お酒の合間にいただいた、かつおだしのみのシンプルなだし汁、素晴らしい味でした。ちょぴっとお酒を混ぜて飲むと、香りが立ち、身体もグンと温まる感じ。静岡で酒の会をやるときは、ぜひ参考にしたいです!

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 翌20日(月)は、東京ビッグサイトで20~22日開催の『グルメ&ダイニングスタイルショー2008秋~ニッポンいいもの再発見!』で、過去ブログでも紹介した静岡県商工会連合会のしずおかうまいもの創生事業・フルーツゼリーの試食&市場調査。

 

 昨年開発した『つまんでごろーじ(静岡の酒と肴のギフトセット)』では、静岡が酒どころで、伊豆は金目鯛の、浜名湖は牡蠣の産地だということを伝えるだけでも一苦労した覚えがありましたが、フルーツの場合は静岡ってネームバリューがあるんですね。みかん、マスクメロンなどはすんなりイメージしてもらえるし、「紅ほっぺ」も“テレビで聞いたことがある”という反応。フルーツゼリー自体、日本酒や肴に比べたら万人受けしやすいというのもあるでしょう。展示ブースはお客さんが途切れなくやってきました。

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 今月2日の試作会での土屋シェフのアドバイスも奏功し、それぞれ改良を加えたゼリーは試食の反応は上々。あとはパッケージやネーミング、そして価格帯の設定です。商工会側は、「買いやすい価格で、日持ちしやすいものを」と言いますが、価格帯については慎重に考えねばなりません。

 生産者や菓子業者の顔が見えるモノづくりが追い風になっている今、一過性の話題づくりで終わらず、生産業者が適正な利益を得られる事業にならねば。

 

 

 

 醗酵リンク大会のゲストスピーカーとして来場された“やまけん”こと山本謙治さんが、「日本の食は安すぎる、ホンモノには適正な価格が必要だ」と強いメッセージを発信していました。藤田さんも「よいものを作ろうと努力する生産者が、再生産の意欲を持てるような値付けがなされ、それを消費者が買い支えなければならない」と言います。

 

 消費者が買い支える意欲を持つためにも、生産者の姿勢や食の価値の情報をリンクさせる私たちの仕事もまた、責任は大きい、と実感した2日間でした。


多田杜氏の故郷

2008-10-18 22:04:08 | 吟醸王国しずおか

 今日(18日)は一日、発熱でダウン。せっかくのいいお天気、たまった洗濯や布団干しをしたかったのに夕方やっと起きられました。疲れてる自覚もなくあちこち走り回った一週間でしたが、やっぱり歳なんだろうか…。それでも、オクラホマの妹から誕生日プレゼントが届き、間髪入れず、一昨日、新幹線の中に置き忘れた大事なカメラがJR新大阪の落し物係から無事届き、熱もちょっと冷めたみたい。カメラのCFカードに保存してあった岩手県北上市の撮影風景をチェックし、ブログを書き始めています。やれやれ…。

 

 

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 15日(水)~16日(木)と、『吟醸王国しずおか』の撮影で磯自慢の杜氏・多田信男さんの故郷へ行ってきました。16日に蔵入りをする多田さんを、北上の実家から焼津まで密着撮影するためです。本当は14日の蔵入り予定でしたが、農作業の遅れから、2日ズレ込むことに。同郷の2人の蔵人は予定通りすでに14日に蔵入りしました。

 

 

 

 多田さんは、北上の実家では8代続く稲作農家で、今はリンゴ栽培も手掛けています。ゆうに10町歩はある広々とした田んぼでは、東北生まれの寒さに強い品種ひとめぼれを、長男の徹さんと二人三脚で育てています。

 

 15日夕方、北上に着いた私は、多田家の夕食におじゃまし、妻のイクさんと長男の嫁の延子さんの手料理をごちそうになりました。多田家は、多田さんのお母様、多田さん夫妻、長男夫妻と子供の4世代住まい。独り暮らしが長い私にとっては、こんな大家族の食卓、テレビのホームドラマでも観ているようです。

 

 ごちそうのお礼…とまではいきませんが、『吟醸王国しずおか』パイロット版のDVDコピーをご家族に観てみらいました。磯自慢での仕事ぶりを初めて見るご家族は、それなりに感慨深いものがあったと思います。孫の悠くんが、おじいちゃんの酒がサミットの晩さん会に使われたことを学校でも話題にされて、「びっくりしたけど嬉しかった」と喜ぶ姿が印象的でした。

 

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 延子さんにぜひに、と勧められたのが、この地域の特産「二子芋」。柔らかくて粘り気のある上品な里芋です。静岡の石川小芋に似ているでしょうか。衣を着けて丸ごと揚げた芋ボール、マヨネーズ&みそ&かつおぶしのドレッシングで和えた和風サラダ風ボールDsc_0011、絶妙な風味の芋の子汁など、アイディア料理が次々と出てきます。デザートには、多田家の畑で採れたブルーベリーのヨーグルト&もぎたてリンゴ。…当たり前ですが、ふだんスーパーで買うリンゴとは比べようもないみずみずしさと香り!

  

 

 

 食事の後は、多田さんが懇意にする料理店「枕流亭」に、多田さん夫婦とご一緒しました。多田さんの来店を待ちわびていたというご主人は、磯自慢はもちろん、十四代や東洋美人など人気銘柄を次々と出してきて、「ここでも焼酎人気Dsc_0014のほうが高いが、日本料理には日本酒が合うに決まってるだろうと腹の中で憤慨しながら、顔で笑って焼酎の注文を聞くんですよ」とざっくばらんに語ります。岩手日報に載った「洞爺湖サミット・乾杯は南部杜氏の酒~北上の多田さん“大変名誉”」の記事を嬉しそうに見せてくれて、コピーまでしてくれました。

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 22時過ぎに、遅れて静岡から駆け付けたカメラマンの成岡さんが合流し、二子芋で作った「北上コロッケ」に舌鼓。二子芋づくしの特製定食は、北上の秋を満喫する最適の味でした!

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 翌16日、多田さんが乗る昼前の新幹線の時間まで、出来る限り、多田さんの故郷の実景を撮りだめておこうと精力的に回りました。やっぱり画になるのは、多田家の近くを流れる雄大な北上川と、そのほとりに広がる広大な田んぼ。…静岡ではなかなか見られない光景です。

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 多田さんが幼い頃、よく遊んだという家のすぐ近くの八幡神社や、これから収穫のピークを迎えるリンゴ畑、そして北上駅で奥さまに見送られるまで、約半年間、故郷を留守にする多田さんの表情とたたずまいをカメラにおさめました。…こういう暮らしを45年続けている職人によって、私たちは美味しい酒を享受できているんだということを、心のレンズに焼きつけながら…。

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 移動中の多田さんを撮影する成岡さんの手荷物や自分の荷物や多田家でいただいたお土産などを手に提げ、やっとこさっとこ焼津の磯自慢酒造まで辿りつき、さぁ、次は蔵元さんや蔵人衆たちとの半年ぶりの再会シーンを撮ろうとしたら、肩にかけていたはずのニコンD70が見当たらず、大慌て。蔵に着くまで、カメラをどこかに置き忘れていたこと、気がつかなかったんですね。焼津駅から乗ったタクシーの会社に連絡せども見つからず、可能性があるとしたら東京から静岡まで乗ったひかりの車内しかありません。

 

 

 昨年、「朝鮮通信使」のロケハンに九州へ行った時、新幹線の車内に財布と携帯を落として、JRに連絡したら奇跡的に見つかったという経験を持つ成岡さんから、「もう名古屋も過ぎちゃっているかもしれないけど、一応は座席付近を確認してもらえるから、ダメもとで連絡してみれば」とアドバイスされ、ダメもとで連絡を入れたら新大阪でピックアップしたとのこと。落し物係の職員が宅配便で送ってくれることになりました。「精密機械なので本来は取りに来てもらわないと。もし壊れても責任は取れませんよ」とブツブツ言われましたが、今日届いたカメラは、プチプチを何重にも巻きつけ、段ボールケースにデカデカ「精密機械につき割れ物注意」シールを貼って入れてありました。見直しましたよJR!

 

 

 昨日(17日)は、丸一日、仕事で静岡市内を走り回り、夜21時過ぎに帰宅したら風邪の引き始めのような重だるさ。明日~明後日と東京出張なので、なんとしてでも熱を下げねば…。

 

 

 北上は、静岡に比べて1か月ぐらい先の陽気で、朝晩の寒さは本格的な冬。多田家でも炬燵を出していました。新大阪まではぐれ旅をして舞い戻ってきたカメラに残る多田家の温かい食卓の画(プライベート写真なので未公表にします、スミマセン)が、いい風邪クスリになりそうです。


トークセッション10日前

2008-10-15 09:25:13 | 吟醸王国しずおか

25日のトークセッションまであと10日となりました。私自身がグズグズしていて、ちゃんと営業活動できなくて、せっかくいい内容のセッションなのに多くの人にお声かけができず、まだ申込者数は50名ほど。100人以上入るホールなので、焦っています・・・。

今日から岩手県の南部杜氏の里へ行き、磯自慢の多田杜氏の蔵入りを密着撮影しに行きますので、2~3日ブログの更新をお休みします。25日の案内を再掲しておきますので、興味のある方、またお知り合いにお声かけくださる方は、どうかどうかよろしくお願いします!








◆しずおか地酒サロン特別トークセッション 金両基×松下明弘×青島孝

『国境を越えた匠たち~知の匠・農の匠・酒造の匠が、地に足のついたモノづくりを語り合う!~吟醸王国しずおかパイロット版併映』

 

 

○日時 2008年10月25日(土) 19時~21時(18時30分受付開始)



○会場 静岡市葵生涯学習センター アイセル21 1階ホール




 

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○内容 

国境越えを経験したキャリアの異なる3人(評論家・哲学博士の金両基氏、不耕起自然農法で山田錦(松下米)やオリジナル玄米食用品種「カミアカリ」を栽培する松下明弘氏、青島酒造蔵元杜氏の青島孝氏)が、静岡の地で地に足のついたモノづくりの価値と、歴史・自然・大地から学ぶ生き方について大いに語り合います。




松下・青島両名の清々しい姿を映した『吟醸王国しずおかパイロット版』も上映(パイロット版の公式上映はこれがひとまず最後となります)。





 

 

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○会費 1000円

○申込 しずおか地酒研究会(鈴木真弓)までメールで申込みの上、当日、会場にて会費をお支払いください。

msj@quartz.ocn.ne.jp


神に祝福された美田

2008-10-13 17:25:00 | 吟醸王国しずおか

 この10年あまり、10月の体育の日前後は、松下米の稲刈りの時期と重なるので、毎日のようにテレビの天気予報とにらめっこです。

 カラッとした秋空にとんと恵まれないこの1週間あまり、松下米の稲刈り撮影日がなかなか決まらず、不安な時間を過ごしました。喜久醉の青島孝さんは、この時期、週末には必ず全国どこかの酒のイベントに呼ばれて藤枝を留守にします。カメラマンの成岡正之さんも、この時期、祭りやイベントや、とくに今年は選挙がらみの取材などでスケジュールがいっぱい。

 でも、やっぱり主役は稲です。稲刈りという一年の集大成となる日は、一年間、土と稲を世話をした松下さん以外、決められません。

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 さんざん調整に手間取った挙句、14日に決行することにしたのですが、一昨日の天気予報で、晴天は13~14日との予報。大事をとって急きょ13日に前倒しすることに。ところが昨日深夜の天気予報では「明日13日は曇りのち雨で降水確率60%」。暗澹たる思いで床につき、まんじりともせず、早朝目が醒めたら、窓が明るく、とりあえず雨は降っておらず。

 8時過ぎに松下圃場に着いたら、すでに成岡さんがカメラをスタンバイし、その傍らで松下さんがあれこれ指示を出していました。

 青島さんも間もなくやってきて、全員そろって「気が気じゃなくて、早く目が醒めちゃった」と笑い合いました。

 

 

 

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 そのうちに雲が切れ、蒼空が一面に広がり、やわらかな陽光が、薄い黄緑色に抜けた山田錦の穂を黄金色に照らしました。…まるで自然のライティングのようです。「うわぁ、これがホントの黄金色だぁ」と成岡さんも感嘆しきり。

 

 

 

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 9月初旬に、開花の瞬間をドンピシャで撮ったときと同じように、何かこの撮影には神様がついているんじゃないかと、首をひねるしかありません。青島さんと2人、「彼こそ天下無敵の晴れ男」と松下さんを畏怖の眼で見直しました。

 

 

 

 

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 山田錦(松下米)は今回で13回目の稲刈り。「田んぼを俯瞰で見たとき、何かひっかかるものが見つかる年もあるけど、今年は、一点の曇りもない出来。こんなに順調な年はめったにない」と松下さんは、雲を蹴散らした蒼空のような晴れ晴れとした顔です。

 

 

 立秋を過ぎてから気温が下がり、最も重要な出穂の時期に心配するほどの残暑もなかった今年は、晩生種の米にとって当たり年。「酒米はどこも出来がよく、数量も獲れただろう」という松下さんの言葉に、青島さんはどことなく緊張した面持ち。松下さんのゴールテープは、青島さんのスタートラインなんですから、無理もありません。

 

 

 

 

 神様が松下さんの努力を称えて黄金色に染め上げてくれたような美田を眺め、「刈るのがもったいなくてねぇ」「もうちょっと眺めていたいんだよねぇ」と溜息をつく2人。

 

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 2人の作業を俯瞰で撮る成岡さんのそばで、「バックに住宅や電線がなければ絵になるんだけどなぁ」と溜息をつく私に、「絵にかいたような自然豊かな田舎とか棚田なんかよりも、こういう、どこにでもある郊外の住宅地の中で、人の生活によりそっているような田んぼで、こんな素晴らしいコメが育っていることに価値があるんじゃない?」と成岡さん。

 …気がつけば、近所のお年寄りや向かいの家の若い奥さんが子どもを連れて稲刈りの様子を熱心に見学していました。 

 

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 彼らのモノづくりの連携は、たんに、原料生産者と加工業者というワクにおさまらず、稲作の国の暮らしに古来からつたわる人と人、人と自然の原始的なつながりに見えてきます。それが、映像に乗り移ってくれれば…と願いながら、半日たっぷり、カメラを回し続けました。


Birthday Journey

2008-10-11 22:27:51 | しずおか地酒研究会

 阪神優勝が幻となり、不機嫌な目覚めだった誕生日の朝、旅行会社レイラインの社長小松みゆきさんから、吟醸王国しずおか映像製作委員会会報誌『杯が満ちるまで』3号の感想メールが届いていました。今号は8月30・31日のパイロット版試写会の報告&アンケート結果を紹介したもので、みゆきさんは試写会には参加されていませんでしたが、「会報誌を読んでいたら涙が出てきた、ホントによくがんばったね!」と家族のような温かいメッセージを寄せてくれました。

 

 

 みゆきさんは私より少しお姉さん。若くして旅行会社を起業し、小回りの利くサービスで顧客を増やし、旅行雑誌に載っていない穴場とか専門性の高い企画旅行など、大手とは一味違うツアーサービスを得意とされています。

 

 

 樹木医の塚本こなみさんやNPO法人活き生きネットワークの杉本彰子さんと同じように、10数年前、(社)静岡県ニュービジネス協議会で知り合いました。当時は協議会に元気な女性起業家がたくさんいて、女性会員だけで旅行したり勉強会をしたりで、一番年下だった私が、一番たくさんいろんなものを“吸収”させてもらったような気がします。

 

 年齢が近かったみゆきさんとは、協議会の外でもおつきあいをさせてもらい、しずおか地酒研究会の発足2年目に岩手県南部杜氏の故郷へツアーを組んだ時も、みゆきさんの会社にお世話になりました。参加者が思ったより少なくて、みゆきさんにはご迷惑をおかけしちゃったんですが、その後も、「社員に地酒を教えてほしい」と自ら酒の勉強会を企画されるなど、何かと気をかけてくれました。

 そんなにしょっちゅう連絡を取り合う間柄ではありませんが、何か節目の時は電話やメールをくれる人です。今日は、朝、メールをくれたと思ったら、午後、ドラえもん電報で誕生祝いメッセージが。誕生日に電報をもらうなんて初めての体験でした!!

 

 地方で旅行会社を経営していく苦労は、素人の私でもなんとなく想像がつくだけに(自分も今はほとんど宿泊先やチケットの手配をネットで済ませてます・・・)、レイラインが顧客に信頼され、地方でも順調に業績を上げているのは、みゆきさんの経営者としての地道な努力やツアコンとしての力量が奏功しているわけで、日頃のそんな、さりげない気配りからもうかがえるというもの。

 25日のしずおか地酒サロン特別トークセッションには、イの一番に申し込んでくれたので、お礼メールを送った時は、「今、旅行業界でも農業への関心がスゴイのよ」とのお返事。世の中の人が、何に関心があって、どういうところへ行きたがっているのかは、みゆきさんのようなお仕事ならば、イの一番に判るわけですね。農業関連の視察旅行や自然体験ツアーなどの人気が高まっているというのは、昨今の食の問題や環境問題とも密接に関係しているのでしょう。

 

 

 

 今日は、藤枝の松下明弘さんの稲刈り予定日で、『吟醸王国しずおか』の撮影に一日空けていたのですが、天候不順につき順延。昼間は家でダラダラ、テレビでF1なんか観たりして、夕方、誕生日らしく自分にご褒美してあげよう!と思い立って、国1バイパスでひとインター先の静岡温泉美肌湯へ行き、カイロプラティックで全身をもみほぐしました。私的には、ここのカイロプラティックの女性整体師さんが一番合うみたい。街中のクイックマッサージは、アルバイトに毛が生えたようなスタッフが多くて、当たり外れがあるんですよね・・・。

 

 美肌湯に行く途中、TSUTAYAでJOURNEYの新譜「REVELATION」3800円を買い、マッサージ代プラス入浴代7000円と合わせると、ちょっとイタい出費。帰宅したら、みゆきさんから「あと数時間、充実した誕生日を楽しんでね」と追伸メールが来てましたが、夕飯はカップラーメンと缶ビール。なんちゅう色気のないバースデーナイトかっと一人ツッコミしながら、ビール片手にCDをかけたらビックリ!

 

 

 大学生のころガンガンに聴いていたJOURNEYが、スティーブ・ペリーじゃないヴォーカリストで、こうも鮮やかに、当時のまんまのテイストで甦るとは…。新しいヴォーカリストはフィリピン人のアーネル・ピネダ。フィリピンでJOURNEYのコピーバンドをやってて、たまたまYouTubeでそれを観たニール・ショーンがその完璧さに驚愕して、御本家のヴォーカリストとして招いたという、アメリカンドリームみたいな話。スティーブ・ペリーよりちょっと低音で歌うOpen Armsなんか、骨格たしかな翼で力強く羽ばたく鷲が頭に浮かんできて、鳥肌が立ってきました。

 

 

 セーラー服を着ていた頃から愛する阪神が負けて精気が失せ、日帰り温泉でマッサージをして、夕飯にカップラーメンと缶ビール、という、はたから見たら同情を買うような?誕生日でも、ツアコンみゆきさんの祝電と、JOURNEYの新譜が花を添えてくれました。大空を飛びながら地球を旅する妄想でもしましょうか…。