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杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

久々の『朝鮮通信使』上映会お知らせ

2010-11-17 23:02:08 | 吟醸王国しずおか

 すでにお知らせのとおり、12月5日(日)は、藤枝市岡部の大旅籠柏屋にて『酒と匠の文化祭』を開催します。多くのみなさんにご支援ご協力をいただき、準備のほうも着々と進んでいます。ぜひご期待くださいね!

 

 

 ところで、前日の12月4日(土)、私が映画制作にかかわるきっかけにもなった映像作品『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』の上映会が久しぶりに開かれることになりました

 

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 場所は、静岡市クリエーター支援センター。そう、朝鮮通信使の制作元・しずおかコンテンツバレー推進コンソーシアム(SCV)の事務局がある施設です。SCVは2008年から静岡市クリエーター支援センターの指定管理者になっているんですね。

 朝鮮通信使の制作は2007年でしたから、私は支援センター自体にはあまり縁がなくて、客として利用する程度。静岡市内では一番ハイレベルな映像試写ルームが出来たので、08年夏の『吟醸王国しずおか』パイロット版第一弾の試写会はここで開かせてもらいました。

 

 

 ただ、なぜか、この映像ルームでSCVが制作した『朝鮮通信使』を上映する機会が、(私が知る範囲では)今までなかったんですね・・・。今まで個人的に何度か各団体にお願いして開いてもらった上映会は、会議室での備付けスクリーンを使うことがほとんどで、ハイビジョンサイズのクリアな映像でお楽しみいただくことが叶いませんでした。

 

 

 いつかクリエーター支援センターの映像ルームで『朝鮮通信使』が観られるといいのにな~と願いつつ、SCVにはすでに朝鮮通信使制作時にお世話になったスタッフがほとんどいないので、気軽に頼める術もなく・・・。

 

 

 

 

 そんなときに、静岡県朝鮮通信使研究会の北村欽哉先生から「今度の総会でお話してみませんか?」と思いがけないオファーをいただき、通信使研究の専門家でも何でもない一介のライターが、お歴々を前に話をするなどトンデモナイと、びびった次の瞬間、クリエーター支援センターで上映会を開く願ってもない好機だ!と思い立ったのでした。

 

 

 研究会のみなさんの多くは、何らかの機会に『朝鮮通信使』をご覧になっていると思いますが、上映後に制作裏話やロケ先でのエピソードなどを、脚本監修の北村先生と面白おかしく雑談すれば、いつもの真面目な歴史勉強会とは違うけど、それはそれで楽しんでいただけるのではないかと。

 

 市営の素晴らしい映像ルームで、静岡市の予算で静岡市民のために作られた映像作品を上映するのですから、ぜひとも一般の人にもお声掛けしたいと思い、先生にご相談したところ、快くご了解をいただきました。

 

 

 当ブログでも再三ふれてきた『朝鮮通信使』、未見の方はこの機会に、ぜひご覧ください。そして翌5日は、藤枝市岡部の大旅籠柏屋の『酒と匠の文化祭』内で、この映像制作を糧に生まれた『吟醸王国しずおか』パイロット版を上映しますので、ぜひぜひご覧くださいませ。

 

 

 

第4回静岡県朝鮮通信使研究会総会

◆日時 2010年12月4日(土) 13時30分~16時

 

◆場所 静岡市クリエーター支援センター3階プレゼンテーションルーム

 *場所は静岡県庁横・旧静岡市青葉小学校です。こちらをご参照ください。

 

◆内容

 13時30分~14時  総会

 14時~15時10分  『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』上映

 15時10分~16時  講話「朝鮮通信使の製作裏話」 鈴木真弓・北村欽哉氏

 

◆参加費 無料

 *静岡県朝鮮通信使研究会入会希望の方は年会費(個人一口2000円、団体一口5000円)を当日受け付けます。

 

 

 

 上映会のみの参加もOKです。ぜひふるってお越しくださいませ!

 なお、吟醸王国しずおか公式サイトで、私とカメラマン成岡さんの朝鮮通信使制作秘話が読めますので、ぜひご参考にどうぞ!成岡版はこちら、鈴木版はこちら


SPAC新作・わが町(今井朋彦演出)を観て

2010-11-14 11:28:51 | アート・文化

 13日(土)は、静岡県舞台芸術センターSPACの新作『わが町』を観に行きました。前月、県広報誌の取材で『令嬢ジュリー』の出演者と宮城聰芸術監督にインタビューしたとき、映像とは違う生身の人間が目の前で汗をかいて表現する芸術の価値を再認識し、また芸術局長の成島洋子さんにとても親切にしていただいて、成島さんご自身の演劇に対する真摯な姿勢に感化されました。成島さんとは後日、別の酒の席で偶然お会いし、『わが町』のことをうかがって、13日は終演後、演出を担当された俳優・今井朋彦さんの朗読会があると聞いて、これは必見!と思いました。

 

 

 『わが町』という作品、アメリカのスタンダードな戯曲だということは知っていましたが、恥ずかしながら筋書きはまったく知らず、真っ白な状態で鑑賞しました。時代はちょうど今から100年ちょっと前の、20世紀に切り替わる時代の境目。一つの町で起きる、世紀の変わり目を象徴するような事件や事故が題材なのかしらと思っていたら、特別なことは何も起こらず、ごくありふれた町の日常が淡々と描かれます。

 進行係が登場し、登場人物の背景をいちいち解説するので、舞台と客席を分断させられるような気がして、なんとなく物語にすんなり入っていけず、第一章では眠くなることシバシバ・・・。前から2番目の席だったので、出演者と目が合いそうで何度も姿勢を正しました。隣の席の年配のおじさまが、ハッキリ聞こえる鼾をたてているので、こっちを見られそうでビクビクでした…(苦笑)。

 

 

 第2章では3年後、第3章では9年後の住民たちが描かれます。特別な事件やドロドロした人間関係が展開されるわけでもなく、涙を誘う美しい夫婦愛やしみじみとした家族愛でもない。ついドラマチックな筋書きを期待してしまう自分にとっては、やや消化不良気味の展開だったのが、第3章で舞台上にイスがいくつもランダムに並べられ、ハッとしました。

 そして第1・第2章では進行役が黒の喪服っぽい衣裳だった以外は、登場人物全員、白衣だったのに、第3章のあるパートからカラフルになる。

 

 ・・・ありふれた日常の果てに、誰もが直面する生と死。牛乳配達が毎朝搾りたての牛乳を運び、新聞は週に2日しか発行されず、事件といえば○○さんちに双子が生まれたというのどかな田舎町が、やがて車社会になり、農場は収益を上げるために工業化していく…。衣裳がいっとき、カラフルチェンジしたのが、20世紀ではなく、19世紀の、のどかだった時代の平凡なごくありふれた朝のワンシーンだった、というのが、実に象徴的でした。

 

 

 シンプルだけど、衣裳や装置が実に効果的に「設定の妙」を演出し、おぉ~これこそ舞台演劇の面白さ!。映画だったら、町に車があふれたり若者のファッションが変わった姿をリアルに映し出すところでしょうが、舞台ではピンポイントに変化を付けることで、より主題が際立って伝わります。

 舞台演劇を見慣れない私のような新参者でも、“最初たいくつ→途中でおや?→ひょっとしてこういう意味?→そういう深い意味だったんだ~”とナットクできる、丁寧に計算された作品ではなかったかと思います。 

 

 初めて観る作品だったので、そう思えたのが、もともと作家や翻訳家が意図したものか、演出家の功績なのかは想像もつきませんが、ブロードウエイで初演されたのが1938年で、日本では文学座が1941年に初演だそうですから、戦前の日米で、現代にも通じる「日常の普遍性」を描いて絶賛されたというのは、考えてみればすごいことですよね。

 

 

 ・・・あぁ、でも、2010年の今だから「戦前にこういう作品を発表するのはすごい」と思うだけかもしれない。庶民は、時代のきな臭さに多少の不安や不便さを感じても、ごくありふれた日常を過ごし、面白いものに興味を持ち、クリエイターも人間性の深淵に挑み、観る者を素直に感動させていたはず。・・・歴史の本を読み過ぎて、あの時代はこうだと決めつけるのはよくないのかもしれないですね。

 とにかくエンディングは、最初に居眠りしそうだったのがウソのように、充実感満点でした。隣のおじさまも途中から舞台に集中し、カーテンコールでさかんに拍手してました!

 

 

 

 終演後の今井さんの朗読会は、『わが町』劇中でも音楽を担当されたサックスの松本泰幸さんと今井さんが、『朗読VSサックス』をテーマに即興演奏するユニークなステージ。谷川俊太郎の詩や、ジョン・レノンの『イマジン』の意訳を披露してくださいました。

 

 会場が劇場1階のロビーだったせいか、サックスの音が響きすぎて、今井さんの声が聴きづらかったのが残念でしたが、生演奏での朗読会っていいなぁ~としみじみ・・・。ちょうど今、12月5日の國本良博さんの酒の朗読会用の音楽をセレクトしているところ。いつかは生演奏で実現できたら、と思わずにいられませんでした。 


2010静岡県ニュービジネスフォーラムのお知らせ

2010-11-12 11:18:45 | ニュービジネス協議会

 今日は私が広報のお仕事をしている(社)静岡県ニュービジネス協議会のイベントをご案内します。

 

 同協議会が年に1回開催するビジネスフォーラム。今年は11月17日に静岡駅前のグランディエールトーカイで、静岡県ニュービジネス大賞公開最終審査&発表授賞式、日本ニュービジネス協議会連合会の長谷川裕一会長の講演、環境ビジネスで注目される県内企業のパネルディスカッションなどが予定されています。

 

 

 ニュービジネス大賞の最終審査の公開プレゼン、こういう審査ってふだんなかなか一般の人が目にすることはないと思います。今、どんな事業が儲かりネタになっているのか、どこが評価され、どこがイマイチなのか、ライブで見られるって刺激的ですよね!

 

 

 また日本NB連合会の長谷川会長、福岡の仏具メーカーの会長さんなんですが、スキンヘッドで、ものすごく声のデカイ、迫力満点のユニークな会長さんです。不景気風を吹き飛ばしてくれそうな元気になるお話が聞けると思います。

 

 

 

 なお今回のニュービジネスフォーラムは、11月28日の静岡新聞全面広告で誌上報告する予定です。久々の新聞全面広告のお仕事、私もがんばりますのでぜひご期待くださいね!

 

 

 

 

 

2010静岡県ニュービジネスフォーラムIN静岡

『厳しい環境にこそ、たくましく光るニュービジネス』

 

■日時:11 月17 日(水) 13:30~19:00(受付13:00~)

 

 

■会場:グランディエールブケトーカイ シンフォニー(JR 静岡駅北口 葵タワー4F)

 

 

■内容:

○第1 部(13:30~14:30) 大会式典、第19 回静岡県NB 大賞表彰式

 

 

○第2 部(14:35~15:35) 基調講演
講師 (社)日本ニュービジネス協議会連合会 会長 長谷川 裕一氏
演題 『今こそ、時代に対応したニュービジネスで日本を元気に』

 

 

○第3 部(15:45~17:15) パネルディスカッション
テーマ 『会員企業から発信する元気な環境ビジネス』
パネリスト/ 鈴木 荘大氏(㈱エスジー代表取締役)、長島 磯五郎氏(静岡油化工業㈱代表取締役)、矢板橋 一志氏(㈱ミダック代表取締役)、モデレーター /佐塚 充氏((社)ウェルライフネット代表)

 

 

○第4 部(17:30~19:00) 交流会
※交流会参加費 3,000 円(会員・一般共)

 

 

 

 

 

■当日10:00~11:30 、同会場別室にて「第19 回静岡県ニュービジネス大賞」第二次審査(公開プレゼンテーション)を行います。参加自由。ふるってお越しください!

 

 

 

 

 

 お問い合わせは(社)静岡県ニュービジネス協議会事務局までどうぞ! 電話054-273-4835、ホームページはこちら

 


12月5日大旅籠柏屋「酒と匠の文化祭」お知らせ

2010-11-10 09:26:10 | しずおか地酒研究会

 先にご案内したとおり、12月5日に東海道岡部宿・大旅籠柏屋(かしばや)にて『酒と匠の文化祭』を開催します。

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 しずおか地酒研究会が総力を挙げて実現した、歳末の日本酒需要上昇期における初めての大イベントです。

 今までこの時期、蔵元さんも酒屋さんも忙しいのでほとんど活動していなかったのですが、消費者の立場で考えたら、一番日本酒のことを知りたい!買いたい時期なんですよね。・・・これも、映画作りを通して、観ていただく方の目線=自分が地酒のことを真に伝えたい&地酒といい出会いをしてほしいと思う方々の立場に立って考えた末の企画です。

 

 映画作りは本当に難攻不落の高山を登るがごとく、辛く厳しい事業ですが、途中の“山小屋”で休息をとり、仲間の激励を受けるがごとく、こういうイベントで英気を養いたい、なんて思っています。

 

 

 告知期間が短く、年末の日曜に果たしてどれだけの方が来てくださるのか心配ですが、地酒研ならびに映像製作委員会のみなさまには今週中にチラシをお送りします。もちろん一般の方もこの機会にぜひお越しいただき、『吟醸王国しずおか』パイロット版や、國本さんの“酒の語り”の世界に触れていただければ! 会員仲間から「海鮮丼みたいなデザイン」と褒められ?たチラシ&ポスター、ご所望の方がいましたら、ご一報ください。

 

 

 公式サイトのこちらに、いち早くご案内をUPしましたので、内容ご確認の上、12月5日はふるってお越しくださいませ!


障がい者の人権とマスコミ報道

2010-11-08 14:42:08 | NPO

 6日(土)13時から、静岡市中央福祉センターで開かれた人権シンポジウム『障がい者の人権とマスコミ報道~とりはらおう“心の壁”』に参加しました。以前こちらでご紹介した静岡市障害者協会と静岡人権フォーラムの共同企画によるシンポジウムです。

 

 

 外は絶好の行楽日和で、隣接する駿府公園からは大道芸ワールドカップの賑わいが響いてきます。世間がお祭り騒ぎしているすぐ横で、真剣に人権を考えるって、なかなかクールじゃない、なんて思ってしまいましたが(苦笑)、基調講演をされた静岡福祉大学の山城厚生教授は「来年はぜひ大道芸ワールドカップの会場でやりましょう」とけしかけていました。

 

Imgp3177_2   山城教授は、音楽活動をしているケアセンター通所者の女性が、ケーブルテレビの取材を受けた際、顔のアップがオンエアされ、一緒に取材を受けた他の通所者はテレビに映され喜んでいたが、彼女は「死ぬしかない」と思い詰めたという話を例に挙げ、障がい者とひと口に言っても様々な人がいて、マスメディアの取材には多くの細かな配慮が必要だと述べます。

 また、ある学校でサッカーゴールが転倒して生徒が亡くなったとき、マスメディアが学校側の責任を問い詰め、校長が自殺したという例では、マスメディアが被害者や加害者を必要以上に追及し、追い詰め報道をする怖さを指摘されました。

 

 

 さらに「日本人は、革命によって自由や人権思想を勝ち取ったフランス人とは違い、いつのまにか与えられたという感覚ではないか」と。これには静岡人権フォーラム代表の金両基先生が、「在日の人々は、さまざまな努力をして自分たちの生活権を勝ち得てきたではないか」と異を唱え、人権を語るって、大学教授といえども配慮が行き届かない難しいものなんだなぁと痛感しました。

 

 

 実は前夜、酒の席で偶然、在日の方とご一緒し、明日こういうフォーラムへ勉強に行ってくると話したら、その方は「“人権”は難しいよ・・・、僕ら、近寄らないようにしてるんだ」と実感を込めて応えていました。

 

 障がい者や外国人の方々が感じる、万国共通ともいえるものから、日本人のお国柄やメンタリティからくるもの、地域、学歴や職業や家柄からくるものなど、我々が直面する人権差別の問題は実に多様です。今回でいえば、障がい者の人権というタイトルがあるにもかかわらず、在日の方が聞けば、「オレたちのほうが苦労してるんだぞ」って思いになるでしょうし、障がいにも精神、知的、身体的と様々あるので、当事者にしてみれば「一緒くたにしないでほしい」と思うかもしれません。 

 

 今回、マスコミ側のトークゲストは誰も来ていませんでした。8月の意見交換会のときは事務局側もマスコミ側の出席者をぜひ呼びたいと話していましたが、実現しなかったようです。マスコミ側も「人権を真正面から考えるのは難しい。僕ら、近寄らないようにしているんだ」と思っているんでしょうか。

 

 

 でも私はこういうシンポジウムが決して無駄だとは思えません。

 グループディスカッションの時間で、同じグループになった介護支援者の方から、車いすで乗れる介護車両のことを「あれは障がい者のためというよりも、介助する側が楽に乗り降りさせるための車」と聞いて驚きました。車いすのままで乗ると、車内天井が近くて少しでもガタガタすると頭をぶつけたりして乗り心地はよくない。車いすから降りて自分の手や足で車に乗り降りすることはリハビリになるし、普通に車のソファーに座って移動できるならそうしたいというのが当事者の本音だと。我々からすれば、「車いすのまま乗り降りできるから便利じゃん」と思うだけで、彼らにとっての乗り心地なんて考えたこともない。

 

 

 

 ざっくばらんなディスカッションの中から、相手の立場や考えや感じ方を慮ることの大切さに気づく。・・・立場の違う者同士が同じ空間に集って議論し合うって、多少の摩擦はあっても、それ以上に得るものは大きいと実感します。

 マスコミや報道機関に属して高給を得ている者ならば、こういう問題に向き合う勇気や摩擦を恐れない心を持って然るべきと思うのですが、一介のローカルフリーライターの遠吠えに聞こえますかね(苦笑)。

 

 

 

 人権は、人権を傷つけられた経験がない人間にとっては改まって意識することはなく、意識せずに他人を傷つけることもあるでしょう。自分にもそういう経験がありました。このテーマのシンポジウムに、マスコミ人が参加しないのは本当に残念ですが、それでもシンポジウムはぜひ1回といわず、続けて行くべきだとアンケートに答えておきました。

 

 主催者ならびに事務局のみなさま、おつかれさまでした。