9月9日 サンデーモーニング
8月29日 日本の産業界が注目する人物が大阪を訪れた。
報道陣に囲まれたのは台湾のホンハイ精密工業の郭台銘会長。
経営難の家電大手SHARP支援に向けた交渉のため来日したのである。
かつて液晶テレビカメラで世界シェアの8割近くを握り
その技術で世界をリードしたSHARP。
しかし2011年を見るとわずか7%ほどに急落している。
2012年3月期の決算では過去最大の赤字幅を記録し
台湾企業に支援を仰ぐことを余儀なくされた。
日本メーカーの不振はSHARPに限らない。
家電大手のSONY Panasonicは
2012年3月期 ともに巨額の赤字を計上。
大規模なリストラを進めるなど
経営再建に向けて必死の取り組みを続けている。
高い技術力で世界が欲しがる製品を次々生み出し
経済成長をけん引した日本の家電メーカー。
それが今や新興国にシェアを奪われ苦境にあえいでいる。
こうした日本メーカーの茎用に大きな影響を及ぼしたのが
去年起きた東日本大震災と福島第一原発事故だった。
ところがこうした苦境を転機ととらえる専門家もいる。
ノンフィクション作家 山根一眞さん
「震災で今までの20世紀型の文明がNOをつきつけられた。
そういうものがリセットされた。
新しい技術やシステムが世の中に出るものすごくいいチャンスが来ている。
これを逃しちゃいけない。」
山根さんは
震災、原発事故をきっかけに日本の技術は新たな方向性を見出すかもしれない
と語る。
その一つが国策である原子力の陰に隠れがちだった新たなエネルギー
環境技術である。
高精度ミラーを使った“集光型太陽光発電”。
小さな流れで発電する“ゼンマイ式水力発電”。
山根さん
「今までコストの面とか将来性を考えると
既存の発電設備があるから
実用にならないからやってもしょうがないと思われていたことが動き出した。
これは素晴らしいこと。」
新たな技術の研究も進んでいる。
たとえば従来型より発電能力が約3倍の“レンズ風車”。
大気中の電波を集めて電力に変換する技術。
潮の流れや満ち引きを使った発電。
しかしいまだ実用化には至っていない。
それでもこうした技術開発に取り組む。
“潮流”発電を開発する 鈴木清美さん
「子ども孫 次の世代
それを考えれば誰かがこれをやらなければならない。」
そして震災後注目されているもうひとつの技術の分野がある。
それは人々の命や暮らしを守るための技術である。
天井落下防止の技術開発。
液状化対策の技術開発。
大きな地震の揺れに耐え二酸化炭素まで吸収する新素材の夢のコンクリート。
従来と比べ17分の1の水量で鎮火できる奇跡の消火剤。
災害現場で動くレスキューロボット。
放射線量を計測する“自立制御の小型ヘリ”。
こうした技術も研究開発が進められているが
現場の研究者な今までとは違う科学技術が求められていると語る。
“自立制御ヘリ”を開発する 野波健蔵さん
「企業が儲かることを後押しする
そういう風になりがちですが
科学技術はそうではない。
社会に貢献できてこそ真の科学技術かなと。」
戦後半世紀 日本の高度経済成長をすすめ
大量生産 大量消費の時代を支えた技術。
震災後の時代に求められているものは
人を幸せにするための意識である。
IT生命誌研究館 中村桂子館長
「日本のものづくりが元気がなくなってしまった理由は
ここしばらく人間を大事にしなかったから。
キーワードは“人”だと思う。
社会のことやほかの人のことも考える
大事な人が生き生きと生きられる
そういうものを上手に作っていく。
“人を大事にしよう”という気持ちをみんなが取り戻せば
日本のものづくりはすぐに力を取り戻せる。」