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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

ザ・ワン(V)

2008-05-18 10:12:02 | 映画(さ)
評価点:54点/2002年/アメリカ

監督:ジェームズ・ウォン

ジェットリー対ジェットリーの壮絶バトル!

近未来。宇宙はひとつではなく、多宇宙で構成され互いに影響しあっている。
また一人だけの自分ではなく、それぞれの宇宙に自分が存在している。
しかももう一人の自分を殺すことでそのエネルギーを取り込むことができる、
このことを知ったユーロウ(ジェット・リー)は、次々と「自分」を殺して強力になっていく。
最後の一人、ゲイブを殺すために終身刑を免れ、現代にやってきた。
そして多くの自分を取り込んだために強くなった二人の男が、邂逅する。

▼以下はネタバレあり▼

僕の大好きなジェット・リー。
最近は立て続けに見に行っていたが、予算等の関係で見に行かなかった本作。
正直、がっかりな出来だった。
DVD(買っちゃいました)のパッケージには、
「マトリックス」の続編を断って出演を決めた!
と書いてあったが、マトリックスに出ていればよかったのにねえ、と悔やまれてならない。

宇宙はひとつではなく、多宇宙で構成され互いに影響しあっている。
また一人だけの自分ではなく、それぞれの宇宙に自分が存在している。
「多宇宙」という考え方は、あの少しのテロップでは理解できにくいだろう。
よくタイムトラベルが映画の題材に使われるが、現在の科学でわかっていることはタイムマシンは作れないということ。
時間を進める(冷凍睡眠などで)ことはできても、時間をさかのぼることはできないとされている。
しかし、もし世界が多宇宙という複数の宇宙で関係しあっているとすれば、非常に良く似た世界の宇宙の、地球の過去に行くことは可能である。

だから「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などは、実は同列上の宇宙の過去に行っているのではなく、違う宇宙の過去に行っていたのである。
でも違う宇宙といっても互いに影響しあっているので、元の世界の未来に影響を及ぼすのである。
(マイクル・クライトン原作の「タイム・ライン」から得た浅知恵)
映画の中でジェットリーが、二つの宇宙で囚人と看守(警察官)が入れ替わっていたが、
それは、互いに影響しあっているということを示しているのだ。

この「ザ・ワン」では、それが時間軸の移動ではなく、自分との出会いと対決をモティーフにしているわけだ。
だから冒頭で「なんじゃこら」と、世界観についていけない人にはつらい映画になっている。
とはいうものの、それがこの映画の評価を決定付ける要因ではないだろう。
ぶっちゃけ、アクションがよければ、全てを許せてしまうのが、ジェット・リーの映画なのだ(僕にとっては)。

問題はそこだ。
全体的に88分という短い映画ということを考えても、アクション・シーンが少なすぎる。
拳銃の弾をよけるなど、SFXを駆使してくれているが肝心の素手でのアクションが少ない。
しかもジェット・リーの強さを示すためにスロー・モーションとファスト・モーションを組み合わせているがどうみても「マトリックス」以降使い古された手法。
ジェット・リー対ジェット・リーは確かにすごいと思ったが
アクションの見所としてはそこだけという印象。
すごいパワーという設定なので異常な浮かび上がり方をするのは仕方がないとしても、ワイヤーばればれなのは、いただけない。

キャストにも問題ありだ。
未来からよこされた警察官や、複数いる奥さんなど面白いけれど、いかんせん主要キャラが少なすぎる。
だから宇宙をまたに駆けるという壮大な話なのに非常に小さい世界で展開されているという印象を受けてしまう。
ジェット・リーが倒す相手も、警察官だけというのも少しバリエーションに欠ける。
警察官はみんな制服なので個性がないのだ。
個性のない相手を倒しても、迫力がない。

結局「顔」があるのはジェット・リーのみ。
それも前述のとおり、CGであることが前提なので、手に汗握る、という興奮は呼ばない。
ジェット・リーの良さやマーシャルアーツとは何ぞや、という根本を理解していないで作ってしまった感がある。

特典映像ではすごいことを言っているが、オリジナリティを感じる点は少ない。
もうすこし丁寧に世界観を描いてもよかったのに、残念。
ジェット・リーのコスプレだけでは、ちょっとものたりない。

(2003/6/9執筆)

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