わたしは校長在任期間に、中学生の部活動の試合・大会・コンクール・発表会・展示会などに時間が許す限り、応援こため足を運びました。
部活と聞けば、世間一般の人は真っ先に運動部の活動を頭の中に描くのではないでしょうか。
でも、中学生で部活をしている生徒は、運動部だけでなく、文化部に入っている生徒もいるのです。
また、運動部は体力がいるが、文化部は芸術の才能が必要と考える人はけっして少なくはないでしょう。
しかし、わたしは吹奏楽部や演劇部の生徒の活動を見るに及んで、コンクールや劇場での演奏・演技などは想像以上に「体力勝負」のところがあります。
部員一人ひとりが厳しい練習に汗を流し、努力に努力を重ねて、本番に臨んでいるのです。
音楽、マーチングや演劇の部員が、運動部員と遜色がないほどの「全身を使った動き」をしていることは、実際に会場で見てはじめてわかることです。
しかし、日本ではプロの活動でも、メディアの報道はスポーツが中心です。TV中継もスポーツの方が多いのです。また、スポーツの大会に協賛する企業数は、芸術や文化活動のそれよりもはるかに多いのです。
しかし、むかしから言われるように「文武両道」は大切です。どちらかに偏ってはいけないという教えは真理をついているのではないでしょうか。
ましてや、スポーツに偏重し、そのうえお金をつぎ込み、国のメンツをかけて強行したオリンピックは、このコロナ渦のなかでも「特別扱い」だったと感じています。
そのような社会は、芸術や文化を軽んじるだけでなく、学問・学術的研究までも軽視するのでないかと危惧します。
音楽や演劇のイベント舞台イベント、展覧会などは、中止や延期、オンライン配信にかわるなど、大きな影響を受けてきました。
ワクチンの開発がなかなか進まない日本を考え、ますますその危惧を抱きます。