テレビの最大の弱点は、自分の好きなときに、好きなものを見ることができないという点にあります。
ところがYouTubeをはじめとする動画投稿サイトは、いつでも見たいときに、見たいものをみることができるという強みをもっています。
それを見る人は今までは若い世代が多く、若者のテレビ離れが言われていました。
そこへコロナ禍が押し寄せたのでした。
年配の人は、行きたいところへ行くことができなくなり、「おうち時間」が増えました。ためしに動画を見るうちに、テレビにはない面白さを知ったのでした。
その結果、いまは若い世代だけでなく、高齢者世代にもテレビ離れが進んでいるのです。
こういった事情が昨今のテレビ離れを生んでいます。
また、中学校教育に関係する者として思うのは、中学生のテレビ離れは世間が思う以上に進行しています。
20年以上前に、わたしは中学生のテレビの視聴時間の長さが、家庭での学習習慣の形成に大きく影響することを、自校の調査結果をもとに、保護者への啓発を行ったことがあります。
しかし、それも今は隔世の感をもちます。
これだけ中学生にスマホ所持が定着した今、彼らがテレビに戻ることはないと確信します。
今さら、中学生が居間やリビングで家族といっしょにテレビを見るなんてことはないと考えます。
少し前に地デジにテレビ放送が変わったとき、テレビをみんなが買い替えました。
そして、今はそのテレビはネットフリックスのような定額制動画配信サービスで動画を見るツールに移行しつつあるのです。
好きなときに好きなものを見ることのニーズは、若い世代だけでなく、高齢者世代もやはり同じなのです。
いまや60歳代、70歳代の約3割がPCも持ち、さらにスマホを持つ人はもっと多い時代です。
テレビ放送の復権はかなり難しいと言わざるをえません。
よほど番組の質を向上させるとか、多くの世代をひきつける内容でないと視聴者は戻ってこないでしょう。
それにしても、この50年の間に、今まで当たり前とか「常識」だったことが大きく変わってしまいました。
テレビ放送の衰退だけでなく、気候変動や温暖化、感染症、自然災害など、わたしは半世紀の間に大きな変化に遭遇するようになりました。
今の中学生世代が成人して、社会人として社会に出るときなは、どんな変化が起こっているのだろう。
少子高齢化も進行するし、それ以外にも予想できない環境変化が起こるかもしれません。
その変化の大きい時代を、どう生きていくことになるのだろうと心配になります。
希望をもって未来を切り拓く人であってほしい。
学校教育の今の最大の課題は、ここにあります。