私は、もと英語科の教員でした。
だから、ふだんの生活で英語を使うことに抵抗感はありません。
日本人は日本語の中に、英語や外来語を使うのがとかく好きです。
今回の新型コロナウイルス感染症の流行に関しても、日常会話に英語が飛び交っています。
ロックダウン、クラスター、パンデミックなどよく使われます。
同様に、すっかり私たちの生活に定着してしまった「ソーシャル・ディスタンス」ですが、海外で英語を日常語とする人たちは、この言葉を言わないようです。
感染症予防で、人と人が間隔をあけるのは、social distancing(ソーシャル・ディスタンシング)と言っているようです。
また、物理的に、感染予防のため、人と人が身体的距離をあけるという意味で、ソーシャル・ディスタンシングのかわりに、フィジカル・ディスタンシング(physical distancing)という言葉を公式に使う動きが英語圏ではあります。
そもそも「ソーシャル・ディスタンス」(social distance)は、感染症関連の用語ではなく、社会学でいう人間の心理的な距離(感)という概念を表します。
こうなると、私としては、正しく英語を使ってほしいという気持ちになります。
でも、いまや公共の店や電車内、駅構内には「ソーシャルディスタンス」という言葉が溢れています。
このようにして、和製英語が日本語の中に定着していくのでしょうが、私にはどうも違和感があります。
だって、英語を母国語として使う人が、日本人が公式な場で、social distanceを使うのを聞いたらどう思うでしょうか。
また、そもそもどんな言語でも、言葉は正しく使うべきだからです。
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