箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

泣く子は育つ

2021年01月27日 08時41分00秒 | 教育・子育てあれこれ
最近の幼い子どもについて思うことがあります。

それは電車などの公共交通機関に乗っていて、泣く子が少なくなったということです。

何10年か前なら、電車の中で大きな声で泣いている子はたくさんいました。

車内が駄々をこねたりして「ワーワー」と泣く子で賑やかだったのを思い出します。

いっしょに乗っている親は、叱りつけたり、機嫌をとったり、赤ちゃんならあやしたりしていました。

それでも、泣きやまない子もいました。

周りの乗客も寛容で、「ああ、泣いてるな」という受け取り方でした。

でも、いまはほとんど泣いている子を見ることはありません。


ほとんどの子が「いい子ちゃん」になり、おとなしく座っています。

そんな状況の中で、もし大声で泣き、泣きやまないようなら、親は周りの目を気にします。

ここ数10年で、公共の乗り物では「人に迷惑をかけない」というルールが浸透したようです。

そして、子どもが泣くのをうるさがる習慣ができてきたとも思えます。

だから、もし電車の中で、わが子が泣くようなものなら、親はなんとか泣きやませようとします。

そのため気がせいて、オロオロしながら、抱っこしてあやしたりします。

あれこれしても泣きやまない、自分はダメな親だと周りから責められているような視線を感じる。

なす術なく、やっと車外に出てホッとしたかと思えば、今度はいつまでも泣きやまないわが子に苛立ち、怒りが湧いてくる。

いまの児童虐待は、このようなきっかけで起こるのではないかとも思います。

昭和の時代には、人びとは他者に対してもっと寛容で、許容範囲が広かったように思うのは私だけでしょうか。


さて、教育的にみて、子どもが泣くことは、大切な感情表現です。

たとえば、親と散歩していた子が,けつまずき地面にこけました。

大泣きをします。

これは安心が脅かされたときの子どもの感情表現です。

大泣きをして、スッキリするという成長上の効果があります。

だから、大人は「ああ、痛かったな、痛かったな〜、よし、よし・・・」とあやすのです。

こんな時に、「こけたくらいで、泣くのはやめなさい」などと言えば、子どもはスッキリできないままです。

泣く子は弱いのではありません。泣きたいときに泣ける子がたくましく、強くなるのです。

「泣く子は育つ」。昔の人は核心をつく言葉を残していると,つくづく思います。








2 コメント

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Unknown (makako12521726)
2021-01-28 00:19:38
中学3年生の大きな体をした息子は、未だに自分の感情を上手くコントロール出来ない時などに、良く泣きます。
頻繁ではありませんが。本人曰く『スッキリする』そうです😄
私自身はあまり泣かない子供だったので
不思議ですが、翌日には本当に表情もスッキリしてるので、こういう子なんだろうなと思ってきました。

でも、まさか、中3まで続くとは😓
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Unknown (Unknown)
2021-01-28 11:36:04
いつも読んでいただき、ありがとうございます。また、コメントをくださり、ありがとうございます。
人間関係が複雑になっている今日、本人がスッキリすることが大切なのではないでしょうか。
中学生といって個人差はあります。
わたしの教え子で40歳をすぎている人たちは、中学生のときの個人差を感じさせないほど、みんな大人になっています。
中学生と言えども、まだ成長途上だと思います。
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