去年12月に、「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~」が、政府によって策定されました。
今後5年間で進める女性参画のための政策をまとめ、数値目標も示しました。
平成15年(2003年)に、2020年までにさまざまな分野で、指導的地位に女性が占める割合が30%程度になるよう期待するという目標は達成できませんでした。
これは2020年代のうちの可能な限り早期に実現を目指すと先送りされました。
さまざまな分野のなかでも、政治分野では国会議員、衆議院議員のうち女性は1割未満です。国際的に見ても大きく遅れています。
日本の有権者の52%が女性であるという現状で、女性の国会議員は少なすぎます。
まずは、政党で候補者の一定割合を女性に割り当てる仕組みづくりが必要になるでしょう
一方、企業の管理職は、少しずつですが女性の割合が増えてきました。
男女が共同で参画する社会を実現するためには、女性の正規雇用を増やし、出産で地位や経験が途切れないようにすることが必要です。
社会の意識改革も必要になります。男性は外で働き、女性は家を守るという固定的な考えはいまだ根強く、とくに地方へ行くほど濃くあらわれ、女性が働きにくい環境を生んでいます。
真に男女が共同参画する社会の実現のためには、学校教育で意識を高めていく必要があります。
学校では、男女共生教育(「男女平等教育」)の実践をいままで以上に推進すべきです。
性別による男女の固定的な役割意識(ジェンダー)を克服する取り組みがさまざまな学校で行われています。
男女別名簿を男女混合名簿にする、ランドセルの色からジェンダーフリーを考える、女性就労のM字カーブについて学習する、デートDVについて学習するなど小学校、中学校、高校等で行われています。
また、性の多様性について学ぶLGBTQの学習も最近ではよく実践されています。
実際、私の教職経験の中でも、最初は名簿を男女別に分け、最初に男子、あとに女子という名簿を使っていました。でもそれもしばらくすると、男女混合の五十音順の名簿を使い、卒業証書の番号もその順に台帳をつくるようになりました。
使う中で、何の不便も不都合も違和感も感じないのが私や他の教職員の実感でした。
今では、当たり前に男女混合名簿を使っています。
男女共同参画は、わが国の長年の家父長制が続く中で、けっこう実現が難しい面があります。
しかし、いま学校では、「男子だから」「女子だから」ということで活動に軽重をつけたり、区別したりはしていません。「男子だから4年生大学進学、女子だから短大進学でいい」というのもはるか昔の進路指導です。
このような環境で育っていく生徒たちは、就労するとなったとき、社会の男女の壁に直面するのです。
私はいつも考えることがあります。
固定的な考えや習慣・慣行は放置しておくと継続するままですが、
制度・法令を変えると、行動が変わる→行動が変わると習慣・慣行が変わり、そのうえ人びとの意識も変わる。
男女共同参画社会も、このプロセスをふんで実現できるのだと思います。時間はかかるでしょうが。
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