「政策」とは。政府が政治を行う方針や方策のことです。また、その政策の具体的な実施は「施策(しさく)」といいます。
この間の新型コロナウイルに対応する政策は、大きな予算をつけて展開されたことはありがたいことです。
ただし、今回の政策は対象とする人の範囲がことごとくズレていたというのが、多くの人びとがもった印象ではないでしょうか。
まず、学校の休校により、わが子の世話のため働けず、収入が減った自由業の人に補償の制度を新設しました。
この対象に風俗業の人たちが、最初は対象外とされ、批判を受け撤回されました。
アルバイトができなくなり、経済的に困窮する大学生への現金給付は、対象人数枠を決めて発表されました。
人数枠でなく、困窮度合いによる給付にするべきだったと考えます。
なぜなら、その枠は国内の全大学生の1割ちょっとにしかなりません。
さらに、国内の外国人留学生には、成績上位者のみという制限を設け、さらには朝鮮大学校は対象外としました。
災害時や緊急時こそ、ふだん様々な面で不利益を被りやすい人びと、いわゆるマイノリティのことがどれだけ念頭にあるか、何を大切にするかが、透けて見えやすいのです。
また、「アベノマスク」は、話すとき「小さくてもズレないですよ」とご本人は言われていましたが、これも庶民がほしいマスクニーズとはズレていました。
また、学校再開の分散登校にあたっては、小1、小6と中3を優先させるという国からの要望も、現場の学校の感覚とはズレていました。
学力面での本人や保護者の不安を受ければ、とくに中3は高校受験があるので、優先するというのはわからなくもないです。
しかし、中3生は2年間中学生活を送ってきたという経験があります。
中学生が中学生たるゆえんは、「自分から学習する」という習慣です。3年生は家庭でも、ある程度学習します。
「みなさんは、もう3年生だから、その自覚で家庭学習にがんばってください」という大臣からのメッセージを出してくれればよかった。
そして、学校再開の最初だけは、少なくとも、まだ入学式もしていないのに、まわりから中学生と呼ばれる「中学生になれない中学1年生」を優先登校させ、中学生としての意識と自覚を高めるべきでした。
そして、次に中3を優先登校させ、学習サポートを図ればよかった。
このように、新型コロナウイルスに対応する政府の政策は、ズレが目立ちました。
校長や教職員は、学校の教育を進めるにあたっては、「子どもにとってどうなのか」を一番に考えるものです。
政治家が政策を進めるときには、「答えはいつも現場にある」という鉄則を忘れないで耳を傾けてほしい、とあらためて私は感じました。
そして、まず、感謝することも忘れないようにしたいです。
「与えて恩を願わず。受けて恩を忘れず」は、大隈重信の言葉です。恩を受けたら、感謝を忘れてはならないのだと思います。