教師はアンテナをもたないとつとまりません。
そのアンテナとは、子どもの心をキャッチするセンサーのようなものです。
生徒の外見的な様子から、「なにかいつもと違う。学校生活や家庭生活で、何かあったのではないか」と気になるセンサーです。
「Aはいつもと様子がちがう。落ち着きがない。なにか心配事でもあるのでないか」
こう思った教師が、その子にアプローチして話してみると、お母さんが病気で入院して不安な気持ちであることを打ち明けてくれるといったケースが実際にありました。
教師の中には、子どもの心の状態を直感的につかむことのできる人はいます。でもそんな人は、ごく一部の教師です。
多くの教師は、日々の教育実践からの経験をもとに、子どもの置かれている状況をキャッチして、その子に必要なサポートや指導をしていくのです。
学校、とくに中学生の場合、十分な信頼関係が築かれていないままに、教師が子どもの心の深い部分にいきなり立ち入るのは、難しいものです。
思春期を迎えた中学生が相手なら、なおさらです。
教師が熱くなり、「さあ、悩みを話してごらん」と促したところで、「ハァ? ウザー!」と言われるのがオチです。
実際、経験年数の少ない教師の場合、無自覚に、土足で生徒の心に足を踏み入れ、生徒との人間関係がまずくなってしまうこともあります。
そこで、どの教師にも実行できるのは、まずは、その子が好きなことや得意なことを聴くことです。
若い教師はまずこれを実行するように伝えています。
どの子にも、それぞれ好きなことや得意なことがあります。それほど突出した才能や知識・技能でなくても、本人がとにかく好きなことや得意なことに耳を傾けることです。
これは、とくに特別な訓練やスキルがなくても、できることです。
そして、生徒が話す内容を、大人の尺度で否定したり、価値判断をせず、いったんは受け入れます。
たとえば、電車・鉄道、クルマ、ロボット、アニメのキャラクター、アイドルオタク、ネット動画、You Tuber、スポーツ、ネイル、ツイッター、スイーツ・・・。
これらは、大人にとっては、とるにたらないものと思うかもしれません。それを長い時間じっと聞くのは、しんどいかもしれません。
それで、相手をこバカにしたように笑うのなら最初から聞かないほうがマシです。
でも、子どもは、自分が語ることを聴いてくれ、共感してくれるおとなに対してはよく話し、またその大人の話もよく聞こうとするのです。
そこから、おとなは子どもとつながることができます。子どもの心の琴線にふれる働きかけができます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます