箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

9月入学は熟慮するべき

2020年06月21日 07時23分00秒 | 教育・子育てあれこれ

新型コロナウイルス感染拡大のための臨時休業で、できなかった授業の時間をとり戻そうと9月入学を導入しようという案が政府から突然出されました。


検討チームは1か月ぐらいの検討で首相に導入の見送りを提言しました。そして9月入学案今年度からでなく、中長期的な課題として検討することになりました。


そもそも政治主導で出される提案(発案といってもいいし、「思いつき」と言ってもいい)は、今回の学校の臨時休校についても同様で、「国がきめたからこうなります」というように国民への影響力が強現場が混乱するという危うさをもつことが多くあります。


今回のコロナウイルスに対しては、今まで経験したことのない対応で、学校現場がアタフタとしながら、多忙をきわめているときでした、


そのときに、突然9月入学・始業の制度を導入しようとするのは、学校関係者にさらなる過度の負担と混乱を強いることになるのは、容易に想像できることでした。

 

ある評論家が、「教育のグローバル化のためには、コロナ禍の今だからこそ、9月入学を導入するのです」という意味の発言をしていましたが、とんでもない話です。

 

教育のグローバル化のために9月入学を行うのであれば、義務教育ではなく、高等教育で入学・卒業の時期の多様化をはかっていけばいいのでないかと、私は考えます。

 

それよりも、義務教育では感染予防のための「三密回避」を考えたとき、1クラスの児童生徒数が多すぎることがいちばん大きな問題です。


また、オンライン学習や家庭学習の必要性が今回、クローズアップされました。


その点でも、子どもの学習状況をていねいに把握して、個別の学習ニーズに応えるためにも1クラスあたりの児童生徒数を減らすべきです。

OECD諸国の中でも、日本の学校のクラスの人数は国際基準に照らしても、多すぎます。

 

その検討と同時並行で、9月入学を展望していくべきです。


そもそも、9月入学案は、臨教審(臨時教育審議会)で今までに何度も検討されてきたのですが、企業の採用時期、人事面など、ほかの社会システムとの調整が必要と考えられていました。


拙速に小学校から高校までを一気に9月入学に移行させる案は、乱暴すぎます。

 

それを受ける学校関係者の戸惑いを考慮せず、トップダウンで物事を進めるのでなく、熟慮することで、新しい制度は導入すべきです。



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