第二次世界大戦の敗戦時、日本国内は焼け野原が広がり、その後日本はめざまし復興を遂げた。
一般的にはそう考えられています。
便利で平和な社会を実現したように見えます。
しかし、学校教育を見てみると、学びの機会はすべての人びとに開かれていたかというと、そうではなかったという事実に突き当たります。
2020年の国勢調査では、義務教育を修了していない人が約90万人いることがわかりました。
その人たちの年齢は10代から90代に広がっています。
夜間中学は、その人たちの再学習を保障する場になっています。
たとえば、大阪府の場合、現在夜間学級は11あります。
全国では、15都道府県に40校あります。
もとは、戦後の混乱や貧困により義務教育を受けられない子を受け入れたのが夜間中学の始まりです。
その後、厳しい差別がもとで学ぶ機会に恵まれなかった大人や在日韓国・朝鮮人が通うようになりました。
1980年代になると、不登校で学校に通えなかった人や外国にルーツをもつ人の日本語学習の機関としての役割を果たしてきました。
それらの中には「非識字」(文字が読めない、書けない)の人もいます。
それらの人びとの中には、駅で切符が買えない、銀行で口座が作れなくてつらい思いをした人たちもいます。
夜間中学で学び、読み書きを覚えた人がその実感を次のように語ってくれたことがあります。
「よみかき」で字をならうと、字が体の中に入ってくるんですわ。
今の時代、字が読めて、書けるのは当たり前と考える人が多いと思います。
しかし、実際はそうではないのです。
そもそも救育を受ける権利をすべての人びとが有していることは、基本的人権の一つです。
人は学ぶことで自己を確立します。自由に意見を表明できるのです。
学ぶ機会を十分にもてなかった人たちに学ぶ機会を保障する。
それが夜間中学なのです。
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