私が校長を務めていた学校には、部活動の「演劇部」がありました。市内の8中学校の中では唯一の演劇部でした。
活動は、「あいうええおあお、かきくけけこかこ・・・」の発声練習をやり、台本は基本的に生徒たちの創作でした。
毎年、1学期は夏の原爆投下、終戦記念日に照準を合わせ、平和をテーマにした演劇を練習して上演していました。
また、友だちや学習、受験をテーマにした演劇にも挑戦していました。
大きな大会が、府内の演劇部のある中学校が出演して、上演する大阪府の演劇祭で、春と秋の年間2回がありました。
今の時代、演劇を志す子もいます。演劇という文化は大切だと、深く思います。
さて、国内の演劇や舞台芸術は今回の新型コロナウイルスの流行とともに、上演ができない日々が続きました。
その間の工夫として、インターネットを使った作品上映が行われてきています。
ただ、それは感染対策としての方法であり、演劇や舞台芸術の形そのものが変わっていくことではないと思います。
もちろん、新しい演出や新しい手段は出てきて当然でしょうが、芸術としての本質は変わらないのではないでしょうか。
というのは、劇場では、出演者とお客さんが同じ時間と空間を共有できるのが最大の魅力です。
そのことは、関係者はもとより、多くの人がわかっていることです。
ただ、だからといって、劇場を再開しても、お客さんにしては行きにくい状況はあるのかもしれません。
そんなときに、それを補完するのがインターネットではないかという考え方もあるのかと思います。
本来、舞台芸術というものは、役者さんは練習段階から「密」となります。そして上演すると、観客の反応が直で伝わってくる。
つまり、「密」こそが舞台芸術の本質であり、魅力なのだと思います。
その本質や魅力を引き継ぎ、大事にしながら、今後は動画の配信もあらたな鑑賞の方法として定着していくのではないか。
あらたな客層の開拓にもなるのでないかと、想いを巡らせます。
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