新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人に公的な証明書(ワクチンパスポート)を発行し、様々な規制を免除しようとする動きが世界的に広がっています。感染を抑えながら経済を回すためです。
しかし、いまでさえ同調圧力が強い日本で、誰が接種済みで誰が未接種なのかを「見える化」すると、人びとを分断する危惧があります。
①周囲から「なぜ接種を受けないのか」と問われる(責められる)。尋ねる側に悪意はないこともあるが、持病があり接種を受けられない、病気のことを周囲に知られたくない人もおり、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。
言う側が「差別する意図はなかったが、結果として傷ついたのならお詫びをする」というのが常套文句ですが、悪意があろうとなかろうと、言われる側が嫌がり、傷ついているのは差別につながります。
②企業では接種を従業員に強要する、接種しないからと解雇に動く心配があります。
実際に大学や専門学校では、接種を受けないと「実習や技術実習を受けさせない」、「対面授業に出席させない」と言われた学生がいます。
人には自己決定権があるのです。
③職場で未接種であることを周囲に広められた例があります。またすべての職員の接種の有無を一覧表にして掲示した医療機関もすでにあったと聞きます。
中小企業へは、取引先の大手企業から「非接種の社員が誰かを知りたい」という照会がありました。
ここまでくると、接種していない者は偏見や差別の対象となります。接種の有無といった個人の情報は慎重に扱われるべきです。
「海外ではもう導入していますから」と、既成事実をあげ、導入を正当化するならば、それも間違っています。
日本では、新型コロナウイルスは誰でも感染するのに、日本では感染者が差別される事案が多発したからです。
その日本という国で、ワクチンパスポートの導入を拙速に進めると、またあらたに傷つき、苦しむ人が出ます。
ワクチンを打ったら感染しない、感染させないとして、感染予防としてワクチン接種を証明する合理性があるのか。
ワクチンを打つという医療行為を、経済を回すための手段に利用することが適切なことなのか。
どんな弊害が生じるかを慎重に検討して、パスポートの導入を検討すべきだと思います。
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