昨日(11/13)の唄う会の課題曲は、「クロパン・クロポン」(日本語版)でした。
「クロパン・クロポン」って、黒パン・黒ポン?
「クロパン、クロポン Clopin-clopant」というオノマトペ(擬音語)風の不思議な題名の曲は、1947年にピエール・デュダンPierre Dudanが作詞し、ブリューノ・コカトリックスBruno Coquatrixが作曲しました。
Clopin-clopantとは、足を引きずって歩くことを表す言葉で、歳をとって敗残の人生を歩む姿を表した歌詞だと言われています。でも、グレコの歌う歌詞では、恋人が去って手紙が10ヶ月も来ないという部分があるので、私は失恋の歌じゃないかとも思いましたが、この部分を回想内容と捉えると、その後長い長い年月を過去を引きずり足をひきずって変化のない日々をひとり孤独に生きてきたということにもなります。鏡に映った自分は、もう子どもじゃないし、恋人と別れた頃の若い自分でもなく、容色が衰え年老いている。でも心はずっと子どものままだし、恋人と別れた時から何年経とうが自分のなかでは時間は止まってしまっている。各行の末尾の「...」が意味深です。
Clopin-clopant クロパン、クロパン
Juliette Gréco ジュリエット・グレコ クリック
Je suis né avec des yeux d´ange
Et des fossettes au creux des joues
J´ai perdu mes joues et mes langes
Et j´ai cassé tous mes joujoux
Je m´suis regardé dans une glace
Et j´ai vu que j´avais rêvé
Je m´suis dit: faudra bien qu´ j´m´y fasse...
Tout finira par arriver...
わたしは天使の目と
頬のえくぼを持って生まれた
わたしは頬のふくらみと産着を失った
そしてわたしのおもちゃをみんな壊した
鏡に自分を映して見た
そして自分が夢を見ていたことに気づいた
自分に言い聞かせた:今の自分に慣れなきゃね…
すべて、そうなるしかないのだから…
{Refrain :}
Et je m´en vais clopin-clopant
Dans le soleil et dans le vent
De temps en temps le cœur chancelle...
Y´a des souv´nirs qui s´amoncellent...
Et je m´en vais clopin-clopant...
En promenant mon cœur d´enfant...
Comme s´envole une hirondelle...
La vie s´enfuit à tire-d´aile...
Et ça fait mal aux cœurs d´enfants
Qui s´en vont seuls, clopin-clopant...
そしてわたしは足を引きずって歩く
太陽のもとそして風のなか
ときおり心は揺らぎ…
積もった想い出が浮かび上がる…
そしてわたしは足をひきずり…
子どものままの心を連れ歩く…
ツバメが飛んで行くように…
人生はあっという間に過ぎ去る…
そしてそれは、ひとり足を引きずって歩く
子どものままの心には辛いこと…
Tout l´amour que l´on a vu naître...
Tes lèvres douces, parfum de miel...
Nos deux fronts contre la fenêtre...
Nos regards perdus dans le ciel...
Le train noir hurlant dans la gare...
Le monstrueux désert des rues...
Tes mots d´adieu, tes mots bizarres...
Depuis dix mois, tu n´écris plus...
私たちの心に芽生えた恋のすべて…
あなたの甘い唇、蜜の香り…
私たちのふたつの額は車窓に貼りつき…
私たちの視線は宙に迷う…
黒い列車は駅でうなっていた…
街々の恐ろしいほどの人気なさ…
あなたのさよならの言葉、あなたの意外な言葉…
10ヶ月ものあいだ、あなたからの手紙が来ない…
(朝倉ノ二一の〈歌物語〉より)
今回の課題曲は、まだまだシャンソン初心者の私にとっては、かなりの難曲でした。
できたら、もっとポピュラーな易しい曲をお願いしたいんですが…
(追記)=ミニ知識
改めて「オノマトペ」について説明したいと思います。
「オノマトペ」という言葉は、耳慣れない単語と感じる人もいるかもしれないが、実はこれ「ニコニコ笑う」「雨がパラパラ降る」など、私たちが日頃から何気なく使っている擬音語や擬声語、擬態語を総称したものです。
世界から見ても、特に日本語はオノマトペの数が多い言語と言われていて、円滑なコミュニケーションを取る上で大きな助けとなっています。
オノマトペは、物事の状態を表す擬態語(ふっくら、すべすべなど)、音を言葉で表した擬音語(ガチャン、ドカンなど)、人や動物の発する声を表した擬声語(ワンワン、ブーブー)の3つの種類に分けられます。それに、形容詞としてだけでなく、時には名詞や動詞としても使われることがあります。元々の語源は、古代ギリシア語の「onoma(名前)」と「poiein(作る)」が融合してできた「onomatopoiia(オノマトポイーア)」に由来し、英語では「onomatopoeia(オノマトペア)」、フランス語では「onomatopēe(オノマトペ)」となり、日本では「オノマトペ」と言われることが多いのです。
(インターネット調べ)