吼える犬

昨夜、夢を見た。
昔、医学部の研究室にいた頃だ。
それも、一番最初に入った研究室だ。

研究で使った足の不自由な大きな犬たちが目をひん剥いて吼えている部屋にいた。
怖かった。


その夢に出た頃の僕は犬の骨膜を剥がして、前十字靭帯の代用としてどこまで使えるかという研究をその当時の同年代の若手医師と二人でしていた。そのために大型犬の脚でその実験を繰り返してた。

実験棟のオペ室の1フロア上にはそういう動物ばかりが入っている部屋がいくつかあり、実験後の犬たちも檻に入っていた。学校の教室を広くしたくらいの部屋にいっぱいの檻があり、どの犬も僕が入っていくと歯を剥き出して唸った。
多分捨てられ、保健所から引き取られ、ここでまた実験動物となり痛みや恐怖心で吼えるのだろう。

術後の状態などを見なければならず、定期的にそこに足を運んだが、行く度にその吼える声に僕は怯えた。犬を一人で檻から出すことが怖くなり、管理の人に手伝ってもらった。
犬好きだった僕が、大型犬がどこか怖くなったのは、この頃の思い出からかもしれない。


昨夜は痛み止めのおかげで、足を動かさなければ痛みはなかった。
おかげで久々に眠れたけれど、左足を動かせずに眠った。
この姿勢のおかげで、そんな夢を見たのかもしれない。

遅ればせながら犬に申し訳ないと、犬の気持ちになって思った。

R-D1 + Summarit 5cm F1.5
手持ちの写真のストックがなくなったので、一昨年の紫陽花。
今年もそろそろ紫陽花の季節になってきた。