ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

「みるみると見てみる?」レポート第3弾です!(2017、1、14開催)

2017-01-31 23:13:23 | 対話型鑑賞
1月14日(土)島根県立石見美術館 展示室A あなたはどう見る?関連イベント「みるみると見てみる?」
作品名:「緑の静物」1955年 山崎修二 130×80㎝
鑑賞者:13名(内みるみるメンバー6名)
ナビゲーター:金谷直美


<はじめに>
〇この作品を選んだ理由
・鮮やかな色使いが印象的な、何だか気になる作品。
・130×80㎝の作品で、10名前後でもみやすいのではないか。
・作品をよくみて描かれていることを話しあいながら考える楽しさのある作品だと思った。
〇ナビをするにあたって
・鑑賞者の方の思いをしっかり聴くことができるように、必要に応じて質問をする。
・なるべく短い言葉で、鑑賞者の方の意見などを伝え返す。

<鑑賞会より>
・作品の左下にある器の下に、雑誌らしきものが敷かれているのは、なぜだろうか?
・敷物の柄など作品の地となる部分には、縦じまやひし形の格子模様が描かれ、その上に丸い器などが置かれている。直線と曲線の組み合わせがこの作品の魅力になっている。
・左下の丸い器の下に雑誌が敷かれていることで、〇と□のバランスをとっているのではないか。
・左下の丸い器のガラスの透明感を出すために、下に白い物(雑誌)を置いたのではないか。中央右側にある、ガラス製のコンポートとの対比も意識されているのではないか。
・作品の上部には縦じま模様でみる人の視線を下へ促し、中心部分は様々な大きさや形のもので混沌としていて、最下部は小さな丸い形のものが5つ横に並べられ、視線が下に流れるのを止めている。見る人の視線の動きを意識した構図ではないだろうか。
・物の配置や配色などから、作者は実験的な作品として描いたのでは。
・この作品の(遠近法の)消失点は、作品よりもずい分上方にある。
・置かれているものをそれぞれ見ると、みる視点(目の高さ)がそれぞれちがう。セザンヌのように、様々な視点からみたものを一つの作品に構成しているのではないか。

<鑑賞会のナビをふりかえって>
・鑑賞者の発言の中の一番大切な所を、とらえられるように心がけた。話の要点を端的にまとめて、伝え返すことも数回できた。
・色彩や構図の話が何度も出てきたが、深めたり、作者の思いなどにつなげたりすることができなかった。

<みるみるの会メンバーから>
・空回り気味なところがあった。作品に迫る雰囲気をつくり、意見をもっと丁寧にひろっていくことができるのでは。
・自分本位なナビ(me!me!me!) に、なっていたのではないか?もっと、「鑑賞者」の意見を聴くこと。
・すぐ隣に、展示してあった風景画「山懐の早春」(山崎修二)と組み合わせて鑑賞をすれば、もっと色彩や構図の面などでも、よりリッチな時間になったのではないか。2作品をみようか、というタイミングもあったが、時間的に遅すぎた。
・作品保護の面からも、ポインティング(作品への指さし)は、ナビが行う。
・ナビの小まとめが弱かった。小まとめをすることで、作品全体として、共通してみえてきたことは何かがわかる。
・ナビとして、用語の整理をすることも必要。聴き返す中で整理をして、話の焦点を探る。
・作品に描かれている、目にみえるものだけではなく、みえていない作者の思いにもつなげていくようなナビをする。鑑賞者の言葉の中に、作者の思いに至るきっかけとなるものがあったのに、つなげられず残念。

<おわりに>
 みえるものだけでなく、作品の奥にある「思い」につなげられるナビを目指したい。そのためにも自分本位にならず、鑑賞者の方々の話をしっかりと「聴く」ことをより意識したいです。
参加してくださったみなさま、ありがとうございました。 


次回の「みるみると見てみる?」は2月11日14:00~です。石見美術館で皆さまのお越しをお待ちしています!
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