実家近くに急用ができて
実家に2連泊した
父がなくなって15年
実家には兄夫婦と姪が住む
着くなり兄は
「蔵になあ、こんなものがあった」と
玉手箱のような大きさの
ホコリまみれの化粧箱を持ってきた
「何?」
「開けてみ」
ホコリまみれの箱を開けるのを
躊躇っているとこれで拭えと
タオルを持ってきた
その中には旧姓の私の名の日記が数冊
半世紀も前の誕生日に
私は着の身着のままで家を出た
父は私の机の中の日記類を
箱に納め蔵に保存していたのだ
それを半世紀経って兄が見つけ
私に渡した
「読んだか?」と兄
過去の何が書いてあるのか?
少女の頃の私の心に出逢うのは躊躇う
「読めない帰って読む」
そして出逢ったのがもう一つの日記
7年前に歳の離れた姉が亡くなり
義兄がこの年明けに去った
近年葬儀は家族葬が普通になり
コロナ禍でますます縮小されて
義兄の死後初めて焼香に訪ねた
「これ見たげて」と姪がテーブルに
置いたのは数冊の義兄の日記
横書きでびっしりと書かれた農事
義兄の日々の農作業や行動を書き
感情や心情はほぼ書かれていない
旧仮名遣いである
走り書きでもなぐり書きでもない
連綿と何冊も続き最後の日々に
文字の乱れが少しあった
日記とは斯くあるべし
いつ誰が読んでもよくわかる
それに比べ私の日記は
自分自身が読んでも
なぜその心情になったのかも
後になってはわからない
要するに日々の行動そのものに
ルーティーンがない
思いつき行動で
順序がないのだ
きっと半世紀前から
同じパターンだろう
実家に2連泊した
父がなくなって15年
実家には兄夫婦と姪が住む
着くなり兄は
「蔵になあ、こんなものがあった」と
玉手箱のような大きさの
ホコリまみれの化粧箱を持ってきた
「何?」
「開けてみ」
ホコリまみれの箱を開けるのを
躊躇っているとこれで拭えと
タオルを持ってきた
その中には旧姓の私の名の日記が数冊
半世紀も前の誕生日に
私は着の身着のままで家を出た
父は私の机の中の日記類を
箱に納め蔵に保存していたのだ
それを半世紀経って兄が見つけ
私に渡した
「読んだか?」と兄
過去の何が書いてあるのか?
少女の頃の私の心に出逢うのは躊躇う
「読めない帰って読む」
そして出逢ったのがもう一つの日記
7年前に歳の離れた姉が亡くなり
義兄がこの年明けに去った
近年葬儀は家族葬が普通になり
コロナ禍でますます縮小されて
義兄の死後初めて焼香に訪ねた
「これ見たげて」と姪がテーブルに
置いたのは数冊の義兄の日記
横書きでびっしりと書かれた農事
義兄の日々の農作業や行動を書き
感情や心情はほぼ書かれていない
旧仮名遣いである
走り書きでもなぐり書きでもない
連綿と何冊も続き最後の日々に
文字の乱れが少しあった
日記とは斯くあるべし
いつ誰が読んでもよくわかる
それに比べ私の日記は
自分自身が読んでも
なぜその心情になったのかも
後になってはわからない
要するに日々の行動そのものに
ルーティーンがない
思いつき行動で
順序がないのだ
きっと半世紀前から
同じパターンだろう