平家物語・義経伝説の史跡を巡る
清盛や義経、義仲が歩いた道を辿っています
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木津川市高倉神社・以仁王の墓・筒井浄妙の塚
京都府
/
2008-08-30
JR玉水駅から線路沿いに南へ20分ほど進むと、
高倉宮以仁王(もちひとおう)を祀る高倉神社があります。
かつては春日神社といい、明治18年(1885)に現在の社名に改められました。
治承4年(1180)平家打倒の兵を挙げた後白河天皇の第2皇子以仁王(高倉宮)は、
宇治川合戦に敗れ、南都に逃れる途中、流れ矢にあたって戦死し、
近くにあったこの社に葬られました。
社の南の水田の中には、宇治橋で奮戦した三井寺の僧兵浄妙坊の塚もあります。
以仁王の謀反の動きは、早々に平家に知られ、宮は高倉宮の御所を抜けて
三井寺に逃げ込みました。そこから頼政とともに援軍のいる奈良に向かいましたが、
以仁王が疲れて度々落馬するので、宇治の平等院で休憩をとることにしました。
しかし、源頼政は宇治川を次々と渡ってくる平家の大軍を見て、宮を先に
奈良に落ちのびさせました。
頼政の手勢や園城寺の僧らが奮戦する間に宮は
わずかの供を連れて奈良へと急ぎますが、
平家軍の老練な飛騨守景家という
武将が戦場を抜け、五百余騎を引きつれただちに後を追います。
そして光明山の鳥居前で追いつき、雨のように射かけた
矢の一本が宮の脇腹に当たり、落馬しその場で頸を取られました。
これを見た三井寺の
鬼佐渡、荒土佐、荒大夫・刑部俊秀といった荒法師らは、
今さら命を惜しんで何になろうかと、散々に戦い次々と壮絶な最期を遂げました。
その中で以仁王の乳母子宗信は逃げるに逃げられず、近くの池に飛び込んで身を隠し、
敵が過ぎるのを待っていると、王の遺体が運ばれていきました。
その腰には、「万が一の時には、棺
桶に入れてくれ」と宗信にいった小枝の笛が
差さっていましたが、恐ろしいので出ていくこともできず、泣く泣く京へ戻っていきました。
この時、奈良の僧兵は宇治に向かっていましたが、
あと五キロというところで間に合わなかった。と
『平家物語』は以仁王の不運を嘆いています。
左手民家の向こうに見えるのが高倉神社の森です。
高倉神社鳥居
宮の仏事を営むために建てられた阿弥陀寺
以仁王(阿弥陀寺)
高倉神社拝殿、右手は以仁王の御陵
当時は荒墳でしたが、現在は宮内庁管理の陵墓となっています。
高倉神社の南、約
100
mの水田の中に、
三井寺の僧兵・筒井浄妙塚と伝える小円墳があります。
筒井浄妙は宇治川合戦に参加し、「平家物語」の名場面のひとつ橋合戦で
大活躍しましたが、
矢傷を負い奈良の方へ念仏を唱えながら向かいました。
途中この地で倒れたのでしょうか。
現在、この塚は以仁王の
陪冢
として宮内庁管理となっています。
陪冢
(ばいちょう)とは、大きな古墳の近くに添えられた小さな古墳のことです。
「治承役筒井浄妙塚」と刻まれています。
橋合戦(宇治橋・平等院)筒井浄妙・一来法師
筒井浄妙の坊跡(三井寺)
綺原(かんばら、かにはら)神社鳥居の前の道。
綺原神社背後の光明山は光明寺の旧跡地です。
綺原神社より天神川に沿って東の山中を上ること約2キロ、光明寺址に至ります。
以仁王は、光明山の鳥居の前で追いつかれ、
流矢に当たって落命したと伝えられています。
当時、光明山寺は東大寺の別所として栄え、
綺田一帯に広大な
寺領がありました。中世の兵乱で寺運は衰微し
今は標識一つありませんが、付近に地名が残っています。
旦椋神社 (以仁王)
『アクセス』
「高倉神社」京都府木津川市山城町大字綺田小字神ノ木
JR
奈良線「玉水駅」下車徒歩約20分
「綺原神社」京都府木津川市山城町大字綺田小字山際
JR
奈良線「玉水駅」下車徒歩約35分
『参考資料』
竹村俊則 「昭和京都名所図会」(南山城)駿々堂
竹村俊則「
今昔都名所図会」(洛南)京都書院
「京都府の地名」平凡社 「平家物語」(上)角川ソフィア文庫
「京都府の歴史散歩(下)」山川出版社「歴史人No・21」KKベストセラーズ
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