長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

160.千葉ロッテ 里崎智也・引退セレモニー

2014-10-01 20:47:03 | 野球・スポーツ

すっかり秋めいてきた昨今、プロ野球界が大詰めの時期を迎えている。米大リーグではNYヤンキースのデレク・ジータがヤンキース・スタジアムでの最終戦でサヨナラ・ヒットを放ち、ドラマのように出来過ぎたしめくくりに多くのファンを驚嘆させていた。我が日本プロ野球界でもセ・パ両リーグで上位6チームが出揃って来たところだ。

先月、28日。QVCマリンスタジアムでの千葉ロッテ対オリックスのナイターを観に行ってきた。そしてこの日はゲーム終了後、ロッテの正捕手として活躍した里崎智也(38歳)の引退セレモニーが開催される日でもある。

里崎智也と言えば、1998年にドラフト2位でロッテに入団後、怪我や不調に苦しみながらもロッテの捕手として目覚ましい活躍をしたプレーヤーである。2005年バレンタイン監督時代のリーグ優勝から日本シリーズ優勝。2010年西村監督時代のレギュラーシーズン3位からの日本シリーズ出場、優勝と2度の日本一に守備と打撃で貢献。2006年『王サムライ・ジャパン』の年、WBCに選出され正捕手として世界一に貢献し、ベストナイン(捕手部門)、ゴールデン・グラブ賞を受賞。2012年にはロッテ生え抜き捕手として初のプロ入り通算100号の本塁打を達成…などなど、すばらしい経歴に輝くロッテを、いや日本を代表する名捕手なのである。打てばチャンスにはとても強く、ここぞという場面でヒットを放ち『お祭り男』と呼ばれた。守れば強気なリードで投手をグイグイとひっぱり、里崎に育てられたというロッテの投手は数多い。ところが、残念なことに去年から故障した膝の具合が悪く、今年に入ってからも回復しない。いわゆる「キャッチャー座り」ができなくなってしまって長く静養を続けていた。

2014年10月現在、千葉ロッテはリーグ4位と落ち込んでいる。この日の対戦相手は首位ソフトバンクに続き、現在リーグ2位と好調のオリックス・バファローズ。「勝てるかなぁ…」

試合前に電光掲示板にスターティング・メンバーが発表されるといきなり球場のロッテファンがどよめいた。この日、伊東監督の粋なはからいで、一番バッターにDH(指名打者)として里崎の名前が告げられた。ロッテにとって、この日の試合は里崎のための試合である。先発の涌井秀章が好投しオリックス打線を抑えた1回裏、第一打席は豪快に三振。里崎以降の打者も今日は特別な日なので気迫がこもっていた。第二打席も里崎は残念ながら三振。それでも球場に詰めかけた3万人を超えるファンはひさびさに勇姿を見ることができて大喜び、ベンチに下がる里崎に割れんばかりの拍手と声援が起きた。第三打席からはデスパイネ野手にバトンタッチした。涌井の好投が続き、9月に入ってようやく調子を取り戻した打線も踏ん張ったこともあってこの日は4-2と勝利した。

さて、ここからが、今日の本番である。球場の照明が落とされ、ホーム近くに里崎選手が登場するとスポットライトで浮かび出されセレモニーが開始された。ゆっくりと噛みしめながらこれまでの野球人生を振り返りながらの引退スピーチである。ファンへの熱い感謝の気持ちが伝えられるとスタンドのあちこちから嗚咽の声も聴かれる。そして里崎智也は数々の名言を生み出したことでも知られている。2010年の3位から日本シリーズまで勝ち抜いた時の『ミラクル・マリーンズ』や『下剋上』は記憶に新しい。今宵はどんな名言を残してくれるだろうか。スピーチも終盤となった時、「今年の投手陣の不調は守備につけなかった自分の責任でもある」と言った後、「今のロッテの順位は本来のこのチームの実力ではない。もっと、このメンバーで上位に行けるはずだ。来年はロッテが21世紀に入ってからの5年に1度のゴールデン・イヤーに当たる。絶対優勝してください!!」とチーム・メイト全員を喝破した。ここでまた『5年に一度のゴールデン・イヤー』という里崎名言語録が生まれたのだった。

フィナーレは球場を一周してのファン全員へのお礼参り。ライトスタンドのロッテ応援席の前に着くと信じられない量の紙吹雪が舞った。三塁側のオリックス応援席からも熱い里崎コールが送られる。会場は異常な熱気に包まれるが、これで終わりではない。もう少しで日が変わろうとする時間帯、球場外の特設ステージで「ラスト・ライブ」を開くという。最後の最後までファン思いのエンター・テイナーを通した本当の意味でのプロフェッショナルであった。「里崎選手、本当にお疲れ様でした。良い第二の人生を見つけてください。そして僕たちファンに数えきれない夢と希望をありがとう。それにしても惜しいねぇ…」 画像はトップが紙吹雪の中御礼参りする里崎選手。下が左からひさびさのプロテクター姿の里崎、バッター・ボックスに立つ里崎、球場内でも上映された「ラストライブ」の画面。