先月某日。高校の生物部のOB会に出席した。場所は千葉県内の某飲み屋でここもOBの経営するお店。
高校時代、僕は美術部と生物部の二つに入部していて美術部は部長だった。僕が通う千葉県内の私学の高校は男子校で進学校だった。一学年13クラスあり一クラスに40名ほど生徒がいた。マンモス校に近い。進学校だったので1年次から都内の予備校に通う人も多かったが、男子校ということもあり割合自由な校風でクラブ活動は体育系、文化系共さかんだった。
二つのクラブに入部していたことからも解るように、この頃、自分の進路に迷っていた時期でもある。美術室ではゴッホやセザンヌにあこがれて油絵具にまみれて印象派まがいの絵を描き、かたやアンリ・ファーブルや牧野富太郎といった生物学者を尊敬しつつ生物室で熱心に標本の同定などをしていた。この高校の生物部は伝統的にさかんであり、多い時は部員数が40名以上いて専門分野の班に分かれて研究していた。たとえば思い出される順に列挙すると帰化植物班、シダ・コケ班、水生昆虫班、蝶班、鳥班などなど…。そして僕はというと、その中でもかなりマニアックな「夜間甲虫班」というグループに所属していた。小学生頃から昆虫少年だったのである。
夜間甲虫班というのはその名のとおり、夜行性の甲虫を調査研究するのである。種類としてはゴミムシ、オサムシ、シデムシ、エンマムシ、ハネカクシといった仲間である。名前をあげただけでは地味できたない感じがするかもしれないが、種類も多く宝石のように美しい種もいる。調査方法としては放課後、高校のある市内の自然公園などに行ってトラップ(わな)を仕掛けたり、公園内に大きなシーツを張って夜間その前でブラック・ライトをつけて集まってくる甲虫を吸虫管という採集用具で吸い取ったりしていた。この夜間調査は楽しく先生もいなかったので当然、タバコとアルコールは常習だった。そして翌朝トラップを回収。標本として集めた甲虫たちを大きなシャーレに入れて図書室で分厚い図鑑を見ながら1頭1頭(昆虫はこう数えます)種を同定するのである。これがとても楽しかった…そして2年生の冬、同級生の影響で昆虫から現在も続けている野鳥観察に目覚めることになる。考えてみれば生物学と美術の「二束の草鞋」をずっと今まで引きずってきていて全く進歩がないのかもしれない。
3年生になって生物系に進むか美術系に進むか真剣に悩んだ時期があった。夢は生物系に進んで公立の自然保護区内のレンジャーとなり動植物調査のフィールドワークがしたかった。ところが生物系の受験の必須科目である理数系の成績が悪かった。さんざん悩んだ挙句、画家を目指す道を選んだのである。今にして思うとどちらが良かったのか。生きもの相手に自然環境の中で過ごす人生だってあったのかもしれない。どちらにしても「お金儲け」には縁は無さそうである。
今回、同窓会ではなくOB会である。歴史と伝統のあるクラブなので、夏の信州、浅間山合宿はOB会の人たちといっしょだった。いろんな年齢の先輩たちとの交流も有意義であった。こうしていい年齢になって改めて集まってみると一般企業の研究員となった人、生物系に進み南の島に通い昆虫学者をしている人、博物館の学芸員になった人、テレビに出演するような園芸家になった人と多種多様であるが、みなさん優秀である。理科系の落ちこぼれは絵描きの僕と僧侶を経て飲み屋の親父になった同級生のTぐらいかなぁ…。5-6時間もいただろうか、よもやま話に花が咲き楽しい時間は、あっという間に過ぎていった。最後に先輩の一人がポツリと言った。「男子校の同窓会は花が無い、次回の課題は女の子同伴で来よう!」 おいおい気持ちは解るけど、いったいどうやって連れてくるの。まさか奥方や娘なんて言うんじゃないでしょうね。ここでお開き。次回は花見をしながら一杯ということに決定した。画像はトップがこの日の集合写真。下が向かって左から会のようす2点、お店の中の札など2点、会場となった飲み屋。