長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

400. 『聖なる黄金虫・スカラベ』を描く。

2020-02-23 19:05:53 | 絵画・素描
今回でこのブログを始めて400回目の記念すべき投稿となった。フェイスブックやインスタグラム等SNSも並行して投稿しているので、随分長くかかっての400回である。この超ゆっくり投稿にお付き合いいただいているブロガーのみなさんには感謝しなければいけない。このところコロナウィルスの流行で世の中はとてもハードな状況となっている。みなさんも同様な心境だろうが、僕自身も自由業を良いことになるべくならば必要以上の外出は避けたい気持ちになっている。

さて今回の投稿は現在制作中である神話・伝説シリーズの絵画作品についてである。この連作、昨年より集中的に古代エジプトに伝わる神話・伝説を題材に制作を続けている。リアルで描いているのは『聖なる黄金虫・スカラベ』である。古代より神聖甲虫は自己創造のイメージであったと言われている。エジプト人たちは、甲虫はその羊や牛などの糞の塊からひとりでに生まれてきたものと信じてきた。この甲虫にとって糞は現実には卵と幼虫を守るのに役立つにすぎないのだが。黒色の甲虫が「ケプリ」という大地からやってきたものの名のもとに崇拝の対象となった。「ケプリ」は昔から創造神アトゥムと同一視され1種の太陽神とみなされていた。甲虫(フンコロガシ)は糞で作った球を転がす。そのために「ケプリ」は天空に太陽の球を転がすものと考えられた。光と熱(暖かさ)を与える神聖甲虫は陶磁器製等のお守りとして制作され、広くエジプトの人々に用いられ、新生のシンボルとして副葬品となっている。

この甲虫はスカラベ(Scarab)と呼ばれてきた。和名をヒジリタマオシコガネと言う。エジプトやアフリカヨーロッパ南部等に生息し、有名なフランスの昆虫学者であるJ.H.ファーブルの「昆虫記」にも詳しい生態が紹介されている。学名を”スカラベウス・サクレ"と命名されている。「神聖なるコガネムシ」という意味である。

作品は今までと同様、手漉きの和紙に水彩とアクリル、顔料などの混合技法で描いている。この神話・伝説シリーズに登場する生物は姿や形に魅力を感じるということもあり鳥類や哺乳類がどうしても多くなるのだが、久々の昆虫ということもあり下絵の時点からなかなか手こずってきた。今月に入りようやく絵具での描写も60~70%になり、制作ものってきたところである。肝心な詰めはまだまだこれから、さてどんな作品になるか、いずれ個展やグループ展でお披露目することになるだろう。

※画像はトップが制作中の水彩画『聖なる黄金虫・スカラベ』の部分と僕の左手。下が向かって左から作品の全体像、使用している固形水彩絵の具、19世紀アメリカの博物学書に登場するスカラベウス・サクレの細密イラストレーション。


       



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1 コメント

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いつもありがとうございます。 (uccello)
2020-03-01 18:50:48
ブロガーのみなさん、いつもマイブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。
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