先月から2021年に展示会に出品する予定の大きなサイズのモノクロ板目木版画を制作している。画題としているのはコクガンという名前の野鳥である。
このブログを読んでいただいている方々はピンと来たと思うが昨年の12月に宮城県の南三陸町に取材した野鳥である。冬に取材した野鳥を春に木版画に彫っているのである。僕の場合は取材を行って工房に帰ってからすぐに制作にかかるということは少ない。少し「なます」というのか、時間を置く。その時間の中でああでもない、こうでもないと画面構成や表現方法を考えたりするのが常である。遠回りをしているようで、このほうが画面に対する考え方が整理されてくるし、制作の方向性も見えてくるのである。それから失敗が少なくて済む。
版木の寸法は60,5 × 90㎝で絵画で言えば30号ぐらいのサイズである。筆と絵具で描く絵画であれば30号だが細かい彫りで制作を進めていく版画では、その倍の50号~60号ぐらいのサイズに感じる。同サイズの下絵を版木にトレースし、さぁこれから彫って行こうとする時にこのサイズがとても広く見えることがあり、そんな時には気が遠くなりさえする。
現地で取材していた時にコクガンという鳥も美しいと思ったが、生息地である三陸のターコイズブルーの深い色の海が美しく、海面に反射する水紋が目に入り、まるで抽象絵画を観ているようだと感じた。「なんとかこれを表現したい」そう思いながら帰宅し、ずっとこの感覚を温めてきた。「そうだ野鳥を画面で小さく入れて水紋の形をクローズアップしていく構図をとってみよう」そう決定した。
版木を彫り始めた頃、ちょうど新型コロナウィルスが世界中に拡散していくこととが重なり、彫り進めている水紋の点刻の1点1点を祈るような気持ちで彫りこみ、画面の中にのめり込んで制作していた。この海も2011年の大震災で津波に襲われた地域である。
先月末、ようやく第1回の試し摺りが上がった。予定よりかなり彫り進んでいる。ここからは明部や細部を中心として大事に仕上げていかなければならない。この作品が仕上がる頃には新型コロナウィルスの猛威が収束していくことを祈りながらジックリと彫り進める毎日である。
画像はトップが制作中の版木と僕の手。下が向かって左から第1回目の試し摺りの部分2点、制作中の版木等と手、彫りに使用中の各種彫刻刀。
このブログを読んでいただいている方々はピンと来たと思うが昨年の12月に宮城県の南三陸町に取材した野鳥である。冬に取材した野鳥を春に木版画に彫っているのである。僕の場合は取材を行って工房に帰ってからすぐに制作にかかるということは少ない。少し「なます」というのか、時間を置く。その時間の中でああでもない、こうでもないと画面構成や表現方法を考えたりするのが常である。遠回りをしているようで、このほうが画面に対する考え方が整理されてくるし、制作の方向性も見えてくるのである。それから失敗が少なくて済む。
版木の寸法は60,5 × 90㎝で絵画で言えば30号ぐらいのサイズである。筆と絵具で描く絵画であれば30号だが細かい彫りで制作を進めていく版画では、その倍の50号~60号ぐらいのサイズに感じる。同サイズの下絵を版木にトレースし、さぁこれから彫って行こうとする時にこのサイズがとても広く見えることがあり、そんな時には気が遠くなりさえする。
現地で取材していた時にコクガンという鳥も美しいと思ったが、生息地である三陸のターコイズブルーの深い色の海が美しく、海面に反射する水紋が目に入り、まるで抽象絵画を観ているようだと感じた。「なんとかこれを表現したい」そう思いながら帰宅し、ずっとこの感覚を温めてきた。「そうだ野鳥を画面で小さく入れて水紋の形をクローズアップしていく構図をとってみよう」そう決定した。
版木を彫り始めた頃、ちょうど新型コロナウィルスが世界中に拡散していくこととが重なり、彫り進めている水紋の点刻の1点1点を祈るような気持ちで彫りこみ、画面の中にのめり込んで制作していた。この海も2011年の大震災で津波に襲われた地域である。
先月末、ようやく第1回の試し摺りが上がった。予定よりかなり彫り進んでいる。ここからは明部や細部を中心として大事に仕上げていかなければならない。この作品が仕上がる頃には新型コロナウィルスの猛威が収束していくことを祈りながらジックリと彫り進める毎日である。
画像はトップが制作中の版木と僕の手。下が向かって左から第1回目の試し摺りの部分2点、制作中の版木等と手、彫りに使用中の各種彫刻刀。