地域畜産業を振興するには産地間の競争力強化が重要であり,そのためには,自給粗飼料の生産基盤を強くしなければならないという考えから,平成23年9月9日(金)に「飼料作物増産対策研修会」を開催しました。研修会の開催にあたっては,国内で育成された優良な飼料作物品種の普及を目的とした展示ほを設置しており,設置事業の主体である全国飼料増産協議会(社団法人日本草地畜産種子協会),実証ほの設置者である大崎市(鳴子総合支所観光建設課),約8㌶もの広大な実証ほに使用する牧草種子と除草剤を提供する雪印種苗(株),日産化学工業,また,草地の簡易更新作業の実演も併せて行うことから,サージミヤワキ(株)の後援を得て実施しました。当日は天気に恵まれて,出席者は33名でした。
最初に,会場となった大崎市営鳴子放牧場の原9区において,サージミヤワキ(株)職員からの草地簡易更新機(シードマチック:作溝法)の機械操作についての説明後,播種作業の実演が行われました。牧草だけでなく,麦,ソバ,大豆,トウモロコシ等の直播するものならばすべて作業が可能である作業機に,出席者は強い関心を持って見入っていました。
終了後,会場を大崎市鬼首地区公民館に移し,サージミヤワキ代表取締役社長・宮脇 豊氏から「草地の生産性・維持と向上のために」と題した講演がありました。ニュージーランドで開発された今回の実演作業機の誕生から,現場での活用までの内容でした。次いで,東北大学大学院農学研究科・農学部資源生物科学・栽培植物環境科学講座の齋藤雅典教授から「放射性物質と農作物」と題した講演がありました。出席者らは,福島原子力発電所事故という予期しないアクシデントに振り回されている真っ最中ですが,正しい情報を知ることが大切であることを先生はあらためて話されていました。最後に,日産化学工業(株)の伊藤洋一氏から,実証ほで使用した「ラウンドアップマックスロード」についての特性と使用上の注意について講演がありました。今回は,実演会という性格上,40年近く更新されなかった草地を使い,優占していた雑草を一掃するために念入りに除草したのですが,その役割を十分に発揮したと考えています。 東日本大震災という困難な状況の中で,農家の畜産経営への取り組みも厳しい状況にありますが,今回の研修会の内容を今後の普及活動に活用し,地域の畜産振興を図っていきたいと考えています。
宮城県大崎農業改良普及センター 先進技術班
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