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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

アルマ望遠鏡で見た巨大電波銀河“ケンタウルス座A”

2012年06月08日 | 宇宙 space
電波望遠鏡アルマが観測した1200万光年かなたの活動銀河“ケンタウルス座A”の中心部。
これまでにない解像度で、大量のチリの帯に隠された銀河の奥深くを映し出しています。

巨大な楕円銀河“ケンタウルス座A”は、強い電波を放射する電波銀河としては最も太陽系に近い天体なんですねー
これまでも多くの望遠鏡で観測されていて、その中心部には太陽のおよそ1億倍の超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられています。

画像は南米チリのラシーヤ天文台で撮影された可視光画像に、アルマ望遠鏡の観測データを重ねたものです。

可視光では数千億の星を背景に楕円形の“ケンタウルス座A”が浮かび、中央の黒い帯が銀河中心部を隠しています。

この黒い帯には大量のガスやチリ、そして若い星が隠れています。
“ケンタウルス座A”は巨大な楕円銀河と、小さな渦巻銀河とが衝突して出来たものと考えられています。
この黒い帯は、飲み込まれてしまった小さな銀河の残骸なんですねー

でも、アルマ望遠鏡だと帯で隠れた部分を調べることができます。
ハワイの“すばる望遠鏡”や“ハッブル宇宙望遠鏡”は可視光や赤外線を使いますが、
アルマ望遠鏡は“ミリ波”や“サブミリ波”という電波を使い、可視光や赤外線では見ることが出来ない星間物質を観測することが出来ます。

今回は一酸化炭素(CO)分子が出す波長1.3mmの電波を捉えています。
画像の中で青色になっている部分が、CO分子を含むガスの雲が銀河の中を動くことで生じる電波の波長なんですねー
わずかなズレが色で表現されています。

銀河の中心より左側の紫から暗い青色のガスは手前に近づくガスの分布で、
右側の明るい青は遠ざかる動きをするガスの分布を示していて銀河の中のガスの回転が分かりますね。

“ケンタウルス座A”に含まれるガスの分布がここまで高い解像度・感度で観測されたのはこれが初めて。
アルマ望遠鏡と他の望遠鏡を組み合わせることにより、天体の様々な姿を明らかに出来るんですねー (^^

チリ北部のチャナントール高原に建設が進むアルマ望遠鏡は、2012年度中の本格観測開始を予定しています。

アンテナは大きいほど集光力と解像度が向上するのですが、実際には直径100mを超えるアンテナを高精度に作ることは不可能なんです。

アルマ望遠鏡では、いくつものアンテナで同じ観測対象を同時に捉え、一台の巨大望遠鏡のように機能させます。
この方式により最大18kmのアンテナに相当する解像度が得られるんですねー
(2013年には全66台のアンテナが設置されます。)

2011年からは、その一部を使った初期科学観測が始まっていて、
今回の“ケンタウルス座A”の画像は、このデータを使用しています。

アルマ望遠鏡では次の観測シーズン(2013年1月~10月)より、初期科学観測段階の2倍以上のアンテナを使うことができ解像度も大幅に向上する予定です。

また、日本が建設を担当しているアタカマ・コンパクトアレイ(いざよい)16台が追加されると、より高画質な画像撮影が可能に…

これで天体の様々な姿を、最も鮮明かつ高感度で見れるはず、
太陽系外の惑星や、銀河の誕生などに係わる発見があるかも知れません (^^