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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

放浪するブラックホール

2012年06月11日 | 宇宙 space
NASAのX線天文衛星“チャンドラ”が40億光年かなたに、銀河から弾き出されたブラックホールをとらえました。

ほとんどの銀河の中心部には、太陽の数百万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。

そのブラックホールが銀河から時速数百kmの速度で弾き出されているんですねー
2つのブラックホールが衝突し、そのとき発生した重力波の反動によるものらしいです。

重力波とは宇宙の劇的な現象により生じる空間のゆがみの波のことです。
アインシュタインによって存在は予測されているものの、直接観測されたことはありません。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターでは、40億光年離れた銀河にある2つの接近した可視光源“CID-42”を研究してきました。

分光観測では2つの光源が時速400万km以上の猛スピードで互いに離れつつあるということが示されています。

以前の“チャンドラ”の観測でも“CID-42”の周辺に、超大質量ブラックホールが由来と思われる強いX線源が見つかっていました。

でも、X線源が1つなのか、複数なのが分からなかったんですねー

そこで新たな観測で確かめたところ、
X線を放射しているのは2つの可視光源のうち1つのみだと分かりました。

この結果考えられるシナリオは、
 1.二つの銀河が衝突した
      ↓
 2.それぞれの銀河の中心部にあった超大質量ブラックホールも衝突
      ↓
 3.二つのブラックホールは一つに合体
      ↓
 4.でも衝突によって発生した強力な重力波が、新しくできたブラックホールを銀河の外に弾き出した
っというもの。
(もう一つの可視光源は、あとに残った星団のようです。)

これは、合体したブラックホールが重力波の強力な反動を受ける可能性を示した最近のシミュレーションとも一致しています。

他にも、
 三つの超大質量ブラックホールが衝突して一番軽いものが弾かれた
 二つのブラックホールが離れていくのでは無く、互いをらせん状に回転している
っという説があります。

でも、この二つのシナリオでは2個以上のブラックホールが存在することになるんですねー
“チャンドラ”の観測ではX線光源は1つしか見つかっていないので、やっぱり最初のシナリオが有力となります。

太陽より数百万倍も重い超大質量ブラックホールが、時速数百kmの速度で移動出来る事に驚きです。
重力波で生じる力って凄いんですねー

でも、銀河の外へ弾き出されたブラックホールってどうなるのでしょうか?
周囲に吸い込むガスは殆ど無いので観測できないし… 広大な宇宙を放浪する未確認大質量ブラックホールってある意味怖いですねー