X線で急激な増光を見せる天体が、天の川銀河内に見つかりました。
NASAの天文衛星“スウィフト”が見つけたこの天体、
どうやら今まで知られていなかった、
新たな恒星質量ブラックホールのようです。
このX線新星は突然現れて、数日でX線の強さがピークに到達。
そして数か月かけて弱まっていきました。
このようなX線のアウトバースト(突発的な爆発)は、
ガスの塊が中性子星やブラックホールといった、
高密度天体に急速に吸い込まれるときに発生します。
今回“スウィフト”のバースト警報望遠鏡がとらえた、
X線源の急激な増光は、9月16日に2回、翌日の17日に1回。
この新星は“スウィフトJ1745-26”と名付けられ、
“いて座”の方向にある天の川銀河の中心から、わずか数度離れたところに出現し、
距離はおそらく2~3万光年先と考えられています。
この新星が、1万電子ボルト以上の硬X線でピークに達したのが9月18日。
硬X線の高エネルギー天体としては、観測史上もっとも明るい部類でした。
硬X線は徐々に弱まっているのですが、
比較的低エネルギーの軟X線では発見当時より30倍も明るく、
今も明るさが増してきています。
このような変化はX線新星の典型的な現象のようで、
こうしたパターンは、中心にブラックホールを持つX線新星のもの。
X線が完全に消えた後に、
質量を測定すればブラックホールの現状を調べることができます。
このブラックホールは太陽のような恒星と共に、
低質量X線連星系(LMXB System)を成していると考えられています。
ほとんどのLMXBでは恒星から流れてくるガスが、
ブラックホール周囲の降着円盤に降り注いでいるんですねー
円盤の中ではブラックホールに近づくほど熱くなり、
持続的にX線が放射されるということです。
でも、ある条件を満たすと、円盤の中の持続的な流れが崩れるんですねー
このとき、高温で高電離状態のガスは、円盤中心付近に押し寄せられます。
反対に低温で低電離状態のガスは、
ダムに溜まった水のように円盤の外縁に蓄積されていくことになります。
数十年が経ち、ガスが円盤外縁に蓄積されると、ダムが崩れることに…
溜まっていた大量のガスが一気にブラックホールに吸い込まれ、
強力なX線バーストを引き起こすことになります。
これがX線新星なんですねー
このようなX線アウトバーストでは、
円盤内の物質を吹き飛ばした後、LMXBはX線新星から元の状態に戻ります。
そして数十年後に、
また同じような現象が繰り返され、X線新星が再び現れることになるんですねー
この現象は“熱粘性リミットサイクル”と呼ばれ、
原始惑星系円盤や矮新星、遠方銀河の超大質量ブラックホールなど、
様々な場所で発生する瞬間的アウトバーストを理解するのに役立つようです。
こちらの記事もどうぞ ⇒ X線天文学の誕生50周年記念に… “MAXI”X線新星を発見
NASAの天文衛星“スウィフト”が見つけたこの天体、
どうやら今まで知られていなかった、
新たな恒星質量ブラックホールのようです。
“スウィフト”が観測したX線バースト |
このX線新星は突然現れて、数日でX線の強さがピークに到達。
そして数か月かけて弱まっていきました。
このようなX線のアウトバースト(突発的な爆発)は、
ガスの塊が中性子星やブラックホールといった、
高密度天体に急速に吸い込まれるときに発生します。
今回“スウィフト”のバースト警報望遠鏡がとらえた、
X線源の急激な増光は、9月16日に2回、翌日の17日に1回。
この新星は“スウィフトJ1745-26”と名付けられ、
“いて座”の方向にある天の川銀河の中心から、わずか数度離れたところに出現し、
距離はおそらく2~3万光年先と考えられています。
この新星が、1万電子ボルト以上の硬X線でピークに達したのが9月18日。
硬X線の高エネルギー天体としては、観測史上もっとも明るい部類でした。
硬X線は徐々に弱まっているのですが、
比較的低エネルギーの軟X線では発見当時より30倍も明るく、
今も明るさが増してきています。
このような変化はX線新星の典型的な現象のようで、
こうしたパターンは、中心にブラックホールを持つX線新星のもの。
X線が完全に消えた後に、
質量を測定すればブラックホールの現状を調べることができます。
このブラックホールは太陽のような恒星と共に、
低質量X線連星系(LMXB System)を成していると考えられています。
ほとんどのLMXBでは恒星から流れてくるガスが、
ブラックホール周囲の降着円盤に降り注いでいるんですねー
円盤の中ではブラックホールに近づくほど熱くなり、
持続的にX線が放射されるということです。
特定の条件を満たし円盤外縁にガスが溜まっていく様子(想像図) |
でも、ある条件を満たすと、円盤の中の持続的な流れが崩れるんですねー
このとき、高温で高電離状態のガスは、円盤中心付近に押し寄せられます。
反対に低温で低電離状態のガスは、
ダムに溜まった水のように円盤の外縁に蓄積されていくことになります。
数十年が経ち、ガスが円盤外縁に蓄積されると、ダムが崩れることに…
溜まっていた大量のガスが一気にブラックホールに吸い込まれ、
強力なX線バーストを引き起こすことになります。
これがX線新星なんですねー
十分な量のガスが溜まると大量のガスが一気にブラックホールに落ちていき、 強力なX線バーストが発生する(想像図) |
このようなX線アウトバーストでは、
円盤内の物質を吹き飛ばした後、LMXBはX線新星から元の状態に戻ります。
そして数十年後に、
また同じような現象が繰り返され、X線新星が再び現れることになるんですねー
この現象は“熱粘性リミットサイクル”と呼ばれ、
原始惑星系円盤や矮新星、遠方銀河の超大質量ブラックホールなど、
様々な場所で発生する瞬間的アウトバーストを理解するのに役立つようです。
こちらの記事もどうぞ ⇒ X線天文学の誕生50周年記念に… “MAXI”X線新星を発見