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モバライダー mobarider

生まれたばかりの星から水分子メーザーを検出 “アルマ望遠鏡”

2012年10月28日 | 宇宙 space
生まれたばかりの星から、高エネルギー状態の水分子メーザーが初めて検出されました。
これは星の誕生や、その後の様子を研究する上で重要な発見となるんですねー

メーザーとは、1つの分子から放射された特定の波長の電波が、他の分子の電波と作用しどんどん増幅され強力な電波放射となるものです。
ある限定された温度と密度環境にあるガス雲の中の、ある特定の分子(水酸基・水蒸気・一酸化ケイ素・メタノール・アンモニアなど)で発生するんですねー

このメーザーを検出したのは南米チリの“アルマ望遠鏡”です。
国立天文台の研究チームが、オリオン座大星雲にある生まれたばかりの星“オリオンKL”の電波源Iを観測し、高エネルギー状態にある水分子が放つメーザーの検出に成功しました。

     “アルマ望遠鏡”で観測された“オリオンKL”の電波写真
     水分子メーザーとギ酸メチル分子からの電波が混ざっている画像(a)から、
     ギ酸メチルが放つ別の周波数の電波強度画像(b)を引き算し得られた
     水分子メーザーのみの画像(c)

高エネルギー状態の水メーザーは、年老いた星ではこれまでに数例の検出例があります。
でも、生まれたばかりの星では初めての検出なんですねー
“アルマ望遠鏡”のかつてない高感度と、撮像能力によって初めて可能になった研究成果といえます。

研究チームはこれまで、国立天文台の電波望遠鏡ネットワーク“VERA”を用いて、“オリオンKL電波源I”の観測を行ってきました。

“オリオンKL電波源I”の周囲にあるガスの円盤や高速ジェットからは、低エネルギー状態にある水分子や一酸化ケイ素分子のメーザーが発せられていたんですねー





“オリオンKL電波源I”の想像図




“VERA”で得られたこのデータと、今回の“アルマ望遠鏡”で検出された高エネルギー状態の水分子メーザーを比較すると、それらが同じ速度で運動するガスから放射されていることが分かりました。

この結果は、高エネルギー状態の水分子メーザーも、生まれたばかりの星のごく近くにあるガス円盤や、高速ジェットの高温ガスから放射されていることを意味するんですねー
これにより、高温ガスの新しい観測手段を手に入れたことになり、生まれたばかりの星のより近くにまで迫る研究が可能になります。

今後“アルマ望遠鏡”は、さらに高性能化が進められていきます。
近い将来には、現在の50倍の高解像度で天体画像が得られるようになる計画です。

これを、高エネルギー状態にある水分子メーザーの観測に用いれば…
“オリオンKL電波源I”の性質や、その周辺を回るガス円盤、吹き出す高速ジェットの詳細な撮像が可能になるかもしれないんですねー

そして、星がどのようして生まれるのか? っという謎が解明されるかもしれません。