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モバライダー mobarider

赤色巨星を包む不思議な渦巻き “アルマ望遠鏡”が発見

2012年10月22日 | 宇宙 space
“アルマ望遠鏡”を使ったミリ波・サブミリ波観測で、
年老いた星の周りに不思議なガスの渦巻きと、それを囲む球状の殻構造が発見されました。

赤色巨星の周囲に、こうした構造が一緒に見つかったのは初めてなんですねー

発見したのは欧州南天天文台の国際研究チームです。
研究チームは、南米チリにある世界で最も強力なミリ波・サブミリ波望遠鏡“アルマ”を用て、“ちょうこくしつ座R星”の周囲に、ガスの渦巻き構造を見つけています。




“ちょうこくしつ座R星”を
取り囲む球殻状のガスと、
渦巻状のガス



赤色巨星の周りを取り囲むガスは、これまでもたくさん見つかっているんですよねー
でも、球状の殻構造のほかに、こんな渦巻きが見つかったのは今回が初めてです。

もちろん“ちょうこくしつ座R星”の球状の殻構造も発見されていました。
今回の渦巻きは、“アルマ望遠鏡”の抜きん出た性能により発見できたということです。

質量が太陽の8倍より小さい星は、その一生の最後に赤く膨らんだ“赤色巨星”になりガスを放出します。

この段階になると、星の中心の周りにあるヘリウム原子核の層が周期的に激しい核融合反応を起こし、大量の物質が放出されます。

星を包むガスとチリの殻のような構造はこの時に作られるんですねー

こうした爆発的な核融合反応は、1万~5万年に1回起こると考えられています。
そして1回の爆発的な反応は、せいぜい数百年しか続きません。

“ちょうこくしつ座R星”では、1800年前に爆発的な核融合反応が発生し、200年間続いたということが今回の観測で分かりました。
そして、この星を回る見えない星が、放出されたガスを渦巻きの形にした。 っと考えられているんですねー

高い解像度を持つ“アルマ望遠鏡”を使うことで、星を取り囲むガスと渦巻き構造が、どのようにしてできたのかが分かるかもしれません。
そうすれば、“ちょうこくしつ座R星”での爆発的核融合反応の前と最中、その後に何が起こったのかが分かるかもしれません。

連星の周りでどのようにガスが動くのか? っというシミュレーションの結果は、“アルマ望遠鏡”の観測とよく一致しています。

なので、今回のような研究や観測の積み重ねは、シミュレーションに役立つんですねー
近い将来、数十億年後の太陽に何が起こるのか分かるかもしれませんね。