宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

スターウォーズのワープでは星は見えない、らしい…

2013年01月20日 | 宇宙 space
映画スターウォーズで、宇宙船ミレニアム・ファルコン号がワープするときに、
星が何本もの筋になりますよねー
この星が筋になる映画のシーン、イギリスの学生チームが行った計算によれば、
SF映画に登場する他の多くの物事と同様に、実際には起こらないようです。

チームによると、宇宙を高速で移動するとドップラー効果のため、
ハン・ソロやルーク・スカイウォーカーの目には、
宇宙船に向かってくる星が一切見えないそうです。

ドップラー効果とは、電磁放射源が、それを知覚する人物に対して近づいているか、
遠ざかっているかによって、観測される波長の長さが変化する現象です。

よく挙げられるのは、消防車や救急車が通り過ぎるときに、
そのサイレンの音の高さが変化する現象です。

チームの計算では、ミレニアム・ファルコン号の場合、星に向かって速度を上げるため、
観測される星の光の波長は短くなります。

これにより、光はエネルギースペクトルの中の肉眼で見える範囲から外れ、
X線の範囲に入ることになるんですねー

一方で、140億年前に宇宙を作り出したビッグバンの放射の名残り、
“宇宙マイクロ波背景放射”です。

これが観測される波長は長くなって、突如として目に見えるようになるんですねー

ミレニアム・ファルコン号の乗員の目には、
まばゆい円盤型の光となって飛び込んでくるそうです。

まぁー ミレニアム・ファルコン号が実在し、
本当にこれほどの速度で宇宙を旅することができたら… の話ですがねー

衛星“ガニメデ”の探査へ ロシアと欧州が協力

2013年01月19日 | 宇宙 space
ロシアと欧州が協力し、木星の衛星“ガニメデ”へ探査機を送り込むことになるかもしれません。

まだ、具体的な計画も無く、今年の3月にロシア科学アカデミーと欧州宇宙機関(ESA)との間で会議をして、
ESAの木星探査計画“ジュース”への協力を模索するということなんですねー

以前ロシアは、“ラプラス・エウロパP”と呼ばれる、木星の衛星“エウロパ”に着陸する探査機の構想を持っていました。
これは、ESAやNASAと共同で計画していた、木星圏探査計画“エウロパ・ジュピター・システム・ミッション(EJSM)”の1つとして検討されていたものです。

ESAは、この計画に“ジュピター・ガニメデ・オービター”と呼ばれる探査機を、参加させる予定でした。
でも、主にNASA側の予算の問題からEJSMは凍結されたんですねー

なので、欧州は自らが主導できる形へ、計画を立て直すことになります。
“ジュピター・ガニメデ・オービター”単体だけで探査が成立するようにし、それが木星探査計画“ジュース”になりました。

一方のロシアでも、“エウロパ”の強い放射線環境で動く、電子部品の調達に苦慮していたんですねー
そこで、“エウロパ”よりは放射線が弱い“ガニメデに目的地を変更したというわけです。

また、“ジュース”は“カリスト”と“エウロパ”を探査した後に、最終的には“ガニメデ”を訪れることになります。
なので、ロシアと欧州が協力するという話が、再び持ち上がったんですねー

具体的な協力の内容としては、ロシア側の探査機が“ガニメデ”に着陸した後の、地球との通信に“ジュース”を利用する事が考えられます。

“ジュース”は、現時点で2022年に打ち上げられ、2033年に“ガニメデ”に到着する予定です。
なので、ロシアのガニメデ探査機も、“ガニメデに同じ時期に到着できるように打ち上げられるようです。

超新星残骸“カシオペア座A”を初観測

2013年01月18日 | 宇宙 space
地球から1万1000光年の距離にあり、天の川銀河内で非常に若い超新星。
この超新星“カシオペア座A”の画像が公開されました。

“カシオペア座A”は、太陽系外の電波源として、最も電波強度の強い天体としても知られています。






“ニュースター”がとらえた
超新星残骸“カシオペア座A”




今回の画像は、NASAのX線宇宙望遠鏡“ニュースター”がとらえているんですねー
“ニュースター”は、2012年6月に打ち上げられたX線宇宙望遠鏡で、
従来のX線宇宙望遠鏡に比べて、より高エネルギーX線をより高精度で観測できます。

画像の青色は、“ニュースター”が初めてとらえた高エネルギーX線(10~20キロ電子ボルト)で、
赤色と緑色は、X線天文衛星“チャンドラ”でも観測可能な、より低エネルギーのX線(緑色:8~10キロ電子ボルト、赤色:4.5~5.5キロボルト)示しています。

“カシオペア座A”を作った超新星爆発が発した光は、
1万1000年の時間をかけて、300年前に地球に到達したと考えられています。
恒星は太古の昔に死んでいるのですが、その残骸はいまだ活発に活動を続けているんですねー

外側の青いリングは、超新星爆発の衝撃波が周囲の物質に衝突して、粒子を光速の1%未満の速度まで加速させている領域です。

今回、“ニュースター”を用いた観測により、
これら粒子が、どのようにしてこれほどの高エネルギーにまで加速されたのか?
っという謎を解く手がかりが、得られるといいんですがねー

中性子星の回転ぶれを初観測?

2013年01月17日 | 宇宙 space
1秒に11回転する中性子星から、荷電粒子の超高速ジェットが噴出する様子がとらえられました。

その動きから、この天体が歳差運動(回転軸のぶれ)をしている可能性が指摘されていて、
このことは、中性子星をさらに理解するための、新たなヒントになるのかもしれません。

画像は“ほ座”の方向約1000光年かなたにある、中性子星パルサーから噴出するジェットの姿です。





直径約19キロの
“ほ座”のパルサーから
噴出すジェット
長さは0.7光年にもおよぶ




中性子星とは、太陽の約8~30倍の質量の恒星が、重力崩壊して爆発した後に残る超高密度天体のことです。
そのなかでも、高速自転にともなって放射が点滅(パルス)しているように見えるものは“パルサー天体”と呼ばれます。

“ほ座”のパルサーは、89ミリ秒周期(1秒で11回転以上)で自転していて、
自転軸方向に噴出する荷電粒子のジェットは、なんと光速の0.7倍という猛スピードです。

実は2003年にも、このジェットが短時間の動画でとらえられていました。
そして、2007年に同データを研究した結果、この天体が歳差運動をしている可能性が指摘されていたんですねー

歳差運動とは、天体の自転軸のぶれのことです。
地球も歳差運動をしていて、今は北極星(こぐま座のポラリス)を指す地球の自転軸も、長い年月のうちに別の星を指すようになります。

2010年6月~9月の再観測から、“ほ座”のパルサーが120日周期で歳差運動をしていて、それによりジェットがらせんを描いていると見られています。

歳差運動の原因として考えられるのは、中性子星が完全な球体ではなく、ほんのわずかに歪んでいること。
光速回転による内部の超流動体と外殻の相互作用で、一時的な加速自転が起こることがあります。
このパルサーも、それが歪みを生んでいるのかもしれないんですねー

また、歳差運動で生じたジェットのわずかなカーブが、周囲の強力な磁場によって増幅されている可能性もあるとか…

もし、この歳差運動が正式に確認されれば、中性子星としては初めての発見となります。
これは、高エネルギー現象によって生じるとされる、重力波の探査対象としても役立つかもしれないようです。

小惑星“アポフィス” 地球の近くを通過

2013年01月16日 | 宇宙 space
2036年に地球に衝突する可能性が、わずかに残る小惑星があります。
その小惑星は“アポフィス”といい、1月の9日に地球から約1450万キロの距離を通過し、
赤外線天文衛星などにより、その軌道を精密に予測するための観測が行われました。

こうした天体は、発見当初は軌道が不確実なため、衝突の可能性がわずかにあるとされることがあります。
でも、何度か追観測を行って、軌道を精度よく絞り込んでいくと、そのうち確立がゼロであると分かるんですねー

“アポフィス”の場合、2029年の最接近時には地球表面から約3万キロの距離を通ることが、発見後の観測から分かっていました。
地球の直径が約12,700キロなので、かなり近くを通過することになります。

そして、2036年の最接近で衝突する可能性がわずかに残っていたのですが、
今回の接近の観測結果から、2036年の衝突の可能性もなくなるかもしれないんですねー

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線天文衛星“ハーシェル”も、最接近直前の1月5日~6日に“アポフィス”を観測しています。




天文衛星“ハーシェル”が
今回の接近で撮影した
“アポフィス”



2時間にわたって複数の赤外線波長で得たデータを、可視光観測と合わせたところ、
“アポフィス”の平均直径は、これまで推測された270±60メートルから、やや大きい325±15メートルに修正されました。

また、温度データから、天体表面の太陽光反射能も新たに見積もられています。
太陽光による温度の上昇も、長いスパンで軌道に影響するので、これも大事な要素なんですねー






“アポフィス”の軌道
323.5日周期で地球に近い
軌道を回る



これで、かつて地球への脅威として話題になった“アポフィス”が、今ではほぼ危険性がない小惑星になり、
今では、地球近傍小惑星を知るのに役立つ、興味深い小惑星になったということです。